Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

美鈴とパルスィが行く!外の世界気まま旅2

2013/11/05 00:44:22
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「よし第二弾を作りに行くぞ!」
美鈴のその一言で『美鈴とパルスィが行く外の世界気まま旅』の第二弾の制作が決まった。その日のうちに射命丸、鈴仙、パルスィに伝わった。三日後、紅魔館のとある一室にみんな集まっていた。
「全員来ていますね、そしたら始めます。今回集まってもらったのは、前に制作した気まま旅の第二弾を新たに旅に出かけて制作しようという計画です。それではすぐに今回の出発地点を発表します。今回の出発地点は……前回の最後に行った千歳神社からです。そして目的地は……今回も決まっていないので今から決めます。」
みんなが座ってい居るテーブルにはいつの間にかサイコロが置かれていた。部屋に入ってきたときはまだサイコロは無かったので美鈴以外驚いていた。サイコロを射命丸が振ろうとしていたがパルスィが止めた。
「ねえ美鈴、出た目で行き先を決めるのよね? それなら先に行き先を発表したほうがいいんじゃないかしら?」
パルスィは美鈴に行き先を発表してもらうように言った。美鈴はすぐにボードを持って来た。
「それでは発表します。今回のサイコロの出た目で行く行き先は……一、北海道の空の玄関《千歳市》、花のまち《恵庭市》、札幌市のベットタウン《北広島市》。二、港が有名《苫小牧市》、鉄のまち《室蘭市》。三、ちょっと遠い《白老町》。四、北海道の中心《札幌市》。五、ここはどこ《江別市》。六、ここはどこ《安平町》。の以上の六つです。それでは文さ

んお願いします。」
「誰もわからないところが二つもあって大丈夫なの?」
「まあ、なんとかなるでしょう。」
美鈴の説明が終わって射命丸にサイコロを振るように指示があったので射命丸はサイコロを振った。出た目は……『一』千歳市、恵庭市、北広島市だ。
「それじゃあ今回の目的地は千歳市、恵庭市、北広島市に決定! そしたら出発は明日だから今日帰ったら準備してくださいね。予定では三日間日程なので準備は三日分のものをお願いしますね。あ、あと水着も持ってきてくださいね。」
これで今回の旅の計画は終了した。みんなそれぞれ自分の家に準備をしに帰って行った。みんなが帰った後、美鈴は咲夜と一緒に博麗神社に向かった。
「霊夢、れいむ~いるのかい?」
美鈴が呼ぶと神社の奥の方から霊夢が出てきて、そこには一緒に紫もいた。
――丁度良いじゃないか!
「なあ霊夢、明日から三日間外の世界に行きたいんだが少し協力してくれないか? お賽銭はたくさん入れておくからさ。」
美鈴が頼み込むと霊夢は少し考えた後、一応許可をくれた。美鈴と咲夜は霊夢と紫と一緒に神社の奥で計画を立てたり目的を話したりした。その結果、最後の場所は出発地点と同じ千歳神社になり出発時間は午前一〇時に決まった。帰りにお賽銭を入れてから帰った。
次の日、全員紅魔館の門の前に集まっていた。
「よし! 全員そろっていますね、それじゃあ出発しますよ。まずは博麗神社に行きましょう。ちょっと急ぎ目でお願いしますね。時間がぎりぎりなので。」
今の時間は午前九時三〇分。予定の時間まであと三〇分しかないのだ。美鈴はできれば一〇分前にはつきたいと思っていたので少し焦っていた。そして美鈴、咲夜を含めた五人は博麗神社に急いで向かった。博麗神社には急いで行ったので大体一〇分くらいで着いた。紫と霊夢はほぼすべての準備を完了させていた。紫が五人に注意事項などを説明している間に霊夢が最後の準備を終わらせすべての準備が整った。霊夢と紫が結界を緩めて千歳神社の近くとつなげた。五人は緩めてもらった結界を進んでいった。
「そしたら三日後に千歳神社でね。」
霊夢の呼びかけに美鈴は手を振って答えた。
結界の外に出ると咲夜以外は一度見たことのある懐かしい光景が広がっていた。やっと千歳神社に着いたのだ。
「あー、ここは前の最後に来たところですね! 懐かしいですね。」
文のその言葉にパルスィや鈴仙もうなずいていた。こうして今回の『美鈴とパルスィが行く! 外の世界気まま旅 第二弾』の旅が始まったのである。
「それじゃあ最初の目的地を決めるよ。今回はこの旅に初めて参加の咲夜さんに振ってもらいましょう。それじゃあ咲夜さんお願いします。」
美鈴は咲夜にサイコロを渡し今回のルールの説明をした。
「わかったわ。要するに昨日の紅魔館の中であったようなことをして目的地を決めるのね。それじゃあ投げますね。そーれ!」
咲夜の振ったサイコロは『四』の目が出ていた。パルスィは冷静に美鈴に言った。
「ねえ、また出た目で行く行き先の書いたボードを出していないんじゃないの?」
美鈴はやってしまったという顔をしていた。すぐに美鈴はボードを出してみんなに見せた。
「えーと、今回は一・四、北海道の空の玄関《新千歳空港》。二・五、泳ごう! 《千歳市民プール》。三・六、お魚いっぱい《鮭のふるさと館》となっています。今回は前回出したもの以外を挙げてみました。あ、言うのを忘れていましたが一日目は千歳で二日目が恵庭、三日目が北広島です。ごめんなさい咲夜さん、もう一度振っていただけますか?」
「わかったわもう一度振ればいいんでしょ。さっき水橋さんが言っていた『また』というのが少し気になるけどまあいいわ。それじゃあ振りますよ。そーれ!」
今回の目は『五』なので《千歳市民プール》に決まった。
「それでは今回の行き先は《千歳市民プール》に決まりました! まず皆さん、水着持ってきていますよね? 前の日にも言ったので忘れている人はいないと思うのですけど……。」
四人は水着を入れている袋を指さし持ってきていることをアピールした。
「それじゃあ、みなさん持っているということなのでまずはホテルに荷物を置いてきましょう。あ、ホテルは前回の場所と同じところなのですぐに行きますよ。」
美鈴がそういうとみんなホテルの方へ歩き始めた。
「ねえ美鈴、歩くの少し速くない? 水橋さん達がすごい後ろの方にいるわよ。 少し歩く速度落としてあげたら?」
咲夜は美鈴に歩く速度を少し落とすように言った。丁度良く信号で止まったので全員が来るまで待つことにした。
「それにしてもあなたたちがこんなことやっていたなんてね。意外だったわ。前回はどこに行ったの?」
「前は……今いる千歳と札幌でしたよ。前回は咲夜さん以外の四人で行きました。日程は今回より少ない二日日程でしたよ。」
「今回は多めに時間を取っているのね。前回なんか失敗でもしたの?」
「失敗はしていませんよ。今回は前回より回る場所が多いので三日間日程にしました。」
美鈴と咲夜が話しているうちに他の人たちも集まり美鈴は信号を渡り始めた。美鈴はすぐにクラクションを鳴らされた。美鈴はすぐにわたるのをやめて戻り信号を見た。信号は赤い色がついていた。
――うわ、やっちゃった。
「美鈴! あなたは何をやっているのかしらね。もう少ししっかりしなさいよ。」
美鈴はしっかり青色に変わるのを見てから歩き始めた。そのままみんなホテルに向かった。後ろの方で射命丸やパルスィは笑っている。
「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか。」
「ごめん、いやさっきの見ないで渡っていたところを見るとね……つい。」
「ついって……もう笑わないでください!」
そんなことをしているうちに目的のホテルに着いた。
「受付済ませてくるので少し待っててくださいね。」
そういい美鈴は受付を済ませ部屋の鍵を受け取った。
「受付済ませたので部屋に行っていてください。ちょっと車借りてきますね。すぐ戻ってきますから準備しておいてくださいね。」
そう言い美鈴は荷物を咲夜に預け出て行った。
「絶対に美鈴戻ってくるわね。すぐに。」
「え? なんでわかるんですか?」
鈴仙が聞いているうちに美鈴は戻って来た。
「咲夜さんすみません鍵を渡すの忘れていました。」
美鈴は咲夜に鍵を渡すとまたすぐに出て行った。
「ね、言ったでしょ。最初に美鈴がカギを渡してくれなかったから戻ってくるってわかったのよ。」
「咲夜さんって美鈴さんのことなんでも知っているって感じですね。」
「いやなんでも知っているというより美鈴の行動を見ていたらわかるわよ。だって美鈴ったら受付した後、鍵もらってそのまま渡さず行ってしまうんだもの、みんな戻ってくることくらい予想できるわ。」
咲夜の説明で鈴仙は納得していた。咲夜は美鈴からさっきもらった鍵と美鈴の荷物を持って部屋に向かった。
「えーと番号は……五四八。」
「無理に語呂合わせすると東風谷ですね!」
「そんな変に語呂合わせしなくてもいいわよ、鈴仙さん。」
四人はエレベーターで部屋のある階に向かった。部屋の前に着くと咲夜がカギを開けた。部屋の大きさは五人で寝るには丁度いい広さだった。
「さて、皆さん荷物の中から水着を取り出しておいた方がいいんじゃないかしら。美鈴が戻ってくるまで少し時間あると思うから準備出来たらくつろいでいてもいいと思うわよ。」
みんな準備ができてくつろいでいた。一〇分くらいしてから美鈴がやってきた。
「あ、咲夜さん荷物ありがとうございます。みなさん、車借りてきましたよ。少し遅くなってごめんなさいね。今すぐ準備しますね。」
美鈴が荷物のある方に行こうとしたら咲夜が美鈴の水着を渡した。
「あ、咲夜さんありがとうございます。それでは車はすでにあるので行きましょう。鍵は私がフロントに預けて行くので先行っていてください。」
そう言い美鈴はフロントに寄ってから行った。車に着くと空いている席は運転席しかなかった。
――私が運転するのか。
今回も運転は美鈴がすることになった。美鈴は運転席に乗りエンジンかけた。
「それじゃあ、出発するのでシートベルトしっかり締めてくださいね。私が捕まってしまいますのでね。私が捕まったらこの企画がだめになるのでお願いしますね。」
美鈴は少し笑いながら言っていた。全員がシートベルトしたのを確認してから美鈴は車を出した。
「それではこれから恒例のクイズです。」
「恒例ってまだ二回目なのに恒例ではないでしょう。」
「まあまあそこは文さん気にしないでくださいよ。それでは第一問! ここ千歳市は日本のどこの都道府県にあるでしょう。この問題はみなさん分かりますよね。それではみなさん『せーの』で答えてくださいね。せーの。」
