Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

透明アリスと真白霊夢

2012/03/07 01:19:28
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「透明アリスと真白霊夢」



 寒さも厳しくなり、幻想郷が白く染め上げられた頃。
 博麗神社もそれらと同じように銀世界へと変貌を遂げていた。
 毎日箒の代わりに雪掻きのシャベルを持つ霊夢が博麗神社で忙しそうに働いている。

 そんなある日の、静かな昼過ぎ。
 霊夢の淹れてくれた緑茶を啜りながら庭を眺めていると、真っ白なその一面に真っ赤な霊夢が落ちた。
 屋根から落ちる彼女の姿がやたらスローに映り、鮮明に記憶へと刻まれる。
 あわてて駆け出す私にこれから起こりうる苦難など、当然知る由もないのだった。

☆★☆

 微かな薬品の匂いが鼻につき、物音一つしない部屋には二つの呼吸音が響いて大きく聞こえる。
 カーテンが閉められ電気も消されたこの部屋は早朝だというのに薄暗い。
 本当はカーテンぐらい開けたほうがいいのかもしれないがそんな気持ちにはなれないのだ。
 眠る彼女の手を強く握り締める。
 思いが強くなればなるほど手に力がこもってしまう。
 伝わればいい、この手から彼女へ向けている思いが全部。

 時折遠くから話し声や駆ける足音が聞こえ、それに反射するように手に力が篭る。
 ぎゅっ、ぎゅっ。
 早く目覚めてほしいという気持ちと、目覚めないで居てほしいと思う気持ち。
 ぎゅっと、また手に力がこもるのと同時に背後の横開きのドアが音を立てて開いた。

 八意永琳。
 薬の匂いと共に部屋に入ってきたのは彼女だった。
「どう? 目が覚めたかしら」
「いいえ」
 医者として彼女を頼ったのは間違いなく正解だ。
 不満もないし感謝もしている。
 が、どうしても私の気分は晴れず低く小さな声で返事をしてしまう。
「そう……貴女こそすこし休んだらどうかしら、昨日の夜から寝ていないのでしょう?」
 すべてをわかってか、永琳はやけに私に良くしてくれている。
 大体安静で居ればいい患者の、しかも寝ているとなれば来る必要がないはずの場所へ顔を出すのは半分私を見に来てくれているからなのだろう。

 音を立てないよう私は椅子から立ち上がりつないでいた手を離す。
 放された手は力なく崩れるようにしてベッドに倒れてしまった。
「少し外の空気を吸うわ」
「ええ、案内するわ。縁側でいいかしら」
 うなずくわけでもなく彼女の横に立つとそれを返事ととったのか永琳が歩き出し、私は後ろ手にドアを閉め彼女の後に続く。

 朝早くの竹林は気味の悪いぐらい静けさに満ち溢れている。
 鳥も寄り付かず、今日は風がないので竹が音を立てることもない。
 ただ廊下を歩く私と永琳の足音だけが静かな空間にポツリポツリと音を積もらせてゆく。
 足を止め、庭を見れば冬の弱々しい朝日が竹の葉隙間から射し込み、雪景色に小さなスポットライトをいくつも描いていた。

「あまり無理をしてはだめよ」
「……」
 気づけば先を歩いていたはずの永琳がとまって庭を眺めている。
 ちょうど二人並ぶような形。
 彼女の言葉に私はただただ無言で居る。
「霊夢が心配なのはわかるわ、でもあれはどうしようも出来ないの、時間だけが回復の手立てよ」
「わかってるわ」
「ならもう少し自分を労わりなさい、魔女とはいえ不死身ではないのよ」

 お小言というよりは心配の言葉。
 ここ数日確かにほとんど休んでいない。
 当然永琳はそれを知っているのだろう。
「それに――」
「あ、お師匠様にアリスさんここに居ましたか、霊夢さん目を覚まされましたよ。あと、魔理沙さんがお見舞いにいらしたようです」
「っ――!! そう……」
 爪が食い込むほどに手を握り締める。

「はぁ……気の利かない子」
「え!? な、何でですか!!?」
 頭を抱える医者と、状況の把握の出来ていない弟子。
 そんな二人の会話を聞くことなく、私はその場を離れ霊夢の病室へと向かっていた。

☆★☆

 病室にたどり着くと話し声か微かに部屋から漏れ出していた。
 ドアを開け中に入ると私が座っていた椅子に見舞い客である魔理沙が座り霊夢と話しているようだ。
「お、アリスか」
「いらっしゃい魔理沙」
「ああ。お前帰ってないんだってな? 医者の弟子が言ってたぜ、大丈夫か?」
 音に気づきこちらを見る魔理沙の隣に立つように移動する。
 霊夢もこちらに気づいたようで、ベッドに上半身を起こし座ったままこちらに軽く頭を下げた。

