「茨華仙さま、実は本日はご相談と言いますか、ご協力願いたいことがあるのですが」
「断る」
ここはピンク仙人(卑猥な意味ではなく)、茨木歌仙こと華扇ちゃんのおうち。
そこに、どこからどうやって入り込んだのか知らないが、青い邪仙、霍青娥が訪れていた。
開口一番、切り出された話を一言の元に切って捨てる。
「……そうですか」
ふぅ、とため息をついてから、
「……さすがは茨華仙さま。
困難があるからとて、人を頼ることのみを当てにするのではなく、まずは自分の力で。
そういう、厳しくも優しい姿勢は素晴らしいですわ」
「いやまぁあんた思いっきり盛大に勘違いしてるけどそれでいいわもうめんどくさいから」
「ですが、華扇さま。
そうは申されましても、わたくしには今、華扇さまのお力添えが必要なのです」
「……」
やたら真剣な眼差しで、手を胸の前で組んで懇願してくる青娥。
彼女のこのような顔を、華扇は見たことがなかった。
……とりあえず、聞くだけ聞いてやるか。
華扇ちゃんとて無慈悲ではない。一応、どんな奴だろうと、相手の話を聞く心の余裕くらいは辛うじて持ち合わせているのだ。
「わかりました。何ですか?」
「実はわたくし、道教の布教をしているのですが」
「実はでもなんでもありませんけどね」
「最近、紳士淑女の方々への布教は進んでいるのですが、というか、ほったらかしておいても我が道教の誇る神子ちゃん布都ちゃんのおかげで信者が増えていくのですが、そうではない層へのアピールが今ひとつ」
道教って、早々に幻想郷から追い出したほうがいいかもしれない。
この時、華扇はそう思った。どうやって実行しようか、その手法を頭の中に108通りくらい考えたところで、
「そこで、華扇さまにご助力を、と」
「はあ」
「何も『あの茨華仙が道教に入信した!』という口さがのない噂を立てるというわけではございません。
信者を増やすと言うのは、何も今の信者を増やすと言うことではございません。
将来的に、我が道教を信じ、共に道を歩む――そうした行動も、信者を増やすと言うことにつながるのでございます」
「ふむ」
所謂青田買いというやつだ。
昨今、幻想郷では仏教、道教、神道――これはあまり、勢力拡大できてないようだが――の三つの宗教が派閥争いを行なっている。
互いに異教徒の排除をなどと物騒な事態にはなりうるはずもないのだが、信者あっても宗教である。右手で相手の手を握り、左手で刺す、くらいのことは平然と行なわれているものである。
そうした中で青娥のたてた戦略と言うのは賢いだろう。
要は、『どうやったら子供を取り込めるか』ということだ。
「こうした層に対して、やれ宗教と言うのは心の平穏がどうだだの、信じることで生活が豊かになるだのといった論は通じません。
もっと具体的に、一目でわかるようなものにしなければ」
「確かにそうですね」
「そこで、わたくしは色々と、試行錯誤をしておりまして。
その一つとして立てた作戦の実行に、茨華仙さまのご助力が必要なのでございます」
「そこでなんで私なんでしょうか」
「仙人だからです」
「……………………」
理解できない理屈と共になされた回答に、華扇は沈黙した。
まぁ、確かに、幻想郷で今、名前があてがわれている仙人は華扇と青娥しかいない。
どこかで人間の持つ生命のエネルギーを持って山の上の神様のうち、ちっちゃい方を殴った時のような音がしたが、華扇はとりあえず、それは無視した。
「えーっと……」
「やはり少年少女へのアピールはわかりやすく、それでいてかっこよく、あるいはかわいくなければなりません。
ですわよね?」
「まぁ、ええ、はい。わからないでもありませんが」
「さすがは茨華仙さま。聡明な方ですわ」
本気で華扇をほめてるのか、それとも小ばかにしてるのかわからなかったが、とりあえず、華扇はふつふつといやな予感を感じている自分がそこにいるのを認識し始める。
「というわけで。