「北海道!」
みんなの答えは北海道の一つだけだった。
「みなさんこの問題は簡単すぎましたね、正解です。それでは第二問、ここ千歳市はあることで北海道一です、さあなんでしょう。」
みんな少し悩んでいた。一番早く答えたのは文だったが答えははずれだった。
「千歳の人口は九万人くらいなのであまり多くないですよ。」
またみんな悩み始めた。次に答えたのは鈴仙だった。
「えーと、北海道で一番長生きな人が多いとかですかね?」
「それも違いますがちょっと惜しいです。注目するところは良い線いってますよ。」
そう美鈴が言った後すぐにパルスィが答えた。
「たぶん北海道で一番平均年齢が若いんじゃない?」
「正解です……またパルスィさんが正解しちゃったか。まあいいです、ここ千歳市は《北海道で一番若い街》と呼ばれているらしいですよ。」
パルスィは美鈴の行っていたことに少し怒っていたがそのままスルーした。
「もう少しでつくので準備してくださいね。」
すでに目的の場所は見えていた。美鈴たちの車は運悪くプールの前の信号で引っかかってしまった。
――うわ、なんでここの信号に引っかかったんだよ。目的地は目の前なのに。
でも信号はすぐに青に変わった。そうして美鈴はプールの駐車場に入り車の止めるところを探した。意外にすいていたのですぐに見つけることができ止めた。
「それじゃあみなさん、着いたので入りましょう。あ、水着だけは忘れないでくださいね。水着忘れたらプールに入れませんので。」
美鈴は全員が水着を持ったことを確認してから鍵を閉め建物の方に向かった。美鈴が中に入るとすでに咲夜が入場を買っていたのですぐに入場することできた。全員が入場して靴を脱いだ後、更衣室に向かった。その途中に鈴仙が男子更衣室の所で曲がろうとしていたので美鈴は急いで止めた。
「あれ? 鈴仙さん、今男子更衣室の方に行こうとしましたよね。ただの間違いですか?」
「あ、今のはちょっとよく見ていなかっただけです。ごめんなさい。」
鈴仙は少し顔が赤くなっていた。すぐに女子更衣室があったので入った。
「相変わらずあなたでかいわね。少しくらい分けてほしいわ。」
「いや、でも大きいと逆に邪魔になりますよ。例えば物を運ぶときとか邪魔で邪魔で……できることなら分けたいくらいですよ。」
「それわかりますよ、美鈴さん。大きいと邪魔になりますよね。あまり大きすぎない丁度いい大きさの人が羨ましいですよね。」
今の三人の話を聞いていてパルスィは少し怒っていた。
「まったく、胸の大きさなんてどんなんでもいいじゃない。なんか少し自慢している感じで言うのやめてくれない、すごく妬ましいんだけど。」
そうパルスィに言われ三人は少し胸の話をするのを控えるようにした。全員着替えをすませてプールに向かった。全員でシャワーを浴びてから体操をした。
「みなさん、ちゃんと体ほぐしましたね。それじゃあ、はいりま……。」
《ただいまから一〇分間の休憩時間になります。》
時計を見ると一〇時五〇分を回っていた。少しタイミングが悪く休憩時間になってしまった。美鈴たちは仕方なくサウナで温まることにした。
「いやぁ、それにしても入ろうとしたら休憩時間なんてタイミング悪いですね。」
「まあ、いいんじゃないですか鈴仙さん。体を温めてから泳げますし。」
――暑い……。でもここで出るのもなんか悔しい。もう少し耐えているか。みんな熱くないのか?
美鈴は早く出たかった。
《休憩時間終了です。プールサイドは走らないようにしてください。》
休憩時間が終わり他の人達はプールの方にさっさと行っていた。美鈴達も遅れをとらないように急いでプールの方に行った。初めにみんな流水プールに入った。
「やっぱり少し冷たいですね、美鈴さん。」
美鈴はそんなに冷たいとは思っていなかった。それどころかまだぬるい方だと思っていた。
「鈴仙さん、こんなので冷たいとか言っていたらあっちの二五メートルプールの方はどうなるんですか? ここよりもっと冷たいですよ。」
美鈴は休憩時間に入る前に二五メートルプールの方に行って水の温度を確認してきたのであっちの冷たさを知っているのだ。
「本当ですか? そしたら後でみんなであっちの二五メートルプールの方に行きましょう。なんか勝負でもしてみませんか?」
鈴仙は美鈴の言っていたことに興味を持ち二五メートルプールに行くことを楽しみにしていた。そんなことを話している頃パルスィは流れに身を任せて泳いでいた……いや漂流していた。
「ここって気持ちがいいわね。自分で泳がなくても水流があるから勝手に流されていくんだもん。本当に楽だわ。」
そんなことを言っているパルスィの前の方で流れに逆らって泳いでいる人が見えた。よく見ると文だった。
「射命丸さん、流れに逆らって泳ぐのはやめてください。あそこにいる係員さんに怒られますから。」
「いいじゃない、でもあの係員さんものすごく怖そうだわ……絶対怒ったらあの人怖いですよね。はいはい、流れに逆らって泳ぐのはやめますよ。」
文は仕方なく流れに逆らって泳ぐのをやめた。
「そうだ! 射命丸さん、後でみんなであっちにある二五メートルプールに行きませんか? これ鈴仙さんが言っていたのですがどうです?」
美鈴はさっき鈴仙に言われたことをすべて詳しく文にも話した。するとすぐにプールから出て先に行って泳いでいると行ってしまった。その後咲夜やパルスィにも伝えた。少し泳いでから二五メートルプールの方へ向かった。するとそこには文、パルスィ、咲夜がいた。でも肝心な鈴仙がいない。
「あらら、もう既にみなさんお集まりでしたか。遅くなってすいません。で、残りは……鈴仙さんだけですね。言い出しっぺが最後ってひどいですね。あ、みなさん自由に泳いでていいですよ。鈴仙さんが来たらみなさんを呼びますので。」
美鈴がそういうとみんな泳ぎ始めた。それから少し遅れて鈴仙がやってきた。
「あ、もうみなさん来ていたんですか? ごめんなさいこんなに遅くて。」
鈴仙は謝ったが美鈴は気にしなくてもいいよと言い、泳いでる三人を呼びに行った。
「それじゃあみんなで競争しましょう。ルールは二人ずつ競争し勝った方が次の勝負に進めるというトーナメント方式です。組み合わせは……まだ決めていないので今決めますね。えーと、そしたらの第一試合、鈴仙さん対咲夜さん、第二試合、文さん対パルスィさんです。それでは鈴仙さんと咲夜さん準備お願いします。準備ができたら言ってくださいね。あ、パルスィさんプールのあっち側でどっちが先に付くか見ていてくれませんか?」
パルスィはプールから出て反対側に行った。反対側に着いて合図を送ってきた。
「準備できたわ、美鈴。」
「分かりました。それではいきます。位置について、よーい……スタート!」
二人とも同時にスタートしたが咲夜の方が少しだけ前に出ていた。鈴仙は負けじとスピードを上げたが咲夜には追いつけずそのまま咲夜の勝利となった。
「えーと、この勝負は咲夜さんの勝ちです。……えーと次は射命丸さんとパルスィね。準備お願いします。すいません咲夜さん反対側でどちらが先に着いたか見ていてくれませんか?」
咲夜はすぐに反対端に行ってくれた。咲夜が準備できて合図を送って来てくれたのですぐにこちらも準備した。
「準備できていますね。それでは行きますよ。位置についてよーい……スタート。」
スタートで射命丸は少し遅れを取ってしまった。どうにか挽回しようと努力したがパルスィには全然追いつけなかった。結果はパルスィの圧勝だった。
「え、私が負けるなんて……そんな……。」
「この勝負はパルスィの勝ちです。それじゃあ次は第三試合、決勝です。咲夜さんとパルスィの勝負です。」
美鈴はルールの変更を伝えた。
「えーと、次の勝負から長さを伸ばします。二五メートルから五〇メートルにします。あとほかの人のレーンに入った場合は失格となります。以上の変更で次の勝負をしていただきます。」
鈴仙に反対端に行ってもらいしっかり折り返しているかを確認してもらった。
「それでは決勝戦。いきますよ、位置についてよーい……スタート!」
出だしから両者とも一歩も譲らずに折り返しまで行った。そのまま大きく差をつけることなくゴール付近まで行った。ラスト五メートルくらいでパルスィが少しだけ前に出た。そのままゴールまで逃げ切りパルスィの優勝が決まった。
「お! 優勝はパルスィです! 惜しくも準優勝だったのが咲夜さんでした。みんなお疲れ様です。」
「ねえ美鈴、あなたは泳がないの? 勝負しない?」
咲夜は美鈴に水泳で勝負を挑んだ。その勝負に美鈴は乗った。
「それじゃあ、やりましょうか。絶対に負けませんよ。」
美鈴もかなり自信があるようだ。美鈴と咲夜がプールに入り準備をしていると休憩のアナウンスが入った。
《ただいまから一〇分間の休憩に入ります。》
「そしたら勝負はこの休憩が終わったあとにしましょう。」
「わかったわ、そしたら休憩のあとに。」
みんなサウナに入って行ったが美鈴は一人入らずそのまま外で待っていた。すると中から鈴仙が出てきた。
「美鈴さん、なんでサウナに入らないのですか?」
「いやぁ、さっき休憩の時に入っていたら案外きつかったので今回は中に入らないで待っていようかなと思ってね。」
「そしたら私も外にいますね。出てきてまた戻るのなんか気が引けますし。そういえば美鈴さんはなんでこの気まま旅をやろうとしたのですか?」
美鈴はなぜこの企画をやろうとしたか思い出していた。
「あー、思い出しました! そういえば気まま旅を企画する前に外の世界――まあこの世界のなんですがある番組を見ていまして、たまたま旅の番組だったんですよ。その中身がまた面白くてサイコロで出た目で行き先が決まるという先の見えない旅だったんですよ。その中の一人がほぼ毎回無理やり行くことになるというところが面白いんですよ。だから私にもできないかなということでこのメンバーを集めて前回はやったんです。前回は私以外が無理やり連れて行かれる方です。本当は一回きりで終わらせるつもりだったのですが意外に評判が良くてお金の面でも援助があったのでこうして第二回もやれるんですよ。これもあの河童がテレビを幻想郷中に広めてくれたおかげです。」
「そんな番組がこっちの世界にあるんですか……今度見てみたいんですけど美鈴さん録画とかってしていますかね? 無ければ無いでいいんですが。」
