「暑いなぁ。霖之助さん、クーラーつけて?」
僕の耳に従業員の要望が届いた。その従業員の菫子君は、僕が営んでいるお店、香霖堂にて出来高払いで雇っている。
「もうお客ではないのだから、そんなに優遇することはないよ。なんなら自分で手回し充電器を使ってクーラーを稼働させてくれないかい?」
「回すほうが暑いんだよ。あ! 以前みたいに外を冬にすれば? いや、寒すぎるのは過剰かな……うーん、丁度いいの丁度いいの? そう! ボードゲームを私のスマホに差し込む!」
幻想郷の夏は今年も暑い。その暑さに菫子君は参ったに違いない。それにしても菫子君が外の人間だからなのか、些細な変化でも元に戻そうとする傾向が強い。自然を自然のままで接するより制御するほうが好みなのだろうか。
「白くするのは目じゃなくて洗濯物にして?」
そう彼女は訴えつつ、お店に置きっぱなしにされたボードゲームをカウンターまで引っ張ってきた。そして、文字通りカウンターに置かれたスマートフォンに、ボードゲームを物理的にも差し込んだ。
たまに菫子君は可笑しなことをやってのける。これも超能力だとタネを明かしてくれたが、僕は彼女が自身の中に、もうひとつの幻想郷を形成したものと捉えている。
「超能力は超越する能力。ぶっちゃければ、なんやかんや端折ってるに尽きる。どんなご都合主義でも展開できる私の選択は、ボードゲームのマップを魔法の森に展開させよう! ってね?」
今の彼女はとても活き活きしている。その反面、想像される今後の展開は想像通りではなかった。一体、彼女は何をしたかったのだろう。幻想郷は尚も暑い。
「勢いでやったせいでガバエイムでした。魔法の森を変えることで、その恩恵を得ようとしたのに、博麗神社のほうにボードゲームが影響しちゃった。次は上手くやるね?」
「言葉通りなら霊夢に怒られるのが火を見るよりも明らかだが、本当に周りが変化するのかい?」
周りの環境を一変させるのは、これまでの異変で何度か体感した。彼女も極端なことをすれば漏れなく、異変を解決する側から倒されるだろう。ここは年長者としてあまり過激なことをしないよう諫めなければならない。
「するする。PONと建物を置くように配置されるの。シミュレーションゲームを想像すれ……って霖之助さんには通じないか」
「今の説明で十分だよ。君のスマートフォンの画面を見れば判る。表示されているのは幻想郷の地図で、たしかに博麗神社の周りに見たことがあるボードゲームが展開しているね。これは、すぐに元に戻せないのかい?」
「大丈夫。すぐに戻せるから戻してないの。永続的でもないから本当に効果を期待するなら頼りないかなーって感じ。あのときのカードと同じように考えられるよ?」
「市場の神様が関与していたという、あの不思議なカードのことかい? それはそうとボードゲームは戻すなり新しいのを持ってくるなりしないと、もう次がないはずだよ」
「え? あ、うん。ガバエイムは暑さのせいだ。何より暑いのが悪い……そうだ。カード! あれ以来、私も持ち歩いてるから使ってみよっと」
「僕の記憶が正しければ、すでにカードの効力は失われたはずだが。だからこそ、処分品として君への対価になったんだ」
聞いた話では一応、売買取引後に効力が一時的に戻るらしい。だからといって実用的かと問えばそうではない。それでも、幻想郷全土に出回った不思議なカードは縮小することなく、逆に種類を増やしているとのことだ。買いもの好きも後押ししていることだろう。そう考えているうちに菫子君がカバンからカードを取り出している。
「汎用性の高い超能力を込めれば、カードに込められた効果を再び発動できるよ? 幻想郷で起こされる能力は全てプラズ……超能力で説明できる!」