一回でいいですから。
まずは試しにいかがですか?」
何となく『悪徳セールス』と言う言葉が脳裏に浮かぶのを自覚しつつも、『とりあえず、話だけでも』と言ってしまった華扇は、この時、己のその行為をとことん後悔していた。
吹きすさぶ一陣の風、天に煌く太陽。
その光を背負い、彼女は天に向かって宣言する。
「みんなを泣かせる悪い奴を!」
「あ、愛と……勇気の力で……お仕置きよ……」
「勇気の戦士! ハーミットブルー!」
「……あ、愛の……戦士、ハーミットピンク……」
「二人そろって!」
『ハーミットツインズ、ここに参上!』
ずばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! という擬音と共に、びしっとポーズを決めて宣言。
二人の背後に輝く光が、それぞれ、青と桃色に輝いた、ような気がする光景であった。
「決まりましたわ、華扇さま!」
何かやたらひらひらしつつも妙に少女趣味な衣装を纏った青娥が、隣で顔面完熟トマトにしている華扇の手を取り、ぴょんぴょんとびはね大喜び。
「き、ききき、決まりましたも何もないでしょうが! これは何よ、これはぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「え? 『愛と勇気のハーミットツインズ』ですわ」
「いやそういうこと聞いてるんじゃなくてですね!?」
「………………えーっと、華扇。私、見なかったことにしてあげるから」
「ちっ、違うのよ、霊夢!? これはあのその何というか……!」
博麗神社の鳥居の上で見事な前口上かまして、びしぃっ、とポーズとった二人を白い眼差しで見つめていた神社の主は、そっと視線を逸らしてつぶやいた。
慌てて、華扇が弁解するのだが、時すでに遅し。
「さあ、華扇さま! 人里の方々にはお話をして、すでにステージの用意をしてあります! 行きましょう!」
「絶対いや! 生き恥さらすようなものよ!
あんた、仙人って不老不死よ!? この先、何千年、後ろ指さされないといけないと思ってるの!?」
「大丈夫! すでに人里ではマーケティング調査を行なっておりまして、このような正義の変身ヒロインの受けがいいことは確認済みですわ」
「ものすごい根回しいいわねあなた!?
っていうか、いや、あの、霊夢見なさいよ! あの顔、マジどん引きじゃない!」
「常識と言う眼鏡でわたくし達の世界は覗けないのですわ」
「常識かなぐり捨てるのとは意味が違ぁぁぁぁぁぁぁうっ!」
「その通りですっ!」
その時、突然、逆光背負って現れる第三の姿!
とうっ、とそれは境内へと飛び降りて、びしぃっ、と二人を示す。
「変身ヒロインだからといって、必ず受け入れられるとは思わないことですね! 茨歌仙! そして、霍青娥っ!」
「うわまたややこしいのが!」
現れたのは予想通りの緑色の巫女、東風谷早苗であった。
右斜め45度のポーズで相手を指差しながら、彼女は言う。
「変身ヒロインに必要なのはかわいらしさと共に勇ましさっ! そんな、恥ずかしさで顔真っ赤にしている程度で人々に受け入れられると思っているのですかっ!」
「やかましいわぁぁぁぁぁっ!」
その様子を眺める神社の主、博麗霊夢は、そっとその場から退散した。
巻き込まれちゃかなわんと思ったのに加えて、その世界についていけないことを自覚していたからだ。
「それに何よりっ!」
早苗は右手を腰に当て、左手で天を示し、右方向に一回転しつつ、その左手で相手をびしぃっと指差し、右手で己の瞳以外を隠すというかっこいいポーズをとりながら、
「衣装がいまいちっ!」
「なっ……!?」
そのポーズの意味など問いかけることも許さないまま、早苗の一言が青娥の胸を貫く。
「いや、むしろ、詰めが甘いっ!
いいですか、青娥さん! 変身ヒロインの衣装というものは、いずれ小さなお友達と大きなお友達向けに一般に作られ市販される!
