「どうも、仙人さま。
ごきげんよう」
「あら、あなたは冥界の……」
その日、人里で多くの人が並ぶ行列があった。
その中にある顔ぶれがいる。
一人は冥界の姫と言われる西行寺幽々子。もう一人は仙人と称される茨華仙こと茨木華扇。
「あなたも、目的は同じと考えて相違ないでしょうか?」
「ええ。そちらこそ?」
「もちろん。
……それにしても、ふふっ」
「何か?」
「いえ。
仙人とは質素を美徳とし、俗世の穢を捨て去るものかと思っていて」
「それは正しいです。
しかしながら、幽々子さん。世の中にはこんな言葉があるのをご存知でしょうか?」
「それは?」
「『それはそれ、これはこれ』」
「……確かに」
含蓄深いんだかいい加減極まりねぇ会話なのかいまいちわからない会話が繰り広げられた後、その列並びが動き始める。
「あら、始まるようね」
「ええ、どうやらそのようです」
二人の視線が前方に向かう。
そこには、こんな文字が並んでいた。
『第15回 人里甘味処祭』
――と。
人里甘味処祭とはいかなるものなのか?
それは、この人里――幻想郷に存在する、人間の住まう地区――で年に一度行われる、甘味処を経営するものたちが寄り集まって開催する、一大イベントである。
居並ぶ店の軒先には、彼ら彼女らが工夫をこらして作り上げた『この日限定』の甘味が並ぶ。
しかもお値段格安。ぶっちゃけ利益度外視。
それを求めて、老若男女の甘いもの好きが集う、幻想郷でもトップクラスに有名な祭りである。
「このお団子と大福、おもち、それからもなかにおまんじゅうに……あら? これ、今まで見かけなかったわね。これちょうだい」
「これとこれとこれとこれとそれ、あと、……あっ! 去年、目の前で売り切れになった練あんだんご! しかも、今年はさらに練り込まれた新作に!? これください!」
そこの軒先を渡り、片っ端からお菓子食べまくる二人の女。
言わずと知れた、幽々子と華扇の二人である。
この二人、里では有名であった。
幽々子は『こいつが来たら気をつけろ。店のもの全てを食い尽くされる。だが、金払いはとてもいい。最高の上客だ。決して機嫌を損ねず丁重に扱え』と。
華扇は『この仙人さまの仰ることに気をつけろ。仙人さまに見放された時、その店は潰れる運命にあるのだ』と言われている。
共に『人里屈指の上客』である。
それ故に、警戒をされている存在でもあるのだが。
「おい、仙人さまがいらっしゃったぞ」
「こっちには幽々子さまだ」
「新作を『美味しい』と言ってもらえたぞ!」
「俺なんて『これは今ひとつ。もう少し精進するように』って言われたぜ……」
――などなど。
そんな感じで、会場練り歩く二人は、
「そう言えば、幽々子さん。いつも連れている、あの小さな子は?」
「妖夢は今回、永遠亭に預けてきました。
連れてこようと思ったのですけれど、季節の変わり目のせいか、少し風邪気味で」
「まあ、大変」
「ちゃんとお土産を持っていってあげないと」
「優しいですね」
「あの子も子供ですから。こういうお菓子は大好きなんです」
そう言って買っていく『妖夢へのお土産』はどう見ても一人で食べ切れる量ではない。
なお、その『妖夢』の名誉のために言っておくと、その人物は大食い人間というわけではない。むしろ年相応、見た目相応の食欲の持ち主である。
ならば、これだけの量を誰が食べるのかというと――、
「馬鹿な……!
