・杜子春
仙人の技を学びたい、きっと幻想郷でもとびきり強力な仙人に私はなれるだろうから、などと傲慢なことを言う魔理沙を懲らしめるため、神子は杜子春式の修行を魔理沙につけることにした。
「どんなことがあっても口を利いてはいけませんよ」と言い、様々な恐ろしい幻覚を見せた。
しかし、中々意外なことに、魔理沙は口を貝のように閉ざしている。神子は考えた。よし、それなら、魔理沙の父親がむごたらしい刑罰を地獄で受けている様を見せてやろう。杜子春だってこれで口を利いたのだ。
魔理沙の父親が地獄の獄卒によって拷問を受けているさまが、魔理沙の前に映し出される。さしもの魔理沙も、思わず口を開いて、こう叫んだ。
「いいぞ! もっとやれ!」
・「こぶし」はよくきいた
聖がバイクに乗りながら歌を口ずさんでいると、神子が声をかけた。
「やあい! 下手くそ! もっとこぶしをきかせろ!」
聖はすみやかにバイクから降りて、拳を握りしめ、神子のところへ走り寄って……。
・欲望
何名かの少女妖怪たちが仙術の修行をつけてもらいに、青娥のもとにやって来た。
厳しい修行を何年か続けた後に、いよいよ最終日がやって来た。
「仙術の修行で一番重要なのは欲望を捨て去ることですわ。この方、豊聡耳様は欲望を聞き分ける耳を持っていらっしゃる。あなた方はこの方の前で欲望を捨て去ったことを証明してみなさい」
まず、一人目の妖怪の前にうまそうな食物の幻影が現れた。妖怪は顔だけは平然としていたが、しかし太子は首を振った。
「食欲に囚われています。修行のやり直し」
二人目の妖怪は食物では問題はなかったが、しかし次にイケメンの男妖怪がセクシーな格好をしている幻影を見せられて、不合格。
十人近くいた少女妖怪は、何人かは食物で、しかし殆どは次のイケメン妖怪の幻影で不合格になってしまった。
最後の一人はしかし、イケメン妖怪の幻影にも欲望が現れない。イケメン妖怪のタイプをいろいろと変えたりしてみても、まるで欲望が現れない。
太子は我がことのように喜び、こう言った。
「妖怪ながらあっぱれ。頭をなでてあげましょう」
その途端、その妖怪の欲望が急速に膨れ上がり始め……。
・ピュア
嘆き悲しむ一匹の兎を見て、一柱の神が質問をした。
「兎よ、何故嘆くのですか」
兎が答えて曰く、
「人妖皆お互いを騙し合い、互いを陥れようと欲望のままに振る舞うことに嘆いております。どうか、このような苦しみが世からなくなるよう……」
神は感激し、これから高天原において様々な会議があるが、それが終わってからにでもきっとお前の願いを叶えてやろう、と約束した。
それから千年以上がたったある日、外の世界で信仰を失ったその神は幻想郷に入った。
神の心残りはあの兎であった。いくら探しても兎を見つけることが出来なかったのだ。神すら己を騙したと嘆いてはいまいか。あの純粋な兎になんと酷いことをしたのだろう。
悔いを感じている時、ふと幻想郷の竹林にあの兎がいることに気づいた。
「おお、あの時は大変すまないことをした。君のことを見つけることが出来なかったのだ。君の願いは世から騙し合いがなくなることだったね。あの頃ほどに力があるわけではないが、その願いをかなえられるよう尽力しよう!」
喜び勇んで話しかける神に、今はてゐと呼ばれているその兎はこう返した。
「ああ、そのことだったら、もう忘れておいて欲しいです」
・飛行機事故ジョーク
図書館にやってきたレミリアは言った。
「大事な質問をするわ。この紅魔館にとって一番の悲劇って、何だと思う?」
休憩中に読む本を物色していた美鈴はしばらく考えて言った。
「ううん、私が居眠りしている間に紅魔館のものが盗まれてしまうことでしょうか」
「そうじゃないわ。それは損失であっても、悲劇じゃない」
「じゃあ」
パチュリーが手を挙げた。
「レミィの妹がまたおかしくなって、紅魔館を壊してしまうこと」
レミリアは少しイライラした様子で、こう返した。
「違うわよ! それは思いがけない出来事であっても、悲劇じゃないわよ! もっと悲劇というものがあるでしょう!」
そこにやって来た小悪魔がこう言った。
「そうですね、ではパチュリー様が死んでしまうのは悲劇ではないでしょうか」
レミリアは喜んで、翼をばたつかせた。
「そうよ! 紅魔館のメンバーが死んでしまうということこそ、一番の悲劇よ! パチェ、あなたいい使い魔を持ったわね。しかしよく気づいたわねあなた」
賞賛に対して小悪魔は笑顔で言った。
「そりゃあ、パチュリー様が死んだとしても、私にとっては大きな損失でも思いがけない出来事でもありませんからね」
・うるさい
「聞いてよマミゾウさん! ぬえったら酷いのよ! 毎晩部屋の壁をどんどんって叩いたり、大きな声で怒鳴ったりするの!」
