「フラワーマスター」
「あ、幽香、茶葉の替えを取ってくれない?」
「ええ、いいわよ」
暖かな風がゆるゆると幻想郷に流れ込むようになり数週間がたつ。
雨が降れば寒いし北風に肩を震わせることもあるが随分とすごし易くなりつつある。
そんな昼下がり、いつものように紅茶を飲もうと準備していると見事に一人分しか茶葉が余っていなかった。
大体一人分しか淹れていなかったのにここのところ毎日のように幽香が遊びにくるので減るスピードが思っていたより速かったようだ。
「はい、これでいいかしら?」
「ええ、ありがとう」
背中越しに見慣れた半円のガラス瓶を渡される。
中にはびっしりと茶葉がつめられており、それはいつもお得意の場所で買っているブレンドティだ。
これが安い上に意外と美味しく気に入っている。
……はて?
ふとした違和感に襲われつつも、茶葉を蒸らし暖めてあるティーカップに紅褐色の液体を注ぐ。
いい香りがふわりと部屋に広がり深く息を吸い込む。
紅茶を淹れる時最も好きな瞬間だ。
「はい、幽香の分」
「ん、ありがとうアリス」
くつろいでお茶を待つ幽香にソーサーに乗せたティーカップと、お茶請けであるクッキーをもっていく。
クッキーは普段のものとちょっと違い、中にナッツを練りこんだものだ。
あ、そうか。
自分も席について先ほど感じた違和感の正体に気づいた。
「幽香、貴女良く茶葉の場所がわかったわね」
「んふ?」
思い出したように声をかけるとクッキーを口の中に含んだ幽香が可愛げな声を上げる。
小動物かなにかなのだろうか。
幽香は一見お姉さんのように見えるが、いや確かに頼りがいのあるお姉さんなのだが。
極稀にまるで子供のような純粋さを見せるときがある。
「そんなのアリスと生活していればすぐに覚えるわよ、紅茶は毎日飲むでしょう?」
「確かにそうだけど」
というか幽香が良く家に来るようになってもうそんなに経っただろうか?
言われるほどの時間は経ってないように思えるのだが。
「それよりこのクッキー美味しいわね、紅茶甘さ控えめに淹れてあるでしょ? ナッツの風味が口の中に残ってバランスよく生かされているわ」
「それこそ良くわかったわね……」
まさかほんの少しの匙加減まで見極められるとは。
少し彼女を侮っていたかもしれない。
自分でもクッキーを食べてみると確かに上手に焼き上げることが出来ているようだ。
紅茶も新しいものを開けたばかりということもあり良く味が出ている。
「うん、今日も上手に出来たわね」
「私からしたらどうして同じ茶葉を使っているのに紅茶の味に差が出るのかが不思議だわ」
「ちょっとしたコツはあると思うけど教えたとおりにやっていればそのうちわかってくるわよ」
ちなみに幽香もただで遊びに来ているわけではなく、紅茶の淹れ方を習いに来ているのである。
最近はちょっとサボり気味で私の淹れる紅茶を飲むばかりだが。
「それなら同じ土で育てた花がどうしてあそこまで生き生きと咲くのかが私は知りたいわ」
「それはフラワーマスターだからよ」
「……」
おんなじ様にコツがあるのだと返事されるものだと思っていたのだが……
※説明し忘れましたが見返りは家の庭の手入れとなっています。
「おいしかったわ、ご馳走様」
「いえいえ、どういたしまして。今度はバラでローズティでも淹れてみましょうか、せっかく幽香がお花を育ててくれるわけだし」
「それはバラを育てて欲しいという事かしら? いってくれれば綺麗なバラを育てて見せるわ」
きっとこれでせっせと幽香がバラを育ててくれることだろう。
今から綺麗なバラの花が楽しみだ。
それに、美味しいローズティを淹れてあげれば幽香の喜んだ顔も見れることだろう。
そんな少し先のことを思いつつ。
日々の生活の中幽香が私のことを見てくれているのだなと感じる1日を過ごすのだった。
「あ、幽香、茶葉の替えを取ってくれない?」
「ええ、いいわよ」
暖かな風がゆるゆると幻想郷に流れ込むようになり数週間がたつ。
雨が降れば寒いし北風に肩を震わせることもあるが随分とすごし易くなりつつある。
そんな昼下がり、いつものように紅茶を飲もうと準備していると見事に一人分しか茶葉が余っていなかった。
大体一人分しか淹れていなかったのにここのところ毎日のように幽香が遊びにくるので減るスピードが思っていたより速かったようだ。
「はい、これでいいかしら?」
「ええ、ありがとう」
背中越しに見慣れた半円のガラス瓶を渡される。
中にはびっしりと茶葉がつめられており、それはいつもお得意の場所で買っているブレンドティだ。
これが安い上に意外と美味しく気に入っている。
……はて?
