全く当然の事ながら古明地さとりには友人と呼べる存在は居ない。
妹は居るが一瞬後にはどうなっているかまるで分らないとか言う類だった。妹と言う存在はどうしてこうなのか不思議に思うが、多分きっとこれはうちの妹に限るのだろうとさとりは考える。勿論可愛い妹である事に変わりはないのだけれど。
ともかく古明地さとりには友人と呼べる存在は居ない。
ペットは一杯居る。
ペットは良い。
心が洗われる……。
きちんと世話をすれば純粋な好意で返してくれるのが素晴らしい。大好き過ぎる。
それに可愛い。本当に可愛い。
例えば火車。
どこがどうと敢えて言うまでも無く全体的に可愛い。
巫女とかには『何回も出て来るんじゃないわよファッキンキャッツ!』とか言われている様だけれど、猫って基本的にじゃれる時は足に纏わりつくとか良く有る話なのだし? 何回もニャーンするのはむしろ可愛いと捉えるべきなので巫女とかの考える事は今一分からない。鬱陶しいだなんて全く信じられないんだから。
例えば地獄鴉。
あれやこれやと細かく言うまでも無く全てが可愛い。
巫女とかには『すいません何ですかあの範囲攻撃やめてくださいしぬ』とか言われている様だけれど、地獄鴉は……? そう言えば何か勝手に細工をされた様だけれど、まぁ別に構いやしないわ。変わらず私に可愛がられ、私を愛してくれるならそこに何の問題もないのだし、ちょっと見た目変わった? くらいだし。
他にも色々一杯沢山。
けれども古明地さとりには友人と呼べる存在は居ない。
何故か?
さとりは静けさを好むもの。勿論ペットはうるさいけれど、さとりの求める静けさは耳から入るものではない。
さとりは思考を読むもの。勝手に読んでしまう。妹の様にそれを拒否すれば何処か違う存在に成り果ててしまうから困る。
静けさを好み、思考を勝手に読めてしまう。
そうするとさとりはどうするか。
相手の考えをこっちから口に出しまくって相手をドン引きさせて遠ざける。
ほら静かになった。
だから古明地さとりには友人と呼べる存在は居ない。
仕方ないね。
いっそ自分の口を閉じ続ける事が出来れば、何も知らない初対面の相手限定で遠ざける事もせずに済むかも知れない。
こいし。
こいし。
やめなさい。
苦しいから。
何で首を絞めるの。
こいし?
何で泣いているの。
泣きたいのは急に妹に首を絞められたこちらの方なのだけれど。
こいし?
何で居なくなっているの。
待って。
待ちなさい。
こいし。
そんなもの口に入らないから。
急に消えて戻って来たと思ったらなんなの。
こいし。
せめて泣くのをやめなさい。
こうして古明地さとりには友人と呼べる存在は居ない。
必要と思ってもいないから地底の更に奥でのんびり引きこもりんぐしている訳だ。
でもお客様にお茶を出したりとかには憧れる。
なのでペットにお茶を出します。
おいしい?
そう、良かった。
うふふ。