今年はどんな年だったかと問われれば、公には目出度き事この上ない一年であったと言えよう。
積年の悲願であった聖の解放は艱難辛苦の末に果たされ、命蓮寺もまた新たな地より復興の一歩を踏み出し始めたのだから、これを慶ばずして何とする。
では私にとって、ナズーリンと云う一妖怪にとって、どんな年だったかと問われれば、草臥れる事この上ない一年であった。
日々の東奔西走はこれまでより苛酷を極め、聖解放の折には慣れぬ一騎打ちを二度も強いられる始末。
やれ肩の荷が下りたかと思えば、完全に気の抜け切ってしまった我がご主人は以前にも増して粗忽を繰り返し、涙目を浮かべればその尻拭いにまた走り回わらねばならぬ。
それは、正月元旦から師走晦日のこの日まで綿々と繰り返された日常。
とは云え、そろそろ今年の涙目納めにして頂きたいものだが、生憎と暦は後一日残っている。そしてご主人は、その一日も余す事無く涙目であろう。
来年も、そのまた次の年も、やがて来る終の年まで。
要するに、我が監視役としての半生は、ご主人の涙目を注視する半生でもあるのだ。
やれ物思いに耽るうちに、ご主人が穀物倉に入られてそろそろ四半刻は経つか。
そこには反応が無いと進言差し上げたにも拘わらず食い下がるから付き合ったが、待ちぼうけとしても十分すぎる頃合いだ。
「見つかりましたか、ご主人ー?」
明かり取りに向けて声を掛けると、何やら猫科の悲鳴と派手な物音。
立場上、慌てて飛び込むぐらいの気遣いは必要なのかもしれないが、なに、中の状況など知れた事。
そら、髪の先から爪先まで、ものの見事に粉まみれでお出ましになられた。
これから油の海へ飛び込み、からりと揚がられば虎の竜田揚げ、これ一品にて竜虎相搏つとな。生憎心中でさえくすりともこない。
「して、いかがでした?」
「あ、ありませんでした……」
それ見た事か、口に出すも及ばず溜息だけが漏れる。
もう、溜息を吐く事にかけて私の右に出るものは居るまいと自負だって出来よう。
「饂飩粉や白玉粉はあったのですが、蕎麦粉だけは切らしているようで……くしゅっ!」
それも先程進言差し上げたはずだが、もう何も申しますまい。
確かに穀物倉の管理など、再建からこなた誰かが積極的に行っていた訳でも無いのに、よくもまあ自信たっぷりに引き受けたものだ。
年越し蕎麦の賄い係など。
「どうしましょう……」
ここで毎々の涙目である。
恐らく、あの綺麗な瞳の奥にはこんこんと湧き出る泉が隠されているに相違ない。
「ご心配召さるな。何も問題はありませんよ、ご主人」
そう、泉が溢れても毎々何も問題は無いのだ。
その為に私の溜息があるのだから。
「これまでと違い、今は人里おろか街も近い。蕎麦粉どころか生蕎麦であっても容易く手に入るでしょう」
「ええ、しかし鐘撞きに訪れた方々への振舞いに足りる量となると、一筋縄ではいかないと思います」
「ふむ」
確かに、我々の夕餉程度であればひとっ走りで終わる話だが、今年は仰る通り事情が違う。
とは言え、手をこまねいていれば蕎麦が生る訳でもなし。
「一先ず、街へ行って参ります。後は……おいで、君達」
「あっ! わ、私も参ります!」
手近な子鼠数匹を呼び斥候の指示を与えていると、篩のように服から粉を落としていたご主人が慌てて呼び止める。
いつもはしょぼくれたまま見送るだけだというのに、穀物倉をご自分で探された先程といい、年の瀬にして椿事もあるものだ。
まあ、そう仰られるのなら、物探しの苦労を徹底して知って頂くのもやぶさかではない。
ええ、やぶさかに御座いませぬが。
「ご主人、御足労頂けるのは誠に傷み入りますが、その粉まみれの御顔でおいでになるおつもりですか?」
「ふぇ?」
ふぇ、ではない。虎たる威厳にそれはない。
まったく、あれだけ服を叩いてたのだから鏡が無くても判ろうものだが、慌てて御顔を撫で回すその仕草は嗚呼もう、虎と言うよりは。
「それでは白粉を塗りたくってるようなものです。そのまま、暫し」
このままでは野良の歌舞伎役者かと勘違いされかねない。予め用意しておいた濡れ布巾で、優しく頬を拭って差し上げる。
「すみません、ナズーリン……助かります」
「なに、お手拭きとしてお持ちしたついでです」
それにしてもどうだ、布越しにもあまりに柔らかな頬の感触。
面の皮云々とは、古人も上手い事を謂う。さらば御仁の頬には皮が有るのかと問いたくなるのだから。そこにつけると、私の面の皮なぞ錫か鉛の如き手触りであろう。
