「そして輝く! トラマルショウ!」
「ヘイッ!」
命蓮寺の住民は生まれつき頭が弱く、大事な宝塔を放蕩させるばかりか、雲山と南無三の響きが似てるからと事業仕分けに基づき取りやめることになりました。
かくして雲居一輪と雲山はアイドルユニットを結成し、幻想郷からも忘れられることとなったとさ。めでたしめでたし。
「ところでこの船には金がない」
「だがしかしご主人。チーズは余るほどある」
「ナズーリン。お前がチーズを買い占めるからだろう」
「馬鹿を言うな主人! これはチーズを買い占めることによって転売を狙っているんだ!」
「口いっぱいに詰め込んでそれを言うか!」
「言論の自由を奪うな!」
「トラマル!」
「ショウ!」
二人は仲良しだった。
時に二人はアイドルである。
困窮した命蓮寺を救うために先日デビューをした。
法力で浮かぶ船とはいえ、燃料費(食費)がかさむ。
事業仕分けで若干の余裕が出たというのに、命蓮寺のATMとして幻想郷に名を轟かせている聖白蓮にかかれば、卵ご飯が塩ご飯に変わるのも容易いのだ。
「プリズムリバー三姉妹なんて目じゃない!」
「そうともさご主人。私たちは幻想郷でキャラを立たせて、毎日チーズをおなかいっぱい食べるんだ。ブルーチーズにチェダーチーズ。ああよだれがすげぇ」
「こら! アイドルたるものよだれを垂らしてはいけないんだ!」
「ところでご主人、宝塔は?」
「一輪の再就職先は、宝塔警備員だ」
「安心だね!」
第二の人生を歩み始めた一輪を、今はただ応援したい。
ところでぬえは全身モザイクである。
正体不明だからモザイクでいいんじゃね? という船長の鶴の声により、モザイクである。
「さすがに服の上から正体不明の種を植え込んでも」
「脱げ」
船長の一言は至言である。
今では顔すらもモザイクがかかっている。歩く自主規制。
「でもこれって客寄せにならないんじゃないの?」
「UMA!」
「ウマ?」
「ユーマ」
「Oh...ジ○ニーさん」
中○優馬に罪はないんだ。
外の世界の紅白歌合戦事情にも詳しい紫の人もファンである。
最近では某断食お兄ちゃんもちょっと好きかもしれない、とほざいていた。
不謹慎すぎる。
幻想郷で紅白歌合戦と言えば、博麗神社で開かれる忘年会企画である。
寅丸星とナズーリンの二人はここで一番の賞賛を浴び、その最中にご飯を食い溜めするというのが命蓮寺の勤めではあるのだが、いかんせん二人はアイドルだった。
花より団子。団子よりも歓声だ。
「思うにご主人様、私達には決定的に足りないものがある」
「足りないもの? それは何ですか」
勿体ぶるように間を溜めて、ナズーリンは言った。
「それは歌だ!」
「歌、ですか」
「その通り。アイドルたるもの、歌の一つや二つは歌えなければ意味がない。というわけで、ご主人様。何か持ち歌はあるのかい?」
笑顔を見せて、マイクを握りしめる。
自信満々に口を開き、
「トラガリショウ!」
「ヘイッ!」
そして星はマイクの代わりにバリカンを手に持った。
「ご主人様。タイム、タイム。それじゃあ売れないお笑い芸人のネタみたいだ。落ち着こう。落ち着いて、そのバリカンをうわよせなにをする!」
こうしてナズーリンはトラガリになったわけだが、いかんせんまだアイドルとしては諦めていなかった。既に、何かとても大切なものを失っているというのに。
その逆境が、ナズーリンの心に火を点けたのだ。
「ご主人様! 他に歌える歌はないのかい!」
「辺り一帯を焦土を化すような歌でいいならば」
良いはずもなかった。そんな大量破壊兵器、所持していることがばれたら聖から経済制裁を受けかねない。
ナズーリンは膝をついた。必死で奮い立たせてきた自信が、みるみるうちに崩れていく。
その主な元凶たる星が、優しくナズーリンを抱き寄せた。
「心配しなくともよいのです。アイドルたるもの、とりあえず笑顔を見せて変なことを言っていれば上手くやっていけるのですよ」
主の頼もしい言葉に若干の違和感を覚えつつも、ナズーリンは頷いた。
トラガリの頭で。
次の日、星は坊主になった。二つの意味で。
そしてか~がや~くト・ラ・マ・ル・ショウ!(ヘイ!)
でも笑う所はキチッとあるから良いね。
作者名がエロすぐるだろjk
出だしで爆笑したがカオスすぎてなにがなにやら
これが八重結界と電気羊の本気か
冒頭で暴投とかしょーもない冗句を思わず飛ばしたくなる一品です
とりあえず御二方のコラボが危険だということはよく分かりました