20XX年。尸解仙とし復活した神子達は人間の信奉を集める方法を画策するのであった。
「と、言う訳でどうです？格好良いですか？」
「はぁ……」
偉い人は馬に乗っているもの。と言う神子の偏った思想から、青娥に頼み神子の愛馬、黒駒を復活して貰ったのだ。
「黒駒と言えど、ゾンビ馬。変な液体を口から滴らせている時点でダメかと。まぁ、寝起きに常に涎を垂らしている太子
にはお似合いだと思いますよ」
「何！？その後半の辛辣な発言！！私、寝起きでも一万円の如くシャンとしてるよ！！」
「しかし……娘々も生前の如く蘇らせればいいのに」
「屠自古…無視はやめて…無視は…」
神子には一際厳しい屠自古はガン無視をして考える。黒駒の変わりに神子の乗騎になるに相応しい馬の名を。
赤兎か松風か、あるいは三国黒、百段。黒王もいいだろうか。
しかし、いずれの名馬も普通では手に入らない代物である。果て、どうした事か。
「我にお任せを！太子様！！」
そう声を張り上げ現れたのは布都であった。
「馬と言って何かを忘れてはおらぬか？」
何時もより高い位置で声を発する布都。それは何の事は無い、布都が肩車をされて現れたからだ。
肩車しているのは男。しかも神子と屠自古のよく知る人物であった。
「う…馬子さん！！？？」
そう、彼女らとは因縁浅からない蘇我馬子であった。
「ふふん、馬子さんなれば、黒駒とも遜色なかろう」
「えっ…それは…その……」
大変に失礼な話である。それに肩車されて現れる為政者を誰が尊崇するのだろうか。微笑ましい視線に晒されるのが関
の山である。
「…って、それ以前に何故父がいるのです？我々の時代より1500年近く経っているのに」
的確な質問を屠自古はする。当たり前の話だが、普通の人間が生きている訳が無い。成れば、仙人か亡霊か、将又妖怪
にでも成ったと言うのか。
「うむ、その質問の答えは長くなるがのう………人里の茶屋で善哉を食していたら会ったのだ」
全然、長くなかった。そして答えにもなっていない。頭を抱えざるを得ない話だ。
「つまり何も知らないのね、鈴なり武士」
「むぅ、我は何となく見当は付いておるのだ、矢雀」
互いに睨み合い、今にも弾幕ごっこ起きそうな気配。それを察してか、馬子は布都を肩から降ろした。
「？馬子さん…」
「私にも、何故此処に居るか解らぬ。だが、こうして再開出来た事を喜ぼう、布都、屠自古、神子」
馬子がそう言い、三人に微笑む。それは1500年前と同じ慈しみがあった。
「そして……」
私が理想とする国、政治。隋より齎された諸子の叡智と百家の技術にそれを見出す事に成功した。
だが、私一人では理想国家は出来はしない。だから、私は協力を求めた。
私と共に為政に当たる彼に。
「……仙人と成り、千年国家を創ろう…か」
「ええ。不老不死と成り、永遠絶対の君臨者となるの」
富と名声、そして権力。それを手に入れた者が次に求めるもの、それは不老不死。
古の偉大なる為政者、贏政もこの事例に漏れない。ならば彼も同じだ、そう思っていた。
「断る」
「何故！？」
「それでは政治の流動性が無くなってしまう。政治、そして権力は常に変化し流れ往くもの。一つの枠に収めようとする
ならば、必ず壊れてしまう」
「……なら、馬子さん。貴方の理想の国家とは」
「権力無き、大王。されどそれは絶対の者として人々の心に君臨する。さながら、天に輝く日の如く」
「だから、自分の元へと権力を集めていた、と」
「いかにも」
「……貴方の考えは誰にも理解されないわ。予言するわ、貴方の子や孫が無残な死に方をするのを」
「それも承知。だが、何時かは理解される。大王は天に住まう皇なると」