すなわち、作りやすさと共に誰が着てもかっこよくてかわいいものである必要があるのですっ!
愛と勇気を主軸とするなら、愛はもっとかわいらしく! 勇気はもっと勇ましくっ!
共通の衣装で色だけ変えるなど言語道断っ! そんなヒロインでは、みんなの声は受け止められませんっ!」
「なんてこと……!?」
「ちょっと意図していたのと違うけどもっと言ってやりなさい! そしたら……!」
「というわけで、衣装デザイン、このわたしが受け持ちましょうっ!」
「ありがとうございます、東風谷さんっ!」
「ちょぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
早苗の手厳しい指摘によって青娥がこの企画を断念することを想像していた華扇の目論見はもろくも崩れた。
「さらに、決めポーズもいまいちっ! 手の伸ばしと足の角度が足りないっ! 視線の向き、指先一本の動きですら、決めポーズには大きな影響を与えるのですっ!
全く、あなた達は何もわかっていない! わたしが徹底的にプロデュースしてあげますっ!」
「ありがとうございます! お願いいたします!
よかったですわね、華扇さま! これで、間違いなく、この企画は成功しますわっ!」
「人の話を聞け、この馬鹿者どもぉぉぉぉぉぉぉ!」
響く華扇の嘆きが幻想郷にこだまする。
誰かが言った。
早苗に目をつけられたら終わりである。お前は恥と外聞を捨て去る以外に生きる道はないのだ、と。
華扇は今更ながら、『安請け合いは大怪我の元』という言葉の意味を、この時、ものすごく胸にかみ締めていたと言う――。
ちなみに、東風谷早苗プロデュース、『愛と勇気の戦士ハーミットツインズ』は人里のみならず幻想郷全てで大人気を博し、女の子達の新たな遊び、『ハーミットツインズごっこ』を誕生させることに成功した。
道教の人気はうなぎのぼりに上昇し、近いうちに男の子向けの『道教戦隊ハーミットレンジャー』が始まる予定である。
「断る」
ここはピンク仙人(卑猥な意味ではなく)、茨木歌仙こと華扇ちゃんのおうち。
そこに、どこからどうやって入り込んだのか知らないが、青い邪仙、霍青娥が訪れていた。
開口一番、切り出された話を一言の元に切って捨てる。
「……そうですか」
ふぅ、とため息をついてから、
「……さすがは茨華仙さま。
困難があるからとて、人を頼ることのみを当てにするのではなく、まずは自分の力で。
そういう、厳しくも優しい姿勢は素晴らしいですわ」
「いやまぁあんた思いっきり盛大に勘違いしてるけどそれでいいわもうめんどくさいから」
「ですが、華扇さま。
そうは申されましても、わたくしには今、華扇さまのお力添えが必要なのです」
「……」
やたら真剣な眼差しで、手を胸の前で組んで懇願してくる青娥。
彼女のこのような顔を、華扇は見たことがなかった。
……とりあえず、聞くだけ聞いてやるか。
華扇ちゃんとて無慈悲ではない。一応、どんな奴だろうと、相手の話を聞く心の余裕くらいは辛うじて持ち合わせているのだ。
「わかりました。何ですか?」
「実はわたくし、道教の布教をしているのですが」
「実はでもなんでもありませんけどね」
「最近、紳士淑女の方々への布教は進んでいるのですが、というか、ほったらかしておいても我が道教の誇る神子ちゃん布都ちゃんのおかげで信者が増えていくのですが、そうではない層へのアピールが今ひとつ」
道教って、早々に幻想郷から追い出したほうがいいかもしれない。
この時、華扇はそう思った。どうやって実行しようか、その手法を頭の中に108通りくらい考えたところで、
「そこで、華扇さまにご助力を、と」
「はあ」
「何も『あの茨華仙が道教に入信した!』という口さがのない噂を立てるというわけではございません。
信者を増やすと言うのは、何も今の信者を増やすと言うことではございません。
将来的に、我が道教を信じ、共に道を歩む――そうした行動も、信者を増やすと言うことにつながるのでございます」
「ふむ」
所謂青田買いというやつだ。