「えーと……多分録画しておいたはずだから帰ったら見てみますか?」
「本当ですか! 是非帰ったら見せてください。」
射命丸がサウナから出てきた。多分話しているのが気になって出てきのだろう。
「なんの話しているのですか?」
「射命丸さん、この企画のことですよ、気まま旅の。」
「私も聞きたかったな……。」
美鈴はさっき鈴仙に行ったことを簡単にまとめて射命丸に話した。
「そんなことがあったんですか。元は一回で終わらせる企画がこうして二回目が迎えられるというのはいいですね。……あ、そうださっきのは驚きましたね。幻想郷最速と呼ばれる私が水泳で負けるなんて、これじゃあ幻想郷最速とは言えなくなってしまいますね。鈴仙さん、後で三位決定戦やりませんか?」
「うん……分かりました、やりましょう。美鈴さんたちが終わったあとにでもやりましょう。」
「そしたら美鈴さんたちが終わったあとに。そうだ、どっちが勝つか賭けませんか? 私は咲夜さんが勝つと思うのですが、鈴仙さんはどうですか?」
鈴仙は少し悩んでいた。さっきのパルスィとの勝負であまり差をつけられていない咲夜とよく分からない美鈴どちらが勝つか悩みどころだ。
「うーん、私は美鈴さんが勝つと思いますね。なんにも賭けるものはないですけどいいですよね。」
二人とも違う方に賭けた。パルスィはまだサウナの中に入っているのでなしということになった。
《休憩時間終了です。プールサイドは走らないようにしてください。》
「咲夜さん、さくやさん、勝負しましょうよ、はやく、はやく。」
「美鈴、そんなに焦らなくてもいいじゃない時間なんてまだ沢山あるんでだから。」
急ぐ美鈴を咲夜は止めながら二五メートルプールに向かった。
「美鈴、そしたら始めましょう。そしたら誰にスタートの合図をしてもらう?」
「えーと、そしたらパルスィにでもやってもらいますか。パルスィ、スタートの合図をしてくれませんか? あ、咲夜さん二五メートルで終わりです。折り返しはしなくて大丈夫です。」
「ええ、わかったわ。そしたら準備をするから待ってね。……水橋さん、準備できたわ、いつでもスタートの合図をしてもいいわよ。」
パルスィは二人がしっかり準備をできたか確認をした。
「そしたら、よーい……スタート!」
パルスィは合図を出したあと少し急いで反対側に向かった。最初は咲夜が優勢だったがすぐに美鈴に追いつかれ一気に差をつけられた。美鈴がゴールした時にはまだ咲夜はゴール五メートル前を泳いでいた。咲夜がゴールしたあと周りから拍手が起こった。少し咲夜は顔が赤くなった。
「それにしても美鈴、あなた速いわね。なんか水泳とかやっていたの?」
「昔、少しだけ泳いでいた時期があったくらいで最近はそんなにというかほとんど泳いでないですよ。多分、元からかもしれないですね。」
美鈴と咲夜はプールから出て休むことにした。次は射命丸と鈴仙の三位決定戦だ。
「射命丸さん行きましょう。私が奥側のレーンでいいですか?」
「別にどちらでも構いませんよ。申し訳ないのですが水橋さんもう一度スタートの合図をしていただけないでしょうか?」
「別にいいわよ、どうせ暇だし。準備は出来ている?」
二人は首を振って答えた。
「そしたら、よーい、スタート!」
スタートしたときはほぼ差はなかった。二五メートルで折り返してもさはほぼなくお互いに抜いたり抜かれたりを繰り返していた。ラスト一〇メートルくらいで一気に射命丸が差をつけて勝った。
「今の勝負は射命丸の勝ちね。」
「よし、三位は私がいただきましたよ。」
「やっぱりダメだったか……まあ仕方ない私が遅いのが原因だし。」
二人は握手をしてからプールを出た。
「美鈴お昼ご飯どうする? もう一二時半を回っているよ。」
時計を見ると一二時三五分を指していた。みんなお腹がすいてくる時間だ。
「そしたらもうあがってお昼にしましょう。ほかのみんなもいいですよね。」
四人とあがることには賛成してくれた。みんなそのまま更衣室の方へ向かった。更衣室に入って大体着替えを終えたくらいにプールでは休憩時間を知らせる放送が入った。
「みなさん、たぶんすぐに沢山入ってくると思うので少し急いで出ますよ。」
四人は急いで荷物をまとめて更衣室を出た。車に向かう間にどこでお昼を食べるかを決めた。
「そしたらお蕎麦屋さんでいいですね?」
全員お蕎麦屋でいいということなのでこれから向かうことにした。美鈴が車を出してすぐに問題をだし始めた。
「それでは恒例のクイズといきましょう。第一問、今回の出発地点でもあり最後の終了地点でもある千歳神社、ここでは毎年ある日にお祭りを行っています。さていつでしょう?」
この問題に最初に手を挙げたのは文だった。
「たぶん九月二〇日くらいですか?」
「うーん、文さんおしいです。九月までは合っているのですが、二〇日ではないです。」
「そしたら九月一五日じゃないですか?」
鈴仙が答えたがこれも違った。
「うーん、少しだけ近くなったのですがまだ違いますね。ヒントは三日間日程です。比較的九月の前の方です。わかりますか?」
「そしたら九月の一日から三日までかい?」
「はい、パルスィの答えが正解です。まだ一ヶ月以上先の話ですけどね。千歳神社祭はかなり大きいお祭りらしいですよ。またパルスィが正解しちゃいましたね。」
また美鈴は問題を出した。
「それでは、第二問。前回最後に行った場所《向陽台》、ここは昔この千歳市の場所ではありませんでした。さてどこの土地だったでしょう。一、千歳市のお隣の恵庭市。二、恵庭市とは反対側のお隣の苫小牧。三、北海道の道庁がある札幌市。四、どこにあるかわからない江別市。さてどれでしょう。それでは順番に聞いていきますね。」
聞いていった結果は一の恵庭市が鈴仙で二の苫小牧市は文とパルスィ。三の札幌は誰もいなく四の江別市が咲夜となった。
「えーとこの中に正解者はいます。なのでまず札幌ではないです。次は……石狩管内です。なので苫小牧市は違います。射命丸さんとパルスィはハズレです。残りは恵庭市と江別市ですね。でもなんで私が千歳市と隣接していない江別市を出したかわかりますよね。正解は四の江別市です。《向陽台》は今から四〇年ほど前に江別市から買い取って開発された土地だそうです。」
クイズを解いていたらもう目的のお蕎麦屋さんが見えてきた。美鈴は車を駐車場のある方へ向かった。時間がお昼どきを少し過ぎたくらいだったので駐車場は比較的すいていた。
「さて、着きましたので入りますよ。先に行っていてください。」
美鈴はしっかり車の鍵を閉めたのを確認してから入っていった。中に入ると既に四人は店員に案内されて席についていた。
「美鈴、こっちよ。」
咲夜が呼んでいた。急いで席の方に向かった。
「もう私とパルスィさんは決まっているからあとは射命丸さんと鈴仙さんと美鈴だけだからね。」
文と美鈴はすぐに決めた。文が冷やしたぬき蕎麦で美鈴が鴨南蛮蕎麦にした。鈴仙は相変わらず決めるのに時間が掛かっていた。そのあと鈴仙はざる蕎麦にした。美鈴は店員を呼び注文をした。蕎麦が来るまでの間、次の目的地について決めることにした。
「そしたら次にどこに行くか決めますよ。えーとサイコロとボードは…………あった! まずボードはこのようになっています。」
ボードには、一・四が北海道の空の玄関《新千歳空港》、二・五がお魚いっぱい《鮭のふるさと館》、三・六がどこかわからない《苔の洞門》と書かれていた。
「やっぱり一つはわからないところが含まれているのね。誰がサイコロを投げるの?」
「えーとサイコロは……鈴仙さんお願いします。」
「えー、私ですか。分かりました、じゃあ投げますね。」
鈴仙の投げたサイコロは『二』が出ていた。次の目的地は《鮭のふるさと館》になった。
「そしたら食べ終わったら鮭のふるさと館に行きましょうか。」
そのあと五分もしないうちにまずはじめに鈴仙と咲夜のざる蕎麦がきた。そのあとすぐに他の三人の分も来た。
「みなさんの来ましたね、そしたらさっさと食べましょうか。いただきます。」
美鈴は少し麺を啜った。
――うん、この蕎麦美味しい! こういうのを戻っても食べられたらいいのになぁ。まあこれにして正解だな。
他のみんなも食べることに夢中になっていた。すぐにみんな食べ終わり次のところへ行く準備ができた。
「みなさん早いですね。そしたら私が払っているあいだに車の方へ行っていてください。あ、パルスィ、これ車の鍵です。」
美鈴はポケットに入れていた車の鍵をパルスィに渡した。美鈴はレジへ行き会計を済ませていた。そのあいだに他の四人は車に乗っていた。美鈴がレジを済ませ車に行くと案の定運転席しかあいていなかった。
「そしたら次の場所へ向かうのでしっかりシートベルトとかしてくださいね。していただかないと私が捕まってこの企画がすべて台無しになってしまうので。」
美鈴は全員がシートベルトをしたのを確認してから車をゆっくりと出発させた。
「そしたらさっきのクイズの続きを始めましょうか。第三問、私たちが今からいく《鮭のふるさと館》ここは違う愛称で呼ばれています。さて次のうちどれでしょう。一《サケ里》、二《サーモンパーク》、三《サーモンカントリー》の三つから選んでください。」
全員が決めるのを待ってから聞いた。
「そしたら一の《サケ里》だと思う人は……いませんよね。次に二の《サーモンパーク》だと思う人は、えーと咲夜さんとパルスィですね。そしたら残りの文さんと鈴仙さんは三の《サーモンカントリー》でいいですね。」
二人は少し悩んだがこの答えでいいと答えたので全員の答えが決まった。
「正解は……二の《サーモンパーク》です。そのまま日本語に訳すと鮭公園ですね。あ、ちなみに省略されて言われるときは《さけふる》と言われたりしているらしいです。」
「ねえ美鈴、その答えとかはどこで調べてきたの?」
「調べてきたと言うよりは、さっきの店で聞いてきたんですよ。色々と聞かれたのでこちらからもいくつか聞いてきたんですよ。ちなみにこのサーモンパーク道の駅というのにも登録されているらしいですよ。この道の駅は北海道に一〇〇ヶ所ほどあるらしいです。」
さっきの店で美鈴が出てくるのが少し遅かったのはこれを聞いていたからだったのだ。
「あ、もう少しで目的の《鮭のふるさと館》に着きますよ、降りる準備をしておいてくださいね。でもシートベルトははずしてはだめですよ。なにがあるかわからないので。」
もう、目的地は目の前に見えていたが反対車線から来る車が多くなかなか曲がれなかった。
――今だ!