チャレンジメニューの『五十人前大福』を一人で……だと……!?」
片手に、人間の頭ほどの大きさの大福を持って、それをぺろりと平らげる、この西行寺幽々子である。
要するに『自分の食べたいものと、あとついでに妖夢の分』を買っているのにすぎないのである、このお嬢様は。
「あなたも、色々と購入されているようですけれど」
「霊夢のところに持っていくものと、あと、自分の家に置いておくものと。
やはり祭り限定のものは、なるべく多く、そして長く味わっておきたいものでしょう?」
「全くですね」
片手にどっさり、お菓子を詰め込み、したり顔の華扇。なお、その右手にはチョコバナナ。
「おや?」
二人は肩を並べて道を歩き、曲がり角を左手に曲がったところで足を止める。
「彼女は」
そこに、一人の少女の後ろ姿を見つける。
「じー……」
彼女の目の前には、綿菓子を作っているお店。
それをじっと眺めるその後姿に、華扇が「どうしたのですか?」と声をかける。
「わっ」
驚いたのか、声を上げて、彼女は少しだけ足を後ろに下げる。
彼女の名前は秦こころ。こんな見た目であるが、妖怪である。
「お知り合いですか?」
「ええ。以前、少し」
幽々子が『ふぅん』とうなずいて目の前の少女を見る。
小柄な子供。顔に表情はあまりなく、そこにお面をかけている。そのお面が何やら『顔』を変えると、
「華扇さん。……と」
「西行寺幽々子と申します」
「初めまして。秦こころです」
ぺこりと礼儀正しく頭を下げる彼女に、幽々子が『ごきげんよう』と笑いかける。
「こころ。あなたはここで何を?」
「えっと……」
華扇の問いかけに、こころは後ろを振り向く。
そこにはふわふわもこもこの綿菓子。
「……じー」
どうやら食べたいらしい。
華扇は肩をすくめると、「すいません。綿菓子を一つ」とそれを購入し、こころに渡してやった。
「ありがとうございます。ぱく」
お礼もそこそこに綿菓子もぐもぐするこころ。
彼女を見て、華扇は「お金は持ってないの?」と問いかける。
「……先日、滑って転んで落としてしまいました」
「まあ」
そこで、彼女の頭にかかってるお面が『悲しみ』を表現するものに変わる。
ちなみに本人の顔はそれほど変化はない。
この妖怪、このように、感情は豊かなのだが表情に乏しい、何ともよくわからない妖怪なのだ。
「幸い、ご飯を食べる分はあるのですけれど、こういうのは……」
と、そこでまた何かに興味を惹かれたのか、『じー』と何かを見る。
視線の先には『たい焼き』の文字。
「食べますか?」
うんうん、とうなずくこころ。
華扇は肩をすくめて、
「すいません。たい焼きを」
とたい焼きを買ってこころに手渡してやる。
「うれしいです。もぐもぐ」
何のためらいもなく、たい焼きにかぶりつくこころ。
ふと思って、華扇はまた近くの店から、甘くて美味しい果物をふんだんに使って作った『フルーツゼリー』を購入する。
「……!」
たい焼きもぐもぐしていたこころが、華扇の手にしたゼリーに視線を向けた。
「……」
それを右に振ると右に、左に振ると左にこころの視線が泳ぐ。
「……」
器を逆さまにして、落ちないように注意しながらこころの頭上にそれを持っていくと、こころが『あ~ん』と口を開けて、また左右にふらふら。
「……」
――……やばい。楽しい。
華扇の心に芽生えた感情はそれであった。
この少女の『餌付け』が何かやたらと楽しかった。
「はい」
「もぐもぐ」
散々遊んだ後、それを手渡してやると、美味しそうにもぐもぐするこころ。
