お茶漬けにはまっている。
最近暑くなって来たので、冷たいお茶で一気に掻き込むように食べるのが好みだ。
逆に熱いお茶で汗をかきながら食べるのも良い。
鼻腔をくすぐるお茶の芳醇な香りと、ちょっと一振りした塩の存在感たるや格別である。
脳内では茶漬け風呂に漬かり、骨の髄までお茶漬けを堪能している私が居る。
この何とも言えない幸福感と充足感。
ああ、自分で自分が妬ましい。
とお茶漬けと嫉妬に浸っていると、トントントンとドアが叩かれる音と同時にドアノブが回される。
誰あろう、脳内自然拡声器(ネイティブスピーカー)古明地さとりである。
普段ならノックの意味無いわよね、と突っ込むところだが今の私は上機嫌だからまぁ良いかとスルーした。
「パルスィ遊びましょう」
「あら、あんたもお茶漬け食べる?」
「パルスィの馬鹿ぁーー!」
さとりが来たと思ったらすぐに泣きながら帰って行った。
何だったんだろう。
とりあえず開け放しにされたドアを閉めた後、お茶漬けを掻き込みつつ考える。
今日のお昼は何茶漬けにしようか。
・・・
翌日。
朝食にお茶漬けを食べていると、トントントンと遠慮がちにドアを叩く音がした。
「開いてるわよ」
と返事をしてやると、おずおずとドアノブを回す音とともに姿を現したのはさとりだった。
いつもの半目状態ながらも、うっすらと涙を浮かべて眉を寄せている。
「どうしたのよ、いつもらしくないわね」
「パルスィが……」
「私が?」
「ぶ、ぶぶ漬けを勧めて来るものだから、そこまで嫌われたのかと思って」