「い、いや……来ないで……」
「へっへっへっ、いいじゃねぇか」
「ネエちゃんよぉ? ちょっとだけ俺達と遊んでくれよぉ、なぁ?」
「い、いや、助けて……誰か」
月は雲に隠れ星影は無し。
街道を照らす提灯も、少し路地を曲がれば光は届かない。
深い夜の闇に包まれた人里では、様々な犯罪が起こる。
妖怪と人間の暮らすこの世界、幻想郷では人を襲い、攫い、食い、寄生する妖怪が人間の脅威となっている。
しかし、怖れるのはそうした妖怪だけかといえばそうではない。
古今東西、あらゆる地において悪事を働く生き物がいる。
ある者は汗水流してやっと得たばかりの報酬を、ある者は未来ある我が子を奪われ闇に堕とされ、ある者は理不尽で身勝手極まりない理由で命を奪われた。
妖怪の、悪魔の仕業ではない。 同じ、人間によって行われた行為である。
「なぁネエちゃん、何も俺達ゃあんたの命を奪おうってンじゃねぇんだ」
「そうそう、ただちょこっと“遊ぼう”って話なんだよ」
「お願い、来ないで下さい……」
そして今夜もそうした悪人によって新たな犠牲者が生まれようとしている。
見るからに悪漢といった風貌の男2人によって路地裏へと追い込まれた女性は涙ながらに懇願する。「来ないで」と「お願いだから見逃して下さい」と。
だがそうした言葉は悪漢達をさらに興奮させるスパイスでしかなく、ジリジリと確実に女性を行き止まりへと誘導し、逃げ道を塞いでいく。
「無駄だよネエちゃん、こんな場所に人なんか来るもンか」
「そうそう、それに来たとしても助けにくる奴なんかいやしねぇよ」
「そんな……誰か……」
野次馬、対岸の火事、そうした態度をとる人間は多けれど、助けに入る人間はいない。そうしたことを悪漢達は分かっていた。 普通の人間なら我が身が可愛く、進んで危険に首を突っ込むやつなんか滅多にいない。
白昼堂々往来の真ん中でやくざ者に誰かが絡まれていたとして誰が庇うのか。 皆目を背け立ち去るか治安維持を業務とする者を呼び、嗾けることしか出来ないのだ。
ついに女性は行き止まりへと追い詰められ、悪漢達はニヤニヤと下劣な笑みを深めながら距離を縮めていく。
「なに、怖いのは最初だけってもンさ、なぁ?」
「恨むンなら己の不幸にしときな」
そう言いながら手を女性の肩にかけようとした。
俄かに風が吹き、月を覆う雲が払われ月光が三人を照らし出した。
下劣な笑みを浮かべている男達の目は醜く歪んで見えた。
女性は最後の抵抗と声をあげようとした。
その時であった。
「そこまでだ悪人ども!!」
突然の声に静止したかのような時の中でただ一人、月光を背負い舞い降りた者がいる。
中空から軽やかに着地したその者は女性を庇うように悪漢達の前に立ち塞がった。
「な、何もンだてめぇ!」
「よ、妖怪か!? ここが人里だと知ってのことか!?」
幻想郷にはルールがある。 それは人里の中で妖怪は人間に対し危害を加える事が出来ないというものだ。
もしそれを破ったならば妖怪の賢者、博麗の巫女を敵にまわすこととなり、二度と表を上げて往来を歩くことなど出来なくなるだろう。
だが目の前の者は応えない。 代わりに怯えきって腰を抜かしている女性に声をかけた。
「こいつらは私が引き受けます、貴女はお逃げなさい」
「え……?」
「私は大丈夫、強いですから」
質問を無視されたあげく挑発にもとれる不敵な発言に悪漢達は怒声を上げた。
「なめンじゃねぇぞこらぁ! っざけてんのかてめぇ!」
「ぶっ殺してやらぁ!」
だがそれでも立ち塞がった者は応えない。しかし、声と輪郭でその性別は分かった。
その者もまた女性である。それが益々男達の怒りの色を濃くさせた。
月明かりで照らされたとはいえ闇の中。 顔を伺うことは叶わないが髪が長く、女性にしては長身の部類に入るであろうことだけは確かである。
「さあ、早くお逃げなさい」
「あ、ありがとうございます、ですが腰が抜けてしまって動けないのです」
「……では仕方ありませんね、すぐに終わらせますのでしばしそこでお待ちを」
