私は見上げる。ただただ藍く、境ある空を。
「ゆかりさま~」
どこからか声が聞こえる。
私はまどろみの中その声をぼんやりと聞いていた。
戸の、すっと開く音と共にその声が部屋の中に響く。
「ゆかりさま~。起きてください」
私は布団の中でもぞりと動き、寝ぼけ眼でその声の主を見やる。
朝の太陽を背にキラキラと光る九本の尾。その身体よりも大きい尻尾をふさふさと揺らし、狐の子がそこにいた。
「おはよう。藍」
私は眠たい眼を眩しさに細めて頬笑み、言う。
「おはようございます!」
満面の笑みで狐の子、藍は言う。
はてさてその眩しさは朝の太陽か、この子の笑顔か。
私は藍を抱き寄せ、頭をやさしく撫でる。l
「ゆかりさま。ご飯が冷めちゃいますよ」
藍は私の腕の中くすぐったそうに言った。
「そうねぇ。でももう少しだけ」
甘えるように、甘えさせるように、やさしくぎゅっと抱きしめる。
あの日、私は誓ったんだ。この子を絶対・・・・・・
「それじゃあ、藍。行ってくるわね」
「はい!お気をつけてくださいゆかりさま」
今日、ゆかりさまは少し出掛けるらしい。日が沈むまでには帰ってくるそうだ。
わたしはその間、家の掃除や洗濯だ。ご飯はゆかりさまが用意してくれた。夜は一緒に作って食べようって言ってくれた。すごく楽しみだ。
掃除を終わらせ洗濯の途中ふと空を見上げてみた。どこまでも青い空がどこまでも境なく広がっていた。
「ゆかりさま何してるのかなぁ」
いつもは行き先を告げるのに今回は告げずに出掛けた主の事を心配に思う。
フルフルと首を振り、わたしが心配しても仕方ないと洗濯を続行した。
空が黄昏に染まる。主は帰って来ない。
鳥の鳴き声でわたしは眼を覚ました。
ゆかりさまを待っている間に寝てっしまっていたようだ。
主は帰ってきてはいなかった。
不安が、心配が胸につのる。
あ!そうだと藍はご飯を作って主の帰りを待つことにした。
「ゆかりさまお腹すいてるだろうし、わたしが一人でやったらびっくりするだろうなぁ」
不安を心配をごまかし、帰ってくると信じ。
主は朝も昼も夜も帰っては来なかった。
藍は不安と孤独で泣け叫びたい気持ちを押し殺し、いよいよ探しに行く決心をつけ、玄関へとむかった。
がらがら。
「ゆかりさま!」
藍は駆け出した。
「ただいま、藍。ちょっと遅くなったわ」
戸口に身体をあずけ、服は破け、至る所から血を流した主の姿があった。
「ゆかりさま!どうしたんですか!?」
藍は慌てて駆け寄る。
「大丈夫よ。大したことないわ」
紫は頬笑みかける。
「全然大丈夫じゃないですよ!」
「私は妖怪よ。このぐらいの傷平気よ」
紫はぐっと腕を曲げて大丈夫だと微笑む。
藍は大粒の涙を湛えた瞳で紫の顔を見上げた。
「ゆかりさまは・・・傷ついて・・・・・・ます」
涙はこらえきれず頬をつたう。
藍はそのまま紫に抱きつきワンワンと泣きだした。
「藍・・・・・・」
紫は藍を抱きしめる。
「ごめんね。藍。ごめんなさい・・・・・・・」
静かな謝罪の涙と、主人を想う一途な涙。
紫は誓う。この子を・・・この愛おしい娘をもう二度と泣かせるものかと。
人はもう、神も妖怪も信じたりはしない。それはどうしようもない現実だった。
「紫様。起きてくださいよ」
どこからか声が聞こえる。
私はまどろみの中その声をぼんやりと聞いていた。
戸のすっと開く音と共にその声が部屋の中に響く。
「いつまで寝ているんですか。今日は幽々子様に結界の修繕を頼まれている日じゃないですか。早く起きてください」
私は布団の中でもぞりと動き、寝ぼけ眼でその声の主を見やる。
「・・・・・・全然眩しくない。まだ寝る」
私は仏頂面で見下ろす狐を見た後、布団の中に潜る。
「何言ってんですか、まったく」
藍は布団を剥ぎとり、顔を洗ってきてくださいと言った。
藍の顔を恨めしそうに見た後
「うー、寒い寒い今年の冬は長いわぁ」
と廊下に出る。
「あ!ゆかりさま、おはようございます!」
そこには眩しい笑顔を向ける式の式がいた。
「おはよう橙。橙は暖かいわぁ」
そう言い、橙を抱きしめる。
「はわわ、ゆかりさま」
橙は顔を真っ赤にして照れている。
「もう、何やってるんですか。ご飯冷めちゃいますよ」
布団を上げた藍が声をかける。
「は~い」
私は橙を抱きかかえたまま立ち上がり、ふと空を見上げた。
そこにはどこまでも藍く、境のある温かい空が広がっていた。
「ゆかりさま~」
どこからか声が聞こえる。
