Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

酔い惑わせる宵の蜜

2012/12/04 23:05:01
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微かに痛む頭を抑えながら霊夢は瞼を開いた。
「っ痛ぅ…」
どうやら神社の宴会の途中で寝てしまったらしい、すでに陽は出ており妖怪達も帰ったようだった。

重い体を起こし、霊夢は散らばった諸々の酒瓶等を片付けにかかった。
「まったく、片付けくらいしていきなさいよね」
ぼやきながらも着々と作業を進め、間もなくそれは終わりを迎えようとしていた。

「むにゃ…ん~…」
一息吐いたところで聞こえてきた声に霊夢は振り向いた。
「霊夢ぅ…お酒ぇ…」
「萃香、もう朝よ。起きなさい」

声の主は伊吹萃香だった。彼女も宴会の途中で寝てしまったようだ。


「ん…もう宴会はおわりなのかい…むにゃ」
「そうよ、ほら。この酒瓶運ぶの手伝って」

言いながら半ば無理やりに萃香を起こし、酒瓶を持たせ霊夢は歩き始めた。
その後をよろつきながらも萃香は付いて歩く。

倉庫に酒瓶を置き終えて二人は居間に戻り適当にくつろぎ始める。

「霊夢ぅ…お酒無いのかい?」
「あんたねぇ…そもそもあんたには伊吹瓢があるじゃない」
「いぶきひょう…?そうだ、えっと…あれ?」

萃香は少し自分の腰回りを触って固まってしまった。

「どうしたのよ?」
「お酒が…無い…!」

どうやら伊吹瓢が手元に無かったらしく、萃香は慌てて外に出た。
しばらくして戻ってくるも今にも泣きそうな目で霊夢にしがみついてきた。

「霊夢ぅ…お酒無くなっちゃった…」
「無くなったって、いつも肌身離さず持ってたじゃない」
昨日も宴会中ずっと手に持っていたのを覚えている。

「おかしいわね…誰かが盗んだんじゃないのかしら?」
「盗んだのかい…?一体誰が…」
「巫女の勘よ」

霊夢も伊吹瓢探しを手伝ったが、神社周りには見つからなかった。

「お酒ぇ…お酒お酒お酒ぇー」
萃香は地面に仰向けになり手足をじたばたと振り始めた。
霊夢も諦めて神社の掃除に取り掛かろうとした矢先。

「よう霊夢、おはよう」
「あら、魔理沙じゃない」

霧雨魔理沙が箒にまたがり空から降りてきた。

「霊夢、萃香は居るか?」
「萃香?あそこで呻いてるわよ」
霊夢が指さした先で彼女は棒のように倒れながら何やら呟いていた。

「おーい、借りた物返しに来たぜ!」
魔理沙は箒から降りると萃香の元に向かっていった。
「うぅ…?あっ!お酒ぇ!」

魔理沙の手には伊吹瓢が握られていた、それを見つけると萃香は飛び上がりすぐさまそれを取った。

「あんたが盗んだのか」
睨みながら萃香が言う。
「盗んだなんて人聞き悪いぜ、ちょっと借りただけさ」
「そういうのを盗んだって言うのよ魔理沙…」
「ちょっと気になってな、魔法の実験に使えそうだったんで借りただけだぜ」
「あたしから物を盗むなんていい度胸ね!」
「まぁまぁ落ち着くんだぜ、ちゃんと返したじゃないか。ヒック」
「魔理沙?あんた酔ってるの?」
「いやぁ、少し気になってな。ちょっと呑んでみたんだが…ヒック なかなか強いぜ…ヒック」
「あんたバカ!鬼の萃香が呑む酒をあんたが呑んだりしたらそうもなるわよ! 」
「人間が呑むからだ、立ってもいられなくなるよ…」
呆れながら萃香が言った。

