Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

東方Project VS 仮面ライダー龍騎:第10話 二つの世界

2016/06/05 09:26:03
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「「「ええええ!!」」」

1人を除いて全員が驚きの声を上げる。それはそうだろう。
今まで頭を悩ませていた諸問題の解決方法が見つかったと言うから聞いてみたら、まさか神崎との全面戦争とは。

「いや、いくらなんでもそんな無茶な……」
「状況を踏まえると明らかにこちらが不利だ」
「占うまでもなく無謀だな……」
「紫、お前とうとう……」

次々と否定的意見が挙がり、慧音も可哀想な人を見るような目で紫を見る。

「“とうとう”って何よ“とうとう”って!」

抗議する紫、そして慧音も思わず立ち上がる。

「だってそうだろう!神崎を刺激したら、ミラーモンスターの群れを放つのは目に見えてる。どれだけ被害が出るかわからないのか!」
「わかってますー!とにかくちゃんとした考えならあるから、最後まで聞いてちょうだい!」
「ううむ……なら聞かせてもらおうじゃないか」

内心納得行かない様子で席につく慧音。

「よろしくて?全面戦争とは言ったけど、これはあくまでも陽動。ほんの1,2時間稼げればそれでよし。本命はここからよ」
「本命、とは……?」
「コアミラーの破壊よ」
「コアミラーって、幻想郷のやつですか?」
「そう。外界のコアミラーは現在他のライダーに守られてるし、こっちにもあるんだから危険を冒して手出しに行く必要は無し。
重要なのはなぜ“2つあるか”ってことなの。真司君はお分かり?」

紫は真司に問うてみる。相手の理解を深めるには、あえてわかっていることを聞いてみる事も重要だ。

「そりゃ……外界と幻想郷で世界が2つあるから……じゃないかな、と思います」
「う~ん、ちょっと違うわね。結界で隔てられているだけで、外界も幻想郷も同じ現実世界なの。
少し話は逸れるけど、“面”の定義はご存知?面とは長さと幅のみをもつもの、つまり厚さは存在しないの。
どれだけ薄く磨かれた鏡でも、実際はミクロン単位の厚みがある。でも鏡に写った姿は違う。正真正銘厳密な面。
面というからには裏表があるわよね?現実世界とあなた達が戦っていたミラーワールドは、言ってみれば裏表の存在なの」
「裏表……」
「そんな風に捉えたことはなかったな」
「その視点で見ると、2つのコアミラーがどういう関係かは、もうお分かりよね?」
「コアミラーの、表と裏!?」
「大正解~!手塚君が見つけた守矢神社で見つけたコアミラーは表か裏のどちらかの存在なの。
どっちがどっちかはこの際どうでもいいんだけど、とにかく片方が私達の手の内にあることが重要なわけ」
「なるほど。鏡を表裏どちらから叩いても砕けるように、どちらかのコアミラーを破壊すれば、
もう片方のコアミラーも崩壊し、ミラーワールドは消滅するというわけか」

海之が納得できた事柄を口にする。

「そういうこと。だから、皆で神崎達と戦ってミラーモンスターを守矢神社から遠ざけている隙に、コアミラーをぶっ壊しちゃおうっていう作戦なの」
「ちょ、ちょっと待て!」

慌てて慧音が口を挟む。

「今の理屈でいうと、裏表の片方が消えるともう片方が消滅する。だったな。
では、ミラーワールドと鏡写しになっている現実世界はどうなる。コアミラー同様崩壊してしまうではないか!」
「まさにそのための作戦よ」

