Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

夜散歩。

2010/09/02 20:04:37
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 幻想郷の上空を、二人の人間が箒に乗って飛んでいく。今の時刻は深夜0時。辺りは静まり返り、聞こえるのは風が木々を揺らす音のみだ。
 
 魔理沙は、涼しい風を割りながら箒の前側に乗っていた。
 「いやぁ、夜の散歩は最高だな、霊夢!」
 言いながら、軽く顔を後ろに向け、口元に笑みを浮かべる。
 霊夢は、不機嫌そうな声で答えた。
 「何よ、夜遅くに人を叩き起こしにきたと思ったら、散歩に誘いに来ただけ?」
 「そうさ、たまにはいいだろ?こんなのも。」
 魔理沙は、後ろに乗っている人の表情を想像し、楽しそうに苦笑した。
 
 幻想郷の夜は暗い。見渡す限りの景色が、とっぷりと黒に浸かっている。だから、強い光だけでなく、弱々しく、しかし暖かみをもった光もまた、はっきりと見える。
 下を見れば、そこには人里があった。人里の家々から出る大人しい光には、ろうそくの光を思わせる揺らぎと落ち着きがある。
 空を見上げれば、そこには月がその存在を誇らしげに示していて、他の星は、それを優しく包んでいるように見えた。
 そんな景色が周りを流れていくのを、二人は眺める。
 「でも・・」
 霊夢が小さく言葉をこぼす声が聞こえた。
 「きれいね、すごく。」
 「ははは、そうだろ?さすが魔理沙さんのアイデアは最高だな。」
 「まったく、すぐ調子に乗るんだから。」
 霊夢がくすりと笑う。二人の口から自然と笑い声が出る。
 
 それから、いろんな他愛のない話をしながら、時間を過ごした。
 宴会で酔って大暴れした話。闇鍋に死ぬほど唐辛子を入れた話。神社の階段を転げ落ちて妖精に爆笑された話・・・。
 ・・・もうすぐ着いちゃうのね。
 霊夢は、この時間がもっと長く続いてほしいと思った。このまま、ずっと、二人でいたいと・・。
 
 「・・・魔理沙、少し寒いわね。」
 「ん、そうか?じゃあ、少し高度を下げて・・」
 言い終わる前に、霊夢は魔理沙を後ろから強く抱きしめた。
 「・・寒いわ。」
 霊夢がつぶやく。
 「・・そうだな・・」
 魔理沙は帽子を被りなおす。
 「・・寒いぜ。」
 どうも照れくさくなって、わざとらしく身をふるわせてみた。 
 
 魔理沙は速度を落とす。後ろに感じる、この小さな温かみが、夜空に散ってしまわぬように。
 この時間が、少しでも長く続くようにと・・・。

 
 
 
  
はじめまして。ここまで読んで下さってありがとうございます。
まだ未熟者ですが、みなさんが少しでも楽しんでいただければ幸いです。
どの台詞を誰が言っているか分かりづらくないか。とか、表現がくどくないか。とか。色々と考えながら書きましたが、やはり読者様の感想がなによりも参考になりますので、なにかありましたら、是非コメントをお願いします。
アイス
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
少し短かったけどとても良かったです
2.名前が無い程度の能力削除
雰囲気がいい感じでよかったです。
作中の他愛のない話の詳細をぜひかいてほしいです。
3.アイス削除
奇声を発する程度の能力さん>
ありがとうございます。なるほど、やはり短すぎましたね。次回書くとしたら、もう少し長くしたいです。
励みになりましたXD

名前が無い程度の能力さん>
なるほど、他愛のない話の詳細ですか。分かりました。色々考えてみます。
コメントありがとうございました!
4.名前が無い程度の能力削除
短い中できっちりまとめている作品だと思います。
やさしい時の流れを節々に感じました。
次回作も期待したいと思います。
5.名前が無い程度の能力削除
とても良かった。この雰囲気は好きです。
ただ、少し短くて物足りない気もする。
6.アイス削除
名前が無い程度の能力さん>
おぉ、ありがとうございます。筆が遅いので、次回作はいつになるか分かりませんが、がんばろうと思います。
こめんと感謝です!:D
7.アイス削除
名前が無い程度の能力さん>
やはり短いですね。次回はもっと長くできるよう、精進したいと思います!かつ、雰囲気は変えないで、大切にしたいと思います
ありがとうございました
8.けやっきー削除
短いなりにも、描写が上手でした。
他の方と同じく、この雰囲気が凄く好きです。
次回作も待ってます!
9.名前が無い程度の能力削除
いいねえ
10.アイス削除
けやっきーさん>
ありがとうございます。絵の依頼があったので、次回作は遅くなりそうですが、みなさんのコメントを励みに頑張りたいと思います!

名前が無い程度の能力さん>
ありがとうございます。コメントの短さが面白くて、思わずにやけました
11.MR削除
良い雰囲気だ。