そう、ご主人はもっと、御自分をお識りになるべきなのだ。
この頬には小麦粉などではなく、薄い頬紅でも伸ばせば一層闊達なご尊顔も映えるに相違無い。
「あ、あにょ……」
その粉砂糖をまぶした桜桃の如き唇も悪くはないが、我が紅差しの指をお許し頂ければ零れ落ちんばかりの艶をお出しして御覧に入れよう。
嗚呼、御髪も都度切らず、聖の如く伸ばせばそれはそれは金糸織りの錦など比にならぬ優美であるのに。
御召し物とて、流行の絣などでも御召しになられれば垢抜けように全くの無頓着でいらっしゃる。
「にゃ、なずゅーりん? ひょのように揉まりゃいと取れにゃいれひゅか?」
「あぁ、失礼。もう大丈夫ですよ」
私とした事が、手触りの良さからうっかり刹那の蒙昧に身を任せてしまった。
憂国の姫君でも有るまいに、ご主人の見て呉れを華美に繕って何とするか。そんな事よりも、御自身には見直して頂かねばならぬ事が山積みに有ると云うのに。
「さ、参りましょう。荷が多くなるようでしたら、誰ぞ呼ばないといけませんし」
己の失態をさっさと投げ遣り、私は綿入れの羽織りを翻した。
そもここでご主人を随行させた事が、後の大失態に繋がるとも気付かずに。
§
街は想像以上の賑わいであった。
聞けば年の瀬には見慣れた光景であり、毎年盛況さを増し増しているとか。
人々は来る新年へ向け、往来を右往左往。或れも無し此れも無しと不平を吐きながら、食うに足りた食料を求め彷徨い歩く。
私は仏教徒として説教をくれる身分でも無いが、一介の鼠妖として日々腹の足しを求め走り回る子らの尻尾の先でも拝ませてやりたいものだ。
そんな忌ま忌ましげな考えに及ぶのも、この散々たる結果が原因である。
「乾物屋を全て回っても品切れとは、駆け込み需要を些か甘く見ていましたね」
それどころか、露店も市も、蕎麦と名のつく物を片っ端から食らい尽くす妖怪でも現れたかと云った有様。
明日になれば仕入れがあるやも知れぬが、確実ではないし、仕込みの時間を考えると現実的ではない。分の悪い博打は御免被りたいところだ。
「どうしましょう……」
ご主人はと云えば、言わずもがなの涙目である。
まったく、こういう時こそ堂々として頂きたいものだ。一軒跳ねる毎に潤みの増す瞳が視界に入る私の心持ちとて焦れてしまう。
しかし無い物ねだりなど私の性分ではない。
見つからぬと壁に突き当たる事が判りそうならば、予め横穴を掘っておくのが戦術というもの。
「そうですね、正面突破が無理となれば裏に回るより他無いでしょう」
そう、店を回る等と云う馬鹿正直な手段であれば、そもそもこの私には役不足なのだ。
指笛を吹くと路地裏から三匹、鼠の子が連なって飛び出して来た。そのまま私の肩まで駆け上がってくると、耳打ちひとつ。
首尾は上々のようであった。
「ご主人、行きましょう。こちらです」
「あ、あのっ、う、裏とは、そのっ」
軽く御手を引くと困り顔で僅かにたたらを踏み、うにゃうにゃと口籠ってしまわれた。
ええ、口に出されなくても結構。まさか盗みではありませんよね、と頬の柔肌に浮かび出ていらっしゃる。
良い気分ではないが、天下の往来で計画の暴露など御免被りたい。ここは朴念仁の御方に妙な仄めかし方をした私の非としておこう。
「御心配には及びません。悪事に及んでは、毘沙門天様に会わせる顔がありませんから」
「そ、そうですよね。すみません、要らぬ勘繰りを……」
天下の代紋にあっさり合点がいかれたか、少々不本意ではあるが悟られぬよう再び温かな御手を取り、恭しく笑みを作る。
「毎々申し上げている通りです、何も問題ないと」
心の隅に引っかかった棘に目を逸らしながら、私は街の中心、屋敷通りへと歩みを進めた。
§
辿り着いたのは、命蓮寺の再建直後に早くも檀家となった穀物問屋。
子鼠にはあらかじめ、広くて金子と食料がたんまりとありそうな家、そして中に我が寺の寺紋が有れば報せるようにと指示を出しておいたのだ。
豪商とは云わぬまでも裕福な家であれば御の字と考えていたが、ここまで的を射た巡り合わせは僥倖と云うより他無い。
「失礼致します、どなたか」
その上、門戸で声を掛け現れたのは問屋の御隠居であった。
なんたる天恵、恵比寿様も年の瀬に粋な計らいをして下さるものである。
「不躾ながら唐突の訪問をご容赦下さい、私、命蓮寺が使いのナズーリンと申します。毎々の御寄進、僧正に代わり心より感謝致します」
恭しく一礼。
