「そうだ、妖精狩りをしましょう!」
私、稗田阿求はそう言って勢いよく立ち上がった。
「急に何を言い出すんだ、お前は…」
慧音さんが急に何を言い出すんだ、お前は…という顔で私を見ている。
「いいじゃないですか、今日はお暇なんでしょう?」
「確かに時間を持て余してはいるが、暇つぶしのために妖精を狩るなんて人の道に反することができるか」
流石は教師にして幻想郷きっての常識人、堅物だ。
あなた半分人間じゃないじゃないですか…というツッコミは心の中にしまっておいた。何気ない一言で人は傷ついてしまうものだ…優しいなぁ私。
「いやいや慧音さん、あなたは勘違いをなさっていますよ。妖精狩りと言葉にすれば物騒ですが、これは一種のスポーツです」
「スポーツ」
「スポーツ。知恵比べと言ってもいいかもしれません。私たちは網を持って妖精を追い掛け回すのではなく、頭を使って妖精を
罠に嵌めるのです。もちろんタダの娯楽目的ではありませんよ?日頃から人間の恐ろしさを教えてあげれば、妖精も悪戯を自重するようになるでしょう(多分無理だけど)。
あ、捕らえた妖精はキチンと逃がしてあげますよ?キャッチ&リリースはマナーですからね!」
一気にまくし立てた。コレだけ押せばおそらく…
「うーん、いやしかしなぁ」
やはり慧音さんは押しに弱い。先ほどよりも明らかに反対の意思が弱くなっている…フフフ。
「案ずるよりも産むが易し、百聞は一見にしかずです!私だって暇なんですから、付き合ってくださいよ~。嫌だというなら一人でもやりますからね!私が危険な目にあってもいいんですか!?」
眼をうるうるさせながら慧音さんに迫る私。
「わかったわかった、今回だけだぞ?まったく…」
顔を寄せる私を手で制止しながらやれやれという顔で言った。
…この人土下座してお願いしたら何でもしてくれそうだな。
「まぁ慧音さんは初心者ですから、簡単なところからいきましょうね」
人のいない花屋のわきの路地に隠れつつ、上空の春告精の様子を伺う。
「で、リリーホワイトか。しかしあの妖精は悪戯なんてしないし、里の人間からも好かれているくらいの安全な」「来ました!静かに!」
慧音さんの口を手で押さえ、気配を殺す。もし気付かれてしまえば妖精はたちまち逃げ出すだろう。奴らは基本的に臆病なのだ。
上空のリリーホワイトが、花屋に置かれたたくさんの花を見つけ笑顔で降下してくる。
…?慧音さんの緊張が口にあてた手から伝わってきた。見ると、慧音さんはリリーホワイトの方に集中しており、私の視線にも気付いていないようだ。
「春ですよー^^」
リリーホワイトが私たちと同じ高さにまで降りてきた。そして花屋の中を覗き込み…今だ!!
「慧音さんッ!」
「わ、わかった!」
慧音さんが持っていた紐を離し、仕掛けておいた籠を落とす。
パタンッ
「!?は、はるですよぅ~?^^;」
決まった…完璧だ。いまやリリーホワイトは籠の中の鳥、素早く近寄って籠を二人で周りから押さえた。
「押さえたぞ…阿求、お前は縄を」
「ええ、まかせてください!」
私は用意しておいた縄を手に取ると、一度ピンと伸ばし、最後の工程に入った。
その後、私は得意の捕縛術を用いて慧音さんが持ち上げた籠の隙間からリリーホワイトを痛くない程度に縛り上げ、適当に
説教(人里にホイホイ近づくなとか、弾幕で春を告げるのはやめろとか)した後に開放してやった。イイコトをした後は気分が良い。
「ふぅ…、上手くいったな」
カフェで紅茶を飲み、マッタリしながら慧音さんが言う。
「ええ、やっぱり二人だと効率が良いですね。慧音さんも初めてとは思えないほどの腕前でした」
「いや、言われたとおりにしただけさ。というか阿求はいつも1人でこんなことをしているのか…」
「たまにですよ」
慧音さんの苦笑いに対し、満面の笑みを向けながら言う。本当は週1ペースでやっているが。
「しかし、やっぱり妖精を捕まえるというのは悪い気がするなぁ」
「本気で言ってるんですか?慧音さん」
「?それはもちろん、気の毒だったなと思って…」
「でも慧音さん
私がリリーホワイトを縛っている間
ずっと、笑顔でしたよ?
キャラの組み合わせが最高だ。
さあ次ぎの犠牲者は誰だろう。
シリーズ化してほしいぜ。
サニーたん縛ってハァハァh(突然姿が消えてしまった。何処へ行ってしまったんだろう。
字面は物騒ですが、後味も悪くなく。
>薬漬様 「(あ)きゅーさんのサニーハント」←某夢の国のアトラクションっぽい
>3様 普段真面目な人は色々と溜め込んでいるのでしょう~。
>4様 ジャンピング焼き土下座でおk。「仕方ないな…」とか言って聞いてくれるはず