「そんなことをしておるのか、あいつは? 全く困ったものじゃのう。最近随分と消沈した様子だったし、何かあったのかもなあ」
「でも一晩中よ! たまらないわ!」
「そりゃ、ひどいの。しかし、響子。お主だってそんな様子だとうるさくてたまらんじゃろ」
「ええ、だからずっと歌い続けて気を紛らわせているんだけど、こっちが歌い出すと決まって壁を叩いたり、怒鳴ったりするのよ!」
・井戸端会議
我が子が非常識なことばかりするようになった里の男は、困って神棚に手を合わせて祈った。
「神よ! 我が子が非常識なことばかりするようになったのです」
すると、威厳ある声が男の頭のなかに響いた。
「あー、わかるわ。うちの早苗も非常識なことばっかりするようになってねえ、困ったものだと思わない?」
・きえろぶっとばされんうちにな
チェックの服を着ていて、可愛らしい花が植わった鉢植えと傘を手にした少女を見て、おとなしいだろうと踏んだ正邪は嫌がらせをしに行った。
「やあ馬鹿野郎、私の視界から消えな、さもないと」
確かに視界から少女は消えた。まばゆい光が傘の先から放たれ、目だけではない、全身を黒焦げにしたから。
・バカは……
ヤマメは驚愕した。たかが妖精と思っていた相手に何一つ能力が通じないのだ。
「こんなバカな!」
叫ぶヤマメに対してチルノは胸を張った。
「あたいは風邪引いたことないもんね!」
・UFO
星蓮船事件後の文々。新聞の記事より抜粋。
「……UFOが大妖怪鵺のいたずらによって生み出されたものだったことに対して、八意永琳は以下のように語る。『地球外生命体というものが地球にやってくる確率は皆無と言っていいでしょう。ましてUFOなどというものが存在しないのは明白な話です。宇宙人などという流言飛語に惑わされないことこそが賢人の態度です』……」
・春の調
いよいよ暖かくなり始め、レティとももうじき遊べなくなる日が近づいてきた。
レティの力も弱り始め、遊んでいてもチルノに力負けをすることが増えてきた。
その日、遊んでいて酷く疲れた様子だったレティを見かねて、帰り道でチルノは言った。
「レティ、おんぶしてあげる」
「あら、ありがとう。チルノちゃんももう大人ね」
レティをおぶったチルノは、三歩も歩くことが出来なかった。
仙人の技を学びたい、きっと幻想郷でもとびきり強力な仙人に私はなれるだろうから、などと傲慢なことを言う魔理沙を懲らしめるため、神子は杜子春式の修行を魔理沙につけることにした。
「どんなことがあっても口を利いてはいけませんよ」と言い、様々な恐ろしい幻覚を見せた。
しかし、中々意外なことに、魔理沙は口を貝のように閉ざしている。神子は考えた。よし、それなら、魔理沙の父親がむごたらしい刑罰を地獄で受けている様を見せてやろう。杜子春だってこれで口を利いたのだ。
魔理沙の父親が地獄の獄卒によって拷問を受けているさまが、魔理沙の前に映し出される。さしもの魔理沙も、思わず口を開いて、こう叫んだ。
「いいぞ! もっとやれ!」
・「こぶし」はよくきいた
聖がバイクに乗りながら歌を口ずさんでいると、神子が声をかけた。
「やあい! 下手くそ! もっとこぶしをきかせろ!」
聖はすみやかにバイクから降りて、拳を握りしめ、神子のところへ走り寄って……。
・欲望
何名かの少女妖怪たちが仙術の修行をつけてもらいに、青娥のもとにやって来た。
厳しい修行を何年か続けた後に、いよいよ最終日がやって来た。
「仙術の修行で一番重要なのは欲望を捨て去ることですわ。この方、豊聡耳様は欲望を聞き分ける耳を持っていらっしゃる。あなた方はこの方の前で欲望を捨て去ったことを証明してみなさい」
まず、一人目の妖怪の前にうまそうな食物の幻影が現れた。妖怪は顔だけは平然としていたが、しかし太子は首を振った。
「食欲に囚われています。修行のやり直し」
二人目の妖怪は食物では問題はなかったが、しかし次にイケメンの男妖怪がセクシーな格好をしている幻影を見せられて、不合格。
十人近くいた少女妖怪は、何人かは食物で、しかし殆どは次のイケメン妖怪の幻影で不合格になってしまった。
最後の一人はしかし、イケメン妖怪の幻影にも欲望が現れない。イケメン妖怪のタイプをいろいろと変えたりしてみても、まるで欲望が現れない。
太子は我がことのように喜び、こう言った。
「妖怪ながらあっぱれ。頭をなでてあげましょう」
その途端、その妖怪の欲望が急速に膨れ上がり始め……。
・ピュア
嘆き悲しむ一匹の兎を見て、一柱の神が質問をした。
「兎よ、何故嘆くのですか」
兎が答えて曰く、
「人妖皆お互いを騙し合い、互いを陥れようと欲望のままに振る舞うことに嘆いております。どうか、このような苦しみが世からなくなるよう……」
神は感激し、これから高天原において様々な会議があるが、それが終わってからにでもきっとお前の願いを叶えてやろう、と約束した。
