Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

核融合五秒前

2013/07/28 08:58:31
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ここは地底。そう、地底である。⑨灼熱地獄だなんだと言われていても活気に溢れていて、幻想郷随一のホットな場所だ。(核融合的な意味で)

そこに存在するハイカラな建物、地霊殿。主であるさとりは部屋でペット達の遊び相手をしている。
すると、ペットの一人お燐がやって来た。手にわら半紙を持っている。

「さとりさまさとまりさ!」
《たいへんたいへん!》
「違う人と混ざりましたね……なんですか?」
さとまりさはひどい。
「チョベリバなことが!」
さすが死体のエキスパート。死語にも強い。

「これ見てくださいよ!今月の決算なんですけど」
「どれどれ……」

手渡された紙にはお空が間欠泉地下センターで働いて得た給料などの収入と、先日お空が誤って壊してしまった民家の修理費という莫大な支出が明記されている。つまり、

「赤字じゃないですか」
「そうなんですよー。どうしましょうさとりさま?」
《お空ったらろくなことをしないんだから》

頼られても困る。そう言いたいさとりだが、主としてそういうわけにもいかない。

とりあえずお空とこいしを呼び出して対策会議を開くことにした。

「うにゅ?さとりさまどうしたんですか急に呼んだりして」
《おなかすいたなぁ》

「お空、そっちはこいし。さとりは私です」
「そうですよね。やだなぁ、間違えるわけないじゃないですかこいしさま」
《あれ?どっちがどっち?》

「だから私はさとりです!」
深呼吸して呼吸を整えるさとり。お空は実際しっかりしているのだが、まださとりこいしコンビを混同している。怒ってはいけない。お空はまだまだこれからなのだ。

「今、地霊殿は深刻な財政難に陥っています。このままでは宵が越せません。ここはみんなで打開策を練りましょう。案がある人はいますか?」

「はいはーい!」
真っ先に挙手するお空。
「私が間欠泉地下センターで今までの倍働いてお給料をいっぱいもらえばいいとおもいまーす!」
意外にもまともな提案。確かにそれが手っ取り早い。

「気持ちはありがたいのですが。お空、無理しなくてもいいんですよ?」
「大丈夫!私にズドンと任せてください!」
《核融合の力だもんね》

《しんぱいだなぁ》
《いくらお空が原因だからって、一人だけ頑張るのはちょっとかわいそうかも》
こいしとお燐から伝わってくる思念は同情的だ。しかし状況は一刻を争う。

「ではお空。私から仕事をもっと増やしてもらえるように言っておきます。こいし、お燐。私たちもできることをしましょう」

「それなんだけどさ」
こいしが口をはさむ。
「さっきまでぬえと一緒にフランのとこにいたんだけどね、パチュリーが経営の魔道書を書いたんだって。それを読めば何かヒントが得られるんじゃないかな?」
《あの人暇そうだし、丁寧に作ってそう》

「なるほど、あの魔女の著作なら是非とも読んで参考にしたいところです。今すぐ借りに行きましょう!」
「それなんだけどね」
《もう魔理沙に盗まれちゃったんだって》

さとりは頭が痛くなった。やっと見つけたひとすじの光は白黒によって阻まれた。

「こうなったら地霊殿出陣あるのみです。お空には間欠泉地下センターに行ってもらうとして、私たちは地上に出てその本を取り返しましょう」

いや、さとりさまの本じゃないですよと空気になりかけていたお燐は思ったのだがさとりは覚ってはくれなかった。

「そうと決まればすぐに出発しましょう」
さとりが自分の意思で地上を目指すとは、奇跡に近い。それほど差し迫った状況なのだろう。

しかし、不測の事態。
「あれ?お空がいないよ?」
こいしが真っ先に気がついた。窓から外を見るとお空が浮遊している。どこかへ行くようだ。しまむらだろうか。

《ウォーミングアップのために核融合、いってみよー!》
「やめなさい!」
読めたお空の思念に思わず大声を出してしまうさとり。

「どうしたの?」
「お空が外でニュークリアフュージョンの練習をしようとしています。早く止めないとこの一帯が更地になってしまう!」

窓から外へ飛び出すさとりとこいし。(お燐は近隣の住民の避難にあたる)

《うぉぉー!のってきたよー!》
それにしてもさとりにとってもこいしにとっても人生初の不覚。部屋から出ていたのに議論に夢中で全く気がつかなかった。覚りや無意識と言った能力を持っているはずなのだが。

《カウントダウン!せーのっ!じゅう、きゅう、はち》
「さとり、こうなっては仕方ありません。スペルカードでお空を無理やりでも止めます」
「了解だよ!」
《そういうの好きだよ!》

やっと射程に入った。二人ともスペカを構える。
《なな、ろく、よん》
「想起『テリブルスーヴニール』!」
「表象『弾幕パラノイア』!」

「うにゅう~!」
お空は古明地姉妹の素晴らしい弾幕によって撃墜された。あと5秒遅かったらというイフストーリーはあまり考えたくはない。5を抜かすというフェイントにも落ち着いて対応出来たのはよかった。



そして一時間後。お空は目を離すと何をしでかすか分からないということで、地上へ連れていかれることになった。地霊殿メンバー全員で魔理沙にカチコミをかける手筈。

「さとりさま、一緒に頑張りましょう!」
《私なんで撃たれたんだっけ?》

「そっちはこいしです!」
前途多難である。
単発ネタという解釈でおk。
内容よりタイトルを考えるのが難しい。シバリがあるから。
吉岡奇凡
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