霊夢以外が騒然となる。世界を守るための戦いが、世界を破壊するためだと言われて衝撃を受ける。

「一体お前は何がしたいんだ!さっきから皆を混乱させるようなことを!」
「だから少しは落ち着きなさいな。少し長くなるけど、説明するから最後まで聞いてちょうだい。質問は最期にお願いね。いい?
三千世界では古い世界が消滅し、新しい世界が生まれる、ということが毎日繰り返されているの。
ちなみに今この世界ではその兆候は全く無いから安心して。まぁ、そうでなきゃ困るんだけど。
本当に滅びかけてる世界では人が形を保っていられないほどの“ゆらぎ”の嵐が吹き荒れているから。
本題に入るけど、世界には修復力があるの。もしさっき説明した方法で意図的に破壊したとしても、
安定した世界では自動的に本来存在しないはずの余計なもの、すなわちミラーワールドやライダーバトルが振り落とされて、元通りになる。
私が提案しているのはコアミラー破壊によってこれを意図的に起こそうっていうことなの。
はい、ご清聴ありがとう。色々聞きたくてうずうずしている皆さん、何かご質問は?」

しばらくは皆、唖然として言葉が出なかったが、やがて1人が手を上げた。真司だった。

「あー“さんぜんせかい”って何ですか?」

紫の代わりに海之が答える。

「ざっくり言うと、仏教用語で10億個の世界を意味している。本来平行世界は無限にあるとされているけど、紫さんは膨大な数の世界を例えて使ったんだろう」
「な、るほど……無限の世界ね。うん、わかった!」
「海之君助かるわ~どうやってわかりやすく噛み砕こうかちょっと困ってたの」
「再生のための破壊、か。強引だが理には適っているな」

紫の意図は理解できた様子の蓮。今度は慧音が手を上げる。

「た、確かにやりたいことは分かった。だが、それにリスクはないのか?」
「それはありますわ。世界が再構築されるときに何らかのイレギュラーが発生して失敗する可能性がゼロになることはないの。
例えば、ミラーワールドやライダーバトルがなくなって、それに起因する問題点も消滅して、
恵里さんは健康そのもので、みんなも普通の生活を送るようになってめでたしめでたし、って結末になるかもしれないし、
再構築の際エラーを起こした世界が、連鎖的に他の世界も崩壊させて無人の荒野になり果てる可能性も完全に否定はできないの。
でもさっきも言ったように、この世界は“若い”からそんな確率は、ほぼゼロに等しいけどね」
「しかし、いくら無視できるレベルとは言え、世界崩壊の危険が潜んでいるとなると……やはり尻込みしてしまうな」

説明を受けた慧音だが、やはりあまり気は進まないようだ。その時。

「……そうだ、駄目だよ。その方法は駄目だ!」

何かに気づいたように、急に声を上げる真司。

「あら、なにか問題でもあって?」
「世界を修復するってことは、ミラーワールドの無い本来の世界になるってことですよね!?
でも、それじゃ駄目なんだ。優衣ちゃんは本来、小さい頃に“死んでいる”んだ。それじゃ優衣ちゃんが助からない……」
「安心して、それも織り込み済みよ。このわたしが“世界のために優衣さんには尊い犠牲になってもらいましょう”な~んて言うとお思い?」
「……!!それじゃ、なにか方法があるんですね!?優衣ちゃんもみんなも助かる方法が!」
「ある。というより、それは貴方に掛かっているわ、真司君」
「え、俺……ですか?」

急に話の本筋を自分に向けられて戸惑う真司。
紫は黒板のチョークを手に取ると、黒板に大きな円を描き、次はチョークを横に滑らせて円の中央に更に二回りほど小さいぼやけた円を描いた。

「具体的な方法について説明するわね。これは守矢神社で見つかったコアミラーの構造。
外側のくっきりした円はコアミラーの外殻と考えて。内側のぼやけた球はコアミラーの核ね。
この内側の核が無限のミラーワールドやミラーモンスターを作り出すエネルギーを放っているの。
外殻を破壊すれば、その無限のエネルギーが放出され、さっきも言った世界の崩壊が起こる。
でも、これは並の強度じゃないわ。霊夢の夢想転生でもないと破壊は無理。今それは置いといて、肝心なのはここから。
外殻が破壊された瞬間、内部の球体エネルギーが一気に放出されて世界の再構築が始まることは今言った通りだけど、その瞬間、あえてイレギュラーをぶち込むの」
「イレギュラーって一体……あと、今聞きそびれちゃったけど、夢想なんとかってなんなんですか?」

