Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

メリーの子鬼飼育日記

2012/03/19 12:46:26
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○月×日
昨日はまた不思議な夢を見た。
そこはどうやら宴会の場らしく、私も少しお酒を拝借して上機嫌だった。
そのとき、目の前につったかつったか走る小さな何かを発見。
それを手に掴んだ瞬間に夢が醒めた。

の、だが。
今、私はその小さな生き物と、自宅のテーブルにて対峙している。

どうやらまた『持ってきて』しまったらしい。
また蓮子のカウンセリングでも受けようかしら……。

はぁ、と溜め息と吐くと、まぁ、持ってきてしまったものは仕方がないし、小さな生き物の観察を開始する。

サイズは手に乗るくらいで、ネズミと同じほどだろうか。
髪は綺麗なオレンジで、和風で紫のドレスのようなものを着ている。
容姿はほぼ人間と同じだろう。
違うところと言えば、頭に生えた二本の角だろうか。

ちょんちょん、と角を触ってみる。
意外と硬い。
あうあうと小さな生物はたじろぐ。
可愛い。

そういえば、名前は何と言うのだろうか?
試しに聞いてみると、何かを書く動作をしてみせた。可愛い。
どうやら、言葉が通じるようだ。
紙とシャーペンを用意すると、嬉しそうな仕草をする。可愛い。

ぐしゃあ。

さすがにこのサイズでシャーペンは無理か……。
意気揚々としていたのも束の間、数秒後にはシャーペンの下敷きとなっていた。

仕方ない、コミュニケーションの方法を整えなければ。
A4の紙を用意して、そこに50音順の平仮名を書いていく。
よし、これでいい。
ささ、どうぞ、と言うと、これはどうもご丁寧に、という仕草。なんとも妙に器用である。
とたとたと紙の上を走り出す。可愛い。

『す』『い』『か』

なるほど、この子の名前は『スイカ』というらしい。
ん?
スイカとはどういう字を書くのだろうか。
『西瓜』な訳はないだろうし……。

うんうんと私が考えていると、つんつんと指の端をスイカが突いてくる。
どうやら、まだ何か伝えたい事があるらしい。

『さ』『け』

さけ、サケ、鮭?
まさかの魚類。
そうか、スイカの主食は魚なのか。
スイカは腹が減ってるらしい。

たまたま冷蔵庫にあった鮭フレークを持ってきてやると、NO!、と手を大きく×にしていた。
どうやら、違うようだ。
さけ……サケ……酒?

もしかして、お酒?
尋ねてみると、今度は嬉しそうに頭の上で○を描く。可愛い。
お酒……飲むのかしら……?

考えていても仕方がない。
あいにくお酒は切らしていたので、急いで自販機にワンカップ酒を買いに行った。

容器はどうしよう。
このまま与えても、きっとスイカは酒に溺れてしまうだろう。
なんかうまいこと言った。

はっ、とひらめき、ペットボトルのふたに酒を注ぐ。
少し大きいかも知れないが、まぁ大丈夫だろう。

それをスイカの前に差し出すと、ぱあっ、と目を輝かせた。可愛い。
すするようにゴクゴクと飲み、ぷはぁ、と満足気な顔で至福の一息。
なんともおっさんくさい仕草だが、まぁ可愛いのでよしとする。

試しに、おつまみになりそうなものを持ってくると、これまた一層目を輝かせて、ありがとう、というジェスチャーをする。可愛い。

食事も無事済ませ、早速風呂へ。
スイカには、どっかの妖怪の父親のようにお茶碗を風呂にする。
ふいー、と風呂に入るスイカ。
ところどころおっさんくさい仕草が滲み出ている。
可愛いからいいが。

イタズラ心で、こっそり背中にシャンプーを押し当ててみる。
ひゃあ!、と飛び退くスイカ。可愛い。

風呂から上がったあと、なるべく遠くからドライヤーを当ててやる。
ちょっと腕がツラいがスイカが可愛いから許す。

髪を乾かし終えると、こっくりこっくりとスイカが眠そうな仕草をする。可愛い。
今日は早めの就寝としよう。

机の上に小さな布を置いて簡易な寝床を作ってやると、なぜかスイカが不満そうな顔をする。
何がイヤなのか、と聞いてみると、すたすたと先程の平仮名が書かれた紙の上に歩いていくと――

『い』『つ』『し』『よ』

いっしょ、一緒と申したか。
あまりの可愛さに数秒間悶絶したあと、スイカを私のベッドに移してやる。
とても嬉しそうなスイカ。
ああ、可愛い、可愛い。

部屋の電気を消して、寝床につく。
そうだ、明日蓮子を呼んでスイカを見せてやろう。
彼女にスイカの可愛さを見せびらかしてやるのだ。

ああ、人形の服を買ってきてあげるのもいいかもしれない。
彼女用のカップも作りたいな。

ふふ、と無意識に笑みが零れる。
ペットを飼う人の気持ちは、きっとこんな感じなのだろうか。

スイカの可愛い寝顔を見ながら、私もゆっくりと眠りに落ちていった。



□□□


○月△日
目が覚めたら、スイカが消えていた。
部屋中を探し回っても見つからない。
私のベッドに残っていたのは、一本の綺麗なオレンジの髪。
ああ、昨日のことは夢だったのだろうか。

ああ、スイカ、私のスイカ――。


□□□


○月△日
メリーに呼ばれて彼女の部屋に行ったら、『スイカがースイカがー』とオレンジの髪を握り締めながら大号泣していた。
なにあれこわい。
「昨日の宴会で思いついた!その名も『チビ萃香貸し出しサービス』!独り暮らしの癒しに、ペットの買えない家に!酒さえあれば働き者にもなるよ!これはきっと幻想郷の一大ビジネスになるね……!」
「あんた禿げるわよ」
「あっ」
トルネード木村
http://sqth81926027.blog130.fc2.com/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ああ、可愛い。
早速一人レンタルしたいのですが、受付はどちらに?
2.奇声を発する程度の能力削除
想像したら凄く可愛くてにやけが止まらないw
私もレンタルしたいです
3.名前が無い程度の能力削除
ちょっと境界越えてくる
4.名前が無い程度の能力削除
20年分くらいのレンタル料を払って メリーさんに匿名で贈りつけたい。
5.名前が無い程度の能力削除
うお、なんだこりゃ…可愛すぎるっ!
6.名前が無い程度の能力削除
かわいい! そしてオチにやられたww蓮子、慰めてあげて!
7.名前が無い程度の能力削除
「あんた禿げるわよ」→いっぱい依頼が来ると見越している→可愛いことを認めているわけですね霊夢(ですよね?)さん!

メリーも、どんだけ萃香のこと可愛いんだよwいや、実際に現れたら絶対に可愛いだろうけど!
8.名前が無い程度の能力削除
萃香可愛すぎ……!
メリーとの組み合わせは珍しいですな。
とてもよいSSでした。
9.名前が無い程度の能力削除
萃香は髪の毛じゃなくて息を変化させてるから大丈夫d( ̄  ̄)