どんなに遠くてもいつか届くと信じて…。
「はあ~…なんか疲れたなぁ」
「もうおばあさんになっちゃったのかしら?」
「ん~? アリス…、いたっけ?」
「アンタが新しい魔法が出来たから来てくれって言ったんでしょう!」
「ああ、そうだっけか? 悪いな、最近どうにも頭が回らない」
「徹夜のし過ぎで疲れてるんでしょう? さっき疲れたって言ってたし」
アリスはなんだかんだでよく私の魔法の成果を見てくれる。
ここがダメでここがいいってところを的確に教えてくれるから参考になる。
私だって人のアドバイスはちゃんと聞くんだ。
おかげで行き詰っていた研究もうまくいくようになった。
魔法使いでも系統が違えば教えるのは難しいと本には書いてあったけど、それでもアリスは嫌な顔せず話を聞いてくれる。
とてもありがたいことだ。
「魔理沙って、変わったわよね」
「はあ? どういう意味だ?」
「う~ん。なんか前までの魔理沙ならあんまり人の話聞かない馬鹿だったのに、最近は人の話を聞くようになった」
「私だっていつまでも子供じゃないんだぜ?」
「まあ、それはそうなんだけど」
自分なりに考えている。
いつまでも子供のままじゃいけないって。
少しでも近づきたい。
「アリスは大人だよな~」
「私が大人? まあ、年齢考えたらそうだろうけど」
「なんだよ? 自分はまだ子供だって思ってんのか?」
「ええ。まだまだ子供だと思ってるわ」
「ふ~ん。なんで?」
「魔理沙はまだ知らなくていいの」
「なんだそりゃ」
「貴方が大人になるのはすぐのことだけど。私はこれからずっと先のことだから」
「だから子供だって言いたいのか?」
「そんなところね」
アリスは子供だと言った。
魔理沙はすぐ大人になるから私よりお姉さんね、なんて笑いながら私の頭の上に手を置いた。
追いつきたいと思っていたのに、おかしいな。
私がいつの間にか追い抜かしてる。
私はウサギとカメの話でのカメだったようだ。
てっきり私の性格上ウサギだと思っていたのに、おかしいな。
「アリスは、子供なのか…」
「そうよ? それがどうかした?」
「私は、大人なのか…」
「そうね。もうすぐ大人よ」
「おかしいな…」
「なにが?」
「…いや、なんでもないよ。それより新しい魔法なんだけど…」
どんなに遠くてもいつか届くと信じていたら、もう届いていました。
意味がわかりそうで、わからないところが気に入りました。
なぜだかとても切ない気持ちになります