狭い狭い幻想郷。今日は一匹のねずみが宝探しをしています。
「今度の宝は私のための宝。そろそろ身を固めないといけないからね」
おやおや、どうやら宝探しはお婿探しのようですね。
「さあ見つけた地底の太陽。君とならきっと元気な子ネズミ達を産めるに違いない」
「私達烏の食べ物を荒らすネズミとなんて冗談じゃないわ!」
「なるほど道理、宝は埋まっているとは限らない。どれ空も翳ってきた、あの日を覆う雲を当たるとしよう」
ねずみはそう言って空を飛びました。
「やあ見つけた雲の巨人。君とならきっと大きな子ネズミ達を産めるに違いない」
「あら貴方は先日の。雲山なら山の天狗と吹き合っていますよ」
「ふむふむ合点、風吹けば唇寒し、雲は散り桶売れるときたね。どれ風も強くなった、あの山の颪を当たるとしよう」
ねずみはそう言って山の神社を訪れました。
「さて見つけた山の風神。君とならきっと徳のある子ネズミ達を産めるに違いない」
「参拝者の方ですか? 申し訳ございません。何が気に入らないのか、あの隙間妖怪が神社を結界で括ってしまいまして」
「やれやれ了解、風も壁にはかなうまいね。どれ夕餉ももうすぐだ、帰る穴でも探すとしよう」
ねずみはそう言って結界の端へ歩きました。
「やれ見つけた幻想の壁。君とならきっと分別のある子ネズミ達を産めるに違いない」
「あら鼠。間者を鼠と呼ぶのは、人払いの壁で退けられぬから。綻びのない結界などない、ただ人がくぐれぬだけね」
「まっこと納得。この位も通れぬとは、人も風も不便なものだね。どれ日も暮れた、そこの館で休むとしよう」
「それで咲夜、今日は鼠を捕まえたそうね…その割りに蔵書の減りは止まないけど」
「ええ。白黒でなく灰色の鼠ですが」
「うまい、赤色の濃い茶だね。洋館の台所は宝の山だ」
「…レミィ。そろそろ猫イラズを買い足せないかしら?」
おわり
懐かしい絵本…うまい幻想郷アレンジですね。
つまり、ナズマリが最高ということだ!