<インタビュアー:鈴仙・優曇華院・イナバ>
――「幻想インタビューズ」、今回のゲストは私の師匠でもある八意 永琳さんです。
うふふ、ちょっと普段と違って新鮮な感じがするわね。
色々な質問に答えていくけれど、まあお手柔らかに頼むわよ?
――いえいえ、こちらこそ……さて、今日は子供の頃のお話を中心に聞かせて頂くということになってますが。
子供の頃、ねえ。
今となっては本当に遠い昔のことだけれど……覚えている範囲でなら何とかなるかしら。
――どんな感じの子供だったんですか?
印象深い思い出が多い時期というと、白亜紀かしらね。
小さい頃は……今から思えば、ひどく無気力な子供だったわ。
――無気力ですか。なんだか意外な感じです。
そう? 何と言うか、周りにいる人たちがみんな馬鹿に見えちゃってね。
私が言ってることや考えてることが、びっくりするくらい伝わらなかったの。
同年代か否かに関わらず、私は真剣なのに意志の疎通が成り立たなかったのね。
その腹いせに、仲の悪かったガキ大将の家に事故を装ってティラノサウルスを突っ込ませたり……。
――無気力と言うより、危ない問題児だったのでは?
うふふ……(セクシーな微笑み)。
――ティラノサウルスが突っ込んだ家の方々はどうなったのですか?
ちょっと話し辛いわね(※この思い出には暴力的、又はグロテスクなシーンが含まれております)。
赤い三角形のシールを貼られてしまいそうだから、ここでは伏せておくわ。
ただ、恐竜を使った計画的な悪戯をやりすぎて、足がつきそうになったのは失策だったわね。
PTAの連中が私を疑い始めていたのよ。
――むむ……それからどうなったのですか?
「このままでは私の身に危険が及ぶかも知れない」と思ったから、思い切って恐竜を絶滅させちゃったの。
案外あっさりと片が付いたわね。
――えっ?
えっ?
(2分間ほどの沈黙)
――それでは、次は思春期の頃のお話を伺いたいですね(何事も無かったかのように)。
あらやだ、ウドンゲったら。私は今も思春期の真っ只中よ? んふふ。
――それでは、次は思春期の頃のお話を伺いたいですね(重ねて何事も無かったかのように)。
ウドンゲ……あなた、時々ひどく冷たい目で私を見ることがあるわね。悲しいわ。
――いやだなあ、気のせいですよ(棒読み)。
そ、そうねえ……私と話が合う子がいれば嬉しいな、とは常々思っていたけれど、やはり上手くいかなかったの。
――学校のクラスにも、いまひとつ馴染めなかったのですか?
ええ。進級の度にやらなきゃいけない空々しい自己紹介が、苦痛で仕方が無かったわね。
――なんだか等身大の悩みですね。意外です。
自己紹介の時には好きな本や音楽、映画や尊敬する人なんかを話題にするでしょう?
その好みがね……冗談かと思うくらい噛み合わなかったのよ。
死海に飛び込んだ小太りのオッサンもかくやと言うほどの浮きっぷりだったわ。
――でも、学生時代の師匠が好きだった本や映画の話には興味がありますね。
そう言ってくれると思ってたわよ。
今日はインタビューに備えて、手元に残っていた卒業文集を持ってきたの。
えーっと、どこに載っていたかしらね……あったあった。
はい、これを見てね。
“出席番号37番 八意 永琳”
☆好きなこと:妄想、悪巧み、人体実験
☆好きな本:ドグラ・マグラ、ヴォイニッチ手稿
☆好きな音楽:あぶらだこ、ピンク・フロイド
☆好きな映画:コマンドー
☆尊敬する人:H・R・ギーガー
☆クラスのみんなに一言!:結局、卒業するまで皆さんの顔と名前がほとんど一致しませんでした♪
――こ、個性的ですね!(引きつった笑み)それにしても、コレ時代考証とかおかしくないですか?
時代考証……? 何のことかしら?
――え、ええっと……あっ、“クラスの何でもランキング”に師匠の名前がかなりランクインしてますよ。
あら、そう?