「大丈夫よ。それより霊夢調子はどう?」
「はい、随分と体のだるさも取れてきました」
「そう……」
 苦虫を噛み潰したような顔で魔理沙を見ると彼女も同じような顔をしている。
 霊夢がここに着てから今日で4日目。
 目を覚ましたのは今日が初めてでなく、実を言えば運び込んで数時間で目を覚ましてはいる。

 ではなぜここに居座っているのか。
 それは――
「……何か思い出したか?」
「いいえ」
 記憶喪失。
 霊夢が今陥っている状況を表すにはこの言葉がもっとも適切だろう。
「そうか、無理はするなよ? 医者も時間をかけて思い出すことが一番だって言っていたんだからな。ああ、後そうだ、神社のことは任せろ、私たちが何とかするからな」
 うつむく私に代わって魔理沙が言葉を代弁するように話す。
 霊夢はそれになんともいえない表情でうなずくばかりだ。
 ちなみ記憶喪失による被害は特に出ていない。
 霊夢が入院した日の夜に紫の式がやってきてその旨を伝えてくれている。
 彼女いわく「霊夢さんの異常事態ですから紫様も冬眠から目覚めたようです、飛んで行きたそうにしていましたが雪の降る庭を見て凍り付いていましたわ」との事だ。

「迷惑ばかりかけてごめんなさい」
「なに、気にすることないぜ。何か困ったことがあったら私なりアリスにでも言ってくれ」
 申し訳なさそうに霊夢が小さくうなずく。
 きっと彼女も罪悪感を抱えているのだろう。

 だが……
「ありがとうございます、アリスさんに魔理沙さん」
「――っ!!」
 スカートを握り締め顔だけ笑ってみせる。
 気付かれてはいけない、何より彼女なにも悪くない。
 しかし、私は純粋無垢なその言葉に、笑顔に苦しめられていた。
「アリスさんがそばにいてくれるから安心できます」
 笑顔で霊夢が言う。

 違う……!

魔理沙と私に向けられた笑顔。
「私だけじゃないわ、魔理沙も永琳もいる。それに私は結局何も出来ていないもの」
「そんなことないですよ、いつも傍にいてくれてるって聞いています」

 違う、違う違うちがう!!
 貴女が私に向けていた笑顔はそんな物じゃなかった!!

 仕方ないことだとはわかっている。
 それでもそう思わずにはいられない。
 そして何よりも、こんなことを思ってしまう自分が浅ましかった。

「……アリス、私が霊夢を見ているから少し休んだらどうだ?」
「ええ、そうするわ……」
 気づいているのかいないのか。
 魔理沙のその言葉に甘え私は病室を後にする。
 少し休まなければ行き場のないこの気持ちが爆発してしまいそうだった。

☆★☆

 誰にも踏み荒らされていない中庭の見える縁側に立ち夜空を眺める。
 深夜のとある時間帯になると月が顔を出し、雪で埋もれた庭先を明るく照らし出しすのだ。
 月の光をうけて、雪がまるで発光するかのように白い輝き放ち夜だというのに辺りは明るい。
 そんな庭は神秘的なまでの美しさを持っている。
 結局あの後病室に戻ったもののほとんど会話にも参加せず上の空でいた。

「はぁ……」
 深くため息を吐くとそれは白くなって空気へと溶け込んでしまう。
 見える人間には私の頭上に雨雲が見えるかもしれない。
 こんなとき霊夢がいつも優しく手を差し伸べてくれていたのだが……。
 今度は私が霊夢を助けてあげなければならないいうのに私はどうして何も出来ずにいるのだろうか。

「ここに居たのね」
「永琳」
 縁側の角を曲がって永琳が姿を現した。
 寒そうに肩をさすりながら私と並び月を見上げる。
 物静かだが、何かを感じさせる夜にこうして彼女と並んでいるのはなんとなく不思議な感じがする。
「部屋を覗いたら居なかったから、ここかなと思ったのよ」
「そう」

 横顔を見てそのまま雪景色へと視線を戻す。
 きらきらと光る雪を見ていると気持ちが落ち着くのだがあくまで上辺だけだ。
「綺麗な満月ね」
「そうね、落ち着くわ」
「前この月でいざこざがあったなんて思えないわね」
 隣から小さく笑い声が聞こえる。
 母親が子供に向けるような優しい笑い声。

「ねえアリス」
「何かしら」
「霊夢の事だけど……」
「……っ!!」
 急なことに心臓が飛び跳ねる。
「ごめんなさい誤解させたわね、別に深刻な話ではないの、ただ、貴女と霊夢はどういう関係なのか少し気になっただけよ」
 あわてたように付け足す永琳に肩の力が少しだけ抜けた。
 それでもやはり心の中のもやもやとした感じは抜けそうにもない。