それから千年以上がたったある日、外の世界で信仰を失ったその神は幻想郷に入った。
神の心残りはあの兎であった。いくら探しても兎を見つけることが出来なかったのだ。神すら己を騙したと嘆いてはいまいか。あの純粋な兎になんと酷いことをしたのだろう。
悔いを感じている時、ふと幻想郷の竹林にあの兎がいることに気づいた。
「おお、あの時は大変すまないことをした。君のことを見つけることが出来なかったのだ。君の願いは世から騙し合いがなくなることだったね。あの頃ほどに力があるわけではないが、その願いをかなえられるよう尽力しよう!」
喜び勇んで話しかける神に、今はてゐと呼ばれているその兎はこう返した。
「ああ、そのことだったら、もう忘れておいて欲しいです」
・飛行機事故ジョーク
図書館にやってきたレミリアは言った。
「大事な質問をするわ。この紅魔館にとって一番の悲劇って、何だと思う?」
休憩中に読む本を物色していた美鈴はしばらく考えて言った。
「ううん、私が居眠りしている間に紅魔館のものが盗まれてしまうことでしょうか」
「そうじゃないわ。それは損失であっても、悲劇じゃない」
「じゃあ」
パチュリーが手を挙げた。
「レミィの妹がまたおかしくなって、紅魔館を壊してしまうこと」
レミリアは少しイライラした様子で、こう返した。
「違うわよ! それは思いがけない出来事であっても、悲劇じゃないわよ! もっと悲劇というものがあるでしょう!」
そこにやって来た小悪魔がこう言った。
「そうですね、ではパチュリー様が死んでしまうのは悲劇ではないでしょうか」
レミリアは喜んで、翼をばたつかせた。
「そうよ! 紅魔館のメンバーが死んでしまうということこそ、一番の悲劇よ! パチェ、あなたいい使い魔を持ったわね。しかしよく気づいたわねあなた」
賞賛に対して小悪魔は笑顔で言った。
「そりゃあ、パチュリー様が死んだとしても、私にとっては大きな損失でも思いがけない出来事でもありませんからね」
・うるさい
「聞いてよマミゾウさん! ぬえったら酷いのよ! 毎晩部屋の壁をどんどんって叩いたり、大きな声で怒鳴ったりするの!」
「そんなことをしておるのか、あいつは? 全く困ったものじゃのう。最近随分と消沈した様子だったし、何かあったのかもなあ」
「でも一晩中よ! たまらないわ!」
「そりゃ、ひどいの。しかし、響子。お主だってそんな様子だとうるさくてたまらんじゃろ」
「ええ、だからずっと歌い続けて気を紛らわせているんだけど、こっちが歌い出すと決まって壁を叩いたり、怒鳴ったりするのよ!」
・井戸端会議
我が子が非常識なことばかりするようになった里の男は、困って神棚に手を合わせて祈った。
「神よ! 我が子が非常識なことばかりするようになったのです」
すると、威厳ある声が男の頭のなかに響いた。
「あー、わかるわ。うちの早苗も非常識なことばっかりするようになってねえ、困ったものだと思わない?」
・きえろぶっとばされんうちにな
チェックの服を着ていて、可愛らしい花が植わった鉢植えと傘を手にした少女を見て、おとなしいだろうと踏んだ正邪は嫌がらせをしに行った。
「やあ馬鹿野郎、私の視界から消えな、さもないと」
確かに視界から少女は消えた。まばゆい光が傘の先から放たれ、目だけではない、全身を黒焦げにしたから。
・バカは……
ヤマメは驚愕した。たかが妖精と思っていた相手に何一つ能力が通じないのだ。
「こんなバカな!」
叫ぶヤマメに対してチルノは胸を張った。
「あたいは風邪引いたことないもんね!」
・UFO
星蓮船事件後の文々。新聞の記事より抜粋。
「……UFOが大妖怪鵺のいたずらによって生み出されたものだったことに対して、八意永琳は以下のように語る。『地球外生命体というものが地球にやってくる確率は皆無と言っていいでしょう。ましてUFOなどというものが存在しないのは明白な話です。宇宙人などという流言飛語に惑わされないことこそが賢人の態度です』……」
・春の調
いよいよ暖かくなり始め、レティとももうじき遊べなくなる日が近づいてきた。
レティの力も弱り始め、遊んでいてもチルノに力負けをすることが増えてきた。
その日、遊んでいて酷く疲れた様子だったレティを見かねて、帰り道でチルノは言った。
「レティ、おんぶしてあげる」
「あら、ありがとう。チルノちゃんももう大人ね」
レティをおぶったチルノは、三歩も歩くことが出来なかった。
自分はこういう小ネタ集好きです。
魔理沙の杜子春には笑ってしまった。
くすりと笑えるネタもあって楽しめました。
また次があったら読みたいです。
次は是非100個くらい書いて投稿しましょう。先人に負けないように。
・・・青い髪の人からにじみ出てくる欲望がうるさそう
分からないネタもありますが、面白いです。
分からないネタもありますが、面白いです。