アリスとフランドール・○○○○○○○
夏。幻想郷にも夏が来た。
今日はその中でも一番の暑さを記録した日だった。
ふざけたような強さの日差しと、じっとりとした大気。蒸し暑さと肌を焼く熱さが混在し、正直仕事なんかやってられっかボケェ!!と、紅魔館の門番すら匙を投げだし、脳天にナイフが突き刺さったその日。
紅魔館の主要メンバーと遊びに来ていた霊夢、アリスは涼を求めて地下の図書館に足を運んでいた。
そして咲夜の淹れた冷たい紅茶で喉を潤し、ケーキでおなかを満たし、穏やかな空気が流れだした頃、この日の日差しよりもやっかいな熱量を持った爆弾が投下された。
「私、アリスの妹になる!今日からフランドール・マーガトロイドになる!!」
戦慄、恐慌、混乱。平和な空気が一瞬で崩壊する。
当人であるアリスと、小悪魔は口をポカンと開けたままとなっている。パチュリーは普段の眠そうな目のまま、「まーたこの子は空気を読まずに破壊して……ああもうこの後の展開考えるだけで頭痛い」と考えていたりする。
そしてその背後では咲夜が「博麗咲夜と十六夜霊夢、どっちがいいと思う?」と指輪の入った小さな箱を見せながら問いかけ、聞かれた方は顔を真っ赤にしている。
そして我らがお嬢様はと言うと、紅茶を飲んでいる姿勢のまま固まってしまい、飲みきれていない紅茶がだばーと零れてしまっている。
「……えっと、フラン?」
「なに?アリスお姉さま!」
ちょ、お姉さまって呼ぶの早い!という周囲のツッコミも虚しく、フランはニコニコ顔。
「どうして私の妹になりたいの?」
「だってアリスお姉さま、金髪だし」
にこやかなレミリアお嬢様の口から静かに血が溢れてきました。
「そ、それだけ?」
「えっとね、あとは……綺麗で優しいし可愛いしスタイルいいし、人形いっぱい使えて凄いし、いい匂いするし美人だしお料理もお洗濯も全部自分で出来るしお洋服も自分で作れるのがすごくて、私もアリスお姉さまみたいになりたいの!だからまずはお姉さまの妹になって、いろいろ勉強しようと思ったの!それに私アリスお姉さま大好きだよ!!」
「もうわかったからとりあえず一旦口を閉じてねフラン……」
両手で顔を覆い、机に突っ伏すアリス。その耳は真っ赤に染まり、紅魔館の名に相応しいものとなっている。
ちなみに我らがお嬢様はとてもいい笑顔で真っ白になっているが、全員が華麗にスルーしている。
「パチュリー……」
助けを求めるアリスだが、生憎動かない大図書館は友人からの救援要請を前にしても動かない。
「諦めなさい。こうなったら妹様は梃子でも動かないわ。それに、貴女この前言っていたじゃない。魔界にいた頃は自分は末っ子だったから、妹が欲しくなる時があるって」
「そ、そうだけど……」
「アリスお姉さまも妹が欲しかったのね!?嬉しい!!」
感激の余り、アリスの膝に飛び乗り、そのまま抱きつき彼女の胸に頬ずりをするフラン。
まるで猫のようだわ、と猫っぽい巫女と狗な従者が眺めながら考えているのを余所に、アリスも観念したのか彼女の背中を撫でながら、一つ疑問に思った事を口にした。
「レミリアを見習うのじゃだめなの?まあ、性格は置いておくとしても、レディとしての振る舞いは充分だと思うけど?」
「ダメよ。お姉さまはアリスお姉さまみたいに大人なレディじゃないしおっぱい小さいし、私アリスお姉さまの方が大好きだもん」
真っ白だったお嬢様は瞬間、灰となって崩れ落ちてしまった。それでもスルーする辺り、フランにボロクソ言われ、レミリアが灰になる、というのは日常茶飯事らしい。
「それでね……えへへ、似合うかな?」
