☆
愛しの幽々子に何かプレゼントをしようと考えた紫。
冬も近いし手袋なんてどうだろうと思いつき、妖夢に付き合ってもらって、香霖堂に買い物に行った。
幸いにして、なかなか良いデザインの手袋がいくつか入荷していた。
紫は愛しの人の笑顔を想像して、心を温かくした。
しかし……
紫は品定めに協力してくれたお礼として、恥ずかしがる妖夢にパンティーを買ってあげたのだが、それがいけなかった。
店主は贈り物を包む際、幽々子のと妖夢のとを取り違えてしまったのだった。
紫はそれに気づかず、次のような手紙を添えて幽々子にプレゼントを渡した。
『幽々子へ
デートしている時、いつも何もつけていないのに気が付いていたので、このプレゼントを選びました。
もし妖夢が一緒でなければボタンの付いた長いのにしたのだけれど、彼女は脱ぐのが簡単な短いのをつけていて、それもいいかなと思いました。
微妙な色の濃淡があるでしょ。店主の霖之助さんがここ数週間はいているのを見せてくれたんだけど、それにはほとんどシミは付いていませんでした。
それからプレゼントした物を私も妖夢も試着してみたけど、結構イケてました。
そこにいて、私が最初にはかせてあげたいのだけれど、今度あなたに会う前に、私じゃない誰かの手が先にそれに触れちゃうのよね。そんなことに嫉妬する私自身を笑ってしまいます。
脱いだ後、片づける前に息を吹き込んでおきなさいね。だってはいていると中が湿っちゃうから。
来年それに何回キスすることになるか、と思っています。
次の夜にはきっとつけてきてちょうだいね。
紫より
追伸:端を折り曲げて中の毛をちょっと見せるのが最新の流行だそうよ』
★
霊夢、魔理沙、早苗がパジャマパーティーを開いた。
ひとしきり騒いだ後、布団を並べ、一緒に寝た。
次の日の朝、三者の布団は乱れに乱れていた。
魔理沙が顔を紅潮させつつ、
「いやぁ、まいったぜ」
頭をかきながら言った。
「ちょっとやらしい夢、見ちまった。誰とは言わないが、そいつにあちこち体を触られるんだ」
「そうなの? 同じ夢を私も見たわ」
霊夢と魔理沙は顔を見合わせた。
そして、もしかして、と早苗に尋ねる。そこまで重なったら何かの天啓かもしれない。
「ねえ、早苗。あなたもそんな感じの夢を見た?」
「いえ、見てませんよ」
何だ、ただの偶然か、と二人が息を吐こうとする前に、早苗は付け足した。
「……あ、でも、ピアノを弾く夢なら見ました」
とても良い音色を奏でたそうだ。
☆
紅魔館から保管しておいたたくさんの酒類が盗まれた。
犯人の魔理沙を捕らえたはいいものの、肝心の酒はどこにも見当たらない。
尋問するレミリア。
「酒はどこにやった?」
「売っちまったぜ」
「その金はどうした?」
「飲んじまったぜ」
★
「魔理沙、絶対秘密は守ってよね」
「当然だ。でも次のヤツが守るかは知らんぜ」
☆
図書館から強奪した本を風呂敷で包んだ魔理沙。廊下でばったりと咲夜に出くわしてしまう。
「……見逃してくれるか?」
「そうすることで私にどんな得が?」
窮地に立たされた魔理沙は、ポケットにトランプが入っていたことを思い出す。両手でカードを広げて言った。
「じゃあ、賭けをしようぜ。ここから一枚カードを取り出して、ジョーカーが出たらお前の勝ち。この本も含めて、私が借りたままにしてある本を全部返却する」
「ジョーカー以外が出たら?」
「この場は黙認。さらに明日一日付き合ってもらう。夜が更けた後のことも込みでな」
やや顔を赤らめて提案する魔理沙だったが、咲夜はあっさりと「いいわ」と承諾。カードを一枚抜いて、見せる。
「うっ?!」
「私の勝ちね」
魔理沙は悔しそうに顔をしかめると、本を置き、走り去ってしまった。
一部始終を見ていたメイド妖精が、陰から出てきて話しかける。
「すごいですね。勝つのもそうですけど、あんな不利な賭けを受けるなんて……」
咲夜は答えた。
「あら、どっちにしても私の勝ちじゃない?」
★
てゐよりも長生きしたいですって? 健康的に?
