紫が何故最強かって?
う~ん…そんなこと私に聞かれてもねえ。第一、私は紫と闘ったことなんてないもの。
ああ妖夢、天狗さんにお茶とお菓子を用意してあげて。勿論私の分もね。
確かに紫との付き合いは長いわよ。だけど、それがイコール紫の事を何でも知っているという訳ではないわ。
私にとって紫の実力がどうこうなんていうのは関係ないこと。私にとって大事なのは八雲紫という友人の存在。
極端な話をしちゃうと、たとえ紫が幻想郷最弱の妖怪だったとしても、私は全然構わないのよ。
…ん~、そんな風に言われても知らないものは知らないとしか。
そうね、とりあえず力は強いわね。スピードもあるわね。能力は便利よね。どこでも簡単に移動出来るのは少し羨ましいわ。
私個人の意見を言わせて貰えると、紫は典型的な妖怪って感じなのではないかしら。
秀でた身体能力に長年で養われた経験、そして他を圧倒する特有の能力。
…というか、ふと思ったんだけど一体誰が紫を最強の妖怪なんて言い出したのかしらねえ。
紫は自分を最強なんて言わないと思うんだけど。もしかしたら私が紫と知り合うもっともっと前に色々あったのかもしれないわね。
…ところで妖夢、どうして私の分のお団子が天狗さんの分より少ないの?
紫が何故最強か?
人が楽しく酒を飲んでる時に鬱陶しいのが来たと思ったら、なかなかどうして面白そうな事を。
いいよ、少しだけ興が乗った。今日は天気も良いし、あんたの話に付き合ってあげるよ。
あんたはどうして紫が強いと言われているか分かるかい?
それこそ紫の姿を見たこともない妖怪達すらも口を揃えて八雲は最強だと言う。それは何故?
その答えは単純にして明快。紫と闘った連中は誰一人例外なく敗北を喫したからさ。
それは勿論弾幕勝負なんてお遊びじゃないよ。…ああ、あんた達天狗に説明は不要か。
そうそう、アンタの言うように幻想郷においてまだ巫女や紫がルールを定めていなかった頃の話だね。
けれど、紫は幻想郷だけではなく、外の世界でも一度たりとて敵の前で膝をついたことはないよ。
…私?私は人間専門だからね。紫と闘おうなんて考えたこともないなあ。興味も無いし。
さて、それじゃ紫の強さに関してだったね。
紫は確かに身体能力は優れているよ。けれども、それだけじゃ最強と呼ばれる理由にならない。
確かに紫は高い能力を持っているけれど、その一点だけなら私や花屋さんの方が上回ってるからね。
では何故紫は他に何が優れているのか。――答えは戦闘におけるセンスだよ。
紫はね、戦闘において恐ろしい程に正確な、そして緻密な計算を常に働かせているんだ。
敵対する者の微細な動き、風の流れ、熱の増減。戦闘中における、ありとあらゆる全ての情報を紫は取り入れ、
敵の行動を導き出して次の一手を紡ぐんだ。まるで詰め将棋のように一つ一つ、ね。そして気付いた時には全てが紫の掌の上…って訳さ。
真に恐るべきはその何億、何兆にも渡る計算パターンを紫は瞬時に算出してしまうところかな。
あれじゃ並みの妖怪だと何をされているのか理解も出来ずに地べたを這いずり回る羽目になるだろうね。
八雲紫に偶然は無い。あるのはただ必然…絶対にまで昇華された計算結果のみ。
まあ、常人には無理な戦闘法だね。特に戦闘を娯楽の一つと考えているような連中にはね。
きっと紫にとって戦闘は、寺小屋の子供が解くような、そんな計算問題を暇潰しに解いてるような感覚でしかないんだろうね。
まあ、そんな問題の中にも時々は歯ごたえのあるモノが混じってるようだけど。
こと弾幕勝負に至っては負けることすら楽しんでる節があるし。本当、困った妖怪だよアレは。
…あっと、お礼は今度美味しい酒でも持ってきてくれればいいよ。
当然でしょ?要求できるものは豪快に要求する、それが鬼の生き様ってもんだよ。にゃはは。
…八雲の妖怪が最強の理由?
何か面白い話題でも持ってきたのかと思ったら…咲夜、そのカラスの羽を毟って外に捨てておきなさい。
五月蝿いわね。どうして私がアイツの強さを語らなきゃいけないのよ、忌々しい。早く帰らないと焼き鳥にするわよ。
…美鈴の生着替え写真ですって?しかも訓練後に一汗かいた後の!?ちょ、ちょっと待ちなさい天狗。
ま、まあ?今日は時間もあることだし、天狗の馬鹿話に付き合ってあげるのもいいかもしれないわね。
いい?これはあくまで私の気まぐれよ?別に美鈴の生着替えプラス汗写真が欲しくて話すのではなくてよ?