このアルバムもろくに読み込んでいなかったから……どれどれ。
『アベンエズラ年 静かの海組 なんでもランキング』※以下、永琳さんがランクインしているもののみ抜粋
☆残念な美人ランキング:1位
☆目つきが危ない人ランキング:3位
☆独り言が多い人ランキング:2位
☆ナイスおっぱいランキング:1位
☆クラスの皆が選ぶ危険思想主義者:3位
☆話しやすい人ランキング:最下位
『ランクインしたクラスメイトへのメッセージ』
☆八意さん、授業中に突然奇声を発するのはやめたほうがいいと思うよ。(アルテミスさん)
☆体育祭のときに邪魔してきた他校の不良が、全員謎の中毒死を遂げたそうですね。ありがとう!(ヘカテーさん)
☆あなたのおっぱいは満月のよう。おお、神よ。(イシュ・チェルさん)
☆昼休みに「宇宙! 宇宙!」って叫びながら校庭で反復横とびしてたよね。ステキだったよ!(嫦娥さん)
☆家庭科の授業で作ったお菓子をよくくれたけど、たまに変な味のやつが混ざっていたのが気になります。(ツクヨミくん)
――案外、クラスの皆さんには親しまれていたみたいですね(方向性はともかく)。
なんだか照れちゃうわね。
みんな意外に私のことを見ていてくれたのかも……あら、ツクヨミくん……?
――おおー、何かその方と甘酸っぱい思い出でもあるのですか?
ツクヨミくんは、確か席が隣だったような……。
そうそう、一度デートのお誘いを受けたことがあったかしら。
「行きたいところは八意さんにお任せするよ」って言われてね。
――それで、師匠はなんとお答えになったのですか?
何せ初めてのことだったから、一晩中悩んで……吟味に吟味を重ねて、翌日こう伝えたのよ。
「わ、私と一緒に月面スモウレスラーの朝稽古を見に行きませんかっ!?」
――そ、それでツクヨミさんは何と?
「それっきり、デートの話は何故か無かったことになってしまったの……何がいけなかったのかしらね」
――たぶん、師匠の思考回路の全てじゃないでしょうか。
「ウドンゲは見たことある? 月面スモウレスラーのTORIKUMIを」
――いえ、無いですけど……。
「格好良いと思うんだけどね、うっちゃりムーンサルトとか……好みじゃなかったのかしら」
――あっ、そろそろお時間のようです。
「あら、もうインタビュー終わり?」
――幻想インタビューズ、今週のゲストは八意 永琳さんでした。それでは皆さん、ごきげんよう!
「あ、あら? ウドンゲ、なんか無理やり終わらせようとしてない?」
――「幻想インタビューズ」、今回のゲストは私の師匠でもある八意 永琳さんです。
うふふ、ちょっと普段と違って新鮮な感じがするわね。
色々な質問に答えていくけれど、まあお手柔らかに頼むわよ?
――いえいえ、こちらこそ……さて、今日は子供の頃のお話を中心に聞かせて頂くということになってますが。
子供の頃、ねえ。
今となっては本当に遠い昔のことだけれど……覚えている範囲でなら何とかなるかしら。
――どんな感じの子供だったんですか?
印象深い思い出が多い時期というと、白亜紀かしらね。
小さい頃は……今から思えば、ひどく無気力な子供だったわ。
――無気力ですか。なんだか意外な感じです。
そう? 何と言うか、周りにいる人たちがみんな馬鹿に見えちゃってね。
私が言ってることや考えてることが、びっくりするくらい伝わらなかったの。
同年代か否かに関わらず、私は真剣なのに意志の疎通が成り立たなかったのね。
その腹いせに、仲の悪かったガキ大将の家に事故を装ってティラノサウルスを突っ込ませたり……。
――無気力と言うより、危ない問題児だったのでは?
うふふ……(セクシーな微笑み)。
――ティラノサウルスが突っ込んだ家の方々はどうなったのですか?
ちょっと話し辛いわね(※この思い出には暴力的、又はグロテスクなシーンが含まれております)。
赤い三角形のシールを貼られてしまいそうだから、ここでは伏せておくわ。
ただ、恐竜を使った計画的な悪戯をやりすぎて、足がつきそうになったのは失策だったわね。
PTAの連中が私を疑い始めていたのよ。
――むむ……それからどうなったのですか?
「このままでは私の身に危険が及ぶかも知れない」と思ったから、思い切って恐竜を絶滅させちゃったの。
案外あっさりと片が付いたわね。
――えっ?
えっ?
(2分間ほどの沈黙)
――それでは、次は思春期の頃のお話を伺いたいですね(何事も無かったかのように)。
あらやだ、ウドンゲったら。私は今も思春期の真っ只中よ? んふふ。
――それでは、次は思春期の頃のお話を伺いたいですね(重ねて何事も無かったかのように)。
ウドンゲ……あなた、時々ひどく冷たい目で私を見ることがあるわね。悲しいわ。
――いやだなあ、気のせいですよ(棒読み)。
そ、そうねえ……私と話が合う子がいれば嬉しいな、とは常々思っていたけれど、やはり上手くいかなかったの。
――学校のクラスにも、いまひとつ馴染めなかったのですか?
