「ねえ、お姉ちゃん」
「なんですか、こいし」
「お姉ちゃんは愚かだね」
「何故?」
「お姉ちゃんは第三の目を閉じないもの。私のように、逃げることを知らないもの」
「逃げることだけが全ての問題を解決するわけではないのよ」
「でも、お姉ちゃんは愚かだね」
「ここで逃げることは簡単よ。でも、逃げてしまえば今までの私と、父と母とあなたの思いはどうなるの?」
「そんなの知らないわ。思いなんてぐちゃぐちゃにしてゴミにしてしまえばいいの」
「ゴミにしてしまえば、もう会うことはできませんよ」
「だからお姉ちゃんは愚かなの」
「愚かかもしれません。あなたが言うのなら」
「お姉ちゃんはそれでいて馬鹿なんだ」
「馬鹿なのかもしれません。あなたが言うのなら」
「私が死んだら、お姉ちゃんは私の思いをゴミにしてくれる?」
「しません。ゴミに出すのも惜しいもの」
「じゃあお姉ちゃんが死んでもゴミにしない」
「それなら嬉しいわね」
「お姉ちゃん」
「なに」
「大好き」
「ええ、私も」
――最後の言葉だけは、本心だったらしい。
セリフ回しが良い感じでよかった。