「さーとりー、お酒ちょーだい!」
「貴方が右手に持っているのはなんですか」
「えー、これー?」
「『鬼殺し』と」
「こんなの水よ、みーずー」
唇と尖らせて言うと、彼女は自分の言ったことにアホみたいに笑って、片手に持っていた酒瓶を一気に煽った。
長く、細い喉元が一口ごとに大きく動くのが見える。
ただでさえ真っ赤になっていた頬が、ついに爆発するかといった色に染まっていく。
「──っあー! ミネラルたっぷりだわね!」
ポイ、と空になったビンを部屋の隅に放り投げた。
人様の部屋にあがりこむなり、無作法に放り捨ておった。
拾い上げてみると確かに『鬼殺し』のラベルが貼られている。
中身から漂ってくる香りも間違いなくアルコールを含んでいた。
「水、ですか」
私は忌々しげに、ひとの部屋に土足で踏み込んできた橋姫を睨む。
「そうよ、みずよ、わたしみずはしよー」
わははは。すごいぞー、かわいいぞー。
普段の彼女からは想像つかないような大笑いに躊躇いの無い言葉。
ドア越しに気配を感じたとき、一瞬だけ、この世で一番かわいい地獄のラブリーシスターこいしちゃんと勘違いしてしまった。姿を現せてみれば失恋したアラサーみたいな水橋パルスィだった。醜い姿だった。みにくい姿でもあった。
なぜならば困ったことに現在の彼女、酔っ払いすぎて心が読めないのである。
読みにくい姿。
「だからお酒ー。お酒をちょーだいよー」
くるくると回転し、歌うようにアルコールを求める姿はみっともなさ過ぎて哀れみの感情すら湧きあがってくるほどで。
しかし、だからといって、酔っ払いにアルコール、まさしく火に油を注ぐような行為はしないのが大人の女の対応というものである。
「この部屋にお酒はありません。それにしたってどうかしましたか、そんなに酔っぱらっちゃって。嫌なことでもあったんですか?」
「へぇ? なーにー?」
「イヤなことでもあったんですか!?」
ふらふらふにゃふにゃとしているパルスィに向かって、つい大声をあげてしまう。
パルスィは虚ろな目で私を見た。
何度もまばたきをして、覗き込むようにしてくる。
そして身体を揺らしながら、再びワハハと笑い声を上げた。
「いやなことぉ? あるわけないじゃあないの。こぉんなに楽しいんだもん、生きてるって……なんて、スバラらしいの! とっても身体が軽い、こんな風にお酒飲んだの初めて!」
がはは。親父臭く笑う。
意味がわからない。
溜息。
確かに、平常時であっても水橋パルスィの酒癖はお世辞にも良いものではない。
間違えて見ず知らずの他人の家にあがりこんで、そのまま寝てしまう時もあった。
地下水脈にいきなり飛び込んだこともあった。
傍にいたこいしを捕まえて、抱きついて、いきなりほお擦りしたこともあった。
抱きついて、ほお擦りしたこともあった。
しかし、彼女もそれを自覚しているはずだったのだ。
毎度毎度、酔いが覚めた彼女が一番にすることは自分を引っぱたくことである。
自覚しているからこそ、普段は自分に限界を設けて、限界値の二歩三歩先でストップをかけているつもりなのだ。
格好ばかりつけたがる彼女にとって、醜態を晒すことなど己の高尚な(彼女談)プライドが許さないのである。
それなのに。
……それなのに。
「あ、見ィつけた! あるじゃないのお酒。……うん、なにこれ。ワイン?」
極限まで表情を柔らかくし、まるで子供のように目を輝かせている。
ここ数十年間で一番の泥酔だった。
よほど楽しかったのだろうか。
不意に、気になってしまう。
「さとりー、これ飲んで良い?」
頭の片隅に浮かんだ疑問は、しかし彼女の言葉ですぐに掻き消された。