美鈴は少し車の流れが切れたところを見逃さずその間を通って中に入った。駐車場の中は広かったので簡単に車を止めることが出来た。
「それじゃあ、行きますか。貴重品とかはあまり置いていかないでくださいね。とられる危険性もあるので。まず中に入らないで反対側に行くのでついてきてくださいね。」
五人ははじめにインディアン水車のある方に向かった。
「あ、意外にこっちは涼しいですね。向こうの駐車場側と比べてですけど。」
「こっちの方が涼しいのは川があるからだと思いますよ。あ、あそこに見えるのがインディアン水車です。今の時期はあがっていないですが秋になるとあそこには沢山の鮭があがってくるんです。なのでまだ鮭のとれる時期ではないですね。そしたらみなさん中に入りますか。」
美鈴は橋の上から顔を出していた四人に声を掛けてから鮭のふるさと館の入り口に向かった。入ってすぐに入館料を払う場所があったので咲夜が入館料を払った。その間他の四人は横にある小さな水槽を見ていた。その中には小さい金魚が沢山泳いでいた。咲夜が入場料を払ったあとみんなで中に入った。入ってすぐに目に飛び込んできたのは円柱型の水槽だった。周りを見渡すと入ってすぐ横にお土産物屋とトイレがあった。美鈴はトイレを見つけてすぐ駆け込んだ。
「ん? 美鈴あいつトイレ我慢していたのか?」
「まあほぼ行くタイミングなかったですからね。」
美鈴がトイレから戻ってきた。
「すみません、ずっと我慢していたもので限界を迎えそうだったので……。」
「トイレとかは生理的欲求のうちだからそんなに我慢しないで行ってもいいのに。そしたら行きましょうね。」
美鈴たちは下の方へ続いている坂道を進んでいった。下っていくと右側に美鈴の身長より少し高いくらいの高さの水槽が見えた。中には比較的小さめの魚が沢山泳いでいた。完全に坂をしたまで下ると、さっきみた水槽がまた見えた。意外に高さがあり少し驚いていた。美鈴の身長よりちょっとだけ高い位だと思っていたが実際には美鈴の身長の倍以上の高さの水槽だった。ふと横を見るとさっきの水槽とは比べものにならないくらいの高さの水槽が目に入った。中には沢山の種類の魚が泳いでいた。
「美鈴さんこの水槽のガラスって絶対に分厚いですよね。こんなに沢山の水を入れているんですから相当の厚さじゃないと割れてしまいますよね。」
「鈴仙さんちょっとこっちに来てください。」
美鈴は大水槽の端の方に鈴仙を呼んだ。そこにはサイコロの形をした透明なガラスがあった。
「ここにあるのが実際にこの水槽に使われているガラスらしいですよ。こんなにも分厚いんですね。」
「え! こんなにも厚いんですか? こんなに厚いのによく透明なガラスが作れますね。私、作れる人を尊敬しますよ。」
少し進むと先ほどの水槽とは打って変わって可愛らしいサイズの水槽がいくつかあった。そのまま進んでいくとシアターのような場所があった。美鈴が中をのぞくと丁度終わるところだった。
――えーと、次の上映は……一〇分後か、まあここはいいや。
「文さん、咲夜さん行きますよ。この先、坂なので気を付けてくださいね。」
坂を下っていると左から水の流れる音が聞こえたので鈴仙はそっちの方に振り向いた。
「美鈴さん、ここ見てください。ここにも魚が泳いでいますよ。やっぱり水族館みたいですね、ここ。」
横を見ながら坂を下って行き下まで降りた。そこには広めの水槽があった。上の方から小さい魚、中くらいの魚、大きい魚と大きくなっていくというおもしろい見せ方だ。そのまま進み暗めの道の方へ進んだ。
――……ポチャン。
水の落ちる音と小鳥のさえずりが聞こえる。定期的に水の落ちる音が聞こえる。機械で作り出された音なのだが目をつぶってみると川岸を歩いている感じがしてくる。気持ちの良い音……。暗い通路を渡り終わったあと少し広い所に出た。そのとき咲夜が「危ない!」と美鈴に行ったがタイミングが遅かった。階段から五段ほど落ちてしまったのだ。幸い美鈴達以外に誰もいなかったのでよかった。でも文の映しているカメラにはしっかりと収められていた。
「今のはカットしておいてくださいね、恥ずかしいので。」
「それはにとりさんが判断してくれると思いますよ、面白ければ使うだろうしあんまり面白くなさそうだったらカットされるし。まあ私たちディレクター陣と呼ばれる人で誰も映像編集出来なかったのでにとりさんに手伝っていただくことになったのですよ。美鈴さん早く立たないと誰か来ますよ。」
美鈴は急いで立ち階段を一番下までおりた。残った四人も階段を下りた。目の前には水槽らしきものが見えた。
「水槽ですか、これ? 水、濁っていますね。絶対上にあったやつの方が綺麗ですよ。」
「文はもう少し周りの説明をしっかり読むようにした方がいいわよ。しっかり書いてあるじゃない丁寧に絵まで描かれていて、これは千歳川よ! 千歳川の水が見えているの。千歳川の水ってかなり綺麗な方なのよ。これほどまでに綺麗な川の水はそうそう無いのよ。まあ、妖怪の山に流れている川は別だけど。」
パルスィが横にある説明の看板を指さしながら言った。今の時期はまだ鮭があがってくる時期ではないので川の流れが見えるだけだった。
「みなさん、こっちに来てみてください! こっちのガラス凄く汚れていますよ。」
鈴仙は端の方へ行って見ていた。四人は鈴仙のところへ向かった。その途中にあったガラスから外を見ると何かが流れていくのが見えた。正確にはわからないが今のは木の棒か枯れ草だったのではないかと思う。
「あの、今のなにが流れていたか分かりましたか?」
「よくは分からなかったけど多分、木の枝かなにかだと思う。そうだ、帰ったら一度見直してみればいいんじゃないそしたら止めて見ることもできるし。」
「そうですね、文、しっかり今のは撮っているよね。」
「はい、ちゃんと収めましたよ。」
四人は鈴仙のいるガラスの前に来て驚いた。そのガラスは外が見えなくなっているのだ。横に置いてある看板を見ると《このガラスは二週間掃除されていません》と書かれてた。
「たった二週間でこんなに外が見えなくなるものなんですね。」
美鈴が感心していた。
「そりゃあ、川の水も完全に綺麗とは言い切れないからね、ふつうなんじゃない? 紅魔館も私が来たときは色々なところに埃が溜まっていたのよ。それと同じなんじゃない?」
「咲夜さんここでその話はやめてくださいよ、まあ、掃除していなかった私が悪いですけど。」
「あなたのサボり癖は昔からだったのね、でも最近しっかり真面目に仕事するようになったじゃない。」
美鈴と咲夜の話をパルスィが止めた。
「あのさ、紅魔館の話をするのはいいけどあんまり色々話していると紅魔館の評判落ちるわよ。」
美鈴と咲夜は紅魔館の評判が落ちるような言動を控えるようにした。しっかり見たあと、反対側の方へ行くとそこには魚ではなく両生類が沢山いた。
「うわ気持ち悪い……。両生類じゃなくて《きもちわ類》でもいいんじゃないかな?」
今言った鈴仙の一言に文が反応した。
「鈴仙さん、それはあまりにも両生類に失礼じゃありませんか? 《きもちわ類》だなんて。」
鈴仙は今言ったことを悪く思いなぜか水槽の前で謝っていた。一通り見終わったのでさっき通った暗い道を戻ることにした。
「今度は変なことしないでよね、落ちたりとか、壁に当たったりだとか……。」
「もう、目を居つぶって歩いたりとかしないですよ、そんな同じ事を二度もやるわけないじゃないですか、咲夜さん。」
と、言ってすぐに壁に当たりそうになっていた。
「ってそう言ってすぐに壁に当たりそうになるなんて本当にネタに困らないわよね美鈴って。」
「あははは……。もう少ししっかりしないといけませんね。」
その後、暗い通路を問題なく通り抜け上へ出るための階段を上がった。上に出てすぐは眩しくて目が少し痛かった。時計を見るともうこの《鮭のふるさと館》も閉館の時間が近づいていた。美鈴たち五人は外に出て車を止めてある方に向かった。なぜか他の四人は小走りで向かっていた。
――なんで小走りになっているんだろう? まさか……。
美鈴の予想した通りあいているのは運転席しかなかった。美鈴はエンジンをかけて車を出した。
「そしたら一度ホテルの方に戻りますよ。しっかりシートベルトを締めてくださいね。」
美鈴は少しスピードを出して運転していた。ホテルまでは二〇分もかからずに着いた。ホテルに入って美鈴はすぐに鍵をもらって戻ってきた。しっかり部屋の鍵かどうかを確認した。エレベーターで部屋のある階まで行き部屋に入った。
「はあ、ずっと運転しているとやっぱり疲れますね……といってもこの疲れ分かりませんよね、ほかに誰も運転していないので。」
「そしたら、明日は私が運転するわ、でも道を間違えてしまうときがあるかもしれないから、そのときは教えてよ。」
「本当ですか? そしたら明日はパルスィに運転をお願いするよ、道は私が教えますので安心してください。あ、そうだ! 今日このあと一九時四五分から花火大会が青葉公園って所であるんですが行きますか?」
「花火大会ですか、夏らしくて良いですね。私は行ってみたいです。」
「鈴仙さんは行くということで、他の三人はどうしますか?」
他の三人も行くということなので全員で花火大会に行くことにした。時計を見るとまだ一七時を回ったばかりで花火大会まで二時間程あった。先に晩御飯を食べに行くことにした。
