Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

私はこんなに幸せだ

2014/12/30 00:18:24
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 今……というか、私、蘇我屠自古が幻想郷に居着いたのはいつからだっただろうか。ざっと1000年は下らない。が、その千年もの間、布都と太子様は、『寝ていた』。

 いや、寝ていたというよりは、ちょっと死んでみていたのだろうか。私もその中に入りたかった。独りは嫌いだったから。寂しいし。でも、布都がそれを邪魔した。私が依代にしようとした壺がすり替えられていたのだ。その時は殴ってやろうとも思っていたが、今はそうでもない。逆にこの体でよかったとも思う。

 が、やっぱりその1000年は寂しかったし、泣きたいこともあったし、同じく寝てやろうかと思ったこともあった。でも、太子様にも布都にも、「この廟を守ってほしい」と言われていたし、涙と苦痛を我慢しながらずっと待っていた。

――今日も帰ってこない。
――でも明日は帰ってくるかなあ。

 なんて問答を、自分の中でずっとやっていた。現実逃避かもしれない。けど、やっぱり希望を持っていたほうが人間いいことある。いや私怨霊だけど。そしてそんな希望は、毎日崩れ去って、
 
 で、そんな時。時間的には二人が目覚める1年程前だったかな? 廟の上に寺が建てられたのだ。仮にも人の寝室に、寺を建てるなんてなんて冒涜的なのだろう。そんな思いと、その時は「私の思いを踏みにじりやがって」みたいな思いもあったと思う。意外とロマンチストだったなあ。だから、必死に抵抗したよ。したけどさ、やっぱり怨霊1人なんかの力じゃ叶わなくてさ。負けた負けた。惨敗だったよ。

 でさ、負けた次の日からは罪悪感でいっぱいだったね。「守れなかった」、「約束はどうしたんだ」なんて……馬鹿だったね。優しい太子様 がそんなことで怒るわけ無いっていうのに。でもやっぱり罪悪感は感じている。だって自分の寝室の上に寺とか。洒落にならん。道教専門だったし。そういえば、その頃だったかな。青い仙人とやらが廟をウロチョロしててさ。あとなんか変な奴が居たっけ。生きている感じがしなかったけど。そいつらは太子様の弟子だー、だの、太子様は私の嫁だー、だの言ってきてさあ。その時はもちろんむかついたね。こいつ私……、太子様と布都の何が分かるんだって。で、その後太子様達に寝ることを進めたのは自分、とか言った日には、もう戦争ってレベルで喧嘩した。でも、その結果もあったのかな。アイツと仲良くなれたね。

 そして、その次の年。やっと太子様の復活。私は柄にもなく大泣きして二人に抱きついた。「こんなに心配させて」とか、「もういなくならないで」とか、今見るとかなり恥ずかしい言葉だったね。そして、二人と……ああ、仙人……青蛾って言ったけ。そいつも抱きしめ返してくれた。嬉しかった。もう死んでもいい…っていうくらいだった。

 で。今は。

「屠自古、ご飯」
「今日は茶碗蒸しがいいの」
「流石に茶碗蒸しは無理でしょう。肉じゃががいいですね。肉じゃが」
「はいはい、茶碗蒸しと肉じゃがね。やってやんよ」
「やっぱり屠自古はいい子だよね」
「そんなの昔からわかっておりますよな」
「ええ、大昔から」
「その時アンタ居なかったでしょ!」
「壁から覗いていましたわ」
「気持ち悪……」
「やーん、いけずー」

 私はこんなに幸せだ。あの時よりも何万倍も、何億倍も。
はじめましてwakameというものです。
やっぱり神霊廟組っていいですよねって話。
wakame
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ええ話や…。
2.奇声を発する程度の能力削除
良いお話
3.名前が無い程度の能力削除
うむ、神霊廟組の良さをわかるとは、なかなかやるな!
4.名前が無い程度の能力削除
およ。
神子がニャンニャーンの弟子だぞ。
公式設定な。