全く、他人様の威光を借りる事に抵抗が無くなってしまったと、我ながら呆れ果てるが致し方無い。
「たまたまこちらを通りかかりまして、藁をも縋る思いでお伺いした次第なのですが……」
蕎麦粉を切らし方々探し回ったが品切れ揃いと説明をすればご隠居、嗚呼皆まで言いなさるなと半ばで制して私達を招き入れると、高らかに丁稚どんを呼びつけた。
それから暫し、明日の出荷がどうの若旦那と相談が云々とやり合っていたが、まあ、結果なぞ見えている。
「宜しいのですか、一貫も都合して頂いて」
やがて私達の前に置かれたのは、麻袋に一杯の蕎麦粉だった。これだけあれば二八で打っても振る舞いに充分な量だろう。
それどころかお代を尋ねれば、これは御布施と思って下され南無三宝の助けとなるならば、と袖から数珠などを取り出し拝まれてしまった。
これでいい、完璧じゃないか。
こうして檀家から御布施を戴く形に落とせれば、何も問題は無い。
僅かとは云え舌先三寸をご主人の前で披露してしまう事に抵抗はあったが、なに、涙目が晴れると思えば私の恥などお安いものだ。
「この物要りの時期にわざわざ商品から回して戴けるとは、深く感謝致します」
一礼して丁稚どんの運んできた麻袋に手を伸ばす。
その時であった。
「あ、あの! やはりこちらを戴く事は出来ません!」
突如、ご主人は私の前に割って入り、そっと、それをご隠居へと差し戻してしまわれた。
一瞬、目の前で繰り広げられた光景を理解することが出来なかった。
「先程街を歩き、賑わいを拝見致しました。この土地は未だ不案内の身故、あれほどのものとは存じ上げませんでした」
なにをご乱心召されたか、さしもの私も目を丸くせざるを得ない。
ご主人はそんな私の心中なぞ知る由も無く、ご隠居の前へとしゃがみこみ、労るように手を取られた。
「まだ晦日の昼時です。明日にかけて商店へ駆け込む方も多いでしょう、不足が出たら皆様に申し訳が立ちません、是非そちらに回してください」
問屋の隠居もこの慈愛深き御言葉に、目に涙を浮かべ拝んでみたりと大概である。
嗚呼、何と麗しき有様哉。
「参りましょう、ご主人様」
「あっ、ナズ……し、失礼致します、明晩の鐘撞きには是非お越し頂きたく……!」
屋敷に背を向け、足早に退場する。
とんだ茶番だ。見て居られない、見るに堪えない。
これで街から蕎麦粉を手に入れる手段は元から絶たれてしまったのである。
しかも御自ら絶たれたときた。なんたる面倒。なんたる厄介。
「宜しかったのですか、もう手ぶらで帰るより他ありませんが?」
通りへ出て暫し無言で歩いていたが、腹の虫が治まる筈も無い。
この御仁に裏表など有ろうかと思えど、わざわざ問うてしまわずにいられなかった。
「はい、如何なる場合であれ、聖の威を借ることは罷り成りません」
見よ、臆面も無きご尊顔を。聞け、御心より発される御言葉を。
「此度の失態は在るが儘を受け止め、御叱りを甘んじて受ける事とします」
「左様ですか」
虎故の自尊心か、御大層なものだ。それとも私への当てつけか。
であるなら、非礼を、不敬を承知で申し上げたい。
そんなもの野良猫の尻尾にでもくれてやれ、と。
狡猾さを露呈してまで仕立てた御膳を引っ繰り返された挙句、不味いと仰せられては私も立つ瀬が無い。
随行頂くべきではなかった、そう、それがそもそもの間違いであった。私の迂闊な判断がこの失態を招いたに他ならない。
「それで、どうなさるおつもりですか? 振る舞い自体を取り止める事は出来ませんが」
「仕方がありません。饂飩を、打ちましょう」
それは我が仕事の結果として考え得る限り、最悪の結末。
故に私はそれ以上、道中口を利く気分にもならなかった。
§
災厄は、蕎麦粉に留まっていなかった。
事もあろうに、ご主人が今朝方ひっくり返されたのは精白粉であったと知った時の私の面は如何様なものであったか。
残った饂飩粉は、ふすまとそして恐らく何某かの雑穀の混じったものだけである。
ご主人ですらこの有様に、自業自得とはこの事ですと仰ったきり口も利けず涙目で粉をこね始めたが、こうなっては致し方有るまい。
これは先程の恵比寿様の御厚意をふいにしたばかりに、後脚で蹴られたと思わざるを得ない。毘沙門天様の配下が恵比寿様の罰に当たるなど、冗談にしても悪質だ。
恨み言を並べ立てたところで是非も無い、篩ってしまっては量は足りないだろうから、このまま打つより残された道は無し。
そうは思えど、腑に落ちぬ心持ちは増すばかり。
何よりこの沈黙が、もどかしさと苛立ちを加速させる。