昨今、幻想郷では仏教、道教、神道――これはあまり、勢力拡大できてないようだが――の三つの宗教が派閥争いを行なっている。
互いに異教徒の排除をなどと物騒な事態にはなりうるはずもないのだが、信者あっても宗教である。右手で相手の手を握り、左手で刺す、くらいのことは平然と行なわれているものである。
そうした中で青娥のたてた戦略と言うのは賢いだろう。
要は、『どうやったら子供を取り込めるか』ということだ。
「こうした層に対して、やれ宗教と言うのは心の平穏がどうだだの、信じることで生活が豊かになるだのといった論は通じません。
もっと具体的に、一目でわかるようなものにしなければ」
「確かにそうですね」
「そこで、わたくしは色々と、試行錯誤をしておりまして。
その一つとして立てた作戦の実行に、茨華仙さまのご助力が必要なのでございます」
「そこでなんで私なんでしょうか」
「仙人だからです」
「……………………」
理解できない理屈と共になされた回答に、華扇は沈黙した。
まぁ、確かに、幻想郷で今、名前があてがわれている仙人は華扇と青娥しかいない。
どこかで人間の持つ生命のエネルギーを持って山の上の神様のうち、ちっちゃい方を殴った時のような音がしたが、華扇はとりあえず、それは無視した。
「えーっと……」
「やはり少年少女へのアピールはわかりやすく、それでいてかっこよく、あるいはかわいくなければなりません。
ですわよね?」
「まぁ、ええ、はい。わからないでもありませんが」
「さすがは茨華仙さま。聡明な方ですわ」
本気で華扇をほめてるのか、それとも小ばかにしてるのかわからなかったが、とりあえず、華扇はふつふつといやな予感を感じている自分がそこにいるのを認識し始める。
「というわけで。
一回でいいですから。
まずは試しにいかがですか?」
何となく『悪徳セールス』と言う言葉が脳裏に浮かぶのを自覚しつつも、『とりあえず、話だけでも』と言ってしまった華扇は、この時、己のその行為をとことん後悔していた。
吹きすさぶ一陣の風、天に煌く太陽。
その光を背負い、彼女は天に向かって宣言する。
「みんなを泣かせる悪い奴を!」
「あ、愛と……勇気の力で……お仕置きよ……」
「勇気の戦士! ハーミットブルー!」
「……あ、愛の……戦士、ハーミットピンク……」
「二人そろって!」
『ハーミットツインズ、ここに参上!』
ずばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! という擬音と共に、びしっとポーズを決めて宣言。
二人の背後に輝く光が、それぞれ、青と桃色に輝いた、ような気がする光景であった。
「決まりましたわ、華扇さま!」
何かやたらひらひらしつつも妙に少女趣味な衣装を纏った青娥が、隣で顔面完熟トマトにしている華扇の手を取り、ぴょんぴょんとびはね大喜び。
「き、ききき、決まりましたも何もないでしょうが! これは何よ、これはぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「え? 『愛と勇気のハーミットツインズ』ですわ」
「いやそういうこと聞いてるんじゃなくてですね!?」
「………………えーっと、華扇。私、見なかったことにしてあげるから」
「ちっ、違うのよ、霊夢!? これはあのその何というか……!」
博麗神社の鳥居の上で見事な前口上かまして、びしぃっ、とポーズとった二人を白い眼差しで見つめていた神社の主は、そっと視線を逸らしてつぶやいた。
慌てて、華扇が弁解するのだが、時すでに遅し。
「さあ、華扇さま! 人里の方々にはお話をして、すでにステージの用意をしてあります! 行きましょう!」
「絶対いや! 生き恥さらすようなものよ!
あんた、仙人って不老不死よ!? この先、何千年、後ろ指さされないといけないと思ってるの!?」
「大丈夫! すでに人里ではマーケティング調査を行なっておりまして、このような正義の変身ヒロインの受けがいいことは確認済みですわ」
「ものすごい根回しいいわねあなた!?