「ふむ。なるほど。
あなた、なかなか見どころがありそうね」
ここで幽々子は別のものをこころの中に見出したらしい。
彼女は『ついてきなさい』とこころを連れて歩いて行く。
そして、ある一軒の店――『祭り限定 大盛りクリームあんみつ』を売っている店へとこころを連れてくる。
「食べてみる?」
こころに手渡されるのは、通常のクリームあんみつの三倍の大きさを持つクリームあんみつ。
上に載せられたソフトクリームや白玉、盛り付けられている果物は、主にいちごなどを使ったものとなっており、鮮やかな赤が特徴的だ。
「頂きます」
渡されたそれを、スプーン片手にひょいぱくひょいぱく。
およそ十分ほどでそれを平らげて、『ごちそうさまでした』とこころ。
「……なるほど」
幽々子は何やら満足した様子でうなずき、こころの肩を叩く。
「あなたを、認めるわ」
よくわからない一言であった。
こころは小首をかしげながらも、『……はい。ありがとうございます』と、お礼をいうのを忘れない。
一応、あんみつおごってもらったのだ。お礼はきちんと言わなくてはいけないのだ。
「こころ。これはどうかしら?」
「あーん」
「はい」
「もぐもぐ。ごっくん」
「こころ。次はこれよ」
「ぱくぱく。ぺろり」
――こうして、二人のお姉さんによる、一人の少女の『餌付け』は続いた。
行く店行く店でこころは美味しいお菓子をお腹いっぱい食べることが出来、祭りが終わる頃、『満足』といった表情(お面)で二人に頭を下げ、去っていった。
華扇は言う。
「彼女、なかなかいいわね」
幽々子は言う。
「我が後継者、決まったようね」
夕暮れの街に、長く残る影法師。
幻想郷の新たな歴史が始まる、まさに第一歩がそこにあった。
「こころちゃんって、結構、食いしん坊だよね」
「古明地こいし。あなたに言われたくない」
「そうかな?」
「そうよ」
「そっか」
「そう」
「そうだね」
「そうそう」
「そうしよう」
「そういうこと」
「どういうこと?」
「知らない」
「どうして?」
「それをわたしに聞かないで」
「こいしちゃんもわからない」
「わからないこと人に聞かないで」
「何で?」
「何ででも」
「どうして?」
「どうしてでも」
「ケチ」
「ケチじゃない」
「ぷー」
「膨れても知らない」
「えい」
「とう」
「やあ」
「このこの」
「ていてい」
「やあやあ」
「はいはい、ふたりとも。ケンカしないの。
おやつがあるけれど、食べる?」
『食べる!』
ごきげんよう」
「あら、あなたは冥界の……」
その日、人里で多くの人が並ぶ行列があった。
その中にある顔ぶれがいる。
一人は冥界の姫と言われる西行寺幽々子。もう一人は仙人と称される茨華仙こと茨木華扇。
「あなたも、目的は同じと考えて相違ないでしょうか?」
「ええ。そちらこそ?」
「もちろん。
……それにしても、ふふっ」
「何か?」
「いえ。
仙人とは質素を美徳とし、俗世の穢を捨て去るものかと思っていて」
「それは正しいです。
しかしながら、幽々子さん。世の中にはこんな言葉があるのをご存知でしょうか?」
「それは?」
「『それはそれ、これはこれ』」
「……確かに」
含蓄深いんだかいい加減極まりねぇ会話なのかいまいちわからない会話が繰り広げられた後、その列並びが動き始める。
「あら、始まるようね」
「ええ、どうやらそのようです」
二人の視線が前方に向かう。
そこには、こんな文字が並んでいた。
『第15回 人里甘味処祭』
――と。
人里甘味処祭とはいかなるものなのか?