見ると、手の中で深緑のビンが揺れていた。
……本棚の隅に隠しておいたはずなのに。
「それはダメです。それは閻魔さまから頂いたヴィンテージものなんです。二次会になんて勿体無い。大事に飲んでくれと言われてますから、今度、落ち着いたときに一緒に飲みましょう?」
「へー、そうー」
パルスィは半分と少し残ったボトルをまじまじと見た。左右に揺らして、半目の緑目が不透明な先から液面を眺めた。睨みつけていた。
「あの閻魔が、ねぇ」
ふやけているが、低い声。
止める事ができなかった。
目にも止まらぬ早業だった。
パルスィはいきなりコルクを引っこ抜くと、ボトルに口付けて一気に煽ったのだ。
再び大きく動く喉元。一口ずつがやたらと大きい。
パルスィの表情はどこか苦しそうだった。
「ちょっと止めてください! そんなに無理して飲まなくたっていいじゃないですか!」
私の言葉に耳を貸さず、パルスィは身体を大きく反らしながら飲み干していく。
空になるまで飲むのを止めない。
そうして空っぽになってから、唇を離した。
なんだかいやらしい音がした。
「不味いわ!」
そして、ウハハと笑った。
「不味くて飲めたもんじゃないわ! あの閻魔、よくもこんなのを贈り物だなんていえたもんだわ!」
「え、そうですか? ……おかしいな、この間までちゃんと美味しかったのに」
「そんなの、あんたの舌がお子様なだけだわよ」
「よけいなお世話です」
「で、お酒ないのー?」
「なかったことにした! このひとは!」
自分の給料半世紀分のワインを一気飲みしておいて!
「あんなのジュースよ子供の飲み物よ。もっと喉が焼けるような大人のサムシングドリンクを御所望なのよ」
「本当にもうなんにも無いですよ……」
「えーつまんなーい」
なーい、と何故かペンを突きつけられる。
かと思えばビシッとポーズを決めたのは一瞬だけで、すぐに全身の間接が砕けてその場にへたり込んだ。
口をポカンとあけて、どこかを見つめる。
「……はれ?」
「あれ? じゃありません。無理して飲むからです。そんなのでよくここまで来れたもんです」
「だって、お酒美味しかったんだもん」
「はいはい、そうですね。ほら、ベッドに運びますから、立って」
「えー、お風呂はいってからがいいー」
「溺れちゃうでしょ」
「溺れさせる奴はねー、もうお家帰ったから大丈夫よー」
「はいはいそうですか。勝手に溺れたら大変ですからね」
「だいじょうぶだってー」
「酔っ払いはみんなそう言うんです」
「酔っ払ってらんからいー」
ついに呂律がまったく回らなくなってきた。
私は半分眠ったようになっているパルスィの肩を担いだ。
誰か呼んで手伝ってもらおうかとも思ったが、何故かわからないけどそうしようという気にはならなかった。
とりあえずはと、寝室に向かって歩き始める。
「顔真っ赤にしちゃってー、かわいいー」
「いいからちゃんと歩いてくださいよ、重たいんですから」
「しつれいねー、レディに向かって」
「淑女ならもっとキチンとしてください」
「もう一軒いきましょー お次は焼き鳥だー!」
「私の家はバーとかじゃありませんよ」
「あははー、ごめんねさとりー」
「いいえ、いいんですよ」
「ごめんねー、ごめんねー」
「謝るつもり、微塵もありませんね」
「ごめんねー」
ドアの前までやっとでたどり着き、額に汗を浮かべながらノブを回す。
それにしたって彼女、重すぎ。
こっちに体重掛けてくるものだから、気を抜いた途端押し倒されそうになる。
そんなわけにはいかない、私は最後の力を振り絞り、彼女をダブルベッドに投げ捨てた。ベッドの淵にはみ出しながら、仰向けで天井に笑いかけるパルスィを、今度は両手を引っ張ってベッドに載せる。これだけで私の身体はへとへとだった。