取り出したのは紅いリボンに白のフリルで作られたカチューシャ。アリスのそれと酷似したそのカチューシャを頭につけ、更には白いケープを羽織る。
輝く金髪に整った顔立ち、そしてよく似た服装。なるほど、知らない者が見れば今のアリスとフランは姉妹に見えるだろう。というか周りの者達も「ああ、これは姉妹だわ」と納得し始めている。
「そのカチューシャとケープ、フランが作ったの?」
「ううん!こぁが作ってくれたの!!」
その言葉に目を向ければ、「がんばりました!!」といい顔で敬礼する小悪魔。図書館の仕事の合間に作ったのだろう。お疲れ様です。
「ええ、よく似合うわ。それで、私から学ぶと言っても具体的には何をするの?」
「えっと……あ、お菓子の作り方教えて?」
「……咲夜より上手く作れないわよ?」
「アリスお姉さまと一緒に作りたいの~」
「はぁ……咲夜、厨房借りてもいいかしら?」
「ええ、構わないわよ」と返す咲夜は、霊夢にウエディングドレスや白無垢の写真を見せてどれが似合うのか話している最中。
「じゃあ、行きましょうか」
椅子から離れ、横に並ぶフランに手を伸ばしながら微笑むアリスと、
「うん♪」
弾けるような笑顔でその手を握るフランの二人は、既に本当の姉妹のように見えた。
結局、一日中フランと一緒にいる事になったアリスだが、就寝も一緒がいいと言うフランの為に同じベッドに入った。
「ありすおねえさまぁ……だぁいすきぃ……」
「ふふ……私も大好きよ。おやすみ、フラン。私の可愛い可愛い妹様」
自身を抱きしめ眠るフランの頬に軽くキスをすると、自分もフランを抱きしめ、ゆっくりと心地の良い眠りに落ちていくのだった。
夏。幻想郷にも夏が来た。
今日はその中でも一番の暑さを記録した日だった。
ふざけたような強さの日差しと、じっとりとした大気。蒸し暑さと肌を焼く熱さが混在し、正直仕事なんかやってられっかボケェ!!と、紅魔館の門番すら匙を投げだし、脳天にナイフが突き刺さったその日。
紅魔館の主要メンバーと遊びに来ていた霊夢、アリスは涼を求めて地下の図書館に足を運んでいた。
そして咲夜の淹れた冷たい紅茶で喉を潤し、ケーキでおなかを満たし、穏やかな空気が流れだした頃、この日の日差しよりもやっかいな熱量を持った爆弾が投下された。
「私、アリスの妹になる!今日からフランドール・マーガトロイドになる!!」
戦慄、恐慌、混乱。平和な空気が一瞬で崩壊する。
当人であるアリスと、小悪魔は口をポカンと開けたままとなっている。パチュリーは普段の眠そうな目のまま、「まーたこの子は空気を読まずに破壊して……ああもうこの後の展開考えるだけで頭痛い」と考えていたりする。
そしてその背後では咲夜が「博麗咲夜と十六夜霊夢、どっちがいいと思う?」と指輪の入った小さな箱を見せながら問いかけ、聞かれた方は顔を真っ赤にしている。
そして我らがお嬢様はと言うと、紅茶を飲んでいる姿勢のまま固まってしまい、飲みきれていない紅茶がだばーと零れてしまっている。
「……えっと、フラン?」
「なに?アリスお姉さま!」
ちょ、お姉さまって呼ぶの早い!という周囲のツッコミも虚しく、フランはニコニコ顔。
「どうして私の妹になりたいの?」
「だってアリスお姉さま、金髪だし」
にこやかなレミリアお嬢様の口から静かに血が溢れてきました。
「そ、それだけ?」
「えっとね、あとは……綺麗で優しいし可愛いしスタイルいいし、人形いっぱい使えて凄いし、いい匂いするし美人だしお料理もお洗濯も全部自分で出来るしお洋服も自分で作れるのがすごくて、私もアリスお姉さまみたいになりたいの!だからまずはお姉さまの妹になって、いろいろ勉強しようと思ったの!それに私アリスお姉さま大好きだよ!!」