それは、この人里――幻想郷に存在する、人間の住まう地区――で年に一度行われる、甘味処を経営するものたちが寄り集まって開催する、一大イベントである。
居並ぶ店の軒先には、彼ら彼女らが工夫をこらして作り上げた『この日限定』の甘味が並ぶ。
しかもお値段格安。ぶっちゃけ利益度外視。
それを求めて、老若男女の甘いもの好きが集う、幻想郷でもトップクラスに有名な祭りである。
「このお団子と大福、おもち、それからもなかにおまんじゅうに……あら? これ、今まで見かけなかったわね。これちょうだい」
「これとこれとこれとこれとそれ、あと、……あっ! 去年、目の前で売り切れになった練あんだんご! しかも、今年はさらに練り込まれた新作に!? これください!」
そこの軒先を渡り、片っ端からお菓子食べまくる二人の女。
言わずと知れた、幽々子と華扇の二人である。
この二人、里では有名であった。
幽々子は『こいつが来たら気をつけろ。店のもの全てを食い尽くされる。だが、金払いはとてもいい。最高の上客だ。決して機嫌を損ねず丁重に扱え』と。
華扇は『この仙人さまの仰ることに気をつけろ。仙人さまに見放された時、その店は潰れる運命にあるのだ』と言われている。
共に『人里屈指の上客』である。
それ故に、警戒をされている存在でもあるのだが。
「おい、仙人さまがいらっしゃったぞ」
「こっちには幽々子さまだ」
「新作を『美味しい』と言ってもらえたぞ!」
「俺なんて『これは今ひとつ。もう少し精進するように』って言われたぜ……」
――などなど。
そんな感じで、会場練り歩く二人は、
「そう言えば、幽々子さん。いつも連れている、あの小さな子は?」
「妖夢は今回、永遠亭に預けてきました。
連れてこようと思ったのですけれど、季節の変わり目のせいか、少し風邪気味で」
「まあ、大変」
「ちゃんとお土産を持っていってあげないと」
「優しいですね」
「あの子も子供ですから。こういうお菓子は大好きなんです」
そう言って買っていく『妖夢へのお土産』はどう見ても一人で食べ切れる量ではない。
なお、その『妖夢』の名誉のために言っておくと、その人物は大食い人間というわけではない。むしろ年相応、見た目相応の食欲の持ち主である。
ならば、これだけの量を誰が食べるのかというと――、
「馬鹿な……!
チャレンジメニューの『五十人前大福』を一人で……だと……!?」
片手に、人間の頭ほどの大きさの大福を持って、それをぺろりと平らげる、この西行寺幽々子である。
要するに『自分の食べたいものと、あとついでに妖夢の分』を買っているのにすぎないのである、このお嬢様は。
「あなたも、色々と購入されているようですけれど」
「霊夢のところに持っていくものと、あと、自分の家に置いておくものと。
やはり祭り限定のものは、なるべく多く、そして長く味わっておきたいものでしょう?」
「全くですね」
片手にどっさり、お菓子を詰め込み、したり顔の華扇。なお、その右手にはチョコバナナ。
「おや?」
二人は肩を並べて道を歩き、曲がり角を左手に曲がったところで足を止める。
「彼女は」
そこに、一人の少女の後ろ姿を見つける。
「じー……」
彼女の目の前には、綿菓子を作っているお店。
それをじっと眺めるその後姿に、華扇が「どうしたのですか?」と声をかける。
「わっ」
驚いたのか、声を上げて、彼女は少しだけ足を後ろに下げる。
彼女の名前は秦こころ。こんな見た目であるが、妖怪である。
「お知り合いですか?」
「ええ。以前、少し」
幽々子が『ふぅん』とうなずいて目の前の少女を見る。
小柄な子供。顔に表情はあまりなく、そこにお面をかけている。そのお面が何やら『顔』を変えると、
「華扇さん。……と」
「西行寺幽々子と申します」
「初めまして。秦こころです」
ぺこりと礼儀正しく頭を下げる彼女に、幽々子が『ごきげんよう』と笑いかける。
「こころ。あなたはここで何を?」
「えっと……」
華扇の問いかけに、こころは後ろを振り向く。
そこにはふわふわもこもこの綿菓子。
「……じー」
どうやら食べたいらしい。
華扇は肩をすくめると、「すいません。綿菓子を一つ」とそれを購入し、こころに渡してやった。
