※オリキャラ注意
地底にある飯屋、そこには妖怪や妖精達集まる。食事をとる者、店に置いてある本を読む者、道具を持込み遊んでいる者などで賑わっている。そんな中店内を慌ただしくうろうろしている少女がいた。
「こ、こんなに忙しいとは」
給仕服を着て店のカウンターと客のいるテーブルを行き来するその少女は誰にとでもなく呟く。
「いやー、真面目に働くもんだねぇ人間ってのは。そんな気張らなくても大丈夫なのにさ、別にあたしらは待たされてもなんとも思わないんだから」
カウンターに座って少女の様子を眺めていた星熊勇儀が声をかける。
「そうだよー、適当でいいんだよー」
勇儀の声に気づきカウンターの中にいたこの店の店主も彼女に声をかけた。
「い・・・いえっ頑張ります!」
少女は気張ってそう言うと、変わらぬ様子で働き始める。緊張している様子だというのはよく分かる。
「あはは、だめだねありゃあ」
「まあ、そのうち慣れてくるんじゃあないですかね?」
そんなふうに勇儀と店主がやりとりをしている所に声が掛かる。
「まさかあんたがあんな人間のガキを連れ込むとはねぇ」
勇儀の隣で飲んでいた黒谷ヤマメだ。
「なんだか成り行きでお店を手伝ってもらう事になりまして・・・」
そう言って店主は頭を掻く。
「その辺は大して興味ないから別にいいよ、そんな事よりさ」
そう言ってヤマメは店主を手招きする。一旦包丁の手を止め店主がヤマメの前まで移動する。目の前まで店主が来たところでヤマメは尋ねる。
「もうヤッたのかい?」
「・・・やったって何をです?」
店主は首を傾げる。
「何をって決まってんだろ!コレだよコレ!」
そう言ってヤマメは右手の人差し指と親指で輪を作り左手の人差し指をその輪に出し入れする。
「そんな訳ないでしょう、彼女何歳だと思ってるんですか」
すぐに察して両の手を振りながら答える。
「知らんわ!おまけにあんたも若いでしょうが。っていうか何?マジでなんもないの?」
やや呆れたようにヤマメは尋ねる。
「ないですよー、残念でしたね」
話題を切り上げたいのだろう、店主の返答が雑になる。
「あら、それってあなた不能とかそういうのなんじゃないの?嫌ねぇ、不潔よ不潔」
ヤマメの隣に腰掛けていた水橋パルスィが続く。
「パルスィさんまでこんな話題に乗っからないでください、というかなんだかご機嫌ナナメですよね、何かあったんですか?」
普段より少し刺々しい彼女の様子が気になったようだ。
「別に、大した事じゃあないのよ?ちょ~っと莫迦に振り回されただけよ」
パルスィがそう言うと、それを聞いていた勇儀がため息をつく。
「さ・・・散々謝ったじゃあないか・・・一体どうしたら許してくれるんだいパルスィ」
困った様子で勇儀が言う。
「何かしたんですか?勇儀さん」
やや落ち込み気味の勇儀を珍しそうに見ながら、ヤマメが尋ねる。
「ああいや実は昨日ね、パルスィと碁をやっていたんだけれどもさ」
「なんで碁なんか・・・ああ、そういえばこの間うちで読んでた絵本・・・じゃなかった、漫画が碁のお話でしたっけ」
この店の入り口には本棚が設けられている。客が料理を待つ間の退屈しのぎにと、店主が地上にある道具屋から仕入れたものである。
「ああ、あんまり面白かったんでねぇ」
と、勇儀。
「それでパルスィん家で何度かやってたわけよ、パルスィが偶々持っていた碁石と碁盤で・・・そしたらさ」
「この筋力莫迦が碁石で碁盤を粉砕してくだりやがった次第ですのよぉ!!!」
パルスィは一升瓶を勇儀の顔面めがけて一閃、一升瓶は砕け散ったが、微塵も効いた様子はない。びしょ濡れになりながらも申し訳なさそうな顔でパルスィのほうに顔を向ける。
「だから本当に悪かったと言っているじゃあないか、今度こそちゃんと新しいの手に入れてくるから機嫌を直しておくれよ。」
「あんたはもう何もしなくていいわよ!どこをどう間違えたら大将棋盤なんて持ってくるのよ!?あんたが粉砕したのは19路盤でしょうが!!!」
「うぅ・・・」
パルスィに怒鳴られ勇儀はしょんぼりとしぼんでしまった。あまり見られない光景なためか、どこかで「おお~」と、感嘆の声があがった。
「・・・それで、あんまり言ってもしょうがないし飲んで忘れようと思っていた所よ」
勇儀の様子を見たパルスィは、小さくため息をついた後、そう言う。怒鳴ってすっきりしたようで、やや顔が綻んでいる。
「あはは、それじゃあどんどんやって忘れちゃってください」
そう言って店主はパルスィの持っていた一升瓶だった物の欠片を受け取り、新しく一升瓶を渡す。
「ありがと、床汚くしちゃって悪いわね。あとで片付け手伝うわ」
「お客さんはそんなの気にしなくていいんですよ、それより何より良い物が見れましたしね」
そう言うと、皆が勇儀の方を向く。そして、すぐに勇儀もその視線に気づく。
「えっ・・・ちょ、あんたら!見世物じゃあないんだ!やめとくれ!」
恥ずかしそうに言う勇儀を見て、どこからとなく笑いが起こる。
あっという間に店内が笑いに包まれた後、勇儀は自棄酒を煽りまくる。そして、それを肴にパルスィはやや楽しげに飲むのだった。