皮肉なもので、それを生地にぶつけるほどに捗ってしまうと、饂飩にすら嘲笑われているようで、尚腹立たしい。
「怒っていますか? ナズーリン」
そんな、ようよう粘り気が纏まってきた時分、不意に沈黙を破った一言がこれである。
まったく、癇癪を起こして生地を投げつけなかった自分を褒めてやりたいものだ。
「何故、そう思われる」
今更気付かれたのであれば鈍さも大概だし、気付いていたのならわざわざ尋ねる事もあるまい。
しかし、そんな事をおくびにも出さず素っ気なく尋ね返すと、白い指先を私の背後に向けられる。
「その、先程から戸の陰で、鼠の子らが尋常では無い程震えてこちらを伺っているもので……」
下品に舌打ちしたくなるのを堪えて戸口を振り向けば、三匹ほど脚をもつれさせながら逃げてゆく後ろ姿。
まったく何という日だ、全てが噛み合わない。
「今の収まらぬ感情が怒りか何者か、判断はつきかねます。しかし御主人様の引け目には、私が怒っている様に映っておられるのでしょう」
「迂遠な答えでは困ります。心のままを教えて頂けるだけで構いません」
この様な時に限って、珍しく強気に食い下がられるとは最早因縁を付けられているとしか受け取る事が出来ぬ。
苛々は尚募り、生地を捏ねる手に力が篭る。
「では、たとい私が臍を曲げたとして、何とします。ご主人が困る事など何もありますまい」
「いいえ、困ります。私は貴女の思っている事が知りたいのです」
「私の? ご冗談を。鼠の顔色なぞ窺っても、たかが知れていますよ。卑しく餌を食らう事と、小狡く人を謀る事ばかり……」
「その様に自分を貶めるのはお止めなさい!」
寺門にまで響くかと思われた咆哮に、思わず身体が竦む。
久しく見ない、激昂だった。
「私の行動が、貴女の意に沿っていなかった事は承知の上です。そして、最終的に貴女の働きを徒労に終わらせてしまったのも私の責任です」
そこまで分かっておられるならば、わざわざ蒸し返されることもあるまい。
上司であれば、でんと構えて居られれば宜しかろう。
「たとえ私が聖のお叱りを受けたとしても、ナズーリン、貴女の思いを知り、応えることが出来なければ何の意味もありません」
優しく、思い遣りに溢れた言葉は、私の狭量な堰を遂に苛立ちで瓦解させてしまった。
「然様ですか。では、申し上げさせて頂きます」
ひとつ生地を叩きつけ、切った啖呵は留めることも儘ならぬ。
「大体、貴女様は!」
ならば今年の、積年の総浚い。
「寛大たらんと望む御心が、御自分の為される迂闊に……足らぬのです!」
しかし、嗚呼、何と間の抜けた事だろう。
時節にそぐわぬ饂飩の生地を捏ね、叩き付け、主に反駁するとは。滑稽話でももう少ししゃんとしていように。
「時折の粗相であれば私とて何も申し上げますまい、ご主人!」
いつもの様に途中で泣きでも入れば止める切っ掛けとなろうに。
しっかと結ばれた唇。瞳の潤みは、怒りか、悲しみか。
「毎々私が駆けずり回り、智慧を働かせて失せ物を探す働きが先刻のそれです。それを貴女様は御自分の矜持だけで……!」
確かに、私の行為は褒められたものではないだろう。結果として折り合いが付いただけで、舵取次第では詐欺にだってなりかねぬのだから。
「さぞや失望された事でしょう、今迄お届けした失せ物の、要り物の数々は斯様にして得てきたという事に! 所詮こんなものです、私の仕事とは!」
最後には当て付けのように理不尽な吐露は、ひとしきり終えると虚しさだけが胸を満たす。
ご主人はといえば、小さな頷きから顔も上げず、暫しの沈黙の後にぽつりと呟いた。
「……しかと、聞き届けました」
何を、穏やかそうに。聞くだけなら猫でもできる。
見た事か、整えようと努めても、力無く震える声は隠せもしないではないか。
俯き堪えたとて、唇を噛み締めなければ、崩れ落ちそうではないか。
「年が明けたら我が天神様に新年の恭賀と併せ赴き、私自ら至らぬ様を余す事なく告白します」
今更そんなもの、とうに毘沙門天様も聞き飽いてらっしゃる。
それを、毎々私が……
「何だって?」
あわや聞き捨てならぬ言葉を粉と共に練るところであった。
「ですから、数々の不始末を私自身から毘沙門天様に申し上げると」
「冗談じゃない! 何を考えてるんだ、貴女は!」
饂飩に罪は無いが、怒りに任せ床よ抜けよとばかりに生地を叩きつける。
そんな事をしたら、この寺を離れる事にも、私の役目が解かれる事にもなりかねないと云うのに!