「もうわかったからとりあえず一旦口を閉じてねフラン……」
両手で顔を覆い、机に突っ伏すアリス。その耳は真っ赤に染まり、紅魔館の名に相応しいものとなっている。
ちなみに我らがお嬢様はとてもいい笑顔で真っ白になっているが、全員が華麗にスルーしている。
「パチュリー……」
助けを求めるアリスだが、生憎動かない大図書館は友人からの救援要請を前にしても動かない。
「諦めなさい。こうなったら妹様は梃子でも動かないわ。それに、貴女この前言っていたじゃない。魔界にいた頃は自分は末っ子だったから、妹が欲しくなる時があるって」
「そ、そうだけど……」
「アリスお姉さまも妹が欲しかったのね!?嬉しい!!」
感激の余り、アリスの膝に飛び乗り、そのまま抱きつき彼女の胸に頬ずりをするフラン。
まるで猫のようだわ、と猫っぽい巫女と狗な従者が眺めながら考えているのを余所に、アリスも観念したのか彼女の背中を撫でながら、一つ疑問に思った事を口にした。
「レミリアを見習うのじゃだめなの?まあ、性格は置いておくとしても、レディとしての振る舞いは充分だと思うけど?」
「ダメよ。お姉さまはアリスお姉さまみたいに大人なレディじゃないしおっぱい小さいし、私アリスお姉さまの方が大好きだもん」
真っ白だったお嬢様は瞬間、灰となって崩れ落ちてしまった。それでもスルーする辺り、フランにボロクソ言われ、レミリアが灰になる、というのは日常茶飯事らしい。
「それでね……えへへ、似合うかな?」
取り出したのは紅いリボンに白のフリルで作られたカチューシャ。アリスのそれと酷似したそのカチューシャを頭につけ、更には白いケープを羽織る。
輝く金髪に整った顔立ち、そしてよく似た服装。なるほど、知らない者が見れば今のアリスとフランは姉妹に見えるだろう。というか周りの者達も「ああ、これは姉妹だわ」と納得し始めている。
「そのカチューシャとケープ、フランが作ったの?」
「ううん!こぁが作ってくれたの!!」
その言葉に目を向ければ、「がんばりました!!」といい顔で敬礼する小悪魔。図書館の仕事の合間に作ったのだろう。お疲れ様です。
「ええ、よく似合うわ。それで、私から学ぶと言っても具体的には何をするの?」
「えっと……あ、お菓子の作り方教えて?」
「……咲夜より上手く作れないわよ?」
「アリスお姉さまと一緒に作りたいの~」
「はぁ……咲夜、厨房借りてもいいかしら?」
「ええ、構わないわよ」と返す咲夜は、霊夢にウエディングドレスや白無垢の写真を見せてどれが似合うのか話している最中。
「じゃあ、行きましょうか」
椅子から離れ、横に並ぶフランに手を伸ばしながら微笑むアリスと、
「うん♪」
弾けるような笑顔でその手を握るフランの二人は、既に本当の姉妹のように見えた。
結局、一日中フランと一緒にいる事になったアリスだが、就寝も一緒がいいと言うフランの為に同じベッドに入った。
「ありすおねえさまぁ……だぁいすきぃ……」
「ふふ……私も大好きよ。おやすみ、フラン。私の可愛い可愛い妹様」
自身を抱きしめ眠るフランの頬に軽くキスをすると、自分もフランを抱きしめ、ゆっくりと心地の良い眠りに落ちていくのだった。
次も待ってますっと。
なお少ない模様
もっと長い話があってもいいのよ(チラッ
レミィさんが可哀想ですけど、不幸が似合うなぁ。
フランちゃんの姉がアリスちゃんであることを再認識……レミィさんなんていなかったんや!
ちらちらと見える背景が気になって仕方がない……
そんな展開にはならなかったけども
しかし、レミリアェ…