そう。じゃあ、あなたは飲酒や喫煙をしてる?
してないの。そう。
博打とか夜遊びとかは?
それもしてないの。そう。
じゃあ、その他何でも危ないようなこと、したりは?
そう、一切してないの。
うーん……気になるわねえ。
あなた、どうして長生きなんてしたいの?
☆
とても暑い日だった。
霖之助はとある用事の帰り道、通りがかった湖に飛び込みたくなった。
当然ながら水着は持っていない。だが、ひと気のまったくない場所である。
普段はそんなことは考えもしない。しかし、頭がうだっていたのもあったのか、霖之助は着ているものを全て脱ぎ捨て、泳ぎ始めた。
その冷たさ、気持ちよさに嘆息する間もなく、何ということだろう、向こうから道を歩いてくる咲夜が目に入った。
慌てて岸へと上がると、服をまとおうとするが間に合わない。あわわと焦るところに──バケツが落ちていた。
「や、やあ」
できうる限り冷静を装って、霖之助は咲夜に挨拶した。股間をバケツで隠して。
咲夜は足を止め、じぃっと見る。一言も発さなかった。
霖之助は羞恥にさいなまれる。まだ叫ばれたり顔を赤らめたりされた方が気が楽だった。
何か言ってくれ、と思っていると、咲夜がようやく口を開いた。
「私、人の心を読めるのよ」
「え?」
思わず羞恥を忘れ、聞く。
「そんな、さとりでもないのに? 僕の考えてることがわかる?」
「ええ、あなた、」
咲夜は言った。
「あなた、バケツに底があると思ってるわ」
★
図書館にやってきたアリスはひどく疲れきった顔をしていた。
「聞いてよ、パチュリー。もう最悪、全然眠れなかったの」
「どうしたの?」
「ずっと家のドアを叩く魔理沙がいてね。しばらく放っておいたんだけど、それでも叩き続けるのよ」
「非常識にもほどがあるわね。夜中の話でしょ」
「怒鳴りつけたり、枕を放ったり、いろいろしたんだけど、それでも叩き続けて……」
「最後はお決まりの弾幕勝負?」
「その前に私が根負けしたわ。朝の四時頃だったかしら、魔理沙を家から出してあげたの」
☆
日照りが長く続き、早苗は村人の要請で雨乞いを行うことになった。
雨乞いは初めての経験だったが、そのことを伝えても「是非とも」と頼み込まれたのである。そこまで信頼されているのならと早苗は引き受けた。
祈祷のその日、神社の境内にはあふれかえるように人が集まった。
早苗は拝殿から群衆を見渡して言った。
「ちょっと気に掛かるのですが、なぜ皆さん、傘を持ってないんでしょう?」
★
ある朝のこと。
「星、少々聞いても良いですか」
「どうかしましたか、聖。何なりとどうぞ」
「昨夜、ナズーリンにやろうと持ちかけてた『セクロス』って何なのです?」
「くぁwせdrftgyふじこlp」
「川瀬富士子? どなた?」
「いやその違うんですそうじゃなくて、」
「やっぱり何かしらの行為なのですね。『ここのところご無沙汰』だったようだから、十分堪能できてたら幸いですけど。それでどんなことなのです、セクロスって?」
「え、もしかして、本当に御存知ない? それを?」
「ええ、だから聞いているのですが」
「そう、ですか。ええとですね、その…………そうです、奥で休息するという意味です、はい」
「二人してゆっくり休みを取ったのですね。勉強になりました。ありがとうございます、星」
「どっ、どういたしまして……」
その昼のこと。
「こんにちは、聖」
「あら、神子さん」
「所要のついでに寄ってみたよ。しかし、やれやれ、ずいぶんと骨の折れる出来事だった」
「あらそうですか、お疲れ様。よろしかったら、ちょっとセクロスしていきません?」
愛しの幽々子に何かプレゼントをしようと考えた紫。
冬も近いし手袋なんてどうだろうと思いつき、妖夢に付き合ってもらって、香霖堂に買い物に行った。
