Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ざあざあ

2014/01/14 22:33:15
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ざあざあと雨が降る夜であった 。街灯すらない寂しい通りを歩く少女が2人いた。
「どうするのよ、 蓮子。貴女に従ってこんな辺境の地まで来たけど帰るのはおろか、泊まるところすら見つからないじゃない!」
少し口調を荒らげながら金髪の少女は黒髪の少女(蓮子と言ったか)に言った。
「だから、今道を戻ってるんじゃない、メリー。結局めぼしいものは見つからなかったし。」
ぶっきらぼうに蓮子はそう言った。
「蓮子は今日中に帰るつもりなの?」
メリーが蓮子に問う。
「勿論よ。そうするしかないじゃない。」
さも当然のように蓮子が答える。
「簡単に言うけど、ここまで来るのに3時間はかかったわよ!?どこか泊めてくれる場所を探すべきよ!」
「午後8時…終電に乗れるかしら…」
「無視するなー!」
2人はギャアギャア言い合いながらもてくてくと進んで行く。結局それ以外どう仕様もないのだ。
「ハックション!」
メリーがくしゃみをする。
「あら、誰かにでも噂されてるんじゃない?」
「そうかもね…ハックション!」
メリーはまたくしゃみをする。
「メリー、大丈夫?風邪でも引いたんじゃない?」
「そうかもね、けど大したことないから大丈夫よ。ハックション!」
メリーはまたまたくしゃみをする。
「メリー、あなたこの雨で体が冷えたのよ。何処か雨宿りできそうなところを探さないと…」
「そんな、大丈夫よ蓮子。」
蓮子はメリーの言葉を無視して手を掴み、近くにあった木の下まで移動させた。掴んだ手は冷たかった。どうにかして暖めなければ、蓮子はそう思った。しかし、何か暖がとれそうなものはない、いや1つあった。それは我が身だ。自分自身の体で抱き寄せれば幾分かマシになるだろう。蓮子はすぐに行動に移した。
「ちょ…蓮子!?」
「いいから、黙ってそのままにしてて!」
ざあざあと雨の音だけが響いている。いい匂いがするな、水に濡れて色っぽいな、2人は互いにそんなことを考えていた。長い長い沈黙。それは2人にとって心地良いものだった。その沈黙を破ったのは蓮子の一言だった。
「この時間が永遠に続けばいいのに。」
「私もそう思う。けどね、蓮子。」
メリーがひと呼吸おいて言う。
「永遠に続かないとわかっているから今、幸せを感じられるんじゃないかしら。永遠に続くとわかってしまっていればその価値は無いに等しいんじゃないかしら。」
「花は儚い故に美しい、か。その通りかもね、メリー。」
納得したように蓮子は言った。そして、こう続けた。
「けど、人は永遠を追い求める。不老不死がいい例ね。それがどんなものかもわからないのに素晴らしいものだと信じて。もしかして、私達の追い求めている物のいざ見つけてみれば大したことないのかもね。」
「でも、楽しいじゃないの。それにね、蓮子。貴女と一緒に居られるわ。」
メリーが色っぽい目をしながら答える。
「メリー、誘ってるの?」
蓮子が笑いながら答える。
「さあ、どうだか。」
メリーがニヤニヤしながら答える。
「…まあどっちでもいいや。」
そう言って蓮子はメリーにキスをした。メリーもそれに応えるように体を差し出した。ざあざあと雨は降り続く。2人は雨が上がるまで甘い時間を過ごした。それは永遠に続くかのように感じられたことであろう。しかし、終わってみれば一瞬であったことだろう。時間というのはそんなものである。ざあざあと降り続く雨も明けぬことはないのである。
アドバイス等ありましたら下さるととても嬉しいです。
A.T(田中)
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
展開早いなw
自分の満足できる形に、時間をかけて拘ってみるのもいいと思いますよ。
2.名前が無い程度の能力削除
起承転結を意識するといいですよ