「解っています、ナズーリン」
解ってなぞ、おられるものか!
大体、貴女が今以て此処に居られるのは、誰の御陰だとお思いか。
「聖の解放後も尚、私がこうして穏やかな日常を過ごす事ができるのも、偏に貴女の御陰です」
数々の迂闊な所業に対し何等かの罰も及ばぬのは、誰の御陰だとお思いか。
「度々の失態について天神様との間に入り、執り成して頂いている事を、無為にする訳ではありません」
そんな苦労も知らず、のうのうと……
「その苦労は並々ならぬと思います。感謝に足る言葉も見つかりません」
「じゃ、あ……なぜ……?」
持ち得る反駁の言葉が全て封じられ、私の口から漏れたのは余りに弱々しい鳴き声だった。
とんだお笑いぐさだ。
いつだって、虎の慧眼は鼠の浅知恵なぞお見通しだったのだ。
それをいい気になって、己が世界の中心であるかのように傲慢を振りかざしていたなんて。
「斯様に、私はこれ以上無い程に貴女の助けを借り、此処まで来る事が出来ました」
それはそれは確とした、それでいて穏やかな相貌だった。
しかし、その御姿は遠く、御声はまた遠く、離れてゆく。
「しかし度重なる助力を頂く事がいずれ甘えに繋がり、貴女一人に負担を強いていたと、遅蒔きながら今日しかと気付かされました」
無二の宝が砂となり、掌からこぼれ落ちてゆく。
顔の血が引き、耳鳴りがする。酷い目眩に真っ直ぐ立って居るのかさえ判らない。
「ですから、ナズーリン、貴女はもう私になど……」
「綺麗事はもう沢山だ!!」
頭の中が、心の全てが崩壊するような恐怖に耐え切れず、私は絶叫していた。
「ならば好きにすれば良いだろう! 目障りな鼠が嗅ぎ回らない場所へでも行ってしまえっ!」
自分が泣いている事に、否、泣き喚いていることに、ようやく気付く。
そうしなければ、居られなかった。
「ああ、任を解かれれば、さぞや清々されるだろうさ!」
「違います、ナズ……」
「厭なら厭と言ってくれればいっそ気が晴れる! それなのに! 何を、何を貴女は鼠風情にまで要らぬ言葉を!」
「お止めなさい、ナズーリンっ!!」
叱咤と裏腹に、私の泣きっ面はご主人の胸へと埋められた。
「貴女と……貴女と過ごす日々を、私は一日たりとて疎んじた事はありません」
そこは柔らかくて、温かくて、日向の薫りがして。
このままこうしていたいのに、やがて見える陰りが怖くなるばかりで。
「故に、優しく、真面目な貴女にこれ以上重荷を負わせたくないのです」
嗚呼、そんな。
そんな事を言われてしまったら、私は。
「出て行ってくれ」
私は、絞り出すように呟くのが精一杯だった。
「し、しかしまだ私は……」
「二度は言いたくない。後は私が賄いを引き受けるから……貴女が居ると捗るものも捗らない……」
顔も上げられず俯いたまま突き放すと、驚くほど簡単によろけ、先程まで鼠の覗いていた戸口へともたれかかってしまった。
どれだけの無礼か、もう考える頭はない。ただ、自分が少しでも楽になる為の、姑息な反抗。
「ごめんな……さい……っ」
嗚呼、それは、私が一番口にしなければいけなかった言葉なのに。
それすらも庇った口調は余りに弱々しく、言葉尻は廊下を駆け去る音に掻き消されていた。
それは、岩戸が口を閉じる轟きにも似た、古代から伝わる別離の音。
「なに、を、いまさら……」
私とて今更、改めて思い知るに至った。貴女が間者同然の私を、暖かく受け入れて下さっていた事に。
失せ物だって、黙っていても己の力でいずれ手元に戻ろうに、私を立てて下さり、頭まで下げられた。
それを、したり顔でお渡ししていた私の顔は、さぞや滑稽に映ったであろう。
否。
「なんで……なんで、あんな、やさし……っ!」
貴女は勘繰る事などせず、心の底から私を労ってくださった。
狡猾さがいずれ己の身を切らんやと気遣ってくださった。
なのに、なのに私は何一つだって応えず、己の成果を鼻にかけるばかりだった。
「っく……ぅぇぇ……」
こんなにみすぼらしく声を上げて泣いた事など、無かった。
胸が切り裂かれる、こころが締め上げられる。
失せ物が、こんなにも怖いとは。こんなにも切なく苦しいとは。
「ゃ……だぁ、こんな……こんなの……っ!」
何がダウザーだ、自らの失せ物を探すことも出来ないじゃないか。
賢将が聞いて呆れる。我が足らぬ智慧は、貴女様を導く振り子にも、道行きを支える杖にもなれなかったのだ。
