人間だったこともあったけれどそんな昔のこと今はどうでもいいのよ。
今はこの幻想郷でのんべんだらりと過ごすのが楽しいからいいのよ。
「なんていうとでも思ったの命蓮のバカぁ…」
「命蓮ってだあれ?あなたが命蓮?わたしこいしこんにちは!」
ある春の昼下がりのことだった、なんて言えばありふれた日常の一つだけれどそんなありふれた日常に降って湧いたようなイレギュラー。
古明地こいし、聞いたことはある。そうださとり妖怪のくせにそれを閉じて姉を困らせあっちをふらふらこっちをふらふら、何を見ているのかわからないような面持ちで幻想郷を渡り歩いているっていう。
「…私は白蓮、聖白蓮。命蓮は気にしないで、こんにちは、古明地こいしさん。今日はいい天気ですね」
「昨日は大雨だったからきっと幽香のお花畑のお花はみずみずしいんだろうね!お花って食べられるッて聞いたけどホント?」
「お花を直接食べるのはおすすめしないけれど、蜜なら美味しいものもありますよ。けれど風見幽香にきっと追い返されてしまいますよ」
ちょっと、いやかなり調子は狂うけれど彼女の話は一応通ってるからある程度気にしないで返すことにする。
彼女を縁側に誘い、お茶でもナズーリンに用意させよう。その間に行方をくらませなければいいのだけれど。
「ねぇねぇ白蓮、フランのところに行かない?それとも天子のところに行かない?あっそうだ!最近知り合ったんだけど神綺って人?とかどう?」
こいしは意外と礼儀正しくお茶を飲み、一息ついたあとにとんでもないことを言ってくれた。それ、きっと魔理沙とかアリスとか霊夢とか幻想郷にいるなかでも私より古株に言ったほうがいいと思うのだけれど。
閉じた目をこちらにむけてどうするの?とばかりに近づけてくる。そこは見えないんじゃないのかと思いながらなでてやるとぴ、という変な声が本人から聞こえた。あまり触れられたくないみたい。じゃあどうして近付けたのか。
「あなたがいろんなところに旅をしているというのは聞いたことがありますが、フランドール・スカーレットはともかく、比那名居天子や神綺にはどうして知り合う機会が?」
「んーわかんないー。なんか知らないけど紫によおおおく似た人間もみたことがあるよ!なんかね、あっちから来たのよ、って教えてくれたけどそこには行けなかったの。いつか行きたいんだけど、その人間が言うには私もどうしてココに来てるかわからないから無理よって言ってたの、絶対行けないことはないと思うんだけど白蓮はどう思う?そこにいったら命蓮って弟がいたら行きたいと思う?」
彼女はなんてない顔をして命蓮を、弟と言った。
すっかり縁側に座っていることは飽きたみたいでふらふらと庭の石を飛び歩きながらどうするの?と言ったふうにさっきの台詞だ。私は思わず動揺してしまった残っていたお茶が揺れたように見えた。
「ごめんなさい、なんで命蓮が弟だと思ったのかしら」
「神綺が教えてくれたよ、白蓮っていう金髪の黒と白の服を着たねーちゃんがむかーしおおむかしにここに来た時に命蓮が、命蓮がってうるさかったの。弟がねぇ、いるってねぇ、私にはわからないんだけどねぇ、姉バカっていうのかしらねあれって。って!わかるよ私、おねえちゃんが私のことを自慢する時こいしがこいしがって言うもの。自慢っていうのかな?なんかね、こいしが緑茶を淹れてくれるようになったの!とか、こいしが人形を作ってくれるようになったの!とか、全部私が霊夢とかアリスにやらされてたことなんだけどね!」
なんか余計なことも色々聞いてしまった気がする。今度地底に行ってあのさとり妖怪に茶菓子でも持って行こうかしら。
ソレ以上に私のプライベートまで話されている気がする。いや気がするなんてものじゃない。
「ありがとう、こいしさん。そうね、私には確かに命蓮っていう弟がいたわ、それはもう素敵な弟でご飯は美味しいし説法は素晴らしいものだったし、法衣が似合ってヒトもようかいも分け隔てなく受け入れた素晴らしい弟が」
「うんごめんちょっと聞きたくない」
「あら、ごめんなさい。…そうそう、神綺って神様なんだけれどね、こいしさんはどうやって会いにいったの?昔私が魔術を突き詰めて人間辞める前に行ったきりだから行き方なんてわからないのよね」
そういうとこいしはふらふら飛んでいたのをやめてスッと縁側に座りっぱなしだった私の手を引いた。
ついバランスが崩れてこいしの方に倒れかかった瞬間に、
「行っくよー!」
気付いたら、もう何年ぶりかもわからない魔界だった。
「久しぶり、人間、元人間の聖白蓮」
