さらさらと、煌々と。
彼女の肩にかかる髪を、瞼の裏に見ていました。
毛先は陽の光を受けて、ほとんど透明なくらいに透き通り、指を通せば私の手に、きんいろの影を落とすのでした。
それがいかにも彼女らしくて、私が笑うと、私の掌に頬を寄せて彼女もえへへと笑うのでした。
そうして、まるで昨日の事のように。
一日の中で幾度も幾度も。
彼女を描くのですけれど、何故だかぼんやりしているのです。
私の中の、一番大切なものだというのに、彼女の事が、ひどくぼんやりしているのです。
よくよく考えて、やっと気付きました。
随分と遠くまで来てしまったのだと。
二本並んでいた道は、いつの間にか角度を変え、彼女を連れ去ってしまったのでした。
気付いた私は焦りました。
彼女の姿を探すには、私はあまりにも遠くまで来てしまったのです。
離すまいと感覚がなくなるくらい強く、手を繋いでいたものですから、いつの間にか自分の手のひらに、自分の爪が刺さっていた事にも、その血が乾いてしまったことにも気が付かなかったのです。
引き返そうにも振り返れば、今足を離した道はもう消えてしまっているのです。
飛べる身の上であることを思い出して魔法を使っても、身体が浮く瞬間に、強い、強い風が邪魔して、地面から足を離せずにいました。
酷い風の中を飛んだことも、今まであったと思い返せば、いつも隣に彼女が居たのを、余計に思い知らされました。
どこに行ったの?
問う声はだんだんと大きくなるというのに、返事はいつまでも、聞こえてはこないのを、本当はわかっている自分を自覚して。
彼女の笑顔も、やわらかい肌も、きらきら光る髪の毛も、匂いも、声も、何もかもがここにはないのに、嫌になるほど私の中には、しっかりと在るのでした。
どうすることもできず、泣くことも忘れ日々を過ごし、私はある日、思い至りました。
こんなにも私の中に彼女がいるのだから、ぼんやりとして消えてしまう前に、彼女を形にすればいいと。
時間をかければしっかりと、彼女のことは思い出せるので、仕草や、言葉や、彼女の彼女たる要因全てを、形にして、私は作りあげました。
足りないのは、
.....
彼女の肩にかかる髪を、瞼の裏に見ていました。
毛先は陽の光を受けて、ほとんど透明なくらいに透き通り、指を通せば私の手に、きんいろの影を落とすのでした。
それがいかにも彼女らしくて、私が笑うと、私の掌に頬を寄せて彼女もえへへと笑うのでした。
そうして、まるで昨日の事のように。
一日の中で幾度も幾度も。
彼女を描くのですけれど、何故だかぼんやりしているのです。
私の中の、一番大切なものだというのに、彼女の事が、ひどくぼんやりしているのです。
よくよく考えて、やっと気付きました。
随分と遠くまで来てしまったのだと。
二本並んでいた道は、いつの間にか角度を変え、彼女を連れ去ってしまったのでした。
気付いた私は焦りました。
彼女の姿を探すには、私はあまりにも遠くまで来てしまったのです。
離すまいと感覚がなくなるくらい強く、手を繋いでいたものですから、いつの間にか自分の手のひらに、自分の爪が刺さっていた事にも、その血が乾いてしまったことにも気が付かなかったのです。
引き返そうにも振り返れば、今足を離した道はもう消えてしまっているのです。
飛べる身の上であることを思い出して魔法を使っても、身体が浮く瞬間に、強い、強い風が邪魔して、地面から足を離せずにいました。
酷い風の中を飛んだことも、今まであったと思い返せば、いつも隣に彼女が居たのを、余計に思い知らされました。
どこに行ったの?
問う声はだんだんと大きくなるというのに、返事はいつまでも、聞こえてはこないのを、本当はわかっている自分を自覚して。
彼女の笑顔も、やわらかい肌も、きらきら光る髪の毛も、匂いも、声も、何もかもがここにはないのに、嫌になるほど私の中には、しっかりと在るのでした。
どうすることもできず、泣くことも忘れ日々を過ごし、私はある日、思い至りました。
こんなにも私の中に彼女がいるのだから、ぼんやりとして消えてしまう前に、彼女を形にすればいいと。
時間をかければしっかりと、彼女のことは思い出せるので、仕草や、言葉や、彼女の彼女たる要因全てを、形にして、私は作りあげました。
足りないのは、
.....
実際、アリスならやりかねないし、やれるだけの能力も在りそうですしね。
ただ、個人的にはあとがき部分も含めて一本にしてしまった方が良かったかなと。
あとがきで真相を……て手法はアリだと思うんですが、これでは本文部分がちょっと不足な気がします。
ほんのり暖かいマリアリ、御馳走様でした。