Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ビッグ・フォール(大きく落ちる)

2015/07/02 19:42:27
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 妖怪の山の中にある、大きな川がある

 その川を上流に上流に辿っていくと行き着くのが

 天狗達の拠点の一つである大きな滝である



 その滝の傍で、河童の相手をして、日陰で休んで、見回りをして

 音を聞けば鳥が鳴いてるのがわかり

 目を閉じれば川の流れる姿が目に浮かぶ
 
 そして、そんな滝の傍が私の……犬走椛の好きな場所であった                   






(……あ、もうそろそろかな?)

 そんな場所で私がじっとしていると必ずあの人がやってくる

 あの人に初めてあったのは、山に神社が越してきた時の事だった

 あの時も、今と同じくこの滝の傍で待っていた時であった

 緊急警報が出て、滝の警護で博霊の巫女達と戦いがあった時……

  
(……うん、来た……)

 そんな事を私が思いだしていたときであった

 風が一陣吹いたかと思ったら、後ろから私の名前を呼ぶ声がする

 振り向かなくても、そこにいるのがわかる

『射命丸文』幻想郷の中でも有名な鴉天狗

 それが、先ほどから言っているある人の正体である

 そして、名前を呼ぶと同時に『いつものように』私を後ろから抱きしめる 

  
(そして、私が振り返ると同時に……離れる)

 どうやら、私が抱きつかれた時に、どんな反応をするのかを見て

 にやにやするのが文様にとっては楽しい事らしい

(さて、私が気がついて振りかえる)

 
 でも、それをすると文様は離れてしまう

 なので、こちらも振り向くと同時に

 文様が飛ぶ方向に向かって飛び込む

(ただ飛び込むだけだと、文様はさっと避けてしまう) 

 手の届かないぎりぎりの所に逃げられてしまう

 それがわかっているので

(……逃がしませんよ?)

 たまには此方の気持ちもわかって貰いたい

 いつも、此方の事を気にせず好き勝手するのだ

 だから、こっちも文様の事など気にしない

 後ろにいつものように逃げようとする文様の手を

 腋の下から抜かれるよりも先に挟み込む

 それでも、手を引き抜かれるが数秒の時間ができる

(……捕まえた)

 そのおかげで、文様の袖を掴む余裕ができた

 とっさに掴んだので、文様が空中でバランスを崩すのがわかる

 でも、それは私が想定していた事なので

 文様があわてる一瞬をついて一気に飛び込む  

 そのまま、飛び込んだ勢いを殺さずに

 真っ直ぐに文様を片手で抱え込む



(……これで、逃げられませんね)

 いつもいつも、私をからかってはサッと逃げてしまうこの人を

 今、逃げられないようにして手の中に収めている
 
 勢いがついて掴んでいる手が伸びて
 
 自由に空を飛んでいく文様だが私がそれを止める

 それによって、私も文様の同じ姿勢のままになり

 まるで時間が止まったような錯覚が起こる


(………)      
   

 それでも永遠はなく、時間は流れる……

 飛び込んだ勢いもやがて消えていき

 空中で私と文様が無防備な姿のまま動きが止まる

 飛び込んだ姿勢のまま真っ直ぐな姿勢のままの私と

 上下逆さまになったまま此方を見つめる文様……

 
 一瞬、文様と目があう

 驚いた様子で此方を向いている文様と

 真っ直ぐに目の前を見つめる私

 その一瞬が永遠と思われるぐらいに長く感じる
   
(でも、もう少しできっと……)

 きっと、私の手から逃げて行くであろう

 ほら、その証拠にその場から逃れようと

 体を反転させようとするのが私の目に見える


 
 そうなればきっとまた……

(……いつもと同じになっちゃう)

 そう思ったら、私の中に強い思いが篭る

 そして、それをそのまま行動に移す

(……文様)

 心の中でつぶやくと

 その場から反転しようとしている文様の力を利用して

 私も体を回転させる、そしてその力を横の回転に動かして

 鴉天狗の象徴である羽にも手をまわして

 小さなその背中に顔を埋めると   

(文様)

 文様がにげないようにと、両手に力をこめる

 もう、今の自分が上を向いているのか

 それとも下を向いているのか右か左かもわからない

 そんな状態のまま、感情にまかせて文様に抱きつく

 目の前に見えるのはその背中だけ

 わかるのは、浮遊しているのと手の中で慌ててる文様の姿

(文様!)

 それからしばしの間の地が足につかない無重力の浮遊感を味わいながら

 あと少しでそれが終わる瞬間に

 私は自分の感情をそのまま口にして

































「いい加減に後ろから胸を揉みに来るの止めろや!このエロ天狗!」

 そのまま、文様の頭を滝壺に叩き込んだ  






 にとり「またやってるよ……二日前は変形ツームストンパイルドライバーだっけ」

 はたて「昨日は滝壺飛び込み式のスプラッシュマウンテンだったわね」


 決まり手 犬走椛○ 滝に叩きつけ式のビッグ・フォール・グリフォン


 恋愛よりもプロレス、これ、脇役の基本(大事なこと)
名も無き脇役
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
物凄くお久しぶりです
そして、ラストww

2.絶望を司る程度の能力削除
お久しぶりです!
文さん常習犯過ぎるw
3.名前が無い程度の能力削除
お久しぶりです!!
切ない系純愛かと思ったのに、オチがw
4.名前が無い程度の能力削除
つまり前から揉みに行けば許すと?
ほう……。