見ろ、ここには何の力も持たぬ鼠が一匹、駄々っ子の様に泣いているだけではないか。
そして、泣きっ面に蜂とはよく言ったもの……
「っ……君達……!?」
私のあまりに異常な様子を察したか、数匹の子鼠が勝手口から飛び込んできたのだ。
本当に、何もかも間が悪い。せめてもの虚勢の為に、慌てて顔に溜まった水気を拭ってももう遅い。
「な、何でもないからあっちへお行き、見世物じゃないよ。見るな……ってばぁ……」
恥ずかしくて手元の布巾で顔を隠しながら手を振るが、それどころでは無いと言った風にちょろちょろを私の周りを駆け回る。
それどころか、呼んでもいないのに後から後から鼠たちが集結し始めた。
走り、跳びはね、肩に乗り、頭に乗り、籠に入っては声を上げ、気勢を上げる。
失せ物は何ぞ、捜し物は何ぞ、と。
彼は知っているのだ、私が成すべき事を。
何を卑屈になっている、ナズーリン。足らぬ能力と、小狡い知恵、走狗に劣らず駆け回る事こそが、お前の全てではないか。
それを、たかだか足元をすくわれたぐらいで自分を見失い、取り乱していては、私以上に駆け回ってくれる彼らの面子だって立たない。
「んっ……ありがとう、皆。もう、大丈夫……」
そんな事を考えると言葉と裏腹にまた布巾が湿ってしまうのだから、涙腺というのは一回弛むと厄介だ。
「で、でも、元はと言えば君らが余計な所で気付かれたからだぞ、まったくもう」
膝元で見上げている先程逃げた子鼠の鼻を照れ隠しにつつくと、ばつが悪そうに首の後ろまで逃れて行く。
思えば、彼らが皆を集めてくれたのかも知れない。だとしたら、後で礼を言っておかねば。
「ははっ……それにしても、とんだ年の瀬になってしまったね」
気が付けばひとしきりの感情を吐き出したせいか、感情の猛獣も腹の底でようよう大人しくなっていた。
そう、涙目はご主人で十分。私が泣いて、誰が御手を取る。
こうしている間にも、失せ物とは刻一刻と遠くに離れて行くものだ、悲観している暇があったらその足を動かせ。鼻を利かせろ。
我が舌先三寸を奮えば、得物は先程まで捏ねに捏ねたこの饂飩で十二分。
生地を寝かせる間に大鍋を炊き、干椎茸で出汁を取り、具を……
「しまった、振る舞い分の具となると寺の備蓄じゃ全然足りないじゃないか……」
蕎麦に目を奪われ、具材を忘れるとは私もよくよく間抜けなものだ。
全く、こんな時に二人揃って迂闊を踏むなんて、もう笑うしかないじゃないか!
「諸君、お察しの通りだ。今年の探し納め、ひとっ走り頼んだよ。九つの鐘が鳴るまでに極上の葱と油揚げ、見つけたら食べずに在りかを報せること!」
待ってましたとばかりに、我が同胞は一斉に台所の外へと散ってゆく。
明けてしまうかもしれないが、彼らにも今年の労いを、そして感謝をしなければならない。
そして『私の』ご主人、鼠共の年末公演千秋楽、篤と御覧有れ。
そう、いつだって芝居で勝つのは、力無き小物。
そして……意中の姫君が救われると、相場が決まっているのだから。
§
「あら、蕎麦ではなく饂飩でしたか」
年の瀬の多忙さに、珍しく一同に介しての夕食と相成った食卓。
「はい、明晩の振る舞いにもこちらを用意したく思いまして」
椀の饂飩に聖は別段不服もない穏やかな御言葉ではあったが、意図させるように進み出た私の姿に勘付かれたか、一拍置いて問いかける。
「振る舞いにも饂飩を、ですか」
「はい、生憎蕎麦を切らしておりまして。里や街でも手に入りましょうが、この年の瀬……多くの民が乾物屋に駆け込むところを御覧になられた我が主も心を痛め、饂飩を打つ運びとなりました」
「成程、事情は飲み込めました」
しかし、と言葉を切り膳から座を引くと、斜の私を正眼に捉え凛と声を張る。
「鐘撞きに訪れた方々は、蕎麦ではない事を不思議に思うのではありませんか?」
いよいよの什麼生、と云ったところか。
やれ食前の余興かと、皆もこの問答に注視し始めた。約一名、すっかり湿って不安も露わな御仁を除いて。
これでお膳立ては整った。乾いた唇を湿らせ、私もまた居住まいを整える。
「はい、ですが饂飩を蕎麦に変える法力は生憎持ち合わせておりません。故に、この様な曰くを説かれては如何でしょう」
ご心配召さるな、心の中で二回、ご主人と自分に向け呟く。
「此度の振る舞いは命蓮寺再建の象徴に御座います。蕎麦の如く細く長い耐え忍ぶ年を終え、饂飩の如く太く強く、そして永くこれからの時代を迎える所以」