虚弱体質? 構わない、私は滅多に身体を使わない。
枕を頭にねじ込んで、ようやく落ち着く。
パルスィは早くも寝息を立て始めていた。
酷い格好だ。上着は半分以上脱げてしまっている。ここでようやく、いつも巻いているマフラーが無かったことに気付く。どこかで落としてきたのだろうか。頭を撫でると、小さなコブが出来ていた。
おだやかな表情。間抜けな表情。憎らしい表情。かわいい表情。
私はしばらく、ベットに座って彼女の表情を眺めていた。
秘蔵のワインを飲まれたり勝手に家捜し紛いのことをされたけれど、なんだかんだ言ってこうして私の元を訪れてくれること事態は嬉しいのだ。
秘蔵のワインは飲まれたけれど。
くあぁ、と不意に欠伸がでた。
いきなり落ち着いたものだから疲れがでたのだろうか。
私はベッドにもぐりこんで、それから、パルスィを抱き枕代わりにしてやろうと思った。
寄り添って、腕を回して、抱きついてみちゃったりした。
くんかくんか。
「別の女の匂いがする!」とは言い辛かった。
ただただ、お酒臭い枕だった。
吐息が鼻をくすぐって、強烈な匂いを残していく。
お酒と、彼女の匂いが混じった枕だった。
「……ごめんねぇ、さとり」
枕が急にこちらへ寝返ってきた。
真っ赤に染まった頬に、開かないままの瞼。
思い切り抱き返されて、身体が熱くなるのがわかった。
「いいんですよ。ところで、今日は誰と飲んでいたんですか?」
「えー? ヒミツー」
パルスィは顔をほころばせる。
私はムカッときた。
「いいです、いいですよヒミツでも」
と言いながら、両手両足で彼女を拘束する。
「貴方が誰とお酒を楽しもうと貴方の勝手です。私がとやかく言うことじゃあないですもん」
目を覚まして、酔いが覚めるまでこうしていることに決めた。
そして彼女の記憶の中から犯人を引きずり出す。
彼女をここまで酔わせた犯人を。
叱咤か、感謝か。
それからのことは、それから考えよう。
「なぁに、妬いてんの? かわいいー」
「妬いてなかったら、こんなことしません」
「貴方が右手に持っているのはなんですか」
「えー、これー?」
「『鬼殺し』と」
「こんなの水よ、みーずー」
唇と尖らせて言うと、彼女は自分の言ったことにアホみたいに笑って、片手に持っていた酒瓶を一気に煽った。
長く、細い喉元が一口ごとに大きく動くのが見える。
ただでさえ真っ赤になっていた頬が、ついに爆発するかといった色に染まっていく。
「──っあー! ミネラルたっぷりだわね!」
ポイ、と空になったビンを部屋の隅に放り投げた。
人様の部屋にあがりこむなり、無作法に放り捨ておった。
拾い上げてみると確かに『鬼殺し』のラベルが貼られている。
中身から漂ってくる香りも間違いなくアルコールを含んでいた。
「水、ですか」
私は忌々しげに、ひとの部屋に土足で踏み込んできた橋姫を睨む。
「そうよ、みずよ、わたしみずはしよー」
わははは。すごいぞー、かわいいぞー。
普段の彼女からは想像つかないような大笑いに躊躇いの無い言葉。
ドア越しに気配を感じたとき、一瞬だけ、この世で一番かわいい地獄のラブリーシスターこいしちゃんと勘違いしてしまった。姿を現せてみれば失恋したアラサーみたいな水橋パルスィだった。醜い姿だった。みにくい姿でもあった。
なぜならば困ったことに現在の彼女、酔っ払いすぎて心が読めないのである。
読みにくい姿。
「だからお酒ー。お酒をちょーだいよー」
くるくると回転し、歌うようにアルコールを求める姿はみっともなさ過ぎて哀れみの感情すら湧きあがってくるほどで。
