ある日の地霊殿。
中庭の扉を開けてお空とお燐はご飯を食べに来た。
「さとり様ーーこいし様ーー来ましたよー」
しかし、さとり様は出掛けていていないようだった。二人は台所にいって食
べ物を漁ろうと決めていた。
「ねえ、お空。何か作って食べようよ」
お燐は冷蔵庫を漁った。何もなかった……巨大な卵以外は――
机においた巨大な卵と二人はにらめっこをしていた。大きくて堅くてまった
く知らない卵だった。
「お、お空。これ何の卵かな」
「う、うにゅ……わたしは知らないよ。それにしても見たこと無い卵だね」
地霊殿の冷蔵庫にこんな大きな卵があるなんて、何の卵かは不明だ。
きっと、こいし様が地上から拾って来たに違いない。あの人は目に付いた物
を何でも持ってくるのだ。この前だって、神社の賽銭箱を持ってきて巫女にこ
っぴどく怒られたばかりなのに。その、こいし様も今はいない。
「……さとり様がしまったんだから、夕食にでもするのかも」
「それにしてもお燐。本当にこれ、なんの卵だろうね」
お燐は大棚からネコまんまを見つけた。缶詰を爪でカチカチと合わせて蓋を
開けようとするが……ペチッ。
「ああ~。か、缶詰が。私のご飯が~」
お燐は頭を抱えて嘆いた。缶のプルトップが取れてしまった。もう、缶切り
でしか開けることできなくなった。
「……お空。私のご飯が今なくなったよ。真っ白に燃え尽きたよ、私は」
お空は巨大な卵を見ている。
「お燐。わたし、これを食べたい」と目が語っていた。
「お空。どうやって食べる気なのよ」
「もちろん。ゆで卵。ゆで卵。ゆ・で・タ・マ・ゴ」
地霊殿では、この卵を茹でることが出来る鍋はなかった。それでは、どこで
茹でればいいのでしょうか?そんなの、決まっています――灼熱地獄の間欠泉
です。
それで、やってきた灼熱温泉。湯船に滑車に括りつけた巨大な卵を沈めてい
った。
「う、うにゅ~」
「に、にゃ~ん」
汗は滴り、お腹が限界の二人は底にある卵をいつまでも見つめていた。
数十分後、「お空、引き上げるよ」「うにゅ」
巨大卵のゆで卵は、その迫力に圧倒していた。
「どうやって、割るんだろうね――」
「……」
ガタガタッ。卵は信じられない勢いで動いた。
パキッ!!パチ…パチ……。大きな雛鳥が生まれた。
これがダチョウの卵とは二人は知ることはなかった。
続くなら待ってます
〉出掛けていないようだった
これだと誤読してしまう恐れがあります。
なので
出掛けていていないようだった
のほうがいいでしょう。