カウンターのうえにカードが並べられていく。僕の目で見た限り、目まぐるしいほどにカードの種類が多様だ。素直に収集癖がくすぐられると言える。
「カード自慢をしているわけではないのだろう? 本当にたくさん並べたね。考え得るにどのカードを使っていいか迷ったと見える」
「その通り! 適温適湿で涼しいにするなら難易度ルナティックだからね。このスマホにカードを差し込むだけだから霖之助さんもテキトーにやってみて?」
適当とは適切ということだ。すでにボードゲームの件から目を背けることにはなるが、適切に僕のお店が涼しくなるなら躊躇う理由はない。カード自体もこれまでの経過から鑑みれば危険視しないでいいと判る。
そこで気温を下げる目的に絞り、ざっと見渡した。まだ該当するカードが多数ある。間接的に効果を発揮させるまで視野にするなら、もっと選択肢が広がっていく。
「菫子君、ここに変則化のカードがある。純化の逆で力を分散あるいはランダム化させるのは、どうだろうか。いずれかのカードの効果を極端に発現させることがなくなるのではないかい?」
「ああ、そういう考えも……って変則化のカード? 誰のだろう。正体不明だなぁ。私が知らない人のかも。まあ誰でもいいか。重要なのは次に何を持ってくるかってこと。というわけで場所カード『魔法の森』と併せて試そっと」
魔法の森は僕のお店から目先にある。変化があれば否が応でも判るだろう。それから、菫子君がスマートフォンに差し込んだ『魔法の森』というカードは木漏れ日が差す森の中を描いている。少なくとも寒さをもたらす冬ではないことは確実だ。
「ひとまず窓を開けてみよっ。あれこれ考えるより観測したほうが早いってね。うわっぷっ!」
外は風が強いようだ。菫子君が窓を開けた瞬間、彼女の髪が吹き上げられた。ただ、カードなど関係なく突風が起こっただけとも受け取れた。はたして彼女の中では成功だったのだろうか。
元も子もない話だが、ここまでするなら素直にクーラーを稼働させればいいのでは? とは思えるものの、今の彼女の姿こそが素直な行動による表れだと言える。
「観測できない。よく分からない。出てきたはずのデータを読み取れないって悔しいなぁ」
「一体、何をしたかったんだい? とりあえず君の口から解説してもらえると助かる」
「魔法の森に意志を持たせられないかなーって。森の中心から巨人とか出る? とか期待したの。ほら、話をして気温調整を頼もうという魂胆で。ただし、魔法の森が寡黙な性格だったら反応薄いよねって……そゆこと?」
「僕に聞かれても困る。それはそうと、あまり過激なことをしていると霊夢から何か言われはしないかい?」
「だいじょぶだいじょぶ。きっと私のこと忘れてるから、すぐに私が候補に上がることはない、ない。亀も猫も小人のことも、きっと忘れてるわ」
「それはそれで淋しくないのかい?」
「ヘビーじゃないよ。軽く考えて? さて、次は後ろ戸のカードを追加しよ。ちなみに『魔法の森』カードは場所のカードで、今度は出来事のカードに当たるんだ」
彼女は忘れられることを軽く考えているのか。生きていくうえでは致命的だろうに。それに、たとえ彼女の存在が忘れられていようとも、異変が起こったならば巫女は血相を変えて飛んでくるだろう。
「お、涼しい! 若干冷たい風が来てるよ。成功? 魔法の森が冬の装いに変わってきた。問題はここから」
ああ覚えている。僕が孤独をこれでもかと味わわされた異変だ。彼女はそれを掘り起こそうというのだろうか。いや、そんな気はないだろうが、僕の脳裏はそれで一杯だ。まだ冬の冷たい風がこちらまで来ていないというのに、すでに僕の心には隙間風が吹いている。
「魔法の森さーん! こんにちはー! できれば暖冬にしてもらえると助かりまー!」
彼女が呼びかけた。一応、聞いていた通りの計画から外れてはいないが、その様は常識からは外れているものと捉えられた。
