Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

楽しく遊んだ幼き日の

2012/11/26 22:30:47
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 (幻想入り要素、キャラ崩壊があります)





 がしゃんと音がなった。
はっと机の下を見ると、なみなみとコーヒーを注いであったマグカップが落ちて、真っ二つになっていた。
魔理沙は綺麗に二つになったカップを拾い上げると不機嫌に鼻をならした。

「これは酷いな。魔女のバァサンの呪いか?」

机の上を片付けずにカップを置けばこうなるのは自明の理であるが、そう考えないのが霧雨魔理沙である。
しばらくカップを直せる物はないかと家をごそごそ探したものの、こういった時に限って役に立ちそうな物は出てこない。
結局魔理沙は箒を握って外に出ることになった。











 人里の外れに小さな雑貨店がある。偏屈な親爺が趣味でやっているような店だ。
さて、その店の奥で霧雨魔理沙はニカワを掴むと古ぼけたレジスターの隣に置いた。
机に突っ伏して昼寝をしていた店主は片目を開けてニカワの瓶を見るとめんどくさそうに指を三本立てた。
そのとき魔理沙はレジスターの隣に小さな、灰色の板のようなものを見つけた。

「なあじいさん、こいつはなんだい?」

親爺は起き上がり、軽く伸びをすると初めて口を開いた。

「知らん」
「知らんって」
「最近こんなものをよく見つける。欲しいならやる、使い方もわからんでな」

かくしてそれは、魔理沙のものになった。

それを見つめながら店を出る。それは片手にすっぽり入りそうな大きさで、厚さは小指の爪程もない。
全体は薄い灰色だが、表には紙が貼ってあり、緑の背景にカエルのような怪物の絵と、
下にはカタカナで文字が書いてあったが、文字の方は擦り切れてわからなかった。









「お前は常識というものを学ぶ必要があるな。どうだ、ウチの寺子屋に入ってみないか」
「照れるぜ」

 慧音はため息をついた。なにせ、魔理沙が慧音の家に上がり込み、ニカワでカップを直し始めたのだから。
なんでも自分の家までは遠いし、日当たりも悪い、なによりも散らかっていて治す場所がないとのことだ。

「全く。今日は寺子屋が無いから良いようなものを」

そうこう言ううちに魔理沙はカップをくっつけ、窓際に置いた。

「いいか、触るんじゃないぜ」

そういうと魔理沙は机の上の緑茶に手を伸ばした。文句を言っても茶と茶菓子を出した慧音である。

「ふう、しかし乾くまで暇だな」
「じゃあ算術の問題でもやっていくか」
「あーあーあー、思い出したぜ、こいつはなんだか分かるか?」

魔理沙はわざとらしく思い出したように服の隠しから、先程買った灰色の板を取り出した。

「む……、これは?」
「私にもわからん。お前は意外と物知りだから知ってるかと思ったんだが」
「ふむ、ちょっと調べさせてくれ」

そういって慧音は魔理沙から板を受け取り、じっくりと眺めた。

「どうだ、なにかわかったか」
「……ここを見てくれ。この、ドラゴンのような怪物の上の文字、こっちは…『POCKET』続けて『MONSTER』
その続きはよくわからんな」
「私は英語はわからん。どういう意味だ?」
「『POCKET』は服のポケットのことだろう。で、『Monster』はモンスター、すなわち怪物のことだろう」
「つまりポケット怪物とでもいうべきなのか? このカエルみたいな絵が書いてあるやつのことかね」
「いや、そうとも限らない」

そう言うと慧音は棚から辞書を取り出した。

「魔理沙、『Snailmail』って何の事だか判るか? Snailは蝸牛のことだ。mailは手紙という意味なんだが」
「蝸牛手紙? 遅いのか」
「まあ、そういう意味もあるが……。所謂速達ではない普通の郵便の事だ」

慧音は辞書のSnailmailと書かれた部分を指さす。

「この様に英語は意味が変わる場合がある。だからこの『POCKET』と『MONSTER』もなにかそういう言い回しがある
のかもしれないんだ」
「かもしれない?」
「かもしれないというのは、この辞書には特にそういった事は書いていないんだ。待ってくれ。別な辞書を出すから」

そう言って慧音は辞書を並べ、調べ始めた。
しかし慧音がしばらく調べても、全く成果はなかった。

「おお、そうだ」

魔理沙は突然ぽん、と手を叩いた。

「私の知り合いに、物の名前とか用途が判る奴がいたんだ、ちょっと行ってそいつに聞いてくるぜ」
「ふむ、私はもう少し調べてみるよ」
「おお、頼んだぜ」






「ああ、これか。最近良くこちらに来るんだよ。ほら」

香霖堂の店主、森近霖之助は魔理沙の出した灰色の板を見ると、レジの側から同じようなものを取り出した。

「おお、よく見ると絵と色が違うな」
「これは『カセット』と言って『さして遊ぶ』ものらしい。長いことよくわからなかったんだが、
あの守矢の風祝がこの使い方を知っていてな」
「おお! じゃあ使ってみてくれよ!」
「うーん」

そう言うと霖之助は腕を組んだ。

「それは『げーむぼーい』というものと一緒に使わないといけないらしくてね。
その『げーむぼーい』が倉庫にあって探すのに時間がかかりそうなんだよ」
「そうなのか……」

