Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

年上→年下

2015/04/09 22:35:28
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「は~……。
 温泉って、いいですよね~。
 しかも昼風呂! 贅沢ですよね~」
 と、とろけた顔で言うのは東風谷早苗。住まいとしている妖怪の山の一角、空を飛ぶものしか入れない、幻想郷を一望できる絶景の温泉での一言である。
「はぁ……。こういうところに来て、のんびり、外を眺めるってのもいいものですよね~」
「阿求さんとかは飛べないから、ここにこられませんしね」
「そう! そうなんですよ!
 わたしも飛行する術とか覚えようかな。今は無理でも来世くらいに」
「便利ですね」
「ふっふっふ。これぞ稗田の転生術!」
「阿求~。騒ぐのもいいけど、あんた、体弱いってことになってるんだから、風邪とか引かないでね」
 ざばっ、とお湯の中から立ち上がり、起伏の全くない体を天に向かってさらしながら拳を突き上げる稗田阿求に、その友人、本居小鈴がツッコミを入れた。
 阿求は、その一言で、現在の状況を思い出したのか、慌ててお湯の中へと戻る。
 ――季節は初春。標高の高い妖怪の山には、まだまだあちこちに残雪が見られる季節である。
「お風呂から上がったら、天狗の皆さんがやっている休憩処に行きましょうか」
「そんなのあるの? 早苗」
「あるんですよ。
 というか、最近、登山ルートの一角に作られました」
「例の温泉施設じゃなくて?」
「そうです。茶屋みたいなものかな」
「あ、それ、いってみた~い」
 早苗に問いかける博麗霊夢。彼女の言葉に、「天魔さまは、色々、やってるみたいですよ」と早苗は言う。
 かつては『入ったものは命のない魔鏡』と言われていた妖怪の山が、最近では、『幻想郷屈指のレジャースポット』である。
 一体何やってんだこいつらと言いたくなるが、それを率いるトップがそれでよしとしているのだから、それでいいのだろう。多分。
「しかし、早苗さんはこの辺りがすごい」
「割と子供の頃からそうでしたね。
 阿求さんくらいのときには、もうブラジャーつけていたり」
「格差を感じるわ……」
 早苗の胸部。それはお湯の上にぷかぷか浮いて、その威容を漂わせている。
 試しに手を伸ばして、阿求がそれを握ってみる。
 むぎゅっ、というやわらかさと共に、指の圧力を跳ね返してくる弾力。まさに圧倒的である。
 一方の己と来たら。
 大平原。
「阿求。人間、逆立ちしてもかなわない、っていうか、できないことはあるんだから。
 諦めようよ」
「小鈴。あなただって大して変わらないじゃない」
「わたしは別に、大きさとかに、あんまり執着心ないし。
 育てば大きくなるものなら、それを待てばいいじゃない」
「あ、それ、わたしに対するあてつけよね」
「さあ? どうでしょう」
「まあまあ」
 この二人、こんな会話をしているが、とても仲がいい。
 噂では、人里で、一部の紳士たちによる『あきゅすずカップリング論争』について、『どちらがタチでどちらがネコか』という血みどろの殴り合いが繰り広げられていると聞く。
 言い合いはするものの、言い争いはしない。そんな関係っていいな、と早苗は思っている。
「それに、ほら。
 世の中、大きければいいってもんじゃないんですよ。
 全てはバランス。バランスなんです。
 たとえば巨乳の霊夢さん! 想像できますか!?」
「う~ん……失礼だけど、あんまり」
「わたしは彼女の母親とか、その系譜も知っていますけど、それと比較しても、霊夢さんはまだまだだと思います」
「ですが、そこが逆にいいんです!
 この抱っこしやすさ! 絶妙な肉付きによる感触! スレンダー美人の魅力! それを世の中の大半の勇者はわかっていないっ!
 それが悲しい! 幻想郷よ、わたしがそこを改革してみせる!」
「……早苗。それさ、悪気は全くないってわかってんだけど、ものすげ~ケンカ売ってるから。うん」
 自分の背中で、何やら熱弁する早苗に、霊夢はやり場のない怒りを覚えながらもなされるがままである。
 基本的に、彼女は早苗に、全く頭が上がらないのだ。
