Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

頭突かれる話

2008/05/30 23:29:44
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  「私は今更お前なんか飼いたくない。紫にでも飼われていろ」

  「飼って下さいとは遠回しにいつも頼んでいるんだけどね?」

    ごんっ。




  「いらっしゃい、おや、珍しいね」


 開いた扉の先には、上白沢慧音がいた。

  「寺子屋の授業が遅れていてね、外のモノを教材に使えないかと思って」

 用向きを伝えながら、慧音は道具を漁り始めた

  「おや、色々とあるじゃないか」

  「それは『コンパス』。用途は円を描く、だ」

 興味深げに手に持っている道具について、説明を加える。

 大工職人に手渡しても良いかも知れないな、と呟いて、その道具を

籠に入れた。どうやら購入することを決めたらしい。

 次の道具へと目を移らせてから、ふと彼女は妙な顔をした。

  「何かこの店は、こう、むせ返るような臭いが、寺子屋の子供達を

   思い起こさせるような、あと靴下の」

  「少女臭だ」この芳香の名称について、霖之助は一歩も譲る気が無かった。

 はぁ、と疲れたような溜め息を吐いて、慧音は霖之助へと向き直った。

  「もう何なら食われてしまえばどうだ?一心同体になってハッピーじゃないか」

  「食われたいと思うほどには僕の思慕は深くないんだ」

 もう一つ溜め息を吐いて、彼女は道具へと視線を戻した。



 先ほどまで紫にからかわれ尽くされた挙げ句、店のモノを幾つか持って行かれる

という珠玉の時間を味わっていた霖之助は、今は色々とキモくて切ない思考に

浸っていた。

 丁度今、ここには慧音がいる。

 女々しいけれど、今日のところは甘えさせて貰おうか。

  「慧音」 彼女がこちらを向く


  「やり直さないか?」


 彼女は何も言わず正面へ歩いて来て、霖之助の頬に両手をそっと触れさせる。

 そのまま顔を近付かせ


    ごんっ。 あー、落ち着く。



  「あぁ君も女の子に興味が移ってしまってからすっかり変わっちゃって……」

  「黙れ匂ひフェチ。大体妖怪にそんなの気にする奴はいないぞ。

  紫もどちらかと言えば女の方に傾いていたような」

  「さぁ頼みがある歴史を編纂する能力に定評のあるけーね君」

  「嘘だ鼻息荒い近付くな変態」 ごんっ。


  「仕方ない、ここは私が歴代プレイボーイから学ぶ口説き文句の真髄を」

  「君のネタは古いからなぁ」 ごんっ。

  「光ちゃんを馬鹿にするなぁ!妹紅はいつもうっとり聞き惚れるぞ」

  「あの子の感性はもっと古いからねぇ」 ごんっ。


  「妹紅の千年経っても少しも色あせないあのはっちゃけ感はどうだ!ああ愛らしい」

  「君も十分はっちゃけ始めてるよ」 ごんっ。


  「なによなによっ。もこたんったらいっつも燃えちゃってるくせにっ私といるとすぐ

  冷めちゃって素っ気ないんだからっ。うわーん!」

  「作者の趣味だね」 ごんっ。



   ごんごんごんごんごんごん……。



 気付けばもう日が暮れていた。

  「しばらくお前の顔は見たくもない」 失礼な事を言う。

  「いいか?もう里をうろつくんじゃないぞ。もしお前が私の視界に入るような

  事があったら、瞬間、頭突きだ」

 彼女なら僕を見た瞬間、月が出ていなくても平気で角を生やすかもしれない。

そのまま追いかけ回されたいという欲求が膨らんだりもしたが、そこまで彼女に

付き合って貰うのは気が引ける。これから里に用事がある時は、こそこそと動くことにしよう。


  「解ったよ。香霖堂は君の来店をいつも心待ちにしてる」


 慧音は満足そうに頷いて、帰っていった。薄れていく彼女の後ろ姿は左右に揺れていた。

 それにしても頭が痛い。今日はもう何も考えられない。

 このまま床を敷いて、寝てしまおう。

 そう決めたとき、霖之助は既に卓の上に倒れ込もうとしていた。

 頭から卓にぶつかる。 トドメになった。

 あー、痛い。甘えるだけのつもりだったのに。

 彼女を少し甘やかしてしまった。悪いことをしたと思う。

 紫って……。あー……。代金……。



 次の日魔理沙はいつものように香霖堂を訪ねていた。

 何かないかなー、などとさほど期待もせずに扉を開けると、

 そこには額が赤々と突き出た異形の妖怪がいた。


 「なんだ、香霖は海坊主の妖怪だったのか」


 その巨大な額が左右に揺れた。



 その頃慧音は床に伏せ、頭の痛みにうんうんうなっていた。

 その日の寺子屋は休日となり、授業は更に遅れてしまったらしい。

 もこーが宿題配り歩いてた、とはルーミアの談である。


  ※このような拙い文章にお目を通して頂き、本当にありがとうございます。


    )名無し1番様

     初コメントありがとうございます。後書きの胡散臭い敬語に見え隠れ

     しているように、筆者は基本的に駄裸厨なんです。このような独自設定

     溢るるキャラクターに抵抗がある人が多いとは思ったのですが、笑って

     頂けたのであれば幸いです。


    )名無し2番様

     コメントありがとうございます。男なんて皆どこか変態なのよっ。

     すいません、自分だけですよね、性癖万歳!


    )名前ガの兎様

     コメントありがとうございます。男は素直にお姉さんに甘えればいいと

     思うんです。半分妖怪なお二人は尚更仲間意識が作られ易い

     んじゃないかなと。


    )名無し4番様

     コメントありがとうございます。け、腱鞘炎になったSM嬢なんて、

     そ、想像してませんから!ホントだってば!!


    )500様

     前作に引き続きコメントを頂いて、本当にありがとうございます。

     良いですよねこの二人。個人的には常識人なんだけれどどこか抜けている

     という共通点がある、という感覚で二人を見ています。



  ※皆様の温かいお言葉、本当に嬉しく味わせて頂いております。感無量です。

 このような所まで読んで頂き誠に有り難う御座います。



 拙い文章ではありますが、作者の文章力向上の為、

どうかご指摘・ご意見のほどを宜しくお願い致します。



 では短くはありますが、この文章がお読みになられた方の

貴重な時間が無意とならないよう祈らせて頂くことを以て、

後書きの結とさせて頂きます。今一度、本当に有り難う御座いました。

慶賀
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
あんなに切ない話を書いておいて…くやしい!でも笑っちゃう!
2.名前が無い程度の能力削除
こーりんダメすぎるwww
3.名前ガの兎削除
こーりん男前じゃん。
4.名前が無い程度の能力削除
慧音自身がダメージ受けるほどの頭突きか

考えたくもないなあ
5.500削除
これは良いこーりんw 慧音と霖之助の半妖コンビ好きです
6.名前が無い程度の能力削除
慧音も香霖も頭割れるんじゃ・・・
このコンビは大好きですw