「そしたら、晩御飯どうしますか? 前と同じ所でも良いですか?」
「まあ、それでも言いと思うわ。今から探したって良いところ見つかりそうに無いものね。」
「まあ、私は前回いなかったので前回の場所が分からないので美鈴、あなたに任せるわ。」
他の二人も前に行ったところでいいと言うことなので晩御飯を食べるところは前回と同じ所で決まった。花火大会の場所から遠いというほどでもない距離なので場所がよかった。
「美鈴、晩御飯はいいけどそのあとのお風呂ってどうするの? 今日は入らないとかなの?」
――お風呂……すっかり忘れていた。そういえば前の旅の時に近くにあった気がする。名前はたしか……《千歳の湯えん》だったはず。そこにするかな。
「あ、お風呂は花火大会の会場の近くにあるのでそこに入りに行きます。なのでお風呂道具を準備しておいてくださいね。……えーと、出発は一七時半くらいなのでまだゆっくり準備していても大丈夫ですよ。」
出発の時間を伝えるとみんなゆっくりと準備し始めた。美鈴も言い終わってすぐに準備し始めた。といっても下着とバスタオル・風呂道具を取り出せば準備は完了だ。時計を見るとまだ時間が一〇分を回っていなかったので美鈴は少しだけ横になって休むことにした。
「りんさん、めいりんさん。もう一七時半を過ぎていますよ。いきますよ。」
「あれ、そんなに寝ていましたか? ごめんなさい、すぐに準備しますね。」
美鈴は急いでさっき準備していた荷物を持って部屋を出た。
「まあ、出発の時間を少しだけ過ぎたくらいなので大丈夫だと思いますよ。しっかり休んでこの後の花火大会を楽しみましょうよ。」
「そうですね、そしたらまずは晩御飯を食べに出発!」
美鈴は軽くのびをしてから歩きだした。目的の場所の近くに来ると他の所よりかなり明るいかった。少し小さめの通りを曲がると遠くに目的の場所の看板が見えた。
「あ、あそこですね。」
「はい、あそこですよ。えーと、時間は……一八時を過ぎたばかり。丁度いい位ですね。」
美鈴達は中に入って席に座った。
「そしたら好きなものを頼んでくださいね。」
美鈴は鞄から紙とペンを取りだし何かを書いていた。
「はい、ここに食べたいのを追加で書いていってくださいね。」
美鈴がテーブルの上に置いた紙には砂肝一〇、鳥皮一〇、ねぎま五、豚串一五と書かれていた。
「美鈴これすべてあなたが食べるの?」
「一応そのつもりなんですが他の方もとって食べても大丈夫ですよ。」
その後パルスィに紙が回った。
「ねえ美鈴、飲み物ってどうするの? 烏龍茶でも頼む?」
「そうですね、私は烏龍茶でおねがいします。書いて置いてくれますか。」
「はいはい、しっかり確認してよね。」
紙はパルスィ、文、咲夜、鈴仙と回って美鈴の元に戻ってきた。書いているのを見ると一つだけ気になるものがあった。ひとまず書いてあるのを頼むことにした。
「すいませーん。これお願いします。」
美鈴は書いてもらった紙をそのまま店員に渡した。
「美鈴それで大丈夫なの? 言わなくても。」
「大丈夫ですよ。言って書いてもらうより書いてあるの渡した方が手間が省けていいじゃないですか。そうそう、さっきのばくだんって何ですか?」
「ああ、それねニンニクの素揚げらしいわよ。みなさんも一緒に食べますか?」
ばくだんは咲夜が頼んだものだった。
「そしたら私もちょっと食べてみたいです。少しいただけますか?」
「いいわよ、そんなに丁寧語じゃなくてもいいのに。」
頼んだものがくるまでこの後の予定について話していた。話が終わる少し前に頼んだものが少しずつ来て終わる頃には半分以上のものが来ていた。
時計を見ると花火大会まであと一時間一〇分位しかなかった。なので先に届いているものから食べ始めることにした。
「いただきます!」
しっかりと挨拶をしてから食べ始めた。みんな先にきた串を次々と食べ来た分はすべて食べてしまった。途中に頼んでいたばくだんも来たのでみんなで分けて食べることにした。揚げたてを持ってきたのか食べるとものすごく熱かった。食べている間に残っていた串も全て来た。串も焼きたてで一気にパクパクと食べることはできなかった。でも時間があまりないので少しずつ食べて減らした。
「ふぅー、もうお腹いっぱいです。」
まだ一〇本くらい残っているが鈴仙が離脱した。残り四人で一〇本くらいある串を食べることになった。しかしパルスィも限界がきていたのでパルスィも離脱した。仕方なく残りの三人で残った串を食べることになった。一〇本あった串を直ぐに食べ終わり美鈴は時計を確認した。
「えーと、花火大会まではあと三五分くらいしかないですね。そしたら行きましょう。」
美鈴は代金を払ってお店を出た。外にでるとあたりは暗くなり始めてきたくらいでまだ少し明るかった。会場まで少し急ぎ目で向かった。着くともうすでにかなりの人で埋め尽くされていた。何とかして五人座れるところを見つけ腰を下ろした。
花火大会が始まる予定の時間まであと五分くらいだった。始まるまでの間じっと待っていた。予定の時間になりアナウンスが入り大きいのが一発あがった。
「始まりましたね、美鈴さん。私あまりこんなお祭り見たことなくてこういうのに来るとすこし嬉しいですね。」
「でも、毎日お祭りをやられるのは御免だけどね。地底ではいつもお祭り騒ぎしているから。」
「いいじゃないですか、賑やかで。」
話をしているとまた大きいのがあがった。その後に小さめの花火が連続してたくさんあがった。その後、一度収まってからアナウンスが流れた。アナウンスでは花火のテーマと提供の会社、団体の名前が言われていた。一通り読み終わると花火が打ちあがった。今回は小さめの花火が最初に大量にあがり最後のしめで大きな花火が一発ドカンとあがった。最後の大きいのがあがった後、歓声があがった。次のアナウンスが入ったがテーマしか聞き取れなかった
「アナウンス聞こえませんね。あ、さっき花火ハートの形していましたね。やっぱり見ているだけでも十分楽しめますね。」
「鈴仙さん、アナウンスが聞こえないのは仕方がないと思いますよ。お祭りなのでみなさんの気持ちも高ぶっているんでしょう、それに聞き取れなかったのは提供の所だけなのでいいんじゃないですか?」
「それもそうですね。あ、また花火が打ちあがりましたね。」
話している間にすでに提供は言い終わって二発目の花火がうちあがっていた。二発目が打ちあがってからしばらくの間打ちあがらなかったので周りの人は「もう終わり?」などと言っていた。少ししてから一気の打ちあがって終わった。またアナウンスでテーマと提供を言ってから打ちあがった。今度は二カ所で同時に同じ花火を打ち上げていた。シンクロする時もあるが少しだけずれはある。でもほぼ同時に夜空で綺麗な形を出していた。その後の二、三回同じようにシンクロした花火だった。花火大会も終了に近づいて来た頃最初のような夜空に咲く感じの花火ではなく地面にちかいところで吹き出す花火があった。座ったままだと見えないので立ち上がって見ることにした。
「すごい派手ですね、こんなにできるなんてやっぱり力のあるところの花火なんですかね。」
「多分こんなに大きい花火ができるのは鈴仙さんの行っているとおり、お金のある企業、団体が提供になったからじゃないですかね。」
派手に上がっていた花火も終わりまたアナウンスが入った。このアナウンスで次の花火が最後だということが流れていた。
「次で最後ですよ咲夜さん。終わるの早いですね。」
「そうかしら、もう一時間くらい経つわよ。十分じゃないかしら。」
「あ、もう一時間も経つんですか、早いですね。あ、もうそろそろ打ち上がると思いますよ。」
また美鈴たちは座って花火を見ていた。大きいのが一発ドーンと上がりそのあとに小さめのが何発かあがって最後の締めにこれまでで一番大きいのが上がった。
「あーあ、終わっちゃいましたね。そしたらお風呂入りに行きますか。離れないようにしてついてきてくださいね。」
美鈴は花火が終わり帰っている人たちの流れが過ぎるのを待っていた。かなり人がいなくなったのを確認してからほかの人が行った道とは反対側の道を進んでいった。
「美鈴、こっちで本当に合っているの?」
「大丈夫ですよ、私がしっかり確認してからきましたから間違ってはいないと思います。」
進んでいくとちょっと急な坂道がありそれを登りきると森の中に一本大きな道があった。その道を進み細い道を曲がると今度は下り坂がきた。下りきると目的のお風呂屋が見えた。坂を下りきってからお風呂屋の見える方向に歩いていくと前回の旅の時に通った道に出た。信号機があったので一度止まってから信号が青になるのを待ってから渡りお風呂屋についた。
「さてと、やっと着きましたね。私が先に行ってみなさんの分の券も買ってくるので靴を脱いで待っていてくださいね。」
美鈴は券売機で五人分の券を買ってきた。受け付けで券を渡してから脱衣所の方へ行った。脱衣所ではさっさと脱いで浴場に入った。一度体を流してからまずは《ブラックシリカの湯》と呼ばれるところに入った。
「あ~、極楽ごくらく……。」
「もう、美鈴ったら親父臭いわよ。」
「あ、無意識のうちにまた言っちゃった。ははは……いいじゃないですか、気持ちいいんですから。」
