「ふぁあぁ……」
周りに遠慮のない大欠伸をしながら、のったりと部屋の時計を見上げる。
時刻はもう11時を回るところ。蓮子とサークル活動兼女子会という名目での、ただの飲み会を終えたらすっかり遅くなってしまった。
また欠伸が出そうになって、口の中でかみ殺す。まぁ、自宅なのだし誰に気を使うわけでもないのだが。
「さて、と」
ベッドの上の毛布を直して電気のスイッチに手を伸ばす。
明日も早いのだし、早々に寝てしまわないと……
がちゃっ
「ううぅ、さむいさむい」
……そういえば洗い物がそのままだった。まぁ明日帰ってきてからに……
ぱたぱた
「ふいぃ、さむいさむい」
……ああ、目覚ましをセットしないと。必修の単位を落とすわけには……
もそもそ
「おおぅ、ぬくいぬくい」
「ていっ」
「うわぁっ?!」
ベッドから派手に転がり落ちた蓮子を尻目に、ばさっと布団を頭からかぶる。
「なにするのよメリー」
「こっちのセリフよ。なんでうちに来てるの」
「……人肌恋しくて?」
「教授のところにでも行ってなさいよー。助手さんが研究にかかりきりだから寂しがってたはずよ」
「えー。岡崎教授酒癖悪いもの」
ぶつぶつ言いながらまた布団の中に入ってくる蓮子。うわ冷たい。
「あったまるわぁ」
「私は寒いのだけど」
「まぁまぁ、もうじきしたら熱伝導であったまってくるから」
「なんで家主の私が我慢しなきゃならないのよ……」
「温まるまで抱きしめてあげるからいいでしょ」
「む」
まぁ悪くはないが。なんて思ってしまう自分が悲しい。
確かにこの寒さの中、一人寝を続けていくのも少しさみしいと思っていたところではあって……
「それに、わざわざ出張カウンセリングまでしにきてあげたのよ?」
「なにそれ」
「ほら、やっぱり最近夢の心配話が増えてきたでしょう? だからこうして夢のお供をしにきたんじゃないの」
「また見に行きたいだけでしょ?」
「否定はしないわ」
くすくすと笑って胸のあたりに顔を擦り付ける蓮子。
「……また危ない目にあっても知らないわよ?」
「平気よ。メリーがいるもの」
「物理学者さんの理屈じゃないわねぇ」
「精神学の方なら察しなさいな」
ああ言えばこう言うで、既にボタンを緩めて寛ぐ姿勢に入っている。せめてシャワーぐらい浴びてほしかったのだけど。
「……もういいわ。おやすみなさい」
「あら。夜更かしのおしゃべりはおしまい?」
「明日も早いのよ。あなたも遅刻しないよう早く寝なさい」
「返す言葉もないわねぇ」
けらけらと笑いながら背中に回した腕を強くし、更に体を密着させる。
「じゃあ、おやすみメリー」
「ええ。おやすみ蓮子」
互いに腕を背に回し、額を合わせて目を瞑る。
はてさて、今宵の夢は吉夢か悪夢か。
周りに遠慮のない大欠伸をしながら、のったりと部屋の時計を見上げる。
時刻はもう11時を回るところ。蓮子とサークル活動兼女子会という名目での、ただの飲み会を終えたらすっかり遅くなってしまった。
また欠伸が出そうになって、口の中でかみ殺す。まぁ、自宅なのだし誰に気を使うわけでもないのだが。
「さて、と」
ベッドの上の毛布を直して電気のスイッチに手を伸ばす。
明日も早いのだし、早々に寝てしまわないと……
がちゃっ
「ううぅ、さむいさむい」
……そういえば洗い物がそのままだった。まぁ明日帰ってきてからに……
ぱたぱた
「ふいぃ、さむいさむい」
……ああ、目覚ましをセットしないと。必修の単位を落とすわけには……
もそもそ
「おおぅ、ぬくいぬくい」
「ていっ」
「うわぁっ?!」
ベッドから派手に転がり落ちた蓮子を尻目に、ばさっと布団を頭からかぶる。
「なにするのよメリー」
「こっちのセリフよ。なんでうちに来てるの」
「……人肌恋しくて?」
「教授のところにでも行ってなさいよー。助手さんが研究にかかりきりだから寂しがってたはずよ」
「えー。岡崎教授酒癖悪いもの」
ぶつぶつ言いながらまた布団の中に入ってくる蓮子。うわ冷たい。
「あったまるわぁ」
「私は寒いのだけど」
「まぁまぁ、もうじきしたら熱伝導であったまってくるから」
「なんで家主の私が我慢しなきゃならないのよ……」
「温まるまで抱きしめてあげるからいいでしょ」
「む」
まぁ悪くはないが。なんて思ってしまう自分が悲しい。
確かにこの寒さの中、一人寝を続けていくのも少しさみしいと思っていたところではあって……
「それに、わざわざ出張カウンセリングまでしにきてあげたのよ?」
「なにそれ」
「ほら、やっぱり最近夢の心配話が増えてきたでしょう? だからこうして夢のお供をしにきたんじゃないの」
「また見に行きたいだけでしょ?」
「否定はしないわ」
くすくすと笑って胸のあたりに顔を擦り付ける蓮子。
「……また危ない目にあっても知らないわよ?」
「平気よ。メリーがいるもの」
「物理学者さんの理屈じゃないわねぇ」
「精神学の方なら察しなさいな」
ああ言えばこう言うで、既にボタンを緩めて寛ぐ姿勢に入っている。せめてシャワーぐらい浴びてほしかったのだけど。
「……もういいわ。おやすみなさい」
「あら。夜更かしのおしゃべりはおしまい?」
「明日も早いのよ。あなたも遅刻しないよう早く寝なさい」
「返す言葉もないわねぇ」
けらけらと笑いながら背中に回した腕を強くし、更に体を密着させる。
「じゃあ、おやすみメリー」
「ええ。おやすみ蓮子」
互いに腕を背に回し、額を合わせて目を瞑る。
はてさて、今宵の夢は吉夢か悪夢か。