魔理沙は顎を撫ぜた。

「実は慧音を待たせているんだ」
「慧音? 寺子屋をやっている半人半獣か。顔だけは知ってるよ」
「そうなんだ、それで……」

魔理沙は経緯を説明した。

「だから私は寺子屋に行ってるから、そのゲームなんちゃらを持って来てくれ」





「な、なんということだ」

慧音が握り締めてる本。表紙には『あした使えるスラング辞典』とある。

「『POCKET』『MONSTER』……」
「わああああ!」

慧音は本を放り投げ、床を転げまわった。

「うう……あのカエルみたいな怪物はつまり……その……
『俺のモンスターはこんなにワイルドなんだぜぐへへ』という意味だったのか……!」

そうして慧音は床をしばらく転げまわっていたが、玄関の戸が開く音がして跳ね起きた。

「おーい、慧音」
「ま、魔理沙か、そ、その、あの板のことなんだが」
「おお、これを見ろよ」

そう言って魔理沙は香霖堂から持ちだしたカセットを並べてみせた。

「うわああ!」
「一体どうしたんだよ……。あ、これは香霖堂にあったんだ」
「こ、香霖堂……? 名前だけは知っているが……そんなに恐ろしいものを置いているのか!」
「なんのことだよ……。ほらこっち、文字は一緒なんだが、絵がドラゴンなんだよ」
「ドラゴンっ! そ、そんなにすごいのか? 俺のモンスターはドラゴン並なのか!?」
「で、こっちは……よくわかんないけど、亀みたいだな」
「亀っ! 亀っ! よりによって亀っ!」
「んでだな、こいつらはどうやら『さして遊ぶ』ものらしいんだ」
「さして遊ぶっ!?」

慧音は飛び上がった。そしてあわあわと両手を動かす。

「だけどたしか、えーと、ゲーボーイって言ったかな……」
「ゲ、ゲイボーイ!?」
「おお、それそれ、確かゲイボーイって。それがなきゃいけないらしいんだ」

慧音はカッと天を仰いで、しばらく、「さして遊ぶ……ゲイボーイ……亀……」と呟いていた。

「何があったんだよ……」
「亀……じゃなかった! 魔理沙! あのな!」

その時、玄関の戸が開く音がした。

「おーい、失礼するよ」
「おお、頼んでたゲイボーイが来たぜ。おおーい、入ってこーい」
「………な、なんてものを頼んでるんだ! う、わぁぁ!」

香霖堂の店主が、片手に弁当箱のようなものを抱え、部屋に入って来た。
とたん慧音は魔理沙をかばうように霖之助と正対した。

「と、止まれっ!」
「け、慧音、どうしたんだよ」
「……? 君は確か……」
「私は慧音、上白沢慧音だ……わ、悪いがこ、ここから出ていってくれ」

霖之助は少しむっとしたような顔をした。

「確かに家主である君に無断で上がったのは悪いが、それは失礼なんじゃないかい。
出ていく理由くらい教えて欲しいものだね」
「理、理由……」

慧音は顔を赤くして何かもごもごと口を動かしていたが、おずおずと、話し始めた。

「その、なんだ、私は決して君のような者を差別しているわけじゃないんだ、うん、
ただ、ここは仮にも学び舎であるし、その」

霖之助はあからさまに気分を害した様子だった。

「差別しているわけじゃない、か、僕も確かに昔はこのような目に遭うこともあったけどね。
ただ、聞くところによると、君は教師だろう。教師がこんな真似をするのはどうかと思うよ」
「ううっ! だ、だがな」
「それに君も僕と似たような存在とも言えなくも無いと聞く。そんな君がこんな事をするのは……」
「似たような……? ち、ちがう! 私は断じて違うぞ!」
「ふん、今更否定するのかい? つまり自己否定、そこから出た同族嫌悪という訳か」
「ち、違うっ!」
「認めるべきだ。 第一、寺子屋の子供だって知っているというのに」
「し、知っている……!?」

慧音は頭を殴られたような衝撃を受けた。

「ほ、本当か……」
「本当もなにも、周知の事実だろう。ほぼ初対面の僕だって知っているんだし」
「……!」

慧音は膝から崩れ落ちた。

「お、おい。慧音……」
「……私は、一体何をしていたんだ? ひょっとしてハクタク化した時に……」
「慧音というのか? なんだか様子がおかしいぞ……」
「……そうか、私は、実は……ククク」
「け、慧音……?」
「ククク……フフフッ……ハァァッハハハ!」

そして満月でもないのに慧音の頭から角が生え始め……









それ以来、慧音先生は夜な夜な少女たちを追い回すようになったらしいです。
前回壊れギャグに挑戦したのですが、いまいち壊れ方が足りないと思い壊しなおしてみました。
怪力線
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
慧音が壊れたww
面白かったです
2.名前が無い程度の能力削除
なんだこりゃww
けーねが救われねえww
3.奇声を発する程度の能力削除
慧音www
4.名前が無い程度の能力削除
ちょ、慧音先生ガチですかwww
蛙とドラゴンと亀にも落ちがあるとうれしいかも