彼女は苛立っていた。
確かに異変の際には利用しようとした、それは否定しない。
多少は誇張も入っていたかもしれない。
だが、嘘を言った覚えは無く、持ちつ持たれつの関係だったはずだ。
お互い巫女に退治されて縁は切れたと思った。
それなのにこんな風に毎日嫌がらせされるなんて。
自分の見る目の無さを悔やむしかなかった。
失敗
やれ、私が寒いといえば風を浴びせてきた。
やれ、私が眠いと言えばのべつ幕無しに話しかけてきた。
飯を作ってきたこともあった。
それがとてもおいしくなかったのでまずいと言えば、彼女は喜んだ。
もう作らないでくれと言っても全然聞かないのだ。
だから言ってやったのだ。
お前なんか大嫌いだと。
一生顔も見たくないと。
そうしたら彼女はようやくわかったのであろう、足早に去っていった。
耳が赤かったのは怒っていたからに違いない。
これで静かになると思い、正邪はわずかな寂しさに気づかないふりをした。
針妙丸は狂喜乱舞していた。
「まさか、『大好きだ、一生私のそばに居て欲しい』だなんて。早く指輪を探して帰らないと」
彼女は知らない。
天邪鬼は性質が真逆なだけで、決して嘘をつく妖怪ではないのだということを。
確かに異変の際には利用しようとした、それは否定しない。
多少は誇張も入っていたかもしれない。
だが、嘘を言った覚えは無く、持ちつ持たれつの関係だったはずだ。
お互い巫女に退治されて縁は切れたと思った。
それなのにこんな風に毎日嫌がらせされるなんて。
自分の見る目の無さを悔やむしかなかった。
失敗
やれ、私が寒いといえば風を浴びせてきた。
やれ、私が眠いと言えばのべつ幕無しに話しかけてきた。
飯を作ってきたこともあった。
それがとてもおいしくなかったのでまずいと言えば、彼女は喜んだ。
もう作らないでくれと言っても全然聞かないのだ。
だから言ってやったのだ。
お前なんか大嫌いだと。
一生顔も見たくないと。
そうしたら彼女はようやくわかったのであろう、足早に去っていった。
耳が赤かったのは怒っていたからに違いない。
これで静かになると思い、正邪はわずかな寂しさに気づかないふりをした。
針妙丸は狂喜乱舞していた。
「まさか、『大好きだ、一生私のそばに居て欲しい』だなんて。早く指輪を探して帰らないと」
彼女は知らない。
天邪鬼は性質が真逆なだけで、決して嘘をつく妖怪ではないのだということを。