「ありがとうございます。ぱく」
お礼もそこそこに綿菓子もぐもぐするこころ。
彼女を見て、華扇は「お金は持ってないの?」と問いかける。
「……先日、滑って転んで落としてしまいました」
「まあ」
そこで、彼女の頭にかかってるお面が『悲しみ』を表現するものに変わる。
ちなみに本人の顔はそれほど変化はない。
この妖怪、このように、感情は豊かなのだが表情に乏しい、何ともよくわからない妖怪なのだ。
「幸い、ご飯を食べる分はあるのですけれど、こういうのは……」
と、そこでまた何かに興味を惹かれたのか、『じー』と何かを見る。
視線の先には『たい焼き』の文字。
「食べますか?」
うんうん、とうなずくこころ。
華扇は肩をすくめて、
「すいません。たい焼きを」
とたい焼きを買ってこころに手渡してやる。
「うれしいです。もぐもぐ」
何のためらいもなく、たい焼きにかぶりつくこころ。
ふと思って、華扇はまた近くの店から、甘くて美味しい果物をふんだんに使って作った『フルーツゼリー』を購入する。
「……!」
たい焼きもぐもぐしていたこころが、華扇の手にしたゼリーに視線を向けた。
「……」
それを右に振ると右に、左に振ると左にこころの視線が泳ぐ。
「……」
器を逆さまにして、落ちないように注意しながらこころの頭上にそれを持っていくと、こころが『あ~ん』と口を開けて、また左右にふらふら。
「……」
――……やばい。楽しい。
華扇の心に芽生えた感情はそれであった。
この少女の『餌付け』が何かやたらと楽しかった。
「はい」
「もぐもぐ」
散々遊んだ後、それを手渡してやると、美味しそうにもぐもぐするこころ。
「ふむ。なるほど。
あなた、なかなか見どころがありそうね」
ここで幽々子は別のものをこころの中に見出したらしい。
彼女は『ついてきなさい』とこころを連れて歩いて行く。
そして、ある一軒の店――『祭り限定 大盛りクリームあんみつ』を売っている店へとこころを連れてくる。
「食べてみる?」
こころに手渡されるのは、通常のクリームあんみつの三倍の大きさを持つクリームあんみつ。
上に載せられたソフトクリームや白玉、盛り付けられている果物は、主にいちごなどを使ったものとなっており、鮮やかな赤が特徴的だ。
「頂きます」
渡されたそれを、スプーン片手にひょいぱくひょいぱく。
およそ十分ほどでそれを平らげて、『ごちそうさまでした』とこころ。
「……なるほど」
幽々子は何やら満足した様子でうなずき、こころの肩を叩く。
「あなたを、認めるわ」
よくわからない一言であった。
こころは小首をかしげながらも、『……はい。ありがとうございます』と、お礼をいうのを忘れない。
一応、あんみつおごってもらったのだ。お礼はきちんと言わなくてはいけないのだ。
「こころ。これはどうかしら?」
「あーん」
「はい」
「もぐもぐ。ごっくん」
「こころ。次はこれよ」
「ぱくぱく。ぺろり」
――こうして、二人のお姉さんによる、一人の少女の『餌付け』は続いた。
行く店行く店でこころは美味しいお菓子をお腹いっぱい食べることが出来、祭りが終わる頃、『満足』といった表情(お面)で二人に頭を下げ、去っていった。
華扇は言う。
「彼女、なかなかいいわね」
幽々子は言う。
「我が後継者、決まったようね」
夕暮れの街に、長く残る影法師。
幻想郷の新たな歴史が始まる、まさに第一歩がそこにあった。
「こころちゃんって、結構、食いしん坊だよね」
「古明地こいし。あなたに言われたくない」
「そうかな?」
「そうよ」
「そっか」
「そう」
「そうだね」
「そうそう」
「そうしよう」
「そういうこと」
「どういうこと?」
「知らない」
「どうして?」
「それをわたしに聞かないで」
「こいしちゃんもわからない」
「わからないこと人に聞かないで」
「何で?」
「何ででも」
「どうして?」
「どうしてでも」
「ケチ」
「ケチじゃない」
「ぷー」
「膨れても知らない」
「えい」
「とう」
「やあ」
「このこの」
「ていてい」
「やあやあ」
「はいはい、ふたりとも。ケンカしないの。
おやつがあるけれど、食べる?」
『食べる!』
いっぱい食べる子大好きです。