幸いにして、なかなか良いデザインの手袋がいくつか入荷していた。
紫は愛しの人の笑顔を想像して、心を温かくした。
しかし……
紫は品定めに協力してくれたお礼として、恥ずかしがる妖夢にパンティーを買ってあげたのだが、それがいけなかった。
店主は贈り物を包む際、幽々子のと妖夢のとを取り違えてしまったのだった。
紫はそれに気づかず、次のような手紙を添えて幽々子にプレゼントを渡した。
『幽々子へ
デートしている時、いつも何もつけていないのに気が付いていたので、このプレゼントを選びました。
もし妖夢が一緒でなければボタンの付いた長いのにしたのだけれど、彼女は脱ぐのが簡単な短いのをつけていて、それもいいかなと思いました。
微妙な色の濃淡があるでしょ。店主の霖之助さんがここ数週間はいているのを見せてくれたんだけど、それにはほとんどシミは付いていませんでした。
それからプレゼントした物を私も妖夢も試着してみたけど、結構イケてました。
そこにいて、私が最初にはかせてあげたいのだけれど、今度あなたに会う前に、私じゃない誰かの手が先にそれに触れちゃうのよね。そんなことに嫉妬する私自身を笑ってしまいます。
脱いだ後、片づける前に息を吹き込んでおきなさいね。だってはいていると中が湿っちゃうから。
来年それに何回キスすることになるか、と思っています。
次の夜にはきっとつけてきてちょうだいね。
紫より
追伸:端を折り曲げて中の毛をちょっと見せるのが最新の流行だそうよ』
★
霊夢、魔理沙、早苗がパジャマパーティーを開いた。
ひとしきり騒いだ後、布団を並べ、一緒に寝た。
次の日の朝、三者の布団は乱れに乱れていた。
魔理沙が顔を紅潮させつつ、
「いやぁ、まいったぜ」
頭をかきながら言った。
「ちょっとやらしい夢、見ちまった。誰とは言わないが、そいつにあちこち体を触られるんだ」
「そうなの? 同じ夢を私も見たわ」
霊夢と魔理沙は顔を見合わせた。
そして、もしかして、と早苗に尋ねる。そこまで重なったら何かの天啓かもしれない。
「ねえ、早苗。あなたもそんな感じの夢を見た?」
「いえ、見てませんよ」
何だ、ただの偶然か、と二人が息を吐こうとする前に、早苗は付け足した。
「……あ、でも、ピアノを弾く夢なら見ました」
とても良い音色を奏でたそうだ。
☆
紅魔館から保管しておいたたくさんの酒類が盗まれた。
犯人の魔理沙を捕らえたはいいものの、肝心の酒はどこにも見当たらない。
尋問するレミリア。
「酒はどこにやった?」
「売っちまったぜ」
「その金はどうした?」
「飲んじまったぜ」
★
「魔理沙、絶対秘密は守ってよね」
「当然だ。でも次のヤツが守るかは知らんぜ」
☆
図書館から強奪した本を風呂敷で包んだ魔理沙。廊下でばったりと咲夜に出くわしてしまう。
「……見逃してくれるか?」
「そうすることで私にどんな得が?」
窮地に立たされた魔理沙は、ポケットにトランプが入っていたことを思い出す。両手でカードを広げて言った。
「じゃあ、賭けをしようぜ。ここから一枚カードを取り出して、ジョーカーが出たらお前の勝ち。この本も含めて、私が借りたままにしてある本を全部返却する」
「ジョーカー以外が出たら?」
「この場は黙認。さらに明日一日付き合ってもらう。夜が更けた後のことも込みでな」
やや顔を赤らめて提案する魔理沙だったが、咲夜はあっさりと「いいわ」と承諾。カードを一枚抜いて、見せる。
「うっ?!」
「私の勝ちね」
魔理沙は悔しそうに顔をしかめると、本を置き、走り去ってしまった。
一部始終を見ていたメイド妖精が、陰から出てきて話しかける。
「すごいですね。勝つのもそうですけど、あんな不利な賭けを受けるなんて……」
咲夜は答えた。
「あら、どっちにしても私の勝ちじゃない?」
★
てゐよりも長生きしたいですって? 健康的に?