パルスィは一人で《あつ湯》にはいっていた。文と鈴仙は美鈴たちが入っているところの横の《バイブラバス》と呼ばれるところに入って何か話していた。
「咲夜さん、ちょっとパルスィの入っている《あつ湯》に行きませんか?」
「ねえ、貴女もう少し長く入っていなさいよ、そんなに短いとあたたまれないじゃないの。」
美鈴は咲夜に言われもう少しだけここに入っていることにした。
「咲夜さん、明日は恵庭に行く予定なんですけど、まだ恵庭のどこに行くか決めていないんですよね。またサイコロで決めましょうか?」
「サイコロね、ボードは……また手作りするの? もし作るんなら手伝ってあげてもいいわよ。」
「本当ですか? またボードを手作りするつもりなので是非手伝ってください。あ、でも一つだけ約束してください。絶対にほかの人に次に行く予定のところを言わないでくださいね。」
「わかったわ、そしたら作るときになったら呼んでね。」
美鈴はあがって《あつ湯》に行った。片足入れると凄く熱かったが我慢して入ることにした。
「パルスィ、なんでこんなに暑いのにずっと入っていられるの?」
「え? これが熱いって言うの? こんなの地底にある温泉に比べたらそんなに熱くないわよ。今度一緒に行ってみる?」
「うーん……ちょっと今度一緒に行ってみたいですね。そうだこの旅が終わって編集などすべて終わったあとにでも打ち上げをそこでやるのはどうですか? お疲れさま会みたいな感じで。」
「それもいいわね。わたしもう出るわね。」
パルスィはもう熱くて限界が来ていたようで先に上がった。
「あつい、あつい、お湯が揺れて熱い!」
美鈴も急いで上がった。パルスィが上がった時にできた波でお湯が揺れてものすごく熱かった。パルスィが露天風呂に行くようなのでそれについていった。外には三カ所入るところがあったので二人は一番端の小さめの場所に入った。
「あ、そうだ、明日の運転の事なんですけど、途中で交代しますか?」
「いや、交代しなくても大丈夫よ。でも、もしも本当に無理そうになったときはお願いするわ。」
「分かりました。そしたら無理そうになったら教えてくださいね。交代しますので。」
その言葉を聞いたときパルスィは小声で「ありがとう」と美鈴にいった。ふと入り口の方を見ると文が入ってきていた。美鈴は手を振り文を呼んだ。文もそれに気がついたらしくこっちにきた。
「いやー、いいですね外の世界は、幻想郷だとゆっくり足をのばして入れるところなんてあまりないですよね。うんと長く入っていようかななんて思っちゃいますね。」
「一応、時間は決めてあるのですがもうこの後はホテルに戻って寝るだけなので少しくらいオーバーしても支障はないと思うので、長く入っていてもいいですよ。」
「そんな、長くったて常識の範囲内で済ませますよ。」
まだ中にいた二人も露天風呂に入ってきた。二人はすぐに美鈴達を見つけ入ってきた。
「さすがにここに五人は狭いですね。隣に移動しますか。」
美鈴とパルスィと文は一度出て隣のお風呂に入った。そこに後から来た咲夜と鈴仙も入った。
「今日はみなさんお疲れさまです。明日は恵庭に行く予定なのでそこは分かっておいてくださいね。明後日、最終日は北広島に行って一五時までに千歳の千歳神社に戻ってきますので覚えておいてください。」
「あのさ、私が明日運転するけど明後日はさすがにきついから文か鈴仙のどっちかが運転するのはどうかな?」
「それがいいですね、そしたら鈴仙さんお願いできますか? 文さんにはしっかりとカメラで撮ってもらおうを思うので。」
「分かりました、明後日の北広島ですよね。私が運転します。あ、道をよく知らないので教えてくださいね。」
これで最終日の運転をする人も決まった。鈴仙が運転の技術のことを心配していたがそんなことは大丈夫だと美鈴が言った。
「そういえば美鈴さんたち、もう体とか洗いました? 洗っていなかったら今行ったほうがいいんじゃないですか、中の方今すいていますし。」
「まだ洗っていないので、そしたら今洗いに行ってきますね。」
美鈴とパルスィは中には入り洗いに行った。美鈴が体を洗っているとパルスィが背中洗ってあげると言ってきたので洗ってもらうことにした。パルスィに手ぬぐいを渡すと丁度いい力加減で背中を洗ってくれた。
「パルスィは背中洗うの上手いですね、なんかこういう関係の仕事でも昔していたのですか?」
「いやいや、そういう仕事はしていないし、したことないから。まあよく勇儀と一緒に地底の温泉に行ったときに勇儀の背中を洗って上げていたりはしたけどね。はい、終わったわよ。」
「ありがとう、そしたら私も洗ってあげますね。」
美鈴はパルスィから手ぬぐいを返してもらったあと一度体を流してから今度はパルスィの背中を洗ってあげることにした。パルスィから手ぬぐいをもらい背中を洗い始めた。
「ちょっと、いたい、痛いってば、もう少し力加減考えてよね。あんたこういうのやったことないでしょ。」
美鈴は力を少し加減して続けた。
「ごめん、自分の力加減するの忘れていたわ、いつも自分でやる力でやっていたわ。でも難しいですね、他の人の背中を洗ってあげるのって自分の力と相手のことと二つを一緒に考えてやらないといけないですからね。はい、終わりましたよ。」
「ありがとう、私も初めての時は勇儀に色々言われたわ。もっと力入れろとか肩の方までしっかり洗ってくれとかね、でも勇儀のおかげでねさっきのような技術があるようなものだからね、今では勇儀と一緒に入っていて良かったと思っているわ。」
美鈴は洗うために使っていた手ぬぐいをパルスィには返さず洗っていた。パルスィがシャワーで流していたがなぜか弱かった。
――ああ、たくさんの人が一気に使っているから弱いのか。
パルスィは仕方なく弱いシャワーで体を流した。美鈴は洗い終わった手ぬぐいをパルスィに返した。二人はまず《ジェットバス》に入った。横に注意書きで《深さ一二〇センチ》とあった。
「私たちには関係ないですね、パルスィも一五〇以上ありますし。」
「そうね……あんたは元からデカイし……。」
二人とも一番深いところに行った。というかそこしかあいていなかった。
「ちょうどいい温度ですね。背中に当たるのがまた気持ちいいですね。」
「そうねえ。どうする、このあと露天風呂いく? それともあつ湯でどっちが長く入っていられるか勝負する?」
「そうですね……あつ湯で勝負した後に露天風呂に行きますか。他の三人もいますし。」
二人はあつ湯の方に移動した。この勝負は意外と早くに終わった。入って一〇分経たないうちに美鈴が降参したのだ。パルスィも美鈴が出たあとにあがった。
「そしたら露天風呂に行きますか。他の三人も待っていることですし。」
二人は露天風呂に行った。そこにはまだ三人が入っていた。
「洗ってきたんですね、そしたらあとはあがるだけですね。」
「そうですね、帰りはホテルまでずっと歩いて帰りますからね。ホテルに戻ったら今回もみんなでトランプやりましょうね。」
「そうですね、今回は色々なゲームで勝負しましょうよ、前回は美鈴さんばっかり買っていたので今回はそうならないように。」
「そうですね、中身はホテルに戻ってから決めますか。……そしたら私、もうあがりますね。」
美鈴がそう言うと「私も」と次々にあがり、結局全員あがることになった。みんな着替えを済ませているあいだに美鈴は自動販売機で牛乳を買い飲んでいた。
「風呂上がりの牛乳って……おやじくさいわね。」
パルスィが言った言葉を美鈴は反論せずに認めた。飲み終わりビンを横にある返却のカゴに入れて着替えに戻った。全員が着替えを済ませ脱衣所を出てそのまま靴を履きお風呂屋を後にした。
「さて歩いて帰りますよ、この時間だとバスはありませんし、タクシーを呼ぶとなるとかなり高くつきますし。」
もうすでに二二時を回っていた。五人は歩いてホテルまで戻ってきた。ホテルに戻るとすでに二三時を回ろうとしていた。部屋に戻り明日の準備を済ませてからトランプを始めた。最初にババ抜きをやりそのあとにポーカー、ブラックジャック、七並べといろいろやった。全体で一番勝っていたのは咲夜だった。そして一番負けが多かったのは美鈴だった。すべて終わった頃にはもう〇時を過ぎていた。すでにパルスィは途中で抜け布団に入って眠っていた。
「あ、もう日付が変わってしましましたね。もう寝ましょうか、明日も早いですし。」
美鈴たちも布団に入り部屋の電気を消して眠りについた。

二日目
七月 二一日 天気 晴れ

午前五時二五分、今回も美鈴は早くから起きていた。
「さてと、外でも走ってくるかな。」
美鈴は寝ている人を起こさないように着替えていた。
「美鈴さん。」
「ん? ああ、鈴仙さんですか。なんでしょうか?」
「外を走ってくるのですよね、私も一緒に行ってもいいですか?」
「はい、大丈夫ですよ。ほかの人を起こさないように準備してくださいね。私は先に部屋を出て待っているの準備できたら出てきてくださいね。」
「分かりました、、急いで準備しますね。」
鈴仙もほかの寝ている人を起こさないように急いで着替えてから部屋を出た。美鈴と一緒に一階まで降りて外に出た。大体三〇分くらい外を走っていた。走り終わって戻ってくるとカラダがかなりあたたまっていた。
「鈴仙さん、体力ありますね、明日も朝一緒に走りますか?」
「是非、お願いします。」
二人はホテルの部屋に戻った。すでにほかの三人も起きていたので部屋を片付けて、荷物を少し整理した。