ふとした違和感に襲われつつも、茶葉を蒸らし暖めてあるティーカップに紅褐色の液体を注ぐ。
いい香りがふわりと部屋に広がり深く息を吸い込む。
紅茶を淹れる時最も好きな瞬間だ。
「はい、幽香の分」
「ん、ありがとうアリス」
くつろいでお茶を待つ幽香にソーサーに乗せたティーカップと、お茶請けであるクッキーをもっていく。
クッキーは普段のものとちょっと違い、中にナッツを練りこんだものだ。
あ、そうか。
自分も席について先ほど感じた違和感の正体に気づいた。
「幽香、貴女良く茶葉の場所がわかったわね」
「んふ?」
思い出したように声をかけるとクッキーを口の中に含んだ幽香が可愛げな声を上げる。
小動物かなにかなのだろうか。
幽香は一見お姉さんのように見えるが、いや確かに頼りがいのあるお姉さんなのだが。
極稀にまるで子供のような純粋さを見せるときがある。
「そんなのアリスと生活していればすぐに覚えるわよ、紅茶は毎日飲むでしょう?」
「確かにそうだけど」
というか幽香が良く家に来るようになってもうそんなに経っただろうか?
言われるほどの時間は経ってないように思えるのだが。
「それよりこのクッキー美味しいわね、紅茶甘さ控えめに淹れてあるでしょ? ナッツの風味が口の中に残ってバランスよく生かされているわ」
「それこそ良くわかったわね……」
まさかほんの少しの匙加減まで見極められるとは。
少し彼女を侮っていたかもしれない。
自分でもクッキーを食べてみると確かに上手に焼き上げることが出来ているようだ。
紅茶も新しいものを開けたばかりということもあり良く味が出ている。
「うん、今日も上手に出来たわね」
「私からしたらどうして同じ茶葉を使っているのに紅茶の味に差が出るのかが不思議だわ」
「ちょっとしたコツはあると思うけど教えたとおりにやっていればそのうちわかってくるわよ」
ちなみに幽香もただで遊びに来ているわけではなく、紅茶の淹れ方を習いに来ているのである。
最近はちょっとサボり気味で私の淹れる紅茶を飲むばかりだが。
「それなら同じ土で育てた花がどうしてあそこまで生き生きと咲くのかが私は知りたいわ」
「それはフラワーマスターだからよ」
「……」
おんなじ様にコツがあるのだと返事されるものだと思っていたのだが……
※説明し忘れましたが見返りは家の庭の手入れとなっています。
「おいしかったわ、ご馳走様」
「いえいえ、どういたしまして。今度はバラでローズティでも淹れてみましょうか、せっかく幽香がお花を育ててくれるわけだし」
「それはバラを育てて欲しいという事かしら? いってくれれば綺麗なバラを育てて見せるわ」
きっとこれでせっせと幽香がバラを育ててくれることだろう。
今から綺麗なバラの花が楽しみだ。
それに、美味しいローズティを淹れてあげれば幽香の喜んだ顔も見れることだろう。
そんな少し先のことを思いつつ。
日々の生活の中幽香が私のことを見てくれているのだなと感じる1日を過ごすのだった。
?
何で作中で説明しないんですか?ミス?
しまいこんであるのを「取って」と頼むのは些か意地悪な気もしますがw
に笑いましたwメタな事をすんなり言いすぎw