アリスからお菓子をもらった。
ふわってしてて茶色くて黄色くてまぁるいやつ。
天気がいいから思いっきり羽を伸ばして飛び回っていたら、魔法の森のあたりからすごくいいニオイがした。
ニオイをたどっていくとアリスの家に着いて、フライパンで何かを焼いているのが見えたんだ。
じぃっと窓の外から見ていると、あたいに気付いたアリスが「可愛いお客さんね、どうぞ」って家の中に入れてくれた。
「ようチルノ、お前もニオイに釣られたクチか?」
家の中には魔理沙がいた。
でも、アリスの家にはだいたい魔理沙がいるからあたいは別に不思議に思ったりはしない。
「飛んでたらすごくいいニオイがした。魔理沙の食べてるそれは何?」
「これはな、ホットケーキだぜ」
「おいしそう……」
魔理沙がナイフとフォークを使ってそれを切り分けてくれて、あたいの目の前に差し出してきた。
「あぐっ…おいしい!」
「だろー? 良かったな、アリス」
「チルノちゃんも食べる? 新しいの焼いてあげるわよ」
「いいの? あたいも食べたい!」
親切なアリスが新しくホットケーキを焼いてくれるのを見ていた。
どろどろの液体がまぁるい形になるのが魔法みたいで面白かった。
「おいしい! 大ちゃんにも食べさせてあげたいなあ」
「持って帰る? 包んであげるわよ」
「欲しいなぁ、アリスこれ面倒じゃない?」
「いいわよ、待ってなさい」
きっとアリスはフライパンに魔法をかけてるんだと思う。
こんなにおいしいのができるんだもん、すっごいお料理の魔法だ。
あたいだけじゃなくって魔理沙も一緒に見ていた。
「そうだチルノ、これかけて食ったらほっぺた落っこちちゃうぜ」
「えっ」
「アリスお手製ホットケーキにはたっぷりのハチミツだぜ。食ってみろよ」
◆
どうしよう。ハチミツをかけたホットケーキを食べてしまった。
あたいのほっぺたが落っこちちゃう。
どうしよう……。
むつかしいことを考えながら、いつも大ちゃんと遊んでいる大きな木の下に行くとやっぱり今日も大ちゃんがいた。
「チルノちゃん、今日は遅かったね」
「大ちゃん、あたいのほっぺたまだある?」
「あるけど……どうしたの?」
「落っこちてない?」
大ちゃんはびっくりした顔であたいを見ていた。
でも大事なことだから言わないと。
「これアリスからもらった。すごくおいしいから大ちゃんにもあげる」
「ありがとうチルノちゃん。今度会ったらお礼言わないとね」
「けど、ハチミツかけて食べたらほっぺた落っこちるって魔理沙言ってた。だからね、大ちゃんのほっぺた落っこちないように持ってあげるね」
「んゅっ?」
そう言ってあたいは大ちゃんのほっぺたを両手で持ち上げた。
むにっと柔らかい大ちゃんのほっぺた。
これがなくなっちゃったら嫌だなあ。でも、とってもおいしいからホットケーキ食べて欲しいし……。
「チルノちゃん。これバターは乗っけてあるけどハチミツはかかってないよ?」
「大ちゃんのほっぺた落ちたら嫌だからハチミツはなしにしてもらった!」
「ならもうほっぺた支えてなくても大丈夫じゃない?」
「あ、そっか!」
あたいは大ちゃんのほっぺたから手を離す。
さっきまであったかいほっぺに触っていたからちょっと物足りなく感じる。
「ねぇ大ちゃん。あたいのほっぺなくなっちゃっても怖がらないでいてくれる?」
「ええ、大丈夫よ」
「嫌わないでいてくれる?」
「もちろん」
しゃべりながら大ちゃんはバターだけがかかったホットケーキを食べていた。
おいしくて、ほっぺた落っこちない安全なやつ。
「ねぇチルノちゃん。そんなに心配なら、ほっぺた持っててあげようか」
「え、いいの!?」
「こうしてれば安心よね」
大ちゃんがあたいのほっぺたを持っててくれる。すごく近い。
「アリスさんのホットケーキおいしいね」
「うん、アリス魔法使ってないのに、魔法みたいにそれ作ってた。すごかった」
「チルノちゃんが食べたハチミツがけのホットケーキはおいしかった?」
「おいしかったよ!」
もっと大ちゃんが近寄ってきて、あたいは何だかドキドキしてきた。
どうしよ、ほっぺた落ちてきちゃったのかな……。
「おまじない、かけてあげるね」
「どんな?」
「ほっぺたが落っこちないおまじない」
そう言って大ちゃんは、あたいのほっぺから手を離した。
それから右のほっぺに、ちゅ。って。
「!?」
「左もね」
左のほっぺたにも同じように、ちゅって。
大ちゃんの柔らかい唇があたいのほっぺたに、ちゅってくっついちゃった。
「チルノちゃんのほっぺたが落っこちませんように」
「あ、ありがと、大ちゃん」
「今日は何して遊ぼうか? おにごっこ、チルノちゃんが鬼だったよね。それやろ!」
にっこり笑う大ちゃんの顔がまともに見れなくて。
両方のほっぺたがジンジン熱くって。
あたい、溶けちゃうかも……。
「大ちゃん待ってーー!」
ほっぺたが熱い。
大ちゃんを捕まえようと全力で飛んで風に当たってもちっとも冷えない。
このままじゃ余計にほっぺた落っこちちゃう、かも。