「そう、ですか。ですが、布都は既に了承しています。彼女には先に尸解仙と成るべく死んで貰う心算です、それでもよ
ろしいのですか？」
「それも致し方なし。既に数え切れぬ罪を背負っているが故に」
「……交渉決裂、ですか。何となく分かってはいましたが……それでは」
「神子よ」
「何ですか？」
「屠自古と布都を頼んだ。そして、お主はお主の理想を貫け、我が娘よ」
「ええ、父上も。どんな悪名を被ろうとも、その気高き思想と共に生きて下さい」
義理の父ではあるが実の父以上に慕っていた。そして彼も実の娘同様に可愛がっていた。
だから、一緒に連れて行きたかった。だから、最期に誘ったのだ、彼を。
だが、知っていた。彼の理想と自分の思想が乾坤の如く掛け離れていた事を。
きっと彼は、彼の子孫は逆臣の名を冠せれれるだろう。だから、覚えておこう、私だけは。その気高き理想を。
涙は見せない。彼も見せないのだから。
ただただ静かに、頭を下げる彼の元を去るのであった。
懐かしき記憶が神子の頭に蘇る。あの頃はこうしてまた会えるとは思えなかった。
その為か、頬を一筋の水滴が流れ落ちた。
「そして、また何か馬鹿な事をしているのですね？ふんぬ！！」
「ちょ、ちょっと幾ら太子でも死んじゃうわよ。ほら口から泡を吹いているし」
「いやいや、神子はこのぐらいでは反省せぬよ。ほれ、ストーンステージバスター！！」
「ｲｶﾙｶﾞｯ！！さ、流石飛鳥一武道会初代準チャンピオン馬子さん……走馬灯の様なモノが見えるわ…」
「ふお～、面白そうだのう！馬子さん、次は我も！我も！！」
「あんた、この状況の何が楽しそうなの！？1500年で脳だけで無く目も腐ったんじゃないの！！」
その後、青娥と芳香も含めて馬子に説教されるのであった。
めでたしめでたし。
「と、言う訳でどうです？格好良いですか？」
「はぁ……」
偉い人は馬に乗っているもの。と言う神子の偏った思想から、青娥に頼み神子の愛馬、黒駒を復活して貰ったのだ。
「黒駒と言えど、ゾンビ馬。変な液体を口から滴らせている時点でダメかと。まぁ、寝起きに常に涎を垂らしている太子
にはお似合いだと思いますよ」
「何！？その後半の辛辣な発言！！私、寝起きでも一万円の如くシャンとしてるよ！！」
「しかし……娘々も生前の如く蘇らせればいいのに」
「屠自古…無視はやめて…無視は…」
神子には一際厳しい屠自古はガン無視をして考える。黒駒の変わりに神子の乗騎になるに相応しい馬の名を。
赤兎か松風か、あるいは三国黒、百段。黒王もいいだろうか。
しかし、いずれの名馬も普通では手に入らない代物である。果て、どうした事か。
「我にお任せを！太子様！！」
そう声を張り上げ現れたのは布都であった。
「馬と言って何かを忘れてはおらぬか？」
何時もより高い位置で声を発する布都。それは何の事は無い、布都が肩車をされて現れたからだ。
肩車しているのは男。しかも神子と屠自古のよく知る人物であった。
「う…馬子さん！！？？」
そう、彼女らとは因縁浅からない蘇我馬子であった。
「ふふん、馬子さんなれば、黒駒とも遜色なかろう」
「えっ…それは…その……」
大変に失礼な話である。それに肩車されて現れる為政者を誰が尊崇するのだろうか。微笑ましい視線に晒されるのが関
の山である。
「…って、それ以前に何故父がいるのです？我々の時代より1500年近く経っているのに」
的確な質問を屠自古はする。当たり前の話だが、普通の人間が生きている訳が無い。成れば、仙人か亡霊か、将又妖怪
にでも成ったと言うのか。
