博麗神社。
博麗大結界を管理・監視している一族が住んでいるこの神社。
本来なら、神聖な場所として、それなりの参拝客が訪れるであろう場所。
しかし、ここは幻想郷。妖怪が神社に『参拝』に来る筈はなく、普通の人間が参拝に来ようものなら道中即座に妖怪の餌。
一部の『普通じゃない人間』ならば可能だろうが、神を敬う心というものがほとんどない。第一、博麗神社の上は祟り神である。
「ひどいなぁ」
いや別に出てこなくてもいいです。
しかし、『参拝客』でないものなら、鬼の少女が萃めるまでもなく萃まってくる。
人間、妖怪、悪魔、幽霊、月の民……
桜の季節、向日葵の季節、紅葉の季節、白銀の季節。季節を問わずに。
それは、博麗の巫女の魅力が故か、それともただ騒ぎたいだけなのか。
前置きが長くなったが、これは、そんな神社のある日のお話。
その日、博麗霊夢は神社の縁側で、一人、まったりとお茶を飲んでいた。
「れいむ~。お茶菓子はないのかしら~?」
「幽々子は相変わらずねぇ」
訂正。いつの間にやら現れた亡霊姫とスキマ妖怪がいた。
「あんた達いつの間に現れたのよ。紫はともかく、幽々子は」
「幽々子は私が呼んだのよ。スキマから。って私はともかくってどういう意味よ」
「そのまんまの意味だけど?」
「れいむ~。お茶菓子~」
「うるさい」
いつもの会話。いつものやりとり。そしていつもの来訪者。
「霊夢、来てあげたわよ」
「誰も頼んでない。館に帰れ」
「あら、冷たいですわ。せっかくお嬢様があなたに会いに出てきたのに」
「そうだぜ霊夢。少しはかまってやればどうなんだ?」
「だから誰も頼んでないってば。というか魔理沙、いつからいたのよ?」
「『あんた達いつの間に現れたのよ』当たりからだぜ」
いつもの来訪者とのいつもの会話。のんびり。ひたすらのんびりと。
「まったく、今日はなんなのよ、次から次へと……」
「さぁ?今日はなんとなく散歩に出てみたかっただけだから」
「師匠が出れないそうなので、私が代わりについてきました」
「霊夢~、魔理沙来てない?私のところから蒐集品勝手に持ち出したのよ」
「シャンハーイ」「……ホライ」
「……ホントになんだってのよ。今日に限って……
いや、いつもの事っていったらいつもの事か」
次々と、次々と萃まってくる人間妖怪亡霊その他の少女たち。
「そういえば、萃香がいないわね。いつもならそろそろ現れてる頃なのに」
「あら? 萃香なら最初からいるわよ? ほら、ここ」
「あれ? どうしたの? 何か用?」
「…………あんたいつからいたのよ?」
「え? 三日前からいたけど? ずっと」
「三日前……まあいいわ。ところでこれはあんたの仕業?」
「違うよ~。今日はなんにもしてないよ~」
いつものごとく人が萃まる。そう。いつも。
「何でいつもいつも家に人が集まるのよ。広さだけなら紅魔館や白玉楼の方が広いでしょうに」
「それは、ここにあなたがいるから、ここがあなたの居場所だからよ」
「何よ、それ」
「前に萃香が言ってたでしょ。『空気のよう』って」
「なんで紫がそんな事知ってるのよ」
「スキマから見てたからよ。
まあそういうわけで。皆あなたの事が心配なのよ」
「心配?」
「そう。あなたはとても存在感があるわ。でも空気のようにつかみ所がない。
いつか、どこかへ消えてしまうんじゃないかと、皆心配なの。紐の切れたタコのようにね。
だから、皆時々様子を見に来るのよ。紐が切れていないか、どこかに飛んでいってしまってないか、ってね」
「…………何言ってるんだか」
「何言ってるのかしらね。フフフフフ」
呆れ顔の霊夢、微笑みをたたえている紫。
「うぉーい、そこの二人ー!!こっちで一緒に飲もうぜー!!」
「あらら、魔理沙ったらすっかりできあがってるわね。いきましょ、霊夢」
「……紫」
「なぁに?」
「私はどこにも行ったりはしないわよ。だって、空気はこの世からなくなったりしないでしょ?