ええ。進級の度にやらなきゃいけない空々しい自己紹介が、苦痛で仕方が無かったわね。
――なんだか等身大の悩みですね。意外です。
自己紹介の時には好きな本や音楽、映画や尊敬する人なんかを話題にするでしょう?
その好みがね……冗談かと思うくらい噛み合わなかったのよ。
死海に飛び込んだ小太りのオッサンもかくやと言うほどの浮きっぷりだったわ。
――でも、学生時代の師匠が好きだった本や映画の話には興味がありますね。
そう言ってくれると思ってたわよ。
今日はインタビューに備えて、手元に残っていた卒業文集を持ってきたの。
えーっと、どこに載っていたかしらね……あったあった。
はい、これを見てね。
“出席番号37番 八意 永琳”
☆好きなこと:妄想、悪巧み、人体実験
☆好きな本:ドグラ・マグラ、ヴォイニッチ手稿
☆好きな音楽:あぶらだこ、ピンク・フロイド
☆好きな映画:コマンドー
☆尊敬する人:H・R・ギーガー
☆クラスのみんなに一言!:結局、卒業するまで皆さんの顔と名前がほとんど一致しませんでした♪
――こ、個性的ですね!(引きつった笑み)それにしても、コレ時代考証とかおかしくないですか?
時代考証……? 何のことかしら?
――え、ええっと……あっ、“クラスの何でもランキング”に師匠の名前がかなりランクインしてますよ。
あら、そう?
このアルバムもろくに読み込んでいなかったから……どれどれ。
『アベンエズラ年 静かの海組 なんでもランキング』※以下、永琳さんがランクインしているもののみ抜粋
☆残念な美人ランキング:1位
☆目つきが危ない人ランキング:3位
☆独り言が多い人ランキング:2位
☆ナイスおっぱいランキング:1位
☆クラスの皆が選ぶ危険思想主義者:3位
☆話しやすい人ランキング:最下位
『ランクインしたクラスメイトへのメッセージ』
☆八意さん、授業中に突然奇声を発するのはやめたほうがいいと思うよ。(アルテミスさん)
☆体育祭のときに邪魔してきた他校の不良が、全員謎の中毒死を遂げたそうですね。ありがとう!(ヘカテーさん)
☆あなたのおっぱいは満月のよう。おお、神よ。(イシュ・チェルさん)
☆昼休みに「宇宙! 宇宙!」って叫びながら校庭で反復横とびしてたよね。ステキだったよ!(嫦娥さん)
☆家庭科の授業で作ったお菓子をよくくれたけど、たまに変な味のやつが混ざっていたのが気になります。(ツクヨミくん)
――案外、クラスの皆さんには親しまれていたみたいですね(方向性はともかく)。
なんだか照れちゃうわね。
みんな意外に私のことを見ていてくれたのかも……あら、ツクヨミくん……?
――おおー、何かその方と甘酸っぱい思い出でもあるのですか?
ツクヨミくんは、確か席が隣だったような……。
そうそう、一度デートのお誘いを受けたことがあったかしら。
「行きたいところは八意さんにお任せするよ」って言われてね。
――それで、師匠はなんとお答えになったのですか?
何せ初めてのことだったから、一晩中悩んで……吟味に吟味を重ねて、翌日こう伝えたのよ。
「わ、私と一緒に月面スモウレスラーの朝稽古を見に行きませんかっ!?」
――そ、それでツクヨミさんは何と?
「それっきり、デートの話は何故か無かったことになってしまったの……何がいけなかったのかしらね」
――たぶん、師匠の思考回路の全てじゃないでしょうか。
「ウドンゲは見たことある? 月面スモウレスラーのTORIKUMIを」
――いえ、無いですけど……。
「格好良いと思うんだけどね、うっちゃりムーンサルトとか……好みじゃなかったのかしら」
――あっ、そろそろお時間のようです。
「あら、もうインタビュー終わり?」
――幻想インタビューズ、今週のゲストは八意 永琳さんでした。それでは皆さん、ごきげんよう!
「あ、あら? ウドンゲ、なんか無理やり終わらせようとしてない?」
面白かったです。
ってか、えーりん地味にやんごとない人達と同世代なんだなw
あとがき… 書いてもいいのよ(チラッ