しかし、だからといって、酔っ払いにアルコール、まさしく火に油を注ぐような行為はしないのが大人の女の対応というものである。
「この部屋にお酒はありません。それにしたってどうかしましたか、そんなに酔っぱらっちゃって。嫌なことでもあったんですか?」
「へぇ? なーにー?」
「イヤなことでもあったんですか!?」
ふらふらふにゃふにゃとしているパルスィに向かって、つい大声をあげてしまう。
パルスィは虚ろな目で私を見た。
何度もまばたきをして、覗き込むようにしてくる。
そして身体を揺らしながら、再びワハハと笑い声を上げた。
「いやなことぉ? あるわけないじゃあないの。こぉんなに楽しいんだもん、生きてるって……なんて、スバラらしいの! とっても身体が軽い、こんな風にお酒飲んだの初めて!」
がはは。親父臭く笑う。
意味がわからない。
溜息。
確かに、平常時であっても水橋パルスィの酒癖はお世辞にも良いものではない。
間違えて見ず知らずの他人の家にあがりこんで、そのまま寝てしまう時もあった。
地下水脈にいきなり飛び込んだこともあった。
傍にいたこいしを捕まえて、抱きついて、いきなりほお擦りしたこともあった。
抱きついて、ほお擦りしたこともあった。
しかし、彼女もそれを自覚しているはずだったのだ。
毎度毎度、酔いが覚めた彼女が一番にすることは自分を引っぱたくことである。
自覚しているからこそ、普段は自分に限界を設けて、限界値の二歩三歩先でストップをかけているつもりなのだ。
格好ばかりつけたがる彼女にとって、醜態を晒すことなど己の高尚な(彼女談)プライドが許さないのである。
それなのに。
……それなのに。
「あ、見ィつけた! あるじゃないのお酒。……うん、なにこれ。ワイン?」
極限まで表情を柔らかくし、まるで子供のように目を輝かせている。
ここ数十年間で一番の泥酔だった。
よほど楽しかったのだろうか。
不意に、気になってしまう。
「さとりー、これ飲んで良い?」
頭の片隅に浮かんだ疑問は、しかし彼女の言葉ですぐに掻き消された。
見ると、手の中で深緑のビンが揺れていた。
……本棚の隅に隠しておいたはずなのに。
「それはダメです。それは閻魔さまから頂いたヴィンテージものなんです。二次会になんて勿体無い。大事に飲んでくれと言われてますから、今度、落ち着いたときに一緒に飲みましょう?」
「へー、そうー」
パルスィは半分と少し残ったボトルをまじまじと見た。左右に揺らして、半目の緑目が不透明な先から液面を眺めた。睨みつけていた。
「あの閻魔が、ねぇ」
ふやけているが、低い声。
止める事ができなかった。
目にも止まらぬ早業だった。
パルスィはいきなりコルクを引っこ抜くと、ボトルに口付けて一気に煽ったのだ。
再び大きく動く喉元。一口ずつがやたらと大きい。
パルスィの表情はどこか苦しそうだった。
「ちょっと止めてください! そんなに無理して飲まなくたっていいじゃないですか!」
私の言葉に耳を貸さず、パルスィは身体を大きく反らしながら飲み干していく。
空になるまで飲むのを止めない。
そうして空っぽになってから、唇を離した。
なんだかいやらしい音がした。
「不味いわ!」
そして、ウハハと笑った。
「不味くて飲めたもんじゃないわ! あの閻魔、よくもこんなのを贈り物だなんていえたもんだわ!」
「え、そうですか? ……おかしいな、この間までちゃんと美味しかったのに」
「そんなの、あんたの舌がお子様なだけだわよ」
「よけいなお世話です」
「で、お酒ないのー?」
「なかったことにした! このひとは!」
自分の給料半世紀分のワインを一気飲みしておいて!