「うむ、その質問の答えは長くなるがのう………人里の茶屋で善哉を食していたら会ったのだ」
全然、長くなかった。そして答えにもなっていない。頭を抱えざるを得ない話だ。
「つまり何も知らないのね、鈴なり武士」
「むぅ、我は何となく見当は付いておるのだ、矢雀」
互いに睨み合い、今にも弾幕ごっこ起きそうな気配。それを察してか、馬子は布都を肩から降ろした。
「？馬子さん…」
「私にも、何故此処に居るか解らぬ。だが、こうして再開出来た事を喜ぼう、布都、屠自古、神子」
馬子がそう言い、三人に微笑む。それは1500年前と同じ慈しみがあった。
「そして……」
私が理想とする国、政治。隋より齎された諸子の叡智と百家の技術にそれを見出す事に成功した。
だが、私一人では理想国家は出来はしない。だから、私は協力を求めた。
私と共に為政に当たる彼に。
「……仙人と成り、千年国家を創ろう…か」
「ええ。不老不死と成り、永遠絶対の君臨者となるの」
富と名声、そして権力。それを手に入れた者が次に求めるもの、それは不老不死。
古の偉大なる為政者、贏政もこの事例に漏れない。ならば彼も同じだ、そう思っていた。
「断る」
「何故！？」
「それでは政治の流動性が無くなってしまう。政治、そして権力は常に変化し流れ往くもの。一つの枠に収めようとする
ならば、必ず壊れてしまう」
「……なら、馬子さん。貴方の理想の国家とは」
「権力無き、大王。されどそれは絶対の者として人々の心に君臨する。さながら、天に輝く日の如く」
「だから、自分の元へと権力を集めていた、と」
「いかにも」
「……貴方の考えは誰にも理解されないわ。予言するわ、貴方の子や孫が無残な死に方をするのを」
「それも承知。だが、何時かは理解される。大王は天に住まう皇なると」
「そう、ですか。ですが、布都は既に了承しています。彼女には先に尸解仙と成るべく死んで貰う心算です、それでもよ
ろしいのですか？」
「それも致し方なし。既に数え切れぬ罪を背負っているが故に」
「……交渉決裂、ですか。何となく分かってはいましたが……それでは」
「神子よ」
「何ですか？」
「屠自古と布都を頼んだ。そして、お主はお主の理想を貫け、我が娘よ」
「ええ、父上も。どんな悪名を被ろうとも、その気高き思想と共に生きて下さい」
義理の父ではあるが実の父以上に慕っていた。そして彼も実の娘同様に可愛がっていた。
だから、一緒に連れて行きたかった。だから、最期に誘ったのだ、彼を。
だが、知っていた。彼の理想と自分の思想が乾坤の如く掛け離れていた事を。
きっと彼は、彼の子孫は逆臣の名を冠せれれるだろう。だから、覚えておこう、私だけは。その気高き理想を。
涙は見せない。彼も見せないのだから。
ただただ静かに、頭を下げる彼の元を去るのであった。
懐かしき記憶が神子の頭に蘇る。あの頃はこうしてまた会えるとは思えなかった。
その為か、頬を一筋の水滴が流れ落ちた。
「そして、また何か馬鹿な事をしているのですね？ふんぬ！！」
「ちょ、ちょっと幾ら太子でも死んじゃうわよ。ほら口から泡を吹いているし」
「いやいや、神子はこのぐらいでは反省せぬよ。ほれ、ストーンステージバスター！！」
「ｲｶﾙｶﾞｯ！！さ、流石飛鳥一武道会初代準チャンピオン馬子さん……走馬灯の様なモノが見えるわ…」
「ふお～、面白そうだのう！馬子さん、次は我も！我も！！」
「あんた、この状況の何が楽しそうなの！？1500年で脳だけで無く目も腐ったんじゃないの！！」
その後、青娥と芳香も含めて馬子に説教されるのであった。
めでたしめでたし。
でも、実はギャグがおまけなのかな？
馬子さんかっけー。