からすが鳴くから帰ろう。
霧の湖は空と同じ茜色。
遠くの山で、からすがが大きく一回鳴いた。
帰ろう、帰ろう。
お家に帰ろう。
じゃあね、ばいばい、また明日。
友達に手を振って、湖から駆け出した。
夕焼け色の道を走る。
のっぽの影がわたしの前を走ってく。
真っ赤なトンボが一匹、目の前を横切った。
セミの声はもう聞こえない。
走る、走る、走る。
迷い家まではまだまだ遠い。
ごはんまでに帰らなきゃ。
紅色の館の前、赤髪の門番さんが立っていた。
となりには紙袋を抱えたメイドさん。
「ただいま、美鈴」
「おかえりなさい、咲夜さん」
袋の中からは葡萄が一房。
陽の光に照らされて、紫色の宝石みたいに輝いていた。
くぅ。くぅ。
甘酸っぱい匂いに、お腹が鳴った。
帰ろう帰ろう、今日のごはんは何だろう。
夕暮れ色の道を走る。
のっぽの影はどんどん伸びる。
田んぼでは稲たちが重たそうに頭を下げている。
あたり一面金色の絨毯みたい。
走る、走る、走る。
迷い家まではまだ遠い。
ごはんまでに帰らなきゃ。
人里の家のまえ、真っ白髪の蓬莱人が大きなかごをおろしていた。
おたまを持った先生が扉を開けて出迎える。
「ただいま、慧音」
「おかえり、妹紅」
かごの中にはたくさんの川魚が入っている。
青々とした鱗が夕方の光に煌めいた。
くぅ。くぅ。
家の中から漂う夕ごはんの匂い。炊きたてのごはんにお味噌汁。
帰ろう帰ろう、今日のごはんは魚がいいなあ。
夕闇色の道を走る。
のっぽの影がゆらゆら揺れる。
山のうえはもう紫。
もうすぐ夜が降りてくる。
走る、走る、走る。
迷い家までもうちょっと。
ごはんまでに帰らなきゃ。
麓の神社のすぐ近く、白黒魔女が飛んでいた。
両手いっぱいの酒を抱えて、ふらふらと境内に降り立った。
「ただいま、霊夢」
「おかえり、魔理沙」
紅白巫女は酒瓶を半分受け取って、二人で神社に入っていった。
今日も二人で宴会なのか、鍋の匂いが鼻をくすぐった。
くぅ。くぅ。
あぁ、もうお腹がぺこぺこ。
帰ろう帰ろう、早く藍様のごはんが食べたい。
黄昏色の道を走る。
のっぽの影はもうすぐ消えそう。
「ただいま」「おかえり」
「ただいま」「おかえり」
「ただいま」が聞こえたら、「おかえり」がかえってくる。
たくさんの「ただいま」と、同じだけの「おかえり」が幻想郷に溢れる。
走る、走る、走る。
迷い家はほらそこに。
ごはんの時間に間に合った。
「ただいま!」
霧の湖は空と同じ茜色。
遠くの山で、からすがが大きく一回鳴いた。
帰ろう、帰ろう。
お家に帰ろう。
じゃあね、ばいばい、また明日。
友達に手を振って、湖から駆け出した。
夕焼け色の道を走る。
のっぽの影がわたしの前を走ってく。
真っ赤なトンボが一匹、目の前を横切った。
セミの声はもう聞こえない。
走る、走る、走る。
迷い家まではまだまだ遠い。
ごはんまでに帰らなきゃ。
紅色の館の前、赤髪の門番さんが立っていた。
となりには紙袋を抱えたメイドさん。
「ただいま、美鈴」
「おかえりなさい、咲夜さん」
袋の中からは葡萄が一房。
陽の光に照らされて、紫色の宝石みたいに輝いていた。
くぅ。くぅ。
甘酸っぱい匂いに、お腹が鳴った。
帰ろう帰ろう、今日のごはんは何だろう。
夕暮れ色の道を走る。
のっぽの影はどんどん伸びる。
田んぼでは稲たちが重たそうに頭を下げている。
あたり一面金色の絨毯みたい。
走る、走る、走る。
迷い家まではまだ遠い。
ごはんまでに帰らなきゃ。
人里の家のまえ、真っ白髪の蓬莱人が大きなかごをおろしていた。
おたまを持った先生が扉を開けて出迎える。
「ただいま、慧音」
「おかえり、妹紅」
かごの中にはたくさんの川魚が入っている。
青々とした鱗が夕方の光に煌めいた。
くぅ。くぅ。
家の中から漂う夕ごはんの匂い。炊きたてのごはんにお味噌汁。
帰ろう帰ろう、今日のごはんは魚がいいなあ。
夕闇色の道を走る。
のっぽの影がゆらゆら揺れる。
山のうえはもう紫。
もうすぐ夜が降りてくる。
走る、走る、走る。
迷い家までもうちょっと。
ごはんまでに帰らなきゃ。
麓の神社のすぐ近く、白黒魔女が飛んでいた。
両手いっぱいの酒を抱えて、ふらふらと境内に降り立った。
「ただいま、霊夢」
「おかえり、魔理沙」
紅白巫女は酒瓶を半分受け取って、二人で神社に入っていった。
今日も二人で宴会なのか、鍋の匂いが鼻をくすぐった。
くぅ。くぅ。
あぁ、もうお腹がぺこぺこ。
帰ろう帰ろう、早く藍様のごはんが食べたい。
黄昏色の道を走る。
のっぽの影はもうすぐ消えそう。
「ただいま」「おかえり」
「ただいま」「おかえり」
「ただいま」が聞こえたら、「おかえり」がかえってくる。
たくさんの「ただいま」と、同じだけの「おかえり」が幻想郷に溢れる。
走る、走る、走る。
迷い家はほらそこに。
ごはんの時間に間に合った。
「ただいま!」
夕焼けを表わしていたのね。
なんかずっと影絵みたいなシルエットの情景が頭の中を流れてていい雰囲気でした。
とてもリズムがよくて、スラスラと、その上楽しく読めました。
このような作品を作れることに尊敬します。
挨拶って素敵やん