「というわけで、何も無理して大きくなることはないんですよ」
「なるほど」
「それも一つの答えよね」
 と、二人は納得したりする。
 早苗は言う。
『萌えとはすなわち、その見た目からあふれ出る魅力であり、己の価値観に当てはめるものではない。あくまで自然体として、それを受け入れるものなのだ』
 ――と。
 彼女のこれは至言であり、幻想郷に住まうおよそ全ての紳士淑女において、知らぬものはいないというほどのものであった。
「ところで霊夢さん」
「何?」
「さっきから、ずーっと、小鈴ちゃんを抱っこしてますよね」
「ああ、うん。何か抱きやすくて」
 そこで、視点が切り替わる。
 霊夢は自分の股の間に小鈴を置いて、それを後ろから抱っこしている。俗に言う、ぬいぐるみだっこ、というやつだ。
 彼女も早苗によくされるそれであるが、
「何となくなんだけどね。小鈴ちゃん、迷惑?」
「いいえ、ちっとも。
 霊夢さんに好かれているんだな~って思うと、鼻が高いですよ」
「そっか」
 なでなで、よしよし。
 普段、自分が早苗にされていることを小鈴にやっている霊夢である。
「霊夢さんは小鈴が気に入りなんですか」
「ああ、うん……。
 っていうか、何か、かわいいな、って」
「嬉しいな~、そういうこと言われるの。
 まだまだ、自分は『かわいい』のレベルだって、わかってますから」
 てへへ、と笑う小鈴をなでなで。
 霊夢も笑顔であり、何となく、その光景は微笑ましい。
「……どうやら、霊夢さんも、『萌え』の何たるかについて理解を始めたようですね」
 それを深く観察する早苗はつぶやく。
 普段、『萌え』だの『はにゃ~ん』を全く理解していない霊夢であるが、今、それを、彼女は理屈ではなく心で、魂で理解しているのだ、と。
 早苗は見抜いたのだ。
 小鈴の見た目、そして内面から湧き上がる『萌え』のオーラに、霊夢は取り込まれたのだ。
 これは偉大な第一歩である。
 あの博麗の巫女が、ついに、『萌え』の何たるかを理解した。
 幻想郷における、まさに革命であった。
「かわいい妹ってほしいと思わない?」
「わたしは特には。むしろ、姉の方がほしかったですね」
「あ、わたしもお姉ちゃんとかほしいな」
「へぇ~、そうなんだ」
 霊夢は小鈴を気に入っている。超気に入っている。ちょっと間違えたらお持ち帰りとかしちゃうくらいに気に入っている。
 ――素晴らしい。
「霊夢さん」
「何? 早苗」
「共に素晴らしき幻想郷の未来のために! 頑張りましょう!」
「……え? う、うん……そうね」
 何が何だかさっぱりわからないという風の霊夢であるが、しかし、早苗にはわかる。
 彼女の『表面』はそれを理解していなくとも、彼女の『魂』は、『意之霊』は、ついに早苗たちと同じステージに立ったのだ、と。
 にこにこ笑顔の小鈴と、それを抱っこして笑顔の霊夢。
 この、素晴らしい絵を、いつかどこかで記録しておかねばなるまい。
 幻想郷の歴史が変わるその瞬間を、後世に伝えるべく。
「そろそろいい感じにあったまったし。上がろうか」
「そうですね」
「あんまり長居していると湯あたりしちゃいそう」
「早苗、行こう」
「アイ、マム!」
「……はい?」
 輝く瞳で己を見つめる早苗に、霊夢は思いっきり首をかしげた。
 意気揚々と立ち上がり、歩いていく早苗の後姿が、実に不思議だった。
 しかし、小鈴はとりあえず、離さなかった。
 何だかよくわからないが、まぁ、自分に実害がないならいいか――それが、今の霊夢にできる、最大限の『答え』であったという。
鈴奈庵で、霊夢は小鈴に「ちゃん」をつけていた。
つまり、霊夢は小鈴ちゃんを気に入っている。
すなわち、「さな→れい→すず→あきゅ」である。
完璧じゃね?( ゚д゚ )クワッ!!
haruka
コメント



1.絶望を司る程度の能力削除
(っ'ヮ'c)<ハラショォォォォオ
2.名前が無い程度の能力削除
あきゅすずの関係とても好き
あんた呼びとか敬語ないとか
3.奇声を発する程度の能力削除
良かったです
4.名前が無い程度の能力削除
安易にパルパルせず、霊夢が成長したと見て逆に喜ぶ早苗さん…。
こやつ、やはりできる…。
5.ペンギン削除
ベネ!
これ以上に言葉入らない