っていうか、いや、あの、霊夢見なさいよ! あの顔、マジどん引きじゃない!」
「常識と言う眼鏡でわたくし達の世界は覗けないのですわ」
「常識かなぐり捨てるのとは意味が違ぁぁぁぁぁぁぁうっ!」
「その通りですっ!」
その時、突然、逆光背負って現れる第三の姿!
とうっ、とそれは境内へと飛び降りて、びしぃっ、と二人を示す。
「変身ヒロインだからといって、必ず受け入れられるとは思わないことですね! 茨歌仙! そして、霍青娥っ!」
「うわまたややこしいのが!」
現れたのは予想通りの緑色の巫女、東風谷早苗であった。
右斜め45度のポーズで相手を指差しながら、彼女は言う。
「変身ヒロインに必要なのはかわいらしさと共に勇ましさっ! そんな、恥ずかしさで顔真っ赤にしている程度で人々に受け入れられると思っているのですかっ!」
「やかましいわぁぁぁぁぁっ!」
その様子を眺める神社の主、博麗霊夢は、そっとその場から退散した。
巻き込まれちゃかなわんと思ったのに加えて、その世界についていけないことを自覚していたからだ。
「それに何よりっ!」
早苗は右手を腰に当て、左手で天を示し、右方向に一回転しつつ、その左手で相手をびしぃっと指差し、右手で己の瞳以外を隠すというかっこいいポーズをとりながら、
「衣装がいまいちっ!」
「なっ……!?」
そのポーズの意味など問いかけることも許さないまま、早苗の一言が青娥の胸を貫く。
「いや、むしろ、詰めが甘いっ!
いいですか、青娥さん! 変身ヒロインの衣装というものは、いずれ小さなお友達と大きなお友達向けに一般に作られ市販される!
すなわち、作りやすさと共に誰が着てもかっこよくてかわいいものである必要があるのですっ!
愛と勇気を主軸とするなら、愛はもっとかわいらしく! 勇気はもっと勇ましくっ!
共通の衣装で色だけ変えるなど言語道断っ! そんなヒロインでは、みんなの声は受け止められませんっ!」
「なんてこと……!?」
「ちょっと意図していたのと違うけどもっと言ってやりなさい! そしたら……!」
「というわけで、衣装デザイン、このわたしが受け持ちましょうっ!」
「ありがとうございます、東風谷さんっ!」
「ちょぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
早苗の手厳しい指摘によって青娥がこの企画を断念することを想像していた華扇の目論見はもろくも崩れた。
「さらに、決めポーズもいまいちっ! 手の伸ばしと足の角度が足りないっ! 視線の向き、指先一本の動きですら、決めポーズには大きな影響を与えるのですっ!
全く、あなた達は何もわかっていない! わたしが徹底的にプロデュースしてあげますっ!」
「ありがとうございます! お願いいたします!
よかったですわね、華扇さま! これで、間違いなく、この企画は成功しますわっ!」
「人の話を聞け、この馬鹿者どもぉぉぉぉぉぉぉ!」
響く華扇の嘆きが幻想郷にこだまする。
誰かが言った。
早苗に目をつけられたら終わりである。お前は恥と外聞を捨て去る以外に生きる道はないのだ、と。
華扇は今更ながら、『安請け合いは大怪我の元』という言葉の意味を、この時、ものすごく胸にかみ締めていたと言う――。
ちなみに、東風谷早苗プロデュース、『愛と勇気の戦士ハーミットツインズ』は人里のみならず幻想郷全てで大人気を博し、女の子達の新たな遊び、『ハーミットツインズごっこ』を誕生させることに成功した。
道教の人気はうなぎのぼりに上昇し、近いうちに男の子向けの『道教戦隊ハーミットレンジャー』が始まる予定である。
でも常識にトラワレテハイケナイからどうでもいいよね!