Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ないものねだり

2013/08/06 03:00:06
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 昼下がりの神社。
 霊夢は文と並んでお茶を飲み、手帖の文字を追う横顔を見たり飽きて森の方を眺めていたが、突然微かな衝撃を伴って文の頭が肩に乗せられた。

「何よ、急に」
「いえ、大したことじゃないんだけどね」

 ふ、と苦笑して手帖を脇に置く。そのままゆっくりと目を閉じた。

「……巫女も、人間なのよね」
「化け物みたいだって言いたいの?」
「違う違う。ただ、私たちとは違うんだな、って」

 霊夢は数度目を瞬かせ、沈黙で先を促す。

「貴女がどれだけ人間離れした力を持っていても、脆い人間でしかない」
「そうね」
「だから、私より先に死んでしまう」
「……そうね」

 当然のことだ。だから妖怪は妖怪で、人間は人間なのだ。

「……私が」
「ん?」
「私が人間だったら、貴女とも対等でいられたのかしら」

 対等。霊夢の唇が同じ言葉をなぞる。
 強弱や上下のことではなく、寿命のことを言っているのだと。それに気付いて、気付かないふりをする。

「……無理でしょうね」

 文が目を開けた。赤い目が霊夢を見つめる。

「だって、人間は弱いもの。あんたが人間だったら私に守られることになる。それは対等じゃない」

 文は何も言わない。

「だから、今のままでいいのよ」

 頬に痛いほどの視線を感じながら、文の言葉を待つ。
 文は二度、三度と口を開きかけては閉じ、

「……そう、ね」

 無理矢理絞り出したような声は苦しげで、霊夢はそっと顔を背けた。



 どうして得られないものばかり求めてしまうのだろう。
 得られないとわかっているのに、苦しむことになると知っているのに。
 それでもないものねだりをやめられない。
8月6日はあやれいむの日!
今年もなんとか書けました。

当初の予定ではもっとほのぼのした話になるはずだったのに
どうしてこんな展開になったのか…。

さてさて、今回はこのあたりで。
お楽しみいただけたなら幸いです。
文羽
コメント



1.絶望を司る程度の能力削除
ほのぼののはずが、すさまじいシリアスに・・・!
2.名前が無い程度の能力削除
あやれいむはBAD ENDにしかならないのか……
霊夢仙人(もしくは神)ルートも作ってもいいんじゃよ?
3.名前が無い程度の能力削除
霊夢が人で、文が妖怪である限りどうしようもないのですなぁ…
4.奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
5.名前が無い程度の能力削除
※2さん たとえ霊夢さんの寿命が先に来るとしても、BAD ENDということではなかろうもん