――本日は取材にご協力ありがとうございます。それではよろしくおねがいしますね。
「こちらこそよろしくおねがいします」
――それではまず、あなた達二人の、つまりあなたと八雲紫氏の馴れ初めについておねがいします。いつごろ出会い、何がきっかけで今一緒にいるのですか?
「馴れ初めですか……私達が会ったのははるか昔になりますね。私達が一緒にいる理由については各地で色々な推測がされてますね。私と紫様の激しい戦闘の末に紫様が私を従えたんじゃないかとか、弱って行き倒れていた私を紫様が気まぐれで助けたら私がなついたんじゃないかとか、私と紫様の純愛の当然の結果だとか、むしろ私が紫様の本体だとか、とにかく色々言われてますね。まあ、そこは想像におまかせします」
――本体なんですか?
「秘密です」
――確かに、黙ってればラヴォスの本体がアレだなんて気づきませんしね。
「ネタバレはどうかと思いますよ」
――今頃これのネタバレされて困る人いるんでしょうかね?っと、話がずれましたね。そう言えば、最近人里で「私綺麗?」とか「私の名前を言ってみろォ!」とか道行く人にいきなり訪ねる紫氏らしき人がよく目撃されてますが、これについてはどう思いますか?
「前者についてはよくわかりませんが、後者についてはそんな馬鹿な事をするのは間違いなく紫様ですね。ただ名前を聞いているだけなので他の事を答えないように。間違っても歳や体重を答えないでくださいね。私みたいにスキマに叩き込まれる事になりますよ?」
――苦労なさってるんですね。
「もう慣れました」
――紫氏のいたずらについてもう少し自分の歳考えろとの声もありますが?
「非常に遺憾に思います。前向きに善処したいと思います」
――もう少し詳しいお話をいただけませんか?
「すいません。これ以上はお答えできません」
――そうですか。では、次の質問に移りたいと思います。マヨヒガについてどう思いますか?
「私は本当に長い間ここから出ていないので他の場所と比べることはできませんが、非常に良い場所だと思いますよ。時が流れるのがゆっくりで、ほとんど誰も来ないので静かですしね」
――最近とある巫女がここによく入り浸ってるとの話を聞いたのですが。
「よく……でもありませんがたまに押しかけてきますね。幸せになれる!とか叫びながら家にある小物を奪って帰っていきますね。ただ、ここだけの話アレって紫様が外の世界の100円ショップで買ってきたガラクタであってマヨヒガの物じゃないんですよね」
――神社に御神体として飾ってありましたが。
「……」
――……
――次の質問に行きましょうか。八雲橙氏についてどう思いますか。
「よくぞ聞いてくれました!今夜は寝かせませんよ!いやもう橙の何が素晴らしいって?全部ですよ全部!わからなかったら人に聞く素直さとか弾幕じゃなくて回転体当たりで敵を倒しちゃうあたりとか!いやもう橙の回転には無限の可能性を感じますね。この前なんか藍さま~とか言いながらうぎ走ってきたらうぎぎ転んじゃってうぎぎぎぎ(聞き取る事が困難になってきたため割愛)」
――朝ですよ?
「そういやこの前テレビつけたら橙がテレビに出てたんですよ!猫娘~とか呼ばれてましたけど。橙も大きくなったなあと感動しましたよ。せっかくなのでここで初心者のために猫娘と化け猫と猫又と猫型ロボットの違いについて説明しましょうか。猫又は古来から」
――夜ですが。
「この前THE ねこだらけ ってゲームを買ったんですが何故か猫ひろしが(ノートがもったいないため割愛)」
――春ですか?
「ネコミミモード!ネコミミモード!」
――天狗烈風弾!!
「ハッ!?私はいったい何を……。まあ、一言でまとめると橙も一生懸命弾幕を撃ってるのでボム一個で飛ばしたりしないでくださいねって事ですね」
――30秒で済む話でしたね。時間も押してきたところで、次はマヨヒガの主八雲紫氏についてお願いします。
「特に何もないです」
――何かないんですか。
「スキマの中で迷子になったとか香霖堂のPCをこっそりXPから95にして嫌がらせしてるとか境界いじって一日だけ⑨を⑥にしてみたけど思ったより面白くなかったとかそれぐらいしか」
――普通に色々あるじゃないですか。
「紫様については私の中の衝動が語ることを許可しません」
――なんでいきなり片言になってるんですか。そういえば、他の人はほとんど服装が変わらないのに何故か紫氏だけ毎回服が変わりますよね?実はおしゃれだとか?
「別人だからに決まってるじゃないですか。誰が八雲紫は一人しかいないって決めたんですか?」
――え?
「あーあ、知っちゃった」
――サラッとばらしといて何言ってんですか!
「真実に近づき命を散らす。これもブン屋のサガか……」
――くっ、この命に変えてもこのスクープは世に出して見せますよ!
「境界いじられてなかったことにされるのがオチですよ」
――そんな……
「そんなに気を落とさないでください。嘘ですから」
――……え?
「こんな話嘘に決まってるじゃないですか。常識的に考えてありえないですよ。……こう考えたほうが幸せじゃないですか」
――はい、余計後味の悪くなるフォローありがとうございます。
「まあ、なんだかんだ言って紫様は凄い人ですよ。やるときはやってる……と思いますし。思わせてください」
――紫氏を理想の上司だと思いますか?
「……えっ!?」
――すいません、もういいです。最後に、なにかあったら一言どうぞ。
「橙は俺の嫁、とか言ってる人に告ぐ!私を倒すまで橙には指一本触れさせないぞ!」
――はい、ありがとうございました。今日は本当にお疲れ様でした。
「お疲れ様でした」
以上、インタビューに答えてくれたのはスキマの中に居る人でした。
取材は射命丸文がスキマの中よりお送りいたしました。
――で、どうやったらここから出られるんでしょう?
「私が聞きたいですよ」
藍さまにしか見えねえよ!