たまには下らない余興に付き合うのも、この館の主としての大きさを示すいい機会だわ。…何よ、その目は。ムカつくわね。
それで何の話だったかしら。そうそう、八雲の妖怪の強さだったわね。
まあ…いくつかあるわね。身体能力、戦闘時の判断力、そして理詰めに裏打ちされた戦闘スタイル。
けれど、そんなものは結局二の次でしかないわ。それだけだったら私でも簡単に捻り潰せたわよ。
…ええそうよ、負けたわよ。うるさいわね!何でそんなに目を輝かせてるのよ!?その時のことなんか誰が喋るか!
全く…話が逸れたじゃない。八雲の妖怪が最強であるその理由、それはあの妖怪の持つ『能力』よ。
そう、『境界を操る程度の能力』…あれは厄介なんてもんじゃないわ。正直、私じゃあれに打ち勝つ方法は思いつかないわね。
ところで貴女、あの妖怪の能力をどこまで把握してるかしら?
…そう、あの能力の主な使い道は空間の境界を操り、それこそ空間を転移するかのように自らの身体を別の場所に移すこと。
あの妖怪は普段そんな風に使っているわね。けれど、あれはそんな生易しい能力ではなくてよ。
あれはね、万物の摂理を根底から覆す恐ろしい能力よ。境界を弄るということは、今ある形全てを変えられるということ。
…少し分かり難いかしら。そうね…例えば、この幻想郷には不死者がいるでしょう?そうそう、あの竹林に住んでる。
アレは誰もが持つべき破滅への橋を壊してしまった呪われし存在。
誰もが例外なく平等に与えられるべき死という概念すらも超えてしまった輪廻の外を生きる者達。
そう、不死者は『絶対に死なない』。何をしようと不死者は『絶対に死ねない』。死ねないのならば、負けはない。
ならば幻想郷の最強とは不死者ではないのか?なのに何故八雲の妖怪が最強と謳われる?
答えは簡単よ。八雲の妖怪はその『絶対』を根底から覆すことが出来るからよ。
たとえ相手が不死者でも、あれは容易く『生と死の境界』を弄り、不死性という絶対を壊してしまう。
私の能力に対してもそう。私がたとえ運命を操ろうとも、あれはその確定した未来と閉ざされた未来の境界すらも操ってみせるのよ。
…反則?だからそう言ってるじゃない。あれは勝つとか負けるとかを論ずる相手ではないの。
夜空の星を掴む為に手を伸ばしたり、透明とは何色かを論じたり…つまりはそういうことなのよ。八雲を相手にするということはね。
ただ、どうしてもあの妖怪に勝ちを求めるならば、条件を満たせばいい。
一つ、境界の能力を封じること。もしくは相手にそのカードを引っ込めさせること。
もしあの妖怪が何らかの理由で境界を使うことを良しとしないという場合があったのならば、後は純粋な力の勝負よ。
まあ、そんな状況なんて絶対にありえないでしょうけど。八雲の妖怪と戦うというのは、天災に挑むに等しい行為だと肝に銘じなさい。
…ほら、これだけ話したんだからいい加減に写真を寄越しなさい。
は?じゃないわよ。話せば美鈴の生着替え写真を渡すって約束でしょう。…そうそう、素直に最初から渡せばいいのよ。
ふふ、ふふふ…美鈴の生着替え、美鈴の生着替え…ああ!見なさい咲夜!この素晴らしきアングル!流れる健康的な汗!
これこそが真の芸術というものだわ…ええい!もう写真じゃ収まりがつかないわ!美鈴は何処!?
八雲紫の身体能力、戦闘センス、そしてその能力。
もし、八雲紫に対して唯一の勝機を求めるならば、境界の能力を封じ込めること。
そんな事が出来るのだろうか。そんなことを成し遂げる者が果たして幻想郷に存在するのだろうか。
「紫様。私は何度も何度も食事中に本を読むのは止めて下さいと申し上げたではありませんか。
それなのに紫様は私の言うコトを聞かずに結果、味噌汁をコタツ布団に零して…一体これを誰が洗うと思ってるんですか?」
「ら、藍…お、落ち着いて…?そんな怖い顔しちゃ可愛い顔が台無しよ?