「どういうと言われても、特に何もないわよ? ただ……」
「ただ?」
「少し前、いいえ、梅雨の季節だったから半年前かしら、霊夢にちょっとした事で助けてもらったことがあるのよ」
 少しずつ、雪を崩していくように私は思い出を語りだす。
 気づけば霊夢と交わした約束のことや、その後にあった妖精の湖での出来事を話していた。
「そんなことがあったのね」
「……ええ」
 懐かしい反面今を思い出して苦しくなる。
 だが言葉がとまることはなかった。

 きっと懐かしんでいたのだろう、霊夢との特別な時間を。
 考えてみれば雪かきを手伝っていればこんな事にならなかったのかも知れない。
 霊夢一人でも大丈夫だから、大丈夫だといわれたから。
 私はそんな言葉や霊夢との関係に甘えていたのだ。
「ねぇ、永琳」
「ん? ごめんなさい、少し考え事をしていたわ、何かしら?」
「霊夢は、治るのかしら」
 話を聞き終えた彼女は何か考えるように月を眺めていたが、私の言葉に顔を強張らせた。
 重苦しい空気があたりに立ち込め、せっかくの明るい雰囲気が台無しだ。

「ごめんなさい、でも……」
「わかっているつもりよ。でも、なんとも言えないわ」
「そう……」
 永琳が何度かしてくれた話。
 霊夢が記憶を取り戻すのにはきっかけが要る。
 それは時間だったり、日々の生活だったりするのだが、極端な話もう1度何かしらのダメージを与えてもよいらしい。
 もちろんそんな事は出来ないので時間に身をゆだねることになるわけだが。

「もし、もしもこのまま霊夢が記憶を取り戻さなかったらどうなるのかしら」
「そうね、もしそうなるなら新しい霊夢として1からやり直す……」
「でもそれは、彼女が歩んできた道ではないわ。確かに霊夢の根源は変わっていないのだから変わらぬ日々が送れると思うの、でもそこに彼女の過去はない」
 私との思い出だけじゃない、彼女自身が送ってきた日々。
 優しい言葉を、笑顔を私に向けてくれたのは、そんな日々が彼女にあったからこそだ。
 それがすべてなくなってしまうのは、なんだかとても……
「それはとても寂しいことだと思うのよ」

 ツーっと一筋の光が頬を流れ落ちる。
 不安や悲しみが感極まり気づけば私は涙を流していた。
「アリス……」
「ごめんなさい、やっぱり不安みたい」
 霊夢をかわいそうだと思うのはうまく言葉に出来ないがなんだか自分勝手な気がする。
 素直に言えば霊夢との関係がなくなってしまうのは嫌だ。
 そんな涙を拭くことなく流し続ける。
 隣で永琳はなんて言葉をかけていいのか迷っているようだけど、今は少しこうしていたい。
 月を見上げ、ただ静かに涙を流していると
「アリスさん?」
 聞こえるはずのない声が私の背中にかけられる。
 驚いて振り向いてみれば、永琳が姿を現した場所から霊夢がふらふらとした足取りでこちらに歩いてきていた。

「れ、霊夢どうしてここに……」
「アリスさん? 泣いているのですか?」
「っ!? ち、ちがっこれは!!」
 ぐしぐしと腕で涙を拭い取り顔を上げる。
 目が赤くなってしまうかもしれないが今は気にしている余裕がない。
「良いから部屋に戻りましょ? 風邪を引くわ……」
 霊夢の元へ近づこうとするとその前に永琳が無言で立ちふさがった。
「……? 永琳?」
 不思議に思いながら横を抜けようとすると腕をとられ

 思いっきり捻り上げられた。

「!?」
 そのままの縁板に叩きつけられる。
 目の前がぐるっと360度回転したかと思ったら体中に痛みが走り私は身悶えることしか出来ない。
「あぐぅっ!?」
 あまりにも突然だったため受身もろくに取れなかった。
 呼吸が乱れ目の前がぶれて見える。
 起き上がろうとしてみるが永琳に押さえられ身動きすら取れない。

「ひっ!?」
 遅れて霊夢が事に気づいたのか短い悲鳴が聞こえる。
 そうだ! 霊夢がいるのだ、こんなわけのわからない事に本調子じゃない彼女を巻き込むわけにはいかない!
「霊夢逃げて!」
「あ、で、でもアリスさんが……」
「良いから! ちょっと永琳っ!! 何のつもりよ!?」
 顔だけ動かし周りを見ると霊夢が怯えた様子でこちらを見つめている。
 永琳は見ることが出来ない位置にいるため声をかけてみるが返事はない。
 変わりに腕が捻り上げられギリギリと関節が軋みを上げる。
 痛みに顔をゆがめ上海達を連れていないことに軽く後悔した。

「答えなさいよ永