Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

spark

2012/09/11 18:29:01
最終更新
サイズ
2.38KB
ページ数
1

分類タグ




「恋符『マスタースパーク』!」

 里のど真ん中で聞こえた宣言に正気を疑いながら物陰に隠れるが、予想していた光も衝撃もない。かわりに子供の高い声が聞こえた。

「じゃあ、『むそーふーいん』!」
「うお、あぶなっ」

 きゃっきゃとはしゃぐ声が聞こえて家の影から出ると、見慣れた黒白と里の子供が遊んでいた。
 神社に行くところだったのか、手には箒が握られている。

「『はくれーげんえー』!」
「『むそーてんせー』!」
「挟み撃ち?!」

 小さな二人の巫女に両側から撃たれて黒白は両手を挙げた。

「参った! 降参だ」
「えー、『マスタースパーク』は?」
「もう撃っただろ?」
「本物が見たいー」
「こんなところで撃ったらケガするからダメ」

 子供たちをあしらって神社のほうへ飛び去っていった。
 黒白がいなくなっても、弾幕ごっこごっこは続く。

「くらえー、『マスタースパーク』!」
「なにをー、『マスタースパーク』!」

 子供たちが口にするのは「マスタースパーク」ばかり。
 どうして「マスタースパーク」なのか。有名どころなら、さっきも出た「夢想封印」やだってそうだろう。
 里の子供に人気ということは、記事にすれば読者が増えるかもしれない。
 思い立ったが吉日。残っていた新聞を手早く配り、理由を探るべく魔理沙の後を追った。





「で、調べに来たのか」
「だって気になるじゃないですか」

 記事にできるかもしれないし、とは言わないでおく。

「なんで『マスタースパーク』なのか、ねぇ……」
「単純にパワーとかインパクトじゃないの?」

 猫じゃらしで猫と戯れながらおざなりに霊夢が言い、魔理沙がそうかもなと同意した。
 これが平時なら納得したかもしれないが、そういうわけにもいかない。

「魔理沙さん、勝負です!」
「えー? 霊夢とやれよ」
「なんであんたの話してるのに私がやるの、よっ」

 すっと高く上げられた猫じゃらしを追って猫が跳び上がり、その穂先に触れた。
 戯れる一人と一匹を見て諦めがついたのか、魔理沙は指を一本立てた。

「要は『マスタースパーク』が見られればそれでいいんだろ?」
「ええ。では私も一枚で」

 魔理沙のことだ。今どれだけ面倒そうでも、いざ始まれば全力で向かってくるだろう。
 適当な高さまで上がり、対峙する。魔理沙が帽子の中から八卦炉を取り出して構えた。

「じゃ、こっちから」

 ゆるめの弾が放たれ、撃ち返したり避けたりしながら様子を見る。この程度なら余裕だ。
 互いに撃ち合い、弾幕が濃くなるにつれて、魔理沙の表情が変わってきた。浮かんだ笑みが深まり、動きがより俊敏になる。
 ふと目が合った瞬間、不敵に笑った。手にはカードが握られている。

「恋符――」

 宣言する魔理沙の顔を見て、すとんと腑に落ちた。
 なるほど、子供たちが真似するわけだ。

「『マスタースパーク』!」
「で、わかったのか?」
「ええ。十分すぎるくらい」



master 最上の
spark  輝き
英和辞典で調べたらこんなのが出たので書いてみました。
撃つ瞬間の魔理沙はすごく楽しそうだと思います。

色々と並行して書いてるのでぽつぽつ出していけたらなと思ってます。
今回はこのあたりで。
お楽しみいただけたなら幸いです。
文羽
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
弾幕ごっこを一番楽しんでるのは間違いなく魔理沙だよね
2.名前が無い程度の能力削除
短編ながらも素敵なお話
3.名前が無い程度の能力削除
ああなるほど、とあっさり納得できるのが魔理沙の魅力ですね。