第一、私は博麗神社の巫女よ? お勤めはちゃんと果たさないと。……めんどくさいけど」
「……そうね。そうかもしれないわね」
「おーい、霊夢ー、紫ー!」
「はいはい、今行くわよ!」
「……ありがとう、霊夢」
「ほら紫ー、あんたもさっさと来なさいよー!」
「はいはい、フフフフフ」
博麗神社に集まって、意味もない宴会をして。
気がつくと、飛び入り参加者が増えていて。
何時の間にか、封印していたはずの祟り神が屋根の上で微笑んで。
そんな、非日常が日常の、いつもの博麗神社。
博麗大結界を管理・監視している一族が住んでいるこの神社。
本来なら、神聖な場所として、それなりの参拝客が訪れるであろう場所。
しかし、ここは幻想郷。妖怪が神社に『参拝』に来る筈はなく、普通の人間が参拝に来ようものなら道中即座に妖怪の餌。
一部の『普通じゃない人間』ならば可能だろうが、神を敬う心というものがほとんどない。第一、博麗神社の上は祟り神である。
「ひどいなぁ」
いや別に出てこなくてもいいです。
しかし、『参拝客』でないものなら、鬼の少女が萃めるまでもなく萃まってくる。
人間、妖怪、悪魔、幽霊、月の民……
桜の季節、向日葵の季節、紅葉の季節、白銀の季節。季節を問わずに。
それは、博麗の巫女の魅力が故か、それともただ騒ぎたいだけなのか。
前置きが長くなったが、これは、そんな神社のある日のお話。
その日、博麗霊夢は神社の縁側で、一人、まったりとお茶を飲んでいた。
「れいむ~。お茶菓子はないのかしら~?」
「幽々子は相変わらずねぇ」
訂正。いつの間にやら現れた亡霊姫とスキマ妖怪がいた。
「あんた達いつの間に現れたのよ。紫はともかく、幽々子は」
「幽々子は私が呼んだのよ。スキマから。って私はともかくってどういう意味よ」
「そのまんまの意味だけど?」
「れいむ~。お茶菓子~」
「うるさい」
いつもの会話。いつものやりとり。そしていつもの来訪者。
「霊夢、来てあげたわよ」
「誰も頼んでない。館に帰れ」
「あら、冷たいですわ。せっかくお嬢様があなたに会いに出てきたのに」
「そうだぜ霊夢。少しはかまってやればどうなんだ?」
「だから誰も頼んでないってば。というか魔理沙、いつからいたのよ?」
「『あんた達いつの間に現れたのよ』当たりからだぜ」
いつもの来訪者とのいつもの会話。のんびり。ひたすらのんびりと。
「まったく、今日はなんなのよ、次から次へと……」
「さぁ?今日はなんとなく散歩に出てみたかっただけだから」
「師匠が出れないそうなので、私が代わりについてきました」
「霊夢~、魔理沙来てない?私のところから蒐集品勝手に持ち出したのよ」
「シャンハーイ」「……ホライ」
「……ホントになんだってのよ。今日に限って……
いや、いつもの事っていったらいつもの事か」
次々と、次々と萃まってくる人間妖怪亡霊その他の少女たち。
「そういえば、萃香がいないわね。いつもならそろそろ現れてる頃なのに」
「あら? 萃香なら最初からいるわよ? ほら、ここ」
「あれ? どうしたの? 何か用?」
「…………あんたいつからいたのよ?」
「え? 三日前からいたけど? ずっと」
「三日前……まあいいわ。ところでこれはあんたの仕業?」
「違うよ~。今日はなんにもしてないよ~」
いつものごとく人が萃まる。そう。いつも。
「何でいつもいつも家に人が集まるのよ。広さだけなら紅魔館や白玉楼の方が広いでしょうに」
「それは、ここにあなたがいるから、ここがあなたの居場所だからよ」
「何よ、それ」
「前に萃香が言ってたでしょ。『空気のよう』って」
「なんで紫がそんな事知ってるのよ」
「スキマから見てたからよ。
まあそういうわけで。皆あなたの事が心配なのよ」
「心配?」
「そう。あなたはとても存在感があるわ。でも空気のようにつかみ所がない。
いつか、どこかへ消えてしまうんじゃないかと、皆心配なの。紐の切れたタコのようにね。
だから、皆時々様子を見に来るのよ。紐が切れていないか、どこかに飛んでいってしまってないか、ってね」
「…………何言ってるんだか」
「何言ってるのかしらね。フフフフフ」
呆れ顔の霊夢、微笑みをたたえている紫。
「うぉーい、そこの二人ー!!こっちで一緒に飲もうぜー!!」
「あらら、魔理沙ったらすっかりできあがってるわね。いきましょ、霊夢」
「……紫」
「なぁに?」
「私はどこにも行ったりはしないわよ。だって、空気はこの世からなくなったりしないでしょ?
第一、私は博麗神社の巫女よ? お勤めはちゃんと果たさないと。……めんどくさいけど」
「……そうね。そうかもしれないわね」
「おーい、霊夢ー、紫ー!」
「はいはい、今行くわよ!」
「……ありがとう、霊夢」
「ほら紫ー、あんたもさっさと来なさいよー!」
「はいはい、フフフフフ」
博麗神社に集まって、意味もない宴会をして。
気がつくと、飛び入り参加者が増えていて。
何時の間にか、封印していたはずの祟り神が屋根の上で微笑んで。
そんな、非日常が日常の、いつもの博麗神社。
最後の方で少し感動を感じたのは僕だけですか?
機会があれば氏の別作品も拝見したいところです。