怒れる声も、悪漢達が怒気に任せ抜き放った白刃も、迫りつつある脅威も意に介することもなく、立ち塞がった女性は声をかけると、自分の腰の位置へと手をあて、次に右手を左肩の方へ斜めに伸ばすとそとまま頭上で弧を描くように右側へと運び再び腰へ当てると、左手を同じように右肩の方へ伸ばしてからもとの腰の位置へ戻した。
瞬間、女性の腰の中央から眩い白い光が発せられ、その光に目が眩んだ悪漢達は後ろへ大きくよろめいた。
「変身っ!!」
光はその一声によって紅く変わり魔法陣を描きだし、それに向かって女性は歩を進める。
「な、何だ!?」
「いったい何が起きた……って今度は何だ!?」
光が収まり、悪漢達が伏せていた目を上げるとそこには先程までの女性はいなかった。
目の前にいたのは紅い仮面、黄色いスカーフ、深緑の胸当て、紅と緑のライダースーツ、側面金の龍が描かれた漆黒のブーツを履いた異形の存在であった。
何が起きているのか理解出来ない悪漢達。 助けてくれた女性がよく分からない姿に変身し混乱する腰を抜かした女。 再び時は静止した。
変身した女性はそんな空気など知らぬかのように告げた。
「か弱い女性を二人掛かりで狙うとはどこまでも卑劣! その悪事! 人間達が見逃したとしても、この私が見逃さない!!」
悪を切り裂くような凛とした声。仮面に付いた大きな目のようなバイザーは月のように輝き目の前の敵を捉えて離さない。
「なっ何なンだマジで!?」
「どうなってんだよぉ! 誰なんだよてめぇはよォ!?」
「私か? いいだろう、私の名をその魂に刻み二度と悪の道に堕ちぬための戒めとしろ!」
そう言うやいなや変身した女性はなんかそこはかとなく少年の心をくすぐるようなカッコイイポーズを決めた。
「私の名前は仮面ライダー・ヴラド! 誇り高き紅魔、勇敢で美しくめちゃんこ強くてカリスマたっぷりにしてけれど愛らしさを忘れない素敵な吸血鬼でおられるレミリア・スカーレット様の悪ノr……正義の執行をするべく生み出された改造妖怪だ!!」
「なぁ、今悪ノリって言いかけなかったか?」
「相棒、多分そいつァ指摘しねぇ方がいいんじゃねぇか?」
「しかも出処分かっちゃったじゃねぇか」
「いや、聞いてないフリしてやれって、ほら、ライダーさんちょっと震えてんじゃねぇか」
「これは武者震いだ悪党め!! ぐすっ、今すぐやっつけてやるからな!!」
余談ではあるが救われた形となる女性は「途中まではよかったのになぁ」と聞こえないように呟いていた。 ついでに仮面で見えてはいないがライダーの中身は羞恥で顔が真っ赤であった。
「いや、なんか、その、な? 俺達反省したよ、だからさ、その、な?」
「あ、あぁ、もう金輪際こんな事しないって誓うよ……うん。その、悪かったよ、そこのネエちゃんも……悪かった、すまんかった」
正義のライダーの威光によってか、悪漢達は態度を改め謝罪を始めた。 色々と申し訳なさそうな顔で。決していたたまれない気持ちになったからではない。
だがライダーは動じない。よく見るとライダーは袖の辺りをチラチラと見ている。どうやらカンペのようだ。
「口だけでは何とでも言える! さぁ歯を食いしばれ!! 小便は済ませたか? サタン様にお祈りは? 月まで吹き飛び情けない声をあげる準備はOK?」
「な、なぁ、俺達マジで反省してるンだって!」
「そうそう、もう二度とこんな事しな「言い訳無用!!」
悪漢の片割れは最後まで言い終わることは出来なかった。
「さぁ受けてみよ! 正義の一撃!」
「ま、待て! 妖怪は里の中で人間にはッ!」
ライダーは高く飛び上がった。
悪漢達はただ見上げる事しかできなかった。
腰を抜かしていた女性は欠伸していた。
そして、
「飛花じゃなくてライダー……スカーレット・キック!!」
七色の軌跡を夜空に映しながら渾身のライダーキックが悪漢達に炸裂した。
とは言っても実際には直撃すればただの人間である悪漢達はミンチより酷い状態になってしまうため少し手前の地面に当てている。そうすることで衝撃波で吹き飛ぶことはあっても翌日のハンバーグの材料と化すような事態を防いでいた。
「お、おぼえてろおおおおお!!」