「あんなのジュースよ子供の飲み物よ。もっと喉が焼けるような大人のサムシングドリンクを御所望なのよ」
「本当にもうなんにも無いですよ……」
「えーつまんなーい」
なーい、と何故かペンを突きつけられる。
かと思えばビシッとポーズを決めたのは一瞬だけで、すぐに全身の間接が砕けてその場にへたり込んだ。
口をポカンとあけて、どこかを見つめる。
「……はれ?」
「あれ? じゃありません。無理して飲むからです。そんなのでよくここまで来れたもんです」
「だって、お酒美味しかったんだもん」
「はいはい、そうですね。ほら、ベッドに運びますから、立って」
「えー、お風呂はいってからがいいー」
「溺れちゃうでしょ」
「溺れさせる奴はねー、もうお家帰ったから大丈夫よー」
「はいはいそうですか。勝手に溺れたら大変ですからね」
「だいじょうぶだってー」
「酔っ払いはみんなそう言うんです」
「酔っ払ってらんからいー」
ついに呂律がまったく回らなくなってきた。
私は半分眠ったようになっているパルスィの肩を担いだ。
誰か呼んで手伝ってもらおうかとも思ったが、何故かわからないけどそうしようという気にはならなかった。
とりあえずはと、寝室に向かって歩き始める。
「顔真っ赤にしちゃってー、かわいいー」
「いいからちゃんと歩いてくださいよ、重たいんですから」
「しつれいねー、レディに向かって」
「淑女ならもっとキチンとしてください」
「もう一軒いきましょー お次は焼き鳥だー!」
「私の家はバーとかじゃありませんよ」
「あははー、ごめんねさとりー」
「いいえ、いいんですよ」
「ごめんねー、ごめんねー」
「謝るつもり、微塵もありませんね」
「ごめんねー」
ドアの前までやっとでたどり着き、額に汗を浮かべながらノブを回す。
それにしたって彼女、重すぎ。
こっちに体重掛けてくるものだから、気を抜いた途端押し倒されそうになる。
そんなわけにはいかない、私は最後の力を振り絞り、彼女をダブルベッドに投げ捨てた。ベッドの淵にはみ出しながら、仰向けで天井に笑いかけるパルスィを、今度は両手を引っ張ってベッドに載せる。これだけで私の身体はへとへとだった。
虚弱体質? 構わない、私は滅多に身体を使わない。
枕を頭にねじ込んで、ようやく落ち着く。
パルスィは早くも寝息を立て始めていた。
酷い格好だ。上着は半分以上脱げてしまっている。ここでようやく、いつも巻いているマフラーが無かったことに気付く。どこかで落としてきたのだろうか。頭を撫でると、小さなコブが出来ていた。
おだやかな表情。間抜けな表情。憎らしい表情。かわいい表情。
私はしばらく、ベットに座って彼女の表情を眺めていた。
秘蔵のワインを飲まれたり勝手に家捜し紛いのことをされたけれど、なんだかんだ言ってこうして私の元を訪れてくれること事態は嬉しいのだ。
秘蔵のワインは飲まれたけれど。
くあぁ、と不意に欠伸がでた。
いきなり落ち着いたものだから疲れがでたのだろうか。
私はベッドにもぐりこんで、それから、パルスィを抱き枕代わりにしてやろうと思った。
寄り添って、腕を回して、抱きついてみちゃったりした。
くんかくんか。
「別の女の匂いがする!」とは言い辛かった。
ただただ、お酒臭い枕だった。
吐息が鼻をくすぐって、強烈な匂いを残していく。
お酒と、彼女の匂いが混じった枕だった。
「……ごめんねぇ、さとり」
枕が急にこちらへ寝返ってきた。
真っ赤に染まった頬に、開かないままの瞼。
思い切り抱き返されて、身体が熱くなるのがわかった。
「いいんですよ。ところで、今日は誰と飲んでいたんですか?」
「えー? ヒミツー」
パルスィは顔をほころばせる。
私はムカッときた。
「いいです、いいですよヒミツでも」
と言いながら、両手両足で彼女を拘束する。
「貴方が誰とお酒を楽しもうと貴方の勝手です。私がとやかく言うことじゃあないですもん」
目を覚まして、酔いが覚めるまでこうしていることに決めた。
そして彼女の記憶の中から犯人を引きずり出す。
彼女をここまで酔わせた犯人を。
叱咤か、感謝か。
それからのことは、それから考えよう。
「なぁに、妬いてんの? かわいいー」
「妬いてなかったら、こんなことしません」
「ごめんねー」って言うのが彼女らしくて何だかいいですね
とにかく可愛かったです
かわいいー
いい雰囲気でした。