そう。じゃあ、あなたは飲酒や喫煙をしてる?
してないの。そう。
博打とか夜遊びとかは?
それもしてないの。そう。
じゃあ、その他何でも危ないようなこと、したりは?
そう、一切してないの。
うーん……気になるわねえ。
あなた、どうして長生きなんてしたいの?
☆
とても暑い日だった。
霖之助はとある用事の帰り道、通りがかった湖に飛び込みたくなった。
当然ながら水着は持っていない。だが、ひと気のまったくない場所である。
普段はそんなことは考えもしない。しかし、頭がうだっていたのもあったのか、霖之助は着ているものを全て脱ぎ捨て、泳ぎ始めた。
その冷たさ、気持ちよさに嘆息する間もなく、何ということだろう、向こうから道を歩いてくる咲夜が目に入った。
慌てて岸へと上がると、服をまとおうとするが間に合わない。あわわと焦るところに──バケツが落ちていた。
「や、やあ」
できうる限り冷静を装って、霖之助は咲夜に挨拶した。股間をバケツで隠して。
咲夜は足を止め、じぃっと見る。一言も発さなかった。
霖之助は羞恥にさいなまれる。まだ叫ばれたり顔を赤らめたりされた方が気が楽だった。
何か言ってくれ、と思っていると、咲夜がようやく口を開いた。
「私、人の心を読めるのよ」
「え?」
思わず羞恥を忘れ、聞く。
「そんな、さとりでもないのに? 僕の考えてることがわかる?」
「ええ、あなた、」
咲夜は言った。
「あなた、バケツに底があると思ってるわ」
★
図書館にやってきたアリスはひどく疲れきった顔をしていた。
「聞いてよ、パチュリー。もう最悪、全然眠れなかったの」
「どうしたの?」
「ずっと家のドアを叩く魔理沙がいてね。しばらく放っておいたんだけど、それでも叩き続けるのよ」
「非常識にもほどがあるわね。夜中の話でしょ」
「怒鳴りつけたり、枕を放ったり、いろいろしたんだけど、それでも叩き続けて……」
「最後はお決まりの弾幕勝負?」
「その前に私が根負けしたわ。朝の四時頃だったかしら、魔理沙を家から出してあげたの」
☆
日照りが長く続き、早苗は村人の要請で雨乞いを行うことになった。
雨乞いは初めての経験だったが、そのことを伝えても「是非とも」と頼み込まれたのである。そこまで信頼されているのならと早苗は引き受けた。
祈祷のその日、神社の境内にはあふれかえるように人が集まった。
早苗は拝殿から群衆を見渡して言った。
「ちょっと気に掛かるのですが、なぜ皆さん、傘を持ってないんでしょう?」
★
ある朝のこと。
「星、少々聞いても良いですか」
「どうかしましたか、聖。何なりとどうぞ」
「昨夜、ナズーリンにやろうと持ちかけてた『セクロス』って何なのです?」
「くぁwせdrftgyふじこlp」
「川瀬富士子? どなた?」
「いやその違うんですそうじゃなくて、」
「やっぱり何かしらの行為なのですね。『ここのところご無沙汰』だったようだから、十分堪能できてたら幸いですけど。それでどんなことなのです、セクロスって?」
「え、もしかして、本当に御存知ない? それを?」
「ええ、だから聞いているのですが」
「そう、ですか。ええとですね、その…………そうです、奥で休息するという意味です、はい」
「二人してゆっくり休みを取ったのですね。勉強になりました。ありがとうございます、星」
「どっ、どういたしまして……」
その昼のこと。
「こんにちは、聖」
「あら、神子さん」
「所要のついでに寄ってみたよ。しかし、やれやれ、ずいぶんと骨の折れる出来事だった」
「あらそうですか、お疲れ様。よろしかったら、ちょっとセクロスしていきません?」
だ が そ れ が い い
だ が そ れ が い い
それぞれのジョークにタイトルがあるとなおいい。