分かって頂戴…私もワザとこんなことをした訳じゃないのよ?ただ、ちょこっと手が滑ったというか…」
「落ち着いてます。ええ、落ち着いてますとも。そしてしっかり理解していますとも。
紫様が私の忠告なんか少しも耳に入れて下さらず、その結果が先日洗濯したばかりのコタツ布団を味噌汁で
台無しにして下さった事くらい」
「うううう……ゆ、ゆかりんエスケープっ!!」
「今スキマで逃げたらこれから先一週間は晩御飯抜きです」
「ひ、酷すぎるっ!!!藍の鬼!!悪魔!!一体私が何をしたって言うのよ!?」
「味噌汁零してくれやがったんですよ、洗い立てのコタツ布団に。それと私は狐です」
「あやややや……最強の妖怪がマジ泣きしちゃってますよ?」
結論。絶対的な強者など存在しないって何処かの誰かが言ってた。
つまりは擬似的に山田様と同じことも出来るでしょうね
白黒付けるってことは物事に境界を引いて白と黒に分けることですから(ゆかりん的白黒と山田様的な白黒は相容れないから「苦手(天敵ではない)」なんだろうけど)
あとフランの能力も、前提条件として破壊しようとする概念・物体が「存在」していて、それが能力によって別の「存在」に変化することだから、二点には変化の境目=境界線があって、紫は干渉出来てしまうかもしれないですね。
そう考えるとよくぞ神主は「境界を操る」程度の能力なんてものを思いついたなぁと感心させられますね。
でもそんな大妖怪ゆかりんも胃袋握られたり、年齢ネタに触れられたり、相手にされないと凹むのは意志あるものの定め。
だからみんな胡散臭いとか靴下臭いとか加齢臭とか言っちゃ駄目なんだかわいいよかわいいよゆかりん
ってな具合に先手を取った方が勝ちな能力が多い気がす
正直に上手いと思いました
情がなければ誰にも負けないのかな? と思いついた
すいません…生まれてこのかた偶気的って言葉は存在すると思ってました…
何だ偶気って…この調子じゃ長い話の方にも造語が沢山ありそうです…
>よくスキマスキマ~
ゆかりんの能力はバランスブレイカーですよね。
あれを初めて知った時『何この最強の念能力』とか思ってしまいました。
だけどそんなチートなゆかりんが好きだーーー!!
>前の3人で~
すいません、ぶっちゃけてこのオチがやりたいが為だけに書きました…
あれなんです。私は紫(ヘタレ)×藍(辛辣)派なんです。
でも紫(しっかり)×藍(子煩悩変態)も大好きです。つまりゆからんなら何でも(以下略
>能力を使われる前~
ぐーやとか咲夜さんとかもみんな異常過ぎですよね。
あまりに周りが凄すぎて藍や美鈴の能力が凄くしょぼく感じてしまい、少しショボーン…
>なるほどな~
ありがとうございます。そういって頂けると頑張った甲斐がありましたっ。
個人的にゆかりん=最強だと思っているので、こんな風になりました。
でも、幻想郷ですし、チルノが最強な幻想郷やリグルが最強な幻想郷が
あってもいいなあとか思ったりしてます。あたいったら最強ね!
>調った言葉の~
ありがとうございます。もっともっと沢山物語を書いて風呂敷を沢山広げたいものです。
にゃおさんの小説凄く楽しいのでいつも読んでいますw
ゆかりんはみんなにかまってもらいたいんだね……。
山のてっぺんは自分以外誰もいない寂しいところだからねぇ。
それとゆかりんは大人だと思う。少なくとも俺が境界を(ry能力を持ったら自分の住みやすい様に境界いじると思う。
まぁ結論はゆかりんかわいいよ
妄想設定の連続で考察にもなってませんし。読んでいて何の面白さも感じません。
ありがとうございます。
過去作のレミリアの話では本当はゆかりんの戦闘も書きたかったのですが、
不必要ではないかということでお蔵入りしたんですよね…いつかゆかりんの戦闘も書いてみたいものです。
>ゆかりんが本気になったら~
自分は妄想と現実の境界を弄って駄目人間に(以下略
>ギャグで締めて~
えっと…ちょっと色々な意味でびっくりしました。
そうですね、言われてみるとこの話は紫最強をごり押ししたいだけの話に読めますね。
成る程…凄く感心しました。ご指摘ありがとうございます。
最強設定の詳細が微に入り細に渡ればそれだけオチの衝撃が大きくなる、そう考えられての構築作業だというのは読んでいてとても良く解りましたよ。面白かったです。
それよりも・・・自重しろよおぜう様
最後のゆかりんが可愛いw