「そしたら、今日の日程を説明しますね。まずは今日は恵庭市をメインとして行きます。はじめに第一の目的地を決めますね。えーと、ボードは……あ、咲夜さん、ありがとうございます。」
美鈴は咲夜から渡されたボードをみんなに見せた。そこには一、二《道の駅 花ロード恵庭》。三、四《恵庭岳》。五、六《サッポロビール工場》と書いてあった。
「えーと、サイコロは……パルスィ、お願いします。」
「はいはい、できれば一、二が出て欲しいな。」
パルスィが投げたサイコロは一度天井にあたってから机の上に落ちた。出た目は五だった。第一の目的地は《サッポロビール工場》に決まった。
「えーと、そしたらはじめに《サッポロビール工場》に行って時間を見てお昼をとって二つ目の目的地に行って二日目は終了になります。あ、もうそろそろ朝食の時間ですね。」
美鈴たちは朝食を食べに下の階へ降りた。
「出発は九時から九時半くらいにしたいと思うので朝食はゆっくり食べていても大丈夫なので焦らないでくださいね。」
美鈴達はホテルの中にあるレストランで朝食をとった。しっかりと朝食を食べてから部屋に戻った。美鈴とパルスィは地図を見て今日の行く場所へのルートを確認していた。
「そしたら国道三六号線をまっすぐ行きましょう。恵庭市に入ってすぐに見えるはずです。なのでこの道を使って行きましょう。」
「わかったわ、でもこのホテルを出てすぐはどうするの? 三六号線まで行くの? それとも千歳駅前の方から行くの、一応どちらも途中で合流するから行けるけど。」
「えーと……そしたら千歳駅前の方にしましょう。何か面白いものが見れそうなので。」
時計を見るとまだ八時五〇分を過ぎたばかりだった。
「まだ出発まで時間あるわね、どうする?」
「何してますかね。あ、そうだ、この気まま旅のオープニング考えませんか?」
オープニング。前回はにとりに全て任していたのであまり面白くないという意見がきていた。だから今回はオープニングも全て自分達で作り面白くしていこうと美鈴は考えていた。
「オープニングね、前回は作ってなかったものね。他の三人にも聞いてみる?」
「そうですね、みんなの意見を取り入れた方がいいですよね。咲夜さん、鈴仙さん、文さんちょっと来てください。」
「何ですか美鈴さん。」
パルスィと話していたことを三人にも伝えた。
「オープニングの事ですか。私の考えは幻想郷に戻ってどこかあまり人のいないところに行って私たちが喋っているのを撮るというのはどうですか?」
「ということは私たちがこの旅の紹介をネタバレにならないように説明するんですか?」
「そうですね、今回の旅を三回くらいに分けて放送してもらい、毎回最初は私たちの説明から入って始まるという感じです。」
「それならこっちで一日目を撮るというのはどうですか?」
「文さん、こっちのどこで撮るんですか?」
文は少し考えてからいいところをみつけたらしく答えた。
「千歳神社なんてどうでしょう? 今回の旅の始まりの場所でもあり終わりの場所でもある千歳神社が一番良さそうだと思います。中で撮れなかったら近くで撮れると思うので。」
美鈴とパルスィは納得していた。
「他に意見ある人いますか? いない感じなので多数決で決めます。」
美鈴は全てを幻想郷に戻ってからとるか一日目だけこっちで撮るかのどちらがいいかを聞いた。
「美鈴決まったなら、行きましょう。時間ももう一五分過ぎていることだし。」
「そうですね、そしたら出ますよ。車に行っていてください。あ、パルスィ、車の鍵。」
パルスィは美鈴から車の鍵をもらった。美鈴が受け付けで部屋の鍵を預けている間にパルスィはエンジンをかけて美鈴が乗りやすい所につけた。
「あ、ありがとうございますね。そしたら出発しましょう。」
パルスィは先ほど決めた道を進んでいった。最初はあまりおもしろそうな所は見えなかった。途中にカルビー工場があった。
「カルビーって会社は何を作っているんですかね?」
「多分、お菓子じゃないかな、昨日テレビを見ていたらCMでカルビーのポテトチップスがやっていたし。」
「お菓子ね……最近食べてませんね。」
工場を通り過ぎると国道三六号線と合流するところまであまり目立ったものはなかった。合流してから少し進むと日清の工場があった。
「パルスィ、もうそろそろ内側の車線に入っておいた方がいいと思う。」
「わかった、もう恵庭市に入ったのね。ということはもうすぐなのかな。」
パルスィは内側の車線に入り曲がるところを間違わないように集中していた。信号の所で止まり青になるのを待っていた。矢印だけ出ていたがパルスィが曲がろうとした方向の矢印は出ていなかった。少ししたらパルスィが曲がろうとしている方向の矢印だけでた。曲がってすぐに駐車場の入り口があったので入っていった。駐車場は思っていたほど混んではいなかった。車をとめて入り口を探した。
「あれが入り口じゃないですか?」
鈴仙が指さした方を見ると他の人たちが入って行くのが見えた。美鈴達も入り口と思われる場所に向かった。中にはいると少し独特な匂いがした。
「なんだかすごく匂いがしますね。これってここで使われている何かの匂いなんですかね?」
「多分そうだと思いますよ。そしたら行きましょうか。ここであまり長く時間をとっていられませんから。」
五人は中に入っていろいろと見てまわった。最後まで行くと、広いホールのような場所に出た。そこでドリンクを一杯だけ飲んだ。エレベーターで一階に降り外に出た。
「あれ、ここから駐車場までってどうやって戻るんでしたっけ?」
鈴仙が困った顔して聞いてきた。
「それなら大丈夫ですよ、ここからバスが一応出ているのでそれに乗れば駐車場の方に戻れますよ。」
「それはよかった、そしたら後はバスが来るのを待つだけですね。」
一〇分くらしてバスがやってきた。五人はそれに乗って最初に車をとめた場所に戻ってきた。美鈴が時計をみるともうすでに一一時半を過ぎていた。
「そしたら次の目的地を決めますよ。ボードは……車の中だ。パルスィ、車の鍵貸して。」
美鈴はパルスィから車の鍵を受け取り車の中からボードを持ってきた。ボードには一、二、五《道の駅 花ロード恵庭》、三、四、六《恵庭岳》と書かれていた。
「そしたら今回は私がサイコロを投げますね。」
美鈴はサイコロを探していた。
「ねえ、ボードと一緒にサイコロも持ってこなかったの?」
美鈴は車の中をもう一度探しに行った。美鈴が車のドアを開けるとサイコロがコロコロと転がって落ちてきた。落ちたサイコロを拾って戻ってきた。めいりんがは戻ってきてすぐに投げた。出た目は……五だった。次の目的地は《道の駅 花ロード恵庭》に決まった。
「そしたらパルスィ、次の目的地までのルートを確認しよう。」
美鈴はポケットに入れていた地図を取り出した。今いる場所と目的の場所はそれほど離れてはいなかった。
「そしたらここを出てから右にまっすぐ行けばいいのね。そしたらもう出発するけどいい?」
「ちょっと待ってて。あの、鈴仙さん、文さん、咲夜さんお腹空いてませんか? もう出発するようなので今のうちに言っておいてくれれば先にお昼にしますけど……大丈夫ですか?」
「まだ私は大丈夫ですよ。でも、文さんがもうお腹すいたってさっき言ってましたよ。小さな声で。」
「そんなことないですよ。まだ私も大丈夫です。次の場所に行きましょうよ。」
そう言っている文のお腹がぐぅぅと鳴った。
「やっぱりお腹空いているんですね。そしたらどこかお昼を食べれるところに行ってから次の目的地《道の駅花ロード恵庭》に行きましょう。」
パルスィにも伝えてからみんな車に乗り出発した。美鈴とパルスィはみんなで食べることのできそうな店を探していた。目的の場所の少し前に丁度良さそうな店があったのでそこでお昼御飯にすることにした。中は少し混んでいたが一〇分以上待たされることなく席に着くことができた。みんな自分の好きなものを頼んでいた。また鈴仙だけ決めるのに悩み他の人を待たせていた。
「あ、ごめんなさい。もう決めました。」
美鈴は店員を呼んでみんなの分注文した。注文したものはすぐに出てきたので早く食べ始めることができた。美鈴が一番、量のあるのを頼んでいたが一番先に食べ終わっていた。決めるのが遅かった鈴仙は最後まで食べていた。鈴仙も食べ終わると美鈴が会計を済ませて外に出た。その後すぐに車を出し次の目地的の《道の駅 花ロード恵庭》に向かった。
「パルスィ、すぐそこだから間違えないでね。」
「あんたじゃないんだから間違うわけないわよ。ほら、もう道の駅の駐車場の中だもの、間違えないわ。」
パルスィは少し混んでいる駐車場で車をとめる場所を探していた。
「パルスィ、あそことめれそうじゃない?」
「ああ、あそこね。ありがとう教えてくれて。」
パルスィは美鈴に教えてもらったところにとめた。
「そしたら、いろいろ見て回りますか。えーと、今の時間が一二時四七分なのでここは三時半くらいに出発しますね。それまでの間はほぼ自由なので好きなところ見て好きなもの買ってもいいですよ。」
美鈴がそう言うとパルスィ以外すぐに行ってしまった。
「あれ、パルスィは行かないの?」
「私は、あんたと一緒に行くわ。どうせこの後も私が運転するんだし、どういうルートを使って帰るかとかも話しておきたいし。」