「狙い通りなら暖冬になって雪が降らない涼しい感じになるんだけど、どうだろう。ちゃんと声は届いたかな」
「人間相手なら頭部の縁に耳があるが、相手は魔法の森だからね。拡声器を使うとか? もしくは上空を飛んで話しかけてみるなどでもいい」
「そう! ……答えは念話。聞こえますか? 今、私が貴方に話しかけています」
勢い良く、そう! と同意されて梯子を外された。おそらく彼女の中で考えたことが弾けたのだろう。『話しかけています』以降は彼女の口から声が漏れることはない。
今さらだが僕のほうにも、やや冷たいと感じる程度の空気が舞い込んできた。また薪ストーブを引っ張り出す羽目になるのは勘弁だが、ボードゲームと同じく取り外し可能なはずだ。そう願おう。
「森が騒がしくなった。なぜ?」
「森とのコンタクトは上手く行ったかい? できればそろそろ設定温度を上げてほしい」
「相手は地味声でも気さくな方だったんだけど、途中からテンション爆上げ? 調整どころじゃなくなっちゃった。あれれー? おかしいぞー? 的な? いや誤用だわ」
何やら計算が狂ったのだろう。人は横着すると思わぬ失敗を招きかねない。典型的な展開とも捉えられる。
そういうことなら次、僕が彼女に取ってもらう行動は決まっている。
——香霖堂の屋外。菫子君が爆散する姿が目に焼きついた。
今日は霊夢が異変解決する場面を間近で見た。菫子君には悪いが、これも納涼と腹に納めておこう。
ことの顛末については、菫子君がボロボロになりながらも説明してくれた。
意思を与えた先が魔法の森だけに留まらず、出来事のカード『後ろ戸の異変』にまで意思を持たせてしまったらしい。そうして、さらに『後ろ戸の異変』が後ろ戸を開き、制御不能に陥ったとのことだった。
始めは魔法の森にだけ後ろ戸を開けさせる予定だったとか。いやはやなんとも擁護しがたいものだった。
僕の耳に従業員の要望が届いた。その従業員の菫子君は、僕が営んでいるお店、香霖堂にて出来高払いで雇っている。
「もうお客ではないのだから、そんなに優遇することはないよ。なんなら自分で手回し充電器を使ってクーラーを稼働させてくれないかい?」
「回すほうが暑いんだよ。あ! 以前みたいに外を冬にすれば? いや、寒すぎるのは過剰かな……うーん、丁度いいの丁度いいの? そう! ボードゲームを私のスマホに差し込む!」
幻想郷の夏は今年も暑い。その暑さに菫子君は参ったに違いない。それにしても菫子君が外の人間だからなのか、些細な変化でも元に戻そうとする傾向が強い。自然を自然のままで接するより制御するほうが好みなのだろうか。
「白くするのは目じゃなくて洗濯物にして?」
そう彼女は訴えつつ、お店に置きっぱなしにされたボードゲームをカウンターまで引っ張ってきた。そして、文字通りカウンターに置かれたスマートフォンに、ボードゲームを物理的にも差し込んだ。
たまに菫子君は可笑しなことをやってのける。これも超能力だとタネを明かしてくれたが、僕は彼女が自身の中に、もうひとつの幻想郷を形成したものと捉えている。
「超能力は超越する能力。ぶっちゃければ、なんやかんや端折ってるに尽きる。どんなご都合主義でも展開できる私の選択は、ボードゲームのマップを魔法の森に展開させよう! ってね?」
今の彼女はとても活き活きしている。その反面、想像される今後の展開は想像通りではなかった。一体、彼女は何をしたかったのだろう。幻想郷は尚も暑い。
「勢いでやったせいでガバエイムでした。魔法の森を変えることで、その恩恵を得ようとしたのに、博麗神社のほうにボードゲームが影響しちゃった。次は上手くやるね?」
「言葉通りなら霊夢に怒られるのが火を見るよりも明らかだが、本当に周りが変化するのかい?」