真司が疑問を挟む。確かに先程初めて聞く単語が出た。

「あららごめんなさい、私ったら。夢想転生っていうのは霊夢のスペルカードよ。まぁ、貴方達が使ってるカードと似たようなものね」
「本気で戦う武器か、揉め事を争いで解決する代わりにできたルール付きのカードかの違いよ。まぁ、今回はそのルールを外して全力で撃つけど」

スペルカードの持ち主である霊夢が説明した。

「霊夢ちゃんのファイナルベントってことか……」
「あー……“ちゃん”はやめてくれる?呼び捨てのほうが良いわ」
「わかった!」
「そしてもう一つ、今話したイレギュラーだけど、これが最大の鍵よ。そのイレギュラーとなるのは真司君、貴方よ」
「なるほど~俺が世界を造り直す鍵に……って、え、俺!?」

突然、世界再構築の要となるよう言われて驚く真司。

「な、なんで俺なんですか?っていうか何をすればいいんですか?」
「落ち着いて。難しいことをする必要はないわ。霊夢がコアミラーの外殻を破壊したら、貴方は中心核に突っ込めばいいだけ。
ただ、貴方の望む世界を出来る限り強く想い描いてね。
そう、本来世界を構成する情報を書き換えるなんてことは唯一神でもなければ不可能だけど、
外殻を破壊されて無防備になった瞬間だけは別。そこに貴方が突っ込むの。
ミラーワールドもライダーバトルもその犠牲者もない、もちろん優衣さんも生きている。そんな世界を願いながら。
それは初めからライダーとして皆を守るために戦ってきた貴方にしかできないの」
「確かに、恵里だけのために戦っていた俺には無理だな」

蓮は過去の自分を省みてつぶやく。

「お分かり頂けたかしら。私が思い至った今回の異変解決の方法について」

教室をしばし沈黙が支配する。皆、突然の大掛かりな話を自分の中で整理しているようだ。頃合いを見計らって紫が告げる。

「では、決を採りたいと思います。この作戦に賛成、協力してくれる人は挙手願いま~す!あ、ちなみに霊夢は審判だから投票からは除外ね」

再びの沈黙の後、真司がゆっくりと手を挙げる。

「……俺は、やりたいです。確かに自分勝手でみんなを危険に巻き込むことになるけど、
それでも、戦いのない、皆が平穏な生活を送れる、犠牲になる者もいない、そんな世界にたどり着ける方法は、これしかないと思うんです」

するともう一人手を挙げる。

「恵里を助けるためとは言え、俺もライダーバトルを助長してきた一人だ。その責任は取る必要がある。
そして、恵里を助けられる可能性があるなら、俺は城戸に賭けてみたい」
「蓮……」
「俺も賛成だな。現実的に考えて、このままライダーとしてミラーモンスターと戦い続けたとしても、いつかどこかで力尽きる。
神崎だってそうだ。永遠の命があるわけじゃない。制御されなくなったミラーワールドから無限のモンスターが現れるようになったら、それこそ世界の破滅だ。
だから俺は、運命を切り拓く道を選ぶ」

そして手塚も手を挙げる。残るは慧音だけだ。事が事だけに、悩みに悩んでいる様子だ。

「う~ん……2,3日考えさせてくれないか」
「そんなに待てないわ。既に神崎はこのところの私達の動きを察知して警戒していると考えたほうがいい。
いつ向こうが先制攻撃を仕掛けてくるかわからない状況なの」
「……ええい!私だけ尻尾巻いて逃げるわけにはいかんではないか!」