「む…霊夢が二人居るのぜ…?」
ついに足並みが崩れながら魔理沙はフラフラと踊るように左右に揺れ始めた。

「ちょっと、あんた大丈夫なの?」
「ヒック…そうだ、新しい魔法を考えたから見てくれだぜ」
言いながら魔理沙は腰から八卦炉を取り出した。

「魔理沙!?それ…」
霊夢の声は途中でかきけされた、八卦炉から放たれた光線が萃香に向かって放たれたからである。
萃香はそれを片手で弾き飛ばし、眉をしかめた

「危ないじゃないか…びっくりしたよ」
「魔理沙、完全に酔ってるわね…」
「おっと…違うやつだったぜ…こっちかな、ヒック」
魔理沙はさらにミニ八卦炉を取り出した。

「このままじゃ神社が壊れるわ…」
「どうする?一回ポカンと殴ってみる?」
「あんたのポカンは山ひとつ無くなるポカンじゃない…」
「おや、なんだか楽しそうですね」
シャッター音と共に頭上から聞こえる声に顔を上げると、そこには鴉天狗の射命丸文の姿があった。

「文、楽しんでないで助けなさいよ」
「遠慮させて頂きますね、とても危なそうですから」
「あんたねぇ…」
「いいよ霊夢、魔理沙を止めちゃえばいいんだろ?」
「萃香?あんたどうするつもりよ」
「ちょっと運動さ!」
言うと萃香は魔理沙の前に出た、魔理沙はフラフラしながらかろうじて萃香に顔を向ける。

「なんだぜー?ヒック」
「弾幕ごっこしようじゃないか、あんた好きだろ?」
楽しそうに笑う萃香。
「弾幕ごっこ…?いいぜ、ヒック…魔法の実験にピッタリだ…ヒック」
「よし、じゃあ始めようか!」
「ちょっとあんた達神社は壊さないでよね」

霊夢が言う途中で萃香が動いた。
小さなエネルギーを何発か魔理沙に撃ち出す。
魔理沙は箒に乗りそれを飛んで避けた。

「酔ってるのによく動けるわね…」
「酔っていても身体は反射的に動けるみたいですねぇ」
「もはや戦闘民族ね…」

「これならどうかな?」
萃香は岩の塊を魔理沙に向かって投げつけた、魔理沙もそれをミニ八卦炉から放たれた光線で砕く。
しかし砕かれた無数の岩が魔理沙の周りに散らばり覆い被さるように包みはじめる。
魔理沙はミニ八卦炉をいくつか散開させ、四方八方に熱線を放つ。
空中で爆発が起こる。煙で様子が伺えない。

「ちょっと派手にやりすぎよ」
「ちゃんと手加減はしたさ」
その時、煙の中から魔理沙が上昇しながら現れた。
「おや、魔理沙さん出てきましたね」

三人が見上げると魔理沙は二、三ほど間を置き突然落下しはじめた。
「ちょっと魔理沙!?」
「酔い潰れちゃったみたいだ」
「もう…文!」
「はい、おまかせをっ」
言うと文は刹那の間に魔理沙を空中で受け止めた。
そのままゆっくり降下していき着地する。

「魔理沙さん、口が開きっぱなしですね」
「まったくもう、酒に弱いのに無理するからよ」
「もう少し遊びたかったんだけどなー」
「駄目よ、危ないから」
ペシッ。っと萃香の頭を叩く霊夢
「ごめんよー霊夢ぅ」
「とにかく、魔理沙を居間に連れてくわ、文お願い」
「スクープにはなりませんでしたね、残念です」
「下らないこと言ってないで早く」
「はーい」

「今日も騒がしいわね、霊夢」
「紫…騒がしいのはあたしじゃないわよ」
突然スキマから八雲紫と、その式である八雲藍が現れた。

「こんにちは、皆さんお揃いのようで」
と、八雲藍
「今日は何の用かしら」
「紫様がお話しをと」
「霊夢、実は近頃異変が起きてるみたいよ」
「あたしにとっては毎日異変のようなものよ、で。それはどんな異変かしら?」
「あら、聞いてくれるのかしら」
「聞くだけよ」

一行はそのまま神社に向かいつつ話はじめる、そしてまた誰かが神社に来たようだ。


今日も幻想郷は博麗の巫女と共に…
はじめまして、今回初のSSを書かせて頂きました。
幻想郷の日常?をシンプルに書き上げました。特に面白味が無くて申し訳ありません。書いてる時はとても楽しめたのですが、当初の予定より少しズレて途中バトルが入ったりしてます。
永遠物語
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
もうちょいしっかりとした結びが欲しかった、かも。
いろんな面子を出してみたい気持ちはわかります。
2.3削除
幻想郷は酒と共に……