「ぬわああああああああああ!!」
か弱い女性を襲おうとした悪は吹き飛び、夜に相応しい静寂が訪れた。
「あ、あの、助けてくれて、ありがとうございます」
「……お怪我はありませんか?」
「えぇ、大丈夫……です」
「そうですか」と、女性の返事に満足気に頷いたライダーは変身を解くと、彼女と目を合わせないようにしながら背を向け、歩きだした。
助ける為とはいえ妖怪が人間に対して里の中にも関わらず攻撃した。その行為がどういう意味を持つのか分からぬ両者ではない。ライダーは正体を知られてはならぬ身となり、救われた女性も、その素性を知りたくとも知ってはならない事を理解していた。
というかぶっちゃけ自分から言ってるのとほぼ同じだし某真っ赤な館へ出向いて背格好の近い妖怪に後日お礼でも渡せばいいやと考えている。
かくして正義は執行され、哀れな犠牲者となるはずであった女性は救われた。
だが二人は知らない。
この出来事の一部始終を撮影した者がいることを。
後日、幻想入りしたアナログ放送によってお茶の間の子供達が一番齧り付きたくなる時間帯である日曜朝8:30に放映された。テレビは河童製である。
提供はレミィちゃん印の紅魔館と健康ステップ守屋神社であった。
ついでに紅髪の門番は月曜日に八雲と博麗によってこってりお仕置きされた。
紅魔館
「あのお嬢様? その方は一体誰でしょうか?」
「よく聞いてくれたわ美鈴。この子はあなたのパートナーよ!」
「どうも初めまして、堀川雷鼓といいます!」
「え? なんですか?」
「この子はね? 太鼓叩くのよ!太鼓! しかも和太鼓!」
「……もしかしてお嬢様」
「つまりあなたと合わせれば昭和と平成のタッグなのよ!」
「あの、お嬢様? それ以上は……」
「響「そこまでですっ!!」鬼ってかっこよくね!?」
「へっへっへっ、いいじゃねぇか」
「ネエちゃんよぉ? ちょっとだけ俺達と遊んでくれよぉ、なぁ?」
「い、いや、助けて……誰か」
月は雲に隠れ星影は無し。
街道を照らす提灯も、少し路地を曲がれば光は届かない。
深い夜の闇に包まれた人里では、様々な犯罪が起こる。
妖怪と人間の暮らすこの世界、幻想郷では人を襲い、攫い、食い、寄生する妖怪が人間の脅威となっている。
しかし、怖れるのはそうした妖怪だけかといえばそうではない。
古今東西、あらゆる地において悪事を働く生き物がいる。
ある者は汗水流してやっと得たばかりの報酬を、ある者は未来ある我が子を奪われ闇に堕とされ、ある者は理不尽で身勝手極まりない理由で命を奪われた。
妖怪の、悪魔の仕業ではない。 同じ、人間によって行われた行為である。
「なぁネエちゃん、何も俺達ゃあんたの命を奪おうってンじゃねぇんだ」
「そうそう、ただちょこっと“遊ぼう”って話なんだよ」
「お願い、来ないで下さい……」
そして今夜もそうした悪人によって新たな犠牲者が生まれようとしている。
見るからに悪漢といった風貌の男2人によって路地裏へと追い込まれた女性は涙ながらに懇願する。「来ないで」と「お願いだから見逃して下さい」と。
だがそうした言葉は悪漢達をさらに興奮させるスパイスでしかなく、ジリジリと確実に女性を行き止まりへと誘導し、逃げ道を塞いでいく。
「無駄だよネエちゃん、こんな場所に人なんか来るもンか」
「そうそう、それに来たとしても助けにくる奴なんかいやしねぇよ」
「そんな……誰か……」
野次馬、対岸の火事、そうした態度をとる人間は多けれど、助けに入る人間はいない。そうしたことを悪漢達は分かっていた。 普通の人間なら我が身が可愛く、進んで危険に首を突っ込むやつなんか滅多にいない。
白昼堂々往来の真ん中でやくざ者に誰かが絡まれていたとして誰が庇うのか。 皆目を背け立ち去るか治安維持を業務とする者を呼び、嗾けることしか出来ないのだ。
ついに女性は行き止まりへと追い詰められ、悪漢達はニヤニヤと下劣な笑みを深めながら距離を縮めていく。
「なに、怖いのは最初だけってもンさ、なぁ?」
「恨むンなら己の不幸にしときな」