周りの環境を一変させるのは、これまでの異変で何度か体感した。彼女も極端なことをすれば漏れなく、異変を解決する側から倒されるだろう。ここは年長者としてあまり過激なことをしないよう諫めなければならない。
「するする。PONと建物を置くように配置されるの。シミュレーションゲームを想像すれ……って霖之助さんには通じないか」
「今の説明で十分だよ。君のスマートフォンの画面を見れば判る。表示されているのは幻想郷の地図で、たしかに博麗神社の周りに見たことがあるボードゲームが展開しているね。これは、すぐに元に戻せないのかい?」
「大丈夫。すぐに戻せるから戻してないの。永続的でもないから本当に効果を期待するなら頼りないかなーって感じ。あのときのカードと同じように考えられるよ?」
「市場の神様が関与していたという、あの不思議なカードのことかい? それはそうとボードゲームは戻すなり新しいのを持ってくるなりしないと、もう次がないはずだよ」
「え? あ、うん。ガバエイムは暑さのせいだ。何より暑いのが悪い……そうだ。カード! あれ以来、私も持ち歩いてるから使ってみよっと」
「僕の記憶が正しければ、すでにカードの効力は失われたはずだが。だからこそ、処分品として君への対価になったんだ」
聞いた話では一応、売買取引後に効力が一時的に戻るらしい。だからといって実用的かと問えばそうではない。それでも、幻想郷全土に出回った不思議なカードは縮小することなく、逆に種類を増やしているとのことだ。買いもの好きも後押ししていることだろう。そう考えているうちに菫子君がカバンからカードを取り出している。
「汎用性の高い超能力を込めれば、カードに込められた効果を再び発動できるよ? 幻想郷で起こされる能力は全てプラズ……超能力で説明できる!」
カウンターのうえにカードが並べられていく。僕の目で見た限り、目まぐるしいほどにカードの種類が多様だ。素直に収集癖がくすぐられると言える。
「カード自慢をしているわけではないのだろう? 本当にたくさん並べたね。考え得るにどのカードを使っていいか迷ったと見える」
「その通り! 適温適湿で涼しいにするなら難易度ルナティックだからね。このスマホにカードを差し込むだけだから霖之助さんもテキトーにやってみて?」
適当とは適切ということだ。すでにボードゲームの件から目を背けることにはなるが、適切に僕のお店が涼しくなるなら躊躇う理由はない。カード自体もこれまでの経過から鑑みれば危険視しないでいいと判る。
そこで気温を下げる目的に絞り、ざっと見渡した。まだ該当するカードが多数ある。間接的に効果を発揮させるまで視野にするなら、もっと選択肢が広がっていく。
「菫子君、ここに変則化のカードがある。純化の逆で力を分散あるいはランダム化させるのは、どうだろうか。いずれかのカードの効果を極端に発現させることがなくなるのではないかい?」
「ああ、そういう考えも……って変則化のカード? 誰のだろう。正体不明だなぁ。私が知らない人のかも。まあ誰でもいいか。重要なのは次に何を持ってくるかってこと。というわけで場所カード『魔法の森』と併せて試そっと」
魔法の森は僕のお店から目先にある。変化があれば否が応でも判るだろう。それから、菫子君がスマートフォンに差し込んだ『魔法の森』というカードは木漏れ日が差す森の中を描いている。少なくとも寒さをもたらす冬ではないことは確実だ。
「ひとまず窓を開けてみよっ。あれこれ考えるより観測したほうが早いってね。うわっぷっ!」
外は風が強いようだ。菫子君が窓を開けた瞬間、彼女の髪が吹き上げられた。ただ、カードなど関係なく突風が起こっただけとも受け取れた。はたして彼女の中では成功だったのだろうか。