なかばやけっぱち気味に慧音も手を挙げた。

「あら、無理しなくてもいいのよ?」
「ふん。世の中がいつも確実な選択肢を用意してくれるとは限らん。ならば、私も真司達に賭ける」
「先生……ありがとう!」
「た・だ・し、だ!……絶対無茶はするなよ。誰かを救うために命を落とすことなど絶対認めないからな。遺された者を傷つけるだけだ」
「はい……!」
「ふぅ、こんな無謀な計画、絶対だれか反対してくれると思ったんだけど、完敗ね」

霊夢が、やれやれ、と首を降る。

「仕方ない。約束だから私も協力するわ」
「やったー!」
「ありがとう霊夢ちゃ……霊夢!」
「あとは幻想郷の実力者とライダーに協力を仰いで戦略会議ね」
「もうあの“ゆかりん放送”は勘弁してくれよ。協力者がいなくなる」
「どういう意味よそれ!」
「ここにいる者に聞いてみろ。今日だって顔見知りだから集まってくれたものの、見知らぬものだったら霊媒師を呼ばれていたぞ!」
「まままま、現にこうしてちゃんと全員集まったんだからいいじゃないですか、先生。紫さんも要件は十分伝わりましたから、ね?」

慌てて真司が火種をもみ消す。ダイナマイトの原料かこの2人は。

「……むぅ、わかった。では明日は臨時休校にするから、明朝10時にここに来るよう伝えてくれないか」
「任せて!」

紫は、また小さなスキマを作ると、幻想郷の要所に接続。大きく息を吸い込んで、スキマに向けて叫んだ。

「こ~んにちわ~!みんなが大大だ~いすきな、ゆかりんから重大なお知らせで~す!
ミラーモンスターに対抗する決定的な手段が見つかったから、協力してくれる人達を大募集!
手伝ってもいいよ!っていう親切な人は、明日の朝10時に寺子屋に集合ね!ばいなら愛してるわ!」

紫は最後にスキマに向け投げキッスをした。蓮は何も言わず天を仰ぎ、海之はただ無表情だ。霊夢は下を向いて首を振るだけだが、
残る1人が背中から異様な空気を発していた。思い出した。初めて寺子屋に来た時に感じたあの空気。

「あー、これヤバイよ……」

そういえば蓮と手塚は知らないかもしれないから後で説明しとかないと。
その1人はゆらりと立ち上がると、紫に歩み寄る。だんだん髪が緑に染まり、鋭い角が伸びてきた。

「紫、ちょっとこっちへ」
「え、なになに?」
「いいから」

一切抑揚のない声で告げると、慧音は紫の腕をつかみ、教室の外へ連れて行った。
しばらくボソボソと何やら不穏当な感じの漂う言葉が聞こえてくるが、見つかるとどうなるかわからないので、覗きこむこともためらわれた。

「城戸、さっきの慧音さんのあれは何だ」
「あまり詮索するのもどうかとは思ったが、やはり気になる」
「まぁ、話すと長くなるんだけどさ……」

その時、廊下から突然「ああああ!!」という紫の悲鳴が響き渡り、さすがに全員ビクッとした。
直後に慧音が廊下から戻ってきたが、もう頭の角はなく、髪もドレスも元のブルーに戻っていた。慧音は頭飾りを拾い上げると、

「さて、今日のところは解散だな。さっきも言った通り、明日は朝10時集合だ。どれだけ戦力が集まるかはわからんが、全力で成すべきことを成すまでだ」

何事もなかったかのように締めくくる慧音に、真司は恐る恐る聞いてみた。

「あの、先生、ところで紫さんはどこに……?」
「ああ、あいつなら……お家に帰ったよ」

一瞬の間が気になったが、それ以上追求できず、わかりましたと言うしかなかった。蓮たちも同じのようで、その日は無言でそれぞれの家路についた。
皆はこの無謀とも言える作戦に協力してくれるだろうか、もし上手く行けば、全ての悲劇を食い止められる。そんな不安と期待を抱きながら。
物理法則とかで矛盾があるかもしれませんが、どうかここだけはご容赦ください。この理屈がお蔵入りになると完全に続きが絶たれてしまうので……
AK
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