そう言いながら手を女性の肩にかけようとした。
俄かに風が吹き、月を覆う雲が払われ月光が三人を照らし出した。
下劣な笑みを浮かべている男達の目は醜く歪んで見えた。
女性は最後の抵抗と声をあげようとした。
その時であった。
「そこまでだ悪人ども!!」
突然の声に静止したかのような時の中でただ一人、月光を背負い舞い降りた者がいる。
中空から軽やかに着地したその者は女性を庇うように悪漢達の前に立ち塞がった。
「な、何もンだてめぇ!」
「よ、妖怪か!? ここが人里だと知ってのことか!?」
幻想郷にはルールがある。 それは人里の中で妖怪は人間に対し危害を加える事が出来ないというものだ。
もしそれを破ったならば妖怪の賢者、博麗の巫女を敵にまわすこととなり、二度と表を上げて往来を歩くことなど出来なくなるだろう。
だが目の前の者は応えない。 代わりに怯えきって腰を抜かしている女性に声をかけた。
「こいつらは私が引き受けます、貴女はお逃げなさい」
「え……?」
「私は大丈夫、強いですから」
質問を無視されたあげく挑発にもとれる不敵な発言に悪漢達は怒声を上げた。
「なめンじゃねぇぞこらぁ! っざけてんのかてめぇ!」
「ぶっ殺してやらぁ!」
だがそれでも立ち塞がった者は応えない。しかし、声と輪郭でその性別は分かった。
その者もまた女性である。それが益々男達の怒りの色を濃くさせた。
月明かりで照らされたとはいえ闇の中。 顔を伺うことは叶わないが髪が長く、女性にしては長身の部類に入るであろうことだけは確かである。
「さあ、早くお逃げなさい」
「あ、ありがとうございます、ですが腰が抜けてしまって動けないのです」
「……では仕方ありませんね、すぐに終わらせますのでしばしそこでお待ちを」
怒れる声も、悪漢達が怒気に任せ抜き放った白刃も、迫りつつある脅威も意に介することもなく、立ち塞がった女性は声をかけると、自分の腰の位置へと手をあて、次に右手を左肩の方へ斜めに伸ばすとそとまま頭上で弧を描くように右側へと運び再び腰へ当てると、左手を同じように右肩の方へ伸ばしてからもとの腰の位置へ戻した。
瞬間、女性の腰の中央から眩い白い光が発せられ、その光に目が眩んだ悪漢達は後ろへ大きくよろめいた。
「変身っ!!」
光はその一声によって紅く変わり魔法陣を描きだし、それに向かって女性は歩を進める。
「な、何だ!?」
「いったい何が起きた……って今度は何だ!?」
光が収まり、悪漢達が伏せていた目を上げるとそこには先程までの女性はいなかった。
目の前にいたのは紅い仮面、黄色いスカーフ、深緑の胸当て、紅と緑のライダースーツ、側面金の龍が描かれた漆黒のブーツを履いた異形の存在であった。
何が起きているのか理解出来ない悪漢達。 助けてくれた女性がよく分からない姿に変身し混乱する腰を抜かした女。 再び時は静止した。
変身した女性はそんな空気など知らぬかのように告げた。
「か弱い女性を二人掛かりで狙うとはどこまでも卑劣! その悪事! 人間達が見逃したとしても、この私が見逃さない!!」
悪を切り裂くような凛とした声。仮面に付いた大きな目のようなバイザーは月のように輝き目の前の敵を捉えて離さない。
「なっ何なンだマジで!?」
「どうなってんだよぉ! 誰なんだよてめぇはよォ!?」
「私か? いいだろう、私の名をその魂に刻み二度と悪の道に堕ちぬための戒めとしろ!」
そう言うやいなや変身した女性はなんかそこはかとなく少年の心をくすぐるようなカッコイイポーズを決めた。
「私の名前は仮面ライダー・ヴラド! 誇り高き紅魔、勇敢で美しくめちゃんこ強くてカリスマたっぷりにしてけれど愛らしさを忘れない素敵な吸血鬼でおられるレミリア・スカーレット様の悪ノr……正義の執行をするべく生み出された改造妖怪だ!!」
「なぁ、今悪ノリって言いかけなかったか?」
「相棒、多分そいつァ指摘しねぇ方がいいんじゃねぇか?」
「しかも出処分かっちゃったじゃねぇか」
「いや、聞いてないフリしてやれって、ほら、ライダーさんちょっと震えてんじゃねぇか」