元も子もない話だが、ここまでするなら素直にクーラーを稼働させればいいのでは? とは思えるものの、今の彼女の姿こそが素直な行動による表れだと言える。
「観測できない。よく分からない。出てきたはずのデータを読み取れないって悔しいなぁ」
「一体、何をしたかったんだい? とりあえず君の口から解説してもらえると助かる」
「魔法の森に意志を持たせられないかなーって。森の中心から巨人とか出る? とか期待したの。ほら、話をして気温調整を頼もうという魂胆で。ただし、魔法の森が寡黙な性格だったら反応薄いよねって……そゆこと?」
「僕に聞かれても困る。それはそうと、あまり過激なことをしていると霊夢から何か言われはしないかい?」
「だいじょぶだいじょぶ。きっと私のこと忘れてるから、すぐに私が候補に上がることはない、ない。亀も猫も小人のことも、きっと忘れてるわ」
「それはそれで淋しくないのかい?」
「ヘビーじゃないよ。軽く考えて? さて、次は後ろ戸のカードを追加しよ。ちなみに『魔法の森』カードは場所のカードで、今度は出来事のカードに当たるんだ」
彼女は忘れられることを軽く考えているのか。生きていくうえでは致命的だろうに。それに、たとえ彼女の存在が忘れられていようとも、異変が起こったならば巫女は血相を変えて飛んでくるだろう。
「お、涼しい! 若干冷たい風が来てるよ。成功? 魔法の森が冬の装いに変わってきた。問題はここから」
ああ覚えている。僕が孤独をこれでもかと味わわされた異変だ。彼女はそれを掘り起こそうというのだろうか。いや、そんな気はないだろうが、僕の脳裏はそれで一杯だ。まだ冬の冷たい風がこちらまで来ていないというのに、すでに僕の心には隙間風が吹いている。
「魔法の森さーん! こんにちはー! できれば暖冬にしてもらえると助かりまー!」
彼女が呼びかけた。一応、聞いていた通りの計画から外れてはいないが、その様は常識からは外れているものと捉えられた。
「狙い通りなら暖冬になって雪が降らない涼しい感じになるんだけど、どうだろう。ちゃんと声は届いたかな」
「人間相手なら頭部の縁に耳があるが、相手は魔法の森だからね。拡声器を使うとか? もしくは上空を飛んで話しかけてみるなどでもいい」
「そう! ……答えは念話。聞こえますか? 今、私が貴方に話しかけています」
勢い良く、そう! と同意されて梯子を外された。おそらく彼女の中で考えたことが弾けたのだろう。『話しかけています』以降は彼女の口から声が漏れることはない。
今さらだが僕のほうにも、やや冷たいと感じる程度の空気が舞い込んできた。また薪ストーブを引っ張り出す羽目になるのは勘弁だが、ボードゲームと同じく取り外し可能なはずだ。そう願おう。
「森が騒がしくなった。なぜ?」
「森とのコンタクトは上手く行ったかい? できればそろそろ設定温度を上げてほしい」
「相手は地味声でも気さくな方だったんだけど、途中からテンション爆上げ? 調整どころじゃなくなっちゃった。あれれー? おかしいぞー? 的な? いや誤用だわ」
何やら計算が狂ったのだろう。人は横着すると思わぬ失敗を招きかねない。典型的な展開とも捉えられる。
そういうことなら次、僕が彼女に取ってもらう行動は決まっている。
——香霖堂の屋外。菫子君が爆散する姿が目に焼きついた。
今日は霊夢が異変解決する場面を間近で見た。菫子君には悪いが、これも納涼と腹に納めておこう。
ことの顛末については、菫子君がボロボロになりながらも説明してくれた。
意思を与えた先が魔法の森だけに留まらず、出来事のカード『後ろ戸の異変』にまで意思を持たせてしまったらしい。そうして、さらに『後ろ戸の異変』が後ろ戸を開き、制御不能に陥ったとのことだった。
始めは魔法の森にだけ後ろ戸を開けさせる予定だったとか。いやはやなんとも擁護しがたいものだった。