出るに任せた文句はまるで饂飩屋の売り込みのようであるが、この饂飩問答に全てが賭かっていると言っても過言ではない。
「この腰と素朴さは、聖解放の悲願成就に奢らず、救世済民への一歩を標すに当たり腰を強く据える心構えを人々に示す事になるでしょう」
それにしても、なんと一々もっともらしい。口上を打つ私の肌が粟立ってしまいそうだ。
しかし、ここで抜かる訳にはいかない。一呼吸深く置き、畳み掛ける。
「鐘撞きに寺を訪れた方々も、来ては年越し蕎麦、行きてはお節と浮かれ、謹みを忘れる事も多からんと思われます。そこで、より口に馴染んだ物を召し上がる事で暫し日常を顧み、自然体で聖の説法をお聴きになられる事を望んでの麩饂飩に御座います、と……」
この小さな肺腑に、よくぞこれだけの呼気が残っていたものだ。
その上、私を射貫くような聖の眼光に、一息どころか呼吸もままならぬ。
「……聞き惚れる程の口上でしたよ、ナズーリン」
すわ絶息するかと思った時分、聖はようやっと柔らかく瞼を閉じ、二度、三度と頷かれた。
「是非とも明晩の説法にお借りしたいのだけど、返礼が無くては心苦しいところですね」
嗚呼、何をか察して頂いたか、聖が聖である事をこれほど感謝する事もあるまい。
そもそも説法や問答といった手合いがお好きな御仁ではあるが、生半可では逆に手痛い目に遭うどころでは済むまい。正しく獅子に挑まん心境であった。
正直私らしくもない、気が付けば両の掌はふやけるほど汗をかいていた。
「恐れ入ります、聖。では、僭越ながら……」
舌の切り替えに今一度、居住まいを正す。
「年が明けましたら我が主と共に毘沙門天様の下へ新年の恭賀、並びに近況の報告に訪れる予定です。つきましては、聖にも御随行頂きたくお願い申し上げます」
「なっ、ナズーリン!? それは……むにゅゅぅっ!?」
素っ頓狂な叫び声と共に、そのまま飛びかかって来そうな勢いで腰を浮かしたご主人を、背後から雲入道が押さえ込んだ。
ふと一輪を見れば、親指なぞ立てている。まったく、お節介が有り難く思えるとは、私もついぞ余裕が無くなっているものだ。
「あら、口上に加えてお饂飩を打って頂いた労が、随行のみで見合うでしょうか?」
「聖の懐の深さ、益々お見それ致します」
御仁もまた、薄々勘付きつつあるこの芝居をお気に召されたか、最早おかしそうに口元を隠しながら乗って来て下すったようだ。
「それでは、誠にお手数では御座いますが、我が主寅丸星の働き振りなどを毘沙門天様に幾許かお伝えください。なに、『ありのまま』をお話戴ければ結構です」
「まあ、そんな大役、私で宜しいのですか?」
「是非に、聖でなければ務まりませぬ。正直な話、私の報告が陳腐化してしまったもので……ご主人も斯様に口下手であらせられる故、お口添えを頂こうと思いまして」
ここで全貌を悟られたのだろう、深い頷きと共に背後でもごもごと格闘している主人を慈愛深い眼差しで見遣られた。
「ええ、やぶさかではありませんね。近く私より寺の復興を御報せせねばと思っていましたし、何より星の働き無しでは語れない事が多すぎますもの。ええ、確とお約束しましょう」
「重畳に御座います」
三つ指を付いて一礼。
やれ、全ての片が付いた訳ではないが、百万の援軍よりも心強い盤石を賜る事が出来た。
と、胸を撫で下ろしたのも束の間であった。
「ナズーリンっ!」
ようやく雲入道から解放されたか、さながら縞の稲光のよにごろごろと、膳を全て薙いで行きそうな勢いでご主人が私の前に転がり込んで来た。
「ぁ、貴女って子は……どうしてっ!」
その勢いは叱責して尚平然と嘘を垂れる私への失望か、憤りか、絶望か。
否、涙と鼻水でぐしゅぐしゅな、赤子の如き御顔にそんな負の感情なぞあったものか。
「どうして……聖の御威光をお借りする事は出来ないと、先程言ったではありませんか!」
「御相手が毘沙門天様となれば、御威光は関係ありますまい。それに、聖もありのままをお伝え下さるそうですから、何も問題無いではありませんか」
それにつけてどうだ、私のこの口さがなさは。
けれど、それが私が唯一成せる貴女を導ける振り子としての業、貴女を支える杖としての矜持。
「で、ですが、何故こうまで苦心して私をっ……!」
「何故もへったくれもありません!」
そう、それはたかが意見の相違に不貞腐れ、卑屈になっているようでは勤まらない。
手にした宝は、守らねばまた失せるものなのだ。