「わかった、そしたらソフトクリームでも食べますか。こんなに暑いことですし。」
「いいね、この時期にソフトクリームはぴったりだし。中にあるのよね。」
二人は建物の中に入りソフトクリームを買った。中は人が多すぎて食べれそうになかったので外に出て食べることにした。
「やっぱり暑いときはソフトクリームが一番ですね。」
「でも、どの時期のソフトクリームもあんまり味が変わらないわよ。」
美鈴はさっさと食べ終わってパルスィの食べるところを見ていた。
「あんた、何でこっちばっかり見ているの?」
「あ、いや、パルスィがものすごくおいしそうに食べているから、つい見とれてしまって。」
パルスィも食べ終わり美鈴と建物の横にあるところを見て回った。名前に花と入っているだけあって花が綺麗に沢山咲いていた。二人は座れるところがあったのでそこで休みながらこれからの予定について話し始めた。
「今日はあとホテルに戻って終わりなのかい?」
「一応その予定なのですが勝手にどこかに行く予定つくりますか?」
「勝手にとか言っているけど行くあてあるの?」
「実際、ないですね。ということでどこかに行くという計画は無しということでいいですね。」
帰りはこれまで通って来た道ではなくちょっと違う道を通って帰ることにした。
「あ、後三〇分くらいで集まる時間ですね。そういえばどこに集まるか言っていないけど大丈夫だよね、車に来るよね。」
「もう、あんただったらいろんなところダメなんだから。まあ、あの三人なら何とかすると思うわよ。」
美鈴たちは時間より早いが先に車に戻っていることにした。
「美鈴、何か飲み物いる? 多分車の中暑いと思うから何か買っていくわ。」
「あ、そしたらコーヒーのブラックをおねがい。」
「缶のでもいいかい?」
「うん、ブラックのだったら何でもいいよ。」
パルスィはそういい飲み物を買いに建物の中に入った。美鈴は先に車に戻っていた。車のドアを開けるとむわっとした空気が出てきた。窓を開けていなかったのでかなり車の中が暑くなっていた。美鈴は急いでエンジンをかけてエアコンを入れた。
「美鈴、買ってきたよ。はい、コーヒー。ブラックをちゃんと買ってきたわ。」
パルスィは少し大きめブラックのコーヒーを買ってきていた。
「パルスィは何にしたの?」
「私? 私は麦茶を買ってきたわ。量も少し多く入っているみたいだし。」
美鈴はコーヒーのふたを開けてコーヒーをんでいた。大体、集合の予定の時間になって三人が戻って来た。
「おかえり、楽しめた? 今、車の中かなり暑いから何か飲み物でも買っておいで。」
パルスィは三人に飲み物を買うことのできる場所を伝えてお金を渡した。
「美鈴、もうそろそろ車の中も暑くなくなった? あの三人が戻ってきたらもう出発でしょう。」
「まあ、少しは涼しくはなりましたね。あとは窓を開けて風を車の中に入れて走るのがいいんじゃない?」
飲み物を買いに行っていた三人が戻って来た。
「そしたら千歳の方に戻りましょうか。」
みんな車に乗り込むとパルスィは車を出した。駐車場から出るのに少し時間がかかったがなんとか出ることができた。パルスィは来るときに使った道ではなく違う道に入った。
「あれ、パルスィさんこの道、来るときに使った道と違うんじゃないですか。」
「そうだけど、なにか問題でも? 私はちゃんとホテルまで帰る道で行っているだけだけど。」
「ごめんなさい、道をよくわかっていないのに口出して。」
「そんなに謝らなくてもいいのに。私も来る時と違う道だということを教えていなかったのも悪いわ。」
その後もパルスィは車を走らせた。途中大きな店があったのでそこでおやつとかを少し買った。そのあとはまっすぐホテルまで戻ってきた。時間がまだ一七時になったばかりだったので一九時くらいまでみんなフリーの時間にした。美鈴とパルスィは部屋に戻って少し横になって休むことにした。文と咲夜は駅の方に探索をしに行っていた。鈴仙は一人で千歳川を見に行っていた。時間も一九時になりみんな部屋に戻ってきた。その後晩御飯を朝と同じところで食べた。その後部屋に戻りお風呂に入ったあと昨日と同じようにトランプをした。時間が、もう〇時を回りそうだったので寝ることにした。
「そしたら、明日で最後なのでガッツリ楽しみましょうね。おやすみなさい。」
美鈴が部屋の電気を消してみんな眠りについた。

三日目
七月 二二日 天気 くもり

今日も美鈴は早く起きた。鈴仙も美鈴と同じくらいのタイミングで起きた。
「美鈴さん、今日も走りますよね。私も行きますよ。」
「そしたら昨日と同じように、ほかの人を起こさないようにして着替えてくださいね。」
二人はまだ寝ている三人を起こさないように着替えて部屋を出た。昨日よりは気温が低くて走るにはちょうどいいくらいの暖かさだった。
「そしたら行きますか。あまり無理しないでくださいね、今日は鈴仙さんが運転するので。」
「大丈夫ですよ、体力には自信があるので。そういえば今日は、北広島でしたっけ?」
「今日は北広島まで行ってそのあと千歳に戻ってきて車を返したあと千歳神社まで行って今回の旅を放送するときの部分を撮って終了です。」
「分かりました。そしたらいきましょうよ。」
二人は昨日と同じ道を走った。昨日よりは早くに戻ってくることができた。ホテルの部屋に戻ると、まだパルスィが寝ていた。昨日の運転の疲れが残っていたんだろうと美鈴は思いそっとしておいた。鈴仙と美鈴は今日行く場所を確認していた。
「今日は北広島の三井アウトレットパークに行って千歳に帰って来る感じです。予定として二時三〇分くらいには千歳神社に行って撮影していたいですね。」
「そしたら今日使う道は三六号線をまっすぐ行っていればいいですね。途中に北広島ICのところで曲がればすぐですね。」
鈴仙は地図を見ながら美鈴に聞いていた。
「その道が一番いいですね。念のため曲がるところが近くなったら言いますね。さて、今何時ですかね?」
美鈴が時計を見ると時間は七時二七分だった。朝食の時間はもう来ているがパルスィが寝ているので行かなかった。
「もう少ししたらパルスィを起こしますか。もう朝食の時間が来ているので。」
美鈴は三五分くらいにパルスィを起こした。その後、パルスィが着替え終わると全員で朝食を取った。部屋に戻り荷物を全てまとめて部屋を出る準備をした。時間も九時を過ぎてちょうどいいくらいになったのでチェックアウトし車に荷物を積んでホテルを後にした。
「そしたら今日は北広島の三井アウトレットパークに行きますよ。最終日なので、みんなでたのしみましょう。」
車は三六号線をずっと進んでいた。途中、道道四六号線を走りまた国道三六号線に戻った。そして北広島ICの近くになって鈴仙は車を左の車線に変更した。高速道路の入口の所を左に曲がるともう目的の場所は見えた。鈴仙は少し混んでいた駐車場で止めれるところを探した。少し建物からは離れたがどうにかとめることができた。
「そしたら一三時くらいにはここの車に戻ってきてくださいね。集まらなかったら置いていっちゃうますからね。」
五人は建物の中に入ってから別れた。美鈴はいろいろな店を回ったが何も買いたいと思うものがなくお昼を少し早めにとった。咲夜と文は洋服を買ってほかの店を長く覗いてからお昼をとった。パルスィと鈴仙は靴を少し見てから鞄を見て鞄だけ買ってお昼にした。集まる予定の一三時が近くなってきたので美鈴は車の方へ戻った。車の近くにいくともう既に鈴仙とパルスィが来ていた。
「あ、早いですね、もういいんですか?」
「うん、もう充分だわ。一通り見たけど人が多くてもう一度見ようという気にはなれないし。」
「そしたら今車の鍵開けますね。……えーと鍵は……あった!」
美鈴が鍵を開けると二人は先に乗り込んだ。五〇分くらいに残りの二人も来て全員揃った。
「そしたらあとは千歳に帰るだけですね。鈴仙さん帰りも運転お願いしますね。」
鈴仙は混んでいる駐車場からでて来る時に使った道を通って千歳まで戻った。千歳に戻ってきてまず車を返した。返してからは神社まで歩いて向かった。少し細い道を使って神社までいった。神社に着き気まま旅の放送の最初に使う部分の映像を撮った。そして霊夢と約束していた時間になり霊夢に幻想郷への道の結界を緩めてもらい幻想郷に戻ってきた。
「そしたらこれで今回の旅は終わり! みんなお疲れ様でした。後は、にとりに頼んで編集してもらうだけですね。」
「お疲れさま、美鈴。しっかり楽しめたわよ。次回あればまたやろうね。あ、今度、地底にある温泉においでよ。」
「分かりました。では今度行きますね。」
美鈴と咲夜以外の三人は自分の家へと帰っていった。
「そしたら帰るわよ、美鈴。お嬢様へ報告しなきゃね。」
「そうですね。あ、霊夢、これお土産ね。」
美鈴は袋を一つ霊夢に渡した。そして紅魔館へと帰って言った
「以外にあいつ気がきくじゃない。」


  美鈴とパルスィが行く外の世界気まま旅  二〇一三年夏 終了
宇佐美悠香です
第2弾書きました
制作期間 約4か月
北海道のことをメインで書いています
宇佐美 悠香
[email protected]
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
すごく面白かったです!

自分も、美鈴たちのメンバーに混ざって気まま旅をしたいです