ふわってしてて茶色くて黄色くてまぁるいやつ。
天気がいいから思いっきり羽を伸ばして飛び回っていたら、魔法の森のあたりからすごくいいニオイがした。
ニオイをたどっていくとアリスの家に着いて、フライパンで何かを焼いているのが見えたんだ。
じぃっと窓の外から見ていると、あたいに気付いたアリスが「可愛いお客さんね、どうぞ」って家の中に入れてくれた。
「ようチルノ、お前もニオイに釣られたクチか?」
家の中には魔理沙がいた。
でも、アリスの家にはだいたい魔理沙がいるからあたいは別に不思議に思ったりはしない。
「飛んでたらすごくいいニオイがした。魔理沙の食べてるそれは何?」
「これはな、ホットケーキだぜ」
「おいしそう……」
魔理沙がナイフとフォークを使ってそれを切り分けてくれて、あたいの目の前に差し出してきた。
「あぐっ…おいしい!」
「だろー? 良かったな、アリス」
「チルノちゃんも食べる? 新しいの焼いてあげるわよ」
「いいの? あたいも食べたい!」
親切なアリスが新しくホットケーキを焼いてくれるのを見ていた。
どろどろの液体がまぁるい形になるのが魔法みたいで面白かった。
「おいしい! 大ちゃんにも食べさせてあげたいなあ」
「持って帰る? 包んであげるわよ」
「欲しいなぁ、アリスこれ面倒じゃない?」
「いいわよ、待ってなさい」
きっとアリスはフライパンに魔法をかけてるんだと思う。
こんなにおいしいのができるんだもん、すっごいお料理の魔法だ。
あたいだけじゃなくって魔理沙も一緒に見ていた。
「そうだチルノ、これかけて食ったらほっぺた落っこちちゃうぜ」
「えっ」
「アリスお手製ホットケーキにはたっぷりのハチミツだぜ。食ってみろよ」
◆
どうしよう。ハチミツをかけたホットケーキを食べてしまった。
あたいのほっぺたが落っこちちゃう。
どうしよう……。
むつかしいことを考えながら、いつも大ちゃんと遊んでいる大きな木の下に行くとやっぱり今日も大ちゃんがいた。
「チルノちゃん、今日は遅かったね」
「大ちゃん、あたいのほっぺたまだある?」
「あるけど……どうしたの?」
「落っこちてない?」
大ちゃんはびっくりした顔であたいを見ていた。
でも大事なことだから言わないと。
「これアリスからもらった。すごくおいしいから大ちゃんにもあげる」
「ありがとうチルノちゃん。今度会ったらお礼言わないとね」
「けど、ハチミツかけて食べたらほっぺた落っこちるって魔理沙言ってた。だからね、大ちゃんのほっぺた落っこちないように持ってあげるね」
「んゅっ?」
そう言ってあたいは大ちゃんのほっぺたを両手で持ち上げた。
むにっと柔らかい大ちゃんのほっぺた。
これがなくなっちゃったら嫌だなあ。でも、とってもおいしいからホットケーキ食べて欲しいし……。
「チルノちゃん。これバターは乗っけてあるけどハチミツはかかってないよ?」
「大ちゃんのほっぺた落ちたら嫌だからハチミツはなしにしてもらった!」
「ならもうほっぺた支えてなくても大丈夫じゃない?」
「あ、そっか!」
あたいは大ちゃんのほっぺたから手を離す。
さっきまであったかいほっぺに触っていたからちょっと物足りなく感じる。
「ねぇ大ちゃん。あたいのほっぺなくなっちゃっても怖がらないでいてくれる?」
「ええ、大丈夫よ」
「嫌わないでいてくれる?」
「もちろん」
しゃべりながら大ちゃんはバターだけがかかったホットケーキを食べていた。
おいしくて、ほっぺた落っこちない安全なやつ。
「ねぇチルノちゃん。そんなに心配なら、ほっぺた持っててあげようか」
「え、いいの!?」
「こうしてれば安心よね」
大ちゃんがあたいのほっぺたを持っててくれる。すごく近い。
「アリスさんのホットケーキおいしいね」
「うん、アリス魔法使ってないのに、魔法みたいにそれ作ってた。すごかった」
「チルノちゃんが食べたハチミツがけのホットケーキはおいしかった?」
「おいしかったよ!」
もっと大ちゃんが近寄ってきて、あたいは何だかドキドキしてきた。
どうしよ、ほっぺた落ちてきちゃったのかな……。
「おまじない、かけてあげるね」
「どんな?」
「ほっぺたが落っこちないおまじない」
そう言って大ちゃんは、あたいのほっぺから手を離した。
それから右のほっぺに、ちゅ。って。
「!?」
「左もね」
左のほっぺたにも同じように、ちゅって。
大ちゃんの柔らかい唇があたいのほっぺたに、ちゅってくっついちゃった。
「チルノちゃんのほっぺたが落っこちませんように」
「あ、ありがと、大ちゃん」
「今日は何して遊ぼうか? おにごっこ、チルノちゃんが鬼だったよね。それやろ!」
にっこり笑う大ちゃんの顔がまともに見れなくて。
両方のほっぺたがジンジン熱くって。
あたい、溶けちゃうかも……。
「大ちゃん待ってーー!」
ほっぺたが熱い。
大ちゃんを捕まえようと全力で飛んで風に当たってもちっとも冷えない。
このままじゃ余計にほっぺた落っこちちゃう、かも。