私はまどろみの中その声をぼんやりと聞いていた。
戸の、すっと開く音と共にその声が部屋の中に響く。
「ゆかりさま~。起きてください」
私は布団の中でもぞりと動き、寝ぼけ眼でその声の主を見やる。
朝の太陽を背にキラキラと光る九本の尾。その身体よりも大きい尻尾をふさふさと揺らし、狐の子がそこにいた。
「おはよう。藍」
私は眠たい眼を眩しさに細めて頬笑み、言う。
「おはようございます!」
満面の笑みで狐の子、藍は言う。
はてさてその眩しさは朝の太陽か、この子の笑顔か。
私は藍を抱き寄せ、頭をやさしく撫でる。l
「ゆかりさま。ご飯が冷めちゃいますよ」
藍は私の腕の中くすぐったそうに言った。
「そうねぇ。でももう少しだけ」
甘えるように、甘えさせるように、やさしくぎゅっと抱きしめる。
あの日、私は誓ったんだ。この子を絶対・・・・・・
「それじゃあ、藍。行ってくるわね」
「はい!お気をつけてくださいゆかりさま」
今日、ゆかりさまは少し出掛けるらしい。日が沈むまでには帰ってくるそうだ。
わたしはその間、家の掃除や洗濯だ。ご飯はゆかりさまが用意してくれた。夜は一緒に作って食べようって言ってくれた。すごく楽しみだ。
掃除を終わらせ洗濯の途中ふと空を見上げてみた。どこまでも青い空がどこまでも境なく広がっていた。
「ゆかりさま何してるのかなぁ」
いつもは行き先を告げるのに今回は告げずに出掛けた主の事を心配に思う。
フルフルと首を振り、わたしが心配しても仕方ないと洗濯を続行した。
空が黄昏に染まる。主は帰って来ない。
鳥の鳴き声でわたしは眼を覚ました。
ゆかりさまを待っている間に寝てっしまっていたようだ。
主は帰ってきてはいなかった。
不安が、心配が胸につのる。
あ!そうだと藍はご飯を作って主の帰りを待つことにした。
「ゆかりさまお腹すいてるだろうし、わたしが一人でやったらびっくりするだろうなぁ」
不安を心配をごまかし、帰ってくると信じ。
主は朝も昼も夜も帰っては来なかった。
藍は不安と孤独で泣け叫びたい気持ちを押し殺し、いよいよ探しに行く決心をつけ、玄関へとむかった。
がらがら。
「ゆかりさま!」
藍は駆け出した。
「ただいま、藍。ちょっと遅くなったわ」
戸口に身体をあずけ、服は破け、至る所から血を流した主の姿があった。
「ゆかりさま!どうしたんですか!?」
藍は慌てて駆け寄る。
「大丈夫よ。大したことないわ」
紫は頬笑みかける。
「全然大丈夫じゃないですよ!」
「私は妖怪よ。このぐらいの傷平気よ」
紫はぐっと腕を曲げて大丈夫だと微笑む。
藍は大粒の涙を湛えた瞳で紫の顔を見上げた。
「ゆかりさまは・・・傷ついて・・・・・・ます」
涙はこらえきれず頬をつたう。
藍はそのまま紫に抱きつきワンワンと泣きだした。
「藍・・・・・・」
紫は藍を抱きしめる。
「ごめんね。藍。ごめんなさい・・・・・・・」
静かな謝罪の涙と、主人を想う一途な涙。
紫は誓う。この子を・・・この愛おしい娘をもう二度と泣かせるものかと。
人はもう、神も妖怪も信じたりはしない。それはどうしようもない現実だった。
「紫様。起きてくださいよ」
どこからか声が聞こえる。
私はまどろみの中その声をぼんやりと聞いていた。
戸のすっと開く音と共にその声が部屋の中に響く。
「いつまで寝ているんですか。今日は幽々子様に結界の修繕を頼まれている日じゃないですか。早く起きてください」
私は布団の中でもぞりと動き、寝ぼけ眼でその声の主を見やる。
「・・・・・・全然眩しくない。まだ寝る」
私は仏頂面で見下ろす狐を見た後、布団の中に潜る。
「何言ってんですか、まったく」
藍は布団を剥ぎとり、顔を洗ってきてくださいと言った。
藍の顔を恨めしそうに見た後
「うー、寒い寒い今年の冬は長いわぁ」
と廊下に出る。
「あ!ゆかりさま、おはようございます!」
そこには眩しい笑顔を向ける式の式がいた。
「おはよう橙。橙は暖かいわぁ」
そう言い、橙を抱きしめる。
「はわわ、ゆかりさま」
橙は顔を真っ赤にして照れている。
「もう、何やってるんですか。ご飯冷めちゃいますよ」
布団を上げた藍が声をかける。
「は~い」
私は橙を抱きかかえたまま立ち上がり、ふと空を見上げた。
そこにはどこまでも藍く、境のある温かい空が広がっていた。
何となくどういう経緯があったのかは分かりましたけど、もう少し増やして欲しかったです。
でも、読み終わった後温かい気持ちになれました
ありきたり