Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

地底の鬼と地上の魔法使い

2013/04/30 23:49:35
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もしかしたら、二次設定があるかもしれません。

注意してくださいませ。










 「ふぅ、うまいねぇ。」


私はふと、そんな言葉を呟いた。酒なんていつも浴びるほど呑んでいるし、正直それでも呑み足りない、というか、いつも持ち歩いているこの盃のおかげで上質な酒はいくらでも呑めるが、今日は別だ。

なぜなら。


 「いつも呑むことを最優先してるお前がそんなこと言うなんてな、珍しい事もあるもんだな。」

 「私だって雰囲気を味わう事ぐらいするさ。」


地上で唯一、私と関りがあり、私が盟友と呼ぶ人間と呑んでいるからだ。
彼女の名は『霧雨魔理沙』。
自身の事を『普通の魔法使い』と呼ぶ。


 「そういうあんたこそ、あんまり呑んでないんじゃない?もう酔ったのか?」
 「雰囲気に酔うことはあっても酒じゃそう簡単に酔うことはないと自信があるぜ。」
もっとも、お前ほどじゃないけどな、と彼女はそう付け足した。

私は苦笑しつつ、続けて尋ねた
「それじゃあ、何故いつもみたいに勢いよく呑まないんだ?」
そうだ、よく彼女は鴉天狗やら他の妖怪達と毎回と言っていいほど呑み比べをしている。 
「ん~?なんでだろうな。お前と二人きりだから、じゃダメか?」
 「別に私に限る必要なんて無いだろう?」
 「それがあるんだよ、星熊勇儀。」
それは何だ、と私が尋ねると彼女は私の盃と似た普通の赤い盃に酒を注ぎ、一口飲んでから言った。



 「皆飲めてはいるんだが、呑めてはいないのさ。」



私は一瞬だけ間を置いたが、すぐに彼女が言いたいことを理解した。
 「なるほどね。そういうことか。」
そう言うと、彼女は嬉しそうにニヤリと微笑んで、「そういうことだ」と言った。
私もつられて笑った、恐らく、彼女と同じ顔をしているだろう。



私の盟友は酒のことをよくわかっている。
弾幕だってそうだ。他の皆は知恵や工夫をこらし、そしてどこか着飾ったような、そんな感じがするのだ。
例を挙げるとするならば、彼女の友人の人形使いがいい例だろう。
『弾幕はブレイン』というのがそいつのアイデンティティーだそうだ。
実際にその弾幕を見たことは無いが、魔理沙曰く「細かすぎる」のだという。

それに対するのが、彼女、普通の魔法使いの『弾幕はパワー』というアイデンティティーだ。
彼女の弾幕は実際に戦ってみないとわからない。
はたから見るには美しいと思える弾幕だが、そうではない。

色鮮やかな星型の固形弾

高い火力のマジックミサイルやナパーム、そしてレーザー

それだけでも十分力強く、派手だがそれだけでは満足させないのが彼女である。

数ある彼女のスペルカードの一つ
彼女の代名詞であり、恋符を冠する彼女だけの魔法 マスタースパーク

『弾幕はパワー』を表現するには十分過ぎると言っていいほどの破壊力である。
だが、その更に上を行く魔法を彼女は所持しているらしい。
「いつか見せてやるぜ。」と言って悪戯っぽくニシシ、と笑った彼女の顔を思い出した。
恐らく、その言葉に偽りはない。鬼に嘘は通用しない。



 「なあ」
 「ん?」
 「マスタースパークを超える魔法があるんだろう?」
 「ああ、あるぜ。」
いや、と彼女は区切りこう言った。
「威力を超えるやつならあるが、『マスタースパーク』を超える魔法はないぜ。」
 「なら。」
私はダメもとで言ってみる。
 「その威力を超える魔法を見せてはくれないかい?」
そう言って盃に注がれてある酒をいっきに呑み干し、彼女を見つめる。
彼女もまた、酒を呑み干し、私を見つめる。
ややあって、こう言った。





「いつか見せてやるぜ。」





その言葉を聞き、少し残念に思いながらも安心した。
そう簡単に見せてくれては拍子抜けだ。


 「そうかい。」
そう言って私はニヤリと微笑むと、彼女もつられてニヤリと微笑んだ。


そして、彼女は自分の盃と私の盃の両方に酒を注いだ。
私は彼女が何をしようとしているのか理解した。

お互いに向かい合い、盃を満点の星空に掲げ私達はただ一言だけ言う。


 「「乾杯」」
初投稿でございます。小夜丸と申します。
グリマリなどを読んでみると勇儀と魔理沙が仲が良い印象を受けたのでドキドキしながらも書いてみましたが、いかかでしょうか。
読みにくい所が沢山あると思いますが、精進します。
あと、魔理沙の言う「飲めてはいるが、呑めてはいない」という意味は読んでいる方々ご自身で考えて頂けたら幸いです。
恐らくこれからも、ちょくちょく書いていくかもしれません。 あと、作者は魔理沙が大好きです。
 書いていくとするならば、魔理沙を中心に書いていく予定です。

では長くなりましたが、これにて失礼します。
小夜丸
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ええんじゃね