そんでもってあの牡丹鼠みたいな髪色をした神様が立っていた。
今はこの幻想郷でのんべんだらりと過ごすのが楽しいからいいのよ。
「なんていうとでも思ったの命蓮のバカぁ…」
「命蓮ってだあれ?あなたが命蓮?わたしこいしこんにちは!」
ある春の昼下がりのことだった、なんて言えばありふれた日常の一つだけれどそんなありふれた日常に降って湧いたようなイレギュラー。
古明地こいし、聞いたことはある。そうださとり妖怪のくせにそれを閉じて姉を困らせあっちをふらふらこっちをふらふら、何を見ているのかわからないような面持ちで幻想郷を渡り歩いているっていう。
「…私は白蓮、聖白蓮。命蓮は気にしないで、こんにちは、古明地こいしさん。今日はいい天気ですね」
「昨日は大雨だったからきっと幽香のお花畑のお花はみずみずしいんだろうね!お花って食べられるッて聞いたけどホント?」
「お花を直接食べるのはおすすめしないけれど、蜜なら美味しいものもありますよ。けれど風見幽香にきっと追い返されてしまいますよ」
ちょっと、いやかなり調子は狂うけれど彼女の話は一応通ってるからある程度気にしないで返すことにする。
彼女を縁側に誘い、お茶でもナズーリンに用意させよう。その間に行方をくらませなければいいのだけれど。
「ねぇねぇ白蓮、フランのところに行かない?それとも天子のところに行かない?あっそうだ!最近知り合ったんだけど神綺って人?とかどう?」
こいしは意外と礼儀正しくお茶を飲み、一息ついたあとにとんでもないことを言ってくれた。それ、きっと魔理沙とかアリスとか霊夢とか幻想郷にいるなかでも私より古株に言ったほうがいいと思うのだけれど。
閉じた目をこちらにむけてどうするの?とばかりに近づけてくる。そこは見えないんじゃないのかと思いながらなでてやるとぴ、という変な声が本人から聞こえた。あまり触れられたくないみたい。じゃあどうして近付けたのか。
「あなたがいろんなところに旅をしているというのは聞いたことがありますが、フランドール・スカーレットはともかく、比那名居天子や神綺にはどうして知り合う機会が?」
「んーわかんないー。なんか知らないけど紫によおおおく似た人間もみたことがあるよ!なんかね、あっちから来たのよ、って教えてくれたけどそこには行けなかったの。いつか行きたいんだけど、その人間が言うには私もどうしてココに来てるかわからないから無理よって言ってたの、絶対行けないことはないと思うんだけど白蓮はどう思う?そこにいったら命蓮って弟がいたら行きたいと思う?」
彼女はなんてない顔をして命蓮を、弟と言った。
すっかり縁側に座っていることは飽きたみたいでふらふらと庭の石を飛び歩きながらどうするの?と言ったふうにさっきの台詞だ。私は思わず動揺してしまった残っていたお茶が揺れたように見えた。
「ごめんなさい、なんで命蓮が弟だと思ったのかしら」
「神綺が教えてくれたよ、白蓮っていう金髪の黒と白の服を着たねーちゃんがむかーしおおむかしにここに来た時に命蓮が、命蓮がってうるさかったの。弟がねぇ、いるってねぇ、私にはわからないんだけどねぇ、姉バカっていうのかしらねあれって。って!わかるよ私、おねえちゃんが私のことを自慢する時こいしがこいしがって言うもの。自慢っていうのかな?なんかね、こいしが緑茶を淹れてくれるようになったの!とか、こいしが人形を作ってくれるようになったの!とか、全部私が霊夢とかアリスにやらされてたことなんだけどね!」
なんか余計なことも色々聞いてしまった気がする。今度地底に行ってあのさとり妖怪に茶菓子でも持って行こうかしら。
ソレ以上に私のプライベートまで話されている気がする。いや気がするなんてものじゃない。
「ありがとう、こいしさん。そうね、私には確かに命蓮っていう弟がいたわ、それはもう素敵な弟でご飯は美味しいし説法は素晴らしいものだったし、法衣が似合ってヒトもようかいも分け隔てなく受け入れた素晴らしい弟が」
「うんごめんちょっと聞きたくない」
「あら、ごめんなさい。…そうそう、神綺って神様なんだけれどね、こいしさんはどうやって会いにいったの?昔私が魔術を突き詰めて人間辞める前に行ったきりだから行き方なんてわからないのよね」
そういうとこいしはふらふら飛んでいたのをやめてスッと縁側に座りっぱなしだった私の手を引いた。
ついバランスが崩れてこいしの方に倒れかかった瞬間に、
「行っくよー!」
気付いたら、もう何年ぶりかもわからない魔界だった。
「久しぶり、人間、元人間の聖白蓮」
そんでもってあの牡丹鼠みたいな髪色をした神様が立っていた。