地底にある飯屋、そこには妖怪や妖精達集まる。食事をとる者、店に置いてある本を読む者、道具を持込み遊んでいる者などで賑わっている。そんな中店内を慌ただしくうろうろしている少女がいた。
「こ、こんなに忙しいとは」
給仕服を着て店のカウンターと客のいるテーブルを行き来するその少女は誰にとでもなく呟く。
「いやー、真面目に働くもんだねぇ人間ってのは。そんな気張らなくても大丈夫なのにさ、別にあたしらは待たされてもなんとも思わないんだから」
カウンターに座って少女の様子を眺めていた星熊勇儀が声をかける。
「そうだよー、適当でいいんだよー」
勇儀の声に気づきカウンターの中にいたこの店の店主も彼女に声をかけた。
「い・・・いえっ頑張ります!」
少女は気張ってそう言うと、変わらぬ様子で働き始める。緊張している様子だというのはよく分かる。
「あはは、だめだねありゃあ」
「まあ、そのうち慣れてくるんじゃあないですかね?」
そんなふうに勇儀と店主がやりとりをしている所に声が掛かる。
「まさかあんたがあんな人間のガキを連れ込むとはねぇ」
勇儀の隣で飲んでいた黒谷ヤマメだ。
「なんだか成り行きでお店を手伝ってもらう事になりまして・・・」
そう言って店主は頭を掻く。
「その辺は大して興味ないから別にいいよ、そんな事よりさ」
そう言ってヤマメは店主を手招きする。一旦包丁の手を止め店主がヤマメの前まで移動する。目の前まで店主が来たところでヤマメは尋ねる。
「もうヤッたのかい?」
「・・・やったって何をです?」
店主は首を傾げる。
「何をって決まってんだろ!コレだよコレ!」
そう言ってヤマメは右手の人差し指と親指で輪を作り左手の人差し指をその輪に出し入れする。
「そんな訳ないでしょう、彼女何歳だと思ってるんですか」
すぐに察して両の手を振りながら答える。
「知らんわ!おまけにあんたも若いでしょうが。っていうか何?マジでなんもないの?」
やや呆れたようにヤマメは尋ねる。
「ないですよー、残念でしたね」
話題を切り上げたいのだろう、店主の返答が雑になる。
「あら、それってあなた不能とかそういうのなんじゃないの?嫌ねぇ、不潔よ不潔」
ヤマメの隣に腰掛けていた水橋パルスィが続く。
「パルスィさんまでこんな話題に乗っからないでください、というかなんだかご機嫌ナナメですよね、何かあったんですか?」
普段より少し刺々しい彼女の様子が気になったようだ。
「別に、大した事じゃあないのよ?ちょ~っと莫迦に振り回されただけよ」
パルスィがそう言うと、それを聞いていた勇儀がため息をつく。
「さ・・・散々謝ったじゃあないか・・・一体どうしたら許してくれるんだいパルスィ」
困った様子で勇儀が言う。
「何かしたんですか?勇儀さん」
やや落ち込み気味の勇儀を珍しそうに見ながら、ヤマメが尋ねる。
「ああいや実は昨日ね、パルスィと碁をやっていたんだけれどもさ」
「なんで碁なんか・・・ああ、そういえばこの間うちで読んでた絵本・・・じゃなかった、漫画が碁のお話でしたっけ」
この店の入り口には本棚が設けられている。客が料理を待つ間の退屈しのぎにと、店主が地上にある道具屋から仕入れたものである。
「ああ、あんまり面白かったんでねぇ」
と、勇儀。
「それでパルスィん家で何度かやってたわけよ、パルスィが偶々持っていた碁石と碁盤で・・・そしたらさ」
「この筋力莫迦が碁石で碁盤を粉砕してくだりやがった次第ですのよぉ!!!」
パルスィは一升瓶を勇儀の顔面めがけて一閃、一升瓶は砕け散ったが、微塵も効いた様子はない。びしょ濡れになりながらも申し訳なさそうな顔でパルスィのほうに顔を向ける。
「だから本当に悪かったと言っているじゃあないか、今度こそちゃんと新しいの手に入れてくるから機嫌を直しておくれよ。」
「あんたはもう何もしなくていいわよ!どこをどう間違えたら大将棋盤なんて持ってくるのよ!?あんたが粉砕したのは19路盤でしょうが!!!」
「うぅ・・・」
パルスィに怒鳴られ勇儀はしょんぼりとしぼんでしまった。あまり見られない光景なためか、どこかで「おお~」と、感嘆の声があがった。
「・・・それで、あんまり言ってもしょうがないし飲んで忘れようと思っていた所よ」
勇儀の様子を見たパルスィは、小さくため息をついた後、そう言う。怒鳴ってすっきりしたようで、やや顔が綻んでいる。
「あはは、それじゃあどんどんやって忘れちゃってください」
そう言って店主はパルスィの持っていた一升瓶だった物の欠片を受け取り、新しく一升瓶を渡す。
「ありがと、床汚くしちゃって悪いわね。あとで片付け手伝うわ」
「お客さんはそんなの気にしなくていいんですよ、それより何より良い物が見れましたしね」
そう言うと、皆が勇儀の方を向く。そして、すぐに勇儀もその視線に気づく。
「えっ・・・ちょ、あんたら!見世物じゃあないんだ!やめとくれ!」
恥ずかしそうに言う勇儀を見て、どこからとなく笑いが起こる。
あっという間に店内が笑いに包まれた後、勇儀は自棄酒を煽りまくる。そして、それを肴にパルスィはやや楽しげに飲むのだった。
出てきた少女は前回の子だったんですね。ちょっとすぐにはわからなかったかも。