紅楼 濡霧雨 紅楼が霧雨に濡れ
美呼 響耳心 美しい呼び声が耳と心に響く
萃喋 皆如鈴 萃まり、喋る、皆鈴のように
愉音 震止胸 愉しげな声を聞き、胸の震えがやむ
訳
秋になり、雨が降りはじめた。快活な夏が終わり、寂しい秋は、再び夏が訪れるのを願うように梅雨になろうとしていた。そんなことを思うと寂しい。
が、名前を呼ばれ、肉声の温もりがじんわりと心身に響く。
雨で外に出られず、館の一箇所に皆が集まる。雑談に耽けるのはまるで、鳴り続ける鈴のようである。
愉しげな声を聞き、ひきづっていた胸の震えはおさまった。
【追記】
縦読みを仕込もうとしたんですけど、平仄(漢詩での規則)上、無理でした。後、平仄を優先した結果、文法的におかしいところがありますが目をつぶっていただけたら嬉しいです。
近藤
個人的には、紅 を 秋で表現してるから仕方ないかと思いますが、秋より冬の方が夏と対比関係にあるかなぁとだけは思いました。
でも、綺麗にまとまってて美鈴らしくて私は好きです!
でも、近藤さんって器用ですね。同じ作者さんなのに、作品ごとに根底は同じなんですが少しニュアンスが違った雰囲気が出て、見てすごいなぁと感心してしまいます。
これはいいジャンル