「そもそも、私が貴女様の助けとなる事に何か理由が必要なのですか!」
「け、けれども! わたっ、私なんかをか、庇ったって、貴女が苦労を負うだけではありませんか!」
「では、来年は私にあまり苦労を負わせぬよう、精々お努め下さい!」
「そんな……そんなこと出来るわけないじゃないですかぁっ!!」
勢いとは云え、飛び出したとんでもない御言葉に一同、あわや吹き出しそうになるのを堪えたか一様に肩を震わせてている。
言わずもがな、ご主人は至って真摯なのである。
だからこそ、真正面から受け止められるのは、この私を置いて外にはない。
「だ、から……もぉっ、貴女に迷惑を掛けたくないんです……! こんな、こんなにも迂闊で、粗忽な私なんかの為に、泥を被ることは……」
「お止め下さい、ご主人。自らを貶めてくれるなと先刻仰ってくれたではありませんか」
まったくどうして、どこまでおかしな所ばかり似てしまうのだろう。
「私にとっては切っ掛けや過程がどうであれ、貴女に喜んでもらう事が最高の誉れであり、貴女に労ってもらう事が何よりの宝だ」
そう、過ぎたる迂闊大いに結構、日々の粗忽もまた結構。そこに空いた穴こそが、私の居場所なのです。
「私も未熟者だから苛々する事もあるし、小狡い考えに走ってばかりだけれど、貴女の助けになる事を一度たりとて疎んじた事はありませんよ」
そして心得る。自らの心中を、有りのまま伝える気恥ずかしさ、勇気、誠意……今まで、私の知り得る事の無かった感情を。
これも、貴女のお陰なのですよ。
「ですから、今後とも私めをお側に置いて頂きたく……っ!?」
突然、鳴き声とも泣き声とも取れぬ声と共に、私の胸に涙目の虎が飛び込んできた。
その泣き味噌たるや、びえええんと表しては大袈裟か、ふえええんと表しては控えめか。こう、ふにゃあああといった忌々しい子猫的な。
「ご、ご主人、聖の御前ですよ?」
「っなさ……ごべんらさい……っ! いちばん、一番あなたと離れたくないのは私らったのに、それらのに……あんなことを……っ!」
嗚呼もう、涙か鼻水か判らぬ程ぐしゅぐしゅではありませんか。
私には、その御言葉を戴けただけで、今年の労は報われて余り有りますのに。
「何を謝る必要がありますか。私が失せ物を見つけるのは当然の事です。ですからこうして、私と貴女様の失いかけた物を取り戻したまでです」
先程まで失せ物に怯え、泣き濡れていた鼠のとんだ高説。
気が付けば、内情も知らぬ聴衆からは、冷やかしと祝福の嘆声。全てを知る鼠の子らもちゅうちゅうと、梁の上から囃し立てる。
「さあさ、それでは八方円く収まったようだし、お饂飩を戴きましょうか! このままではお惚気に当てられて饂飩がお汁粉になってしまうからね」
気恥ずかしげなこちらの空気を察したか、船頭が立ち上がり夕餉へと舵を取る。全く、今日は皆に甘えっぱなしだ。
そう、蔓延る子鼠たちの様に失せ物はやがてどこかに繋がり、巡り巡って還るもの。
貴女が引き寄せ、私が探し、共に喜びを分かち合う……ねえ、ご主人、こんな素敵な関係は、世界中のどこにもありますまい。
「ナズーリン……今年も本当にありがとうございました。あ、あの、こんな不束な私ですが、来年もまたお付き合い頂けますか?」
「勿論です。嫌と言われても、来年はもう本気には取りませんから、お覚悟を」
足らぬ胸の中、いじらしくはにかんだ涙目に胸が充たされる。
そんな貴女だから私は付き随うのです。来年も、この口さがない鼠めをお側に置いてやって下さい。
「あ、あの……そろそろ私達も頂きませんか?」
「なりません。毘沙門天様の代理ともあろう御方が、その様に泣き腫らした御顔で食卓に着くなど」
ふたつ輝く、金剛石よりも美しい宝を、尚胸に抱き締める。
私も、この無二の宝を失くさぬよう日々精進致します故、今暫し我が天神より監視という虎の威を借りる事を、お許し下さい。
「で、でも……お、おうどんがのびてしまいますよ……?」
「御心配召さるな、そんな柔にはこしらえておりません。ですから、もう少しだけ……」
そしてもう少しだけ、お許し下さい。
来年もこうして、あなたの包み込むような温もりに時折甘える事を。
再来年も、そのまた次の年も、やがて来る終の年までも。
確りと腰の強い達文のおかげで、互いの思いの透明感をより印象的に感じられるような。
うどん最高ですね!
さて、今年の年越しはうどんにするか。