「これは武者震いだ悪党め!! ぐすっ、今すぐやっつけてやるからな!!」
余談ではあるが救われた形となる女性は「途中まではよかったのになぁ」と聞こえないように呟いていた。 ついでに仮面で見えてはいないがライダーの中身は羞恥で顔が真っ赤であった。
「いや、なんか、その、な? 俺達反省したよ、だからさ、その、な?」
「あ、あぁ、もう金輪際こんな事しないって誓うよ……うん。その、悪かったよ、そこのネエちゃんも……悪かった、すまんかった」
正義のライダーの威光によってか、悪漢達は態度を改め謝罪を始めた。 色々と申し訳なさそうな顔で。決していたたまれない気持ちになったからではない。
だがライダーは動じない。よく見るとライダーは袖の辺りをチラチラと見ている。どうやらカンペのようだ。
「口だけでは何とでも言える! さぁ歯を食いしばれ!! 小便は済ませたか? サタン様にお祈りは? 月まで吹き飛び情けない声をあげる準備はOK?」
「な、なぁ、俺達マジで反省してるンだって!」
「そうそう、もう二度とこんな事しな「言い訳無用!!」
悪漢の片割れは最後まで言い終わることは出来なかった。
「さぁ受けてみよ! 正義の一撃!」
「ま、待て! 妖怪は里の中で人間にはッ!」
ライダーは高く飛び上がった。
悪漢達はただ見上げる事しかできなかった。
腰を抜かしていた女性は欠伸していた。
そして、
「飛花じゃなくてライダー……スカーレット・キック!!」
七色の軌跡を夜空に映しながら渾身のライダーキックが悪漢達に炸裂した。
とは言っても実際には直撃すればただの人間である悪漢達はミンチより酷い状態になってしまうため少し手前の地面に当てている。そうすることで衝撃波で吹き飛ぶことはあっても翌日のハンバーグの材料と化すような事態を防いでいた。
「お、おぼえてろおおおおお!!」
「ぬわああああああああああ!!」
か弱い女性を襲おうとした悪は吹き飛び、夜に相応しい静寂が訪れた。
「あ、あの、助けてくれて、ありがとうございます」
「……お怪我はありませんか?」
「えぇ、大丈夫……です」
「そうですか」と、女性の返事に満足気に頷いたライダーは変身を解くと、彼女と目を合わせないようにしながら背を向け、歩きだした。
助ける為とはいえ妖怪が人間に対して里の中にも関わらず攻撃した。その行為がどういう意味を持つのか分からぬ両者ではない。ライダーは正体を知られてはならぬ身となり、救われた女性も、その素性を知りたくとも知ってはならない事を理解していた。
というかぶっちゃけ自分から言ってるのとほぼ同じだし某真っ赤な館へ出向いて背格好の近い妖怪に後日お礼でも渡せばいいやと考えている。
かくして正義は執行され、哀れな犠牲者となるはずであった女性は救われた。
だが二人は知らない。
この出来事の一部始終を撮影した者がいることを。
後日、幻想入りしたアナログ放送によってお茶の間の子供達が一番齧り付きたくなる時間帯である日曜朝8:30に放映された。テレビは河童製である。
提供はレミィちゃん印の紅魔館と健康ステップ守屋神社であった。
ついでに紅髪の門番は月曜日に八雲と博麗によってこってりお仕置きされた。
紅魔館
「あのお嬢様? その方は一体誰でしょうか?」
「よく聞いてくれたわ美鈴。この子はあなたのパートナーよ!」
「どうも初めまして、堀川雷鼓といいます!」
「え? なんですか?」
「この子はね? 太鼓叩くのよ!太鼓! しかも和太鼓!」
「……もしかしてお嬢様」
「つまりあなたと合わせれば昭和と平成のタッグなのよ!」
「あの、お嬢様? それ以上は……」
「響「そこまでですっ!!」鬼ってかっこよくね!?」
という訳で次はネオ世代のシン枠としてリグルを連れてこよう
平成だとクウガかな
変身フォームは1号はわかるけどウィザードの部分がよく分からん
設定的には鬼のほうなんだけどなw
そういえばアギトは竜と武術的な動作がモチーフで龍騎は名前からまんまそうだし相方は蝙蝠だったな……
はっ、これはおぜうも変身フラグ!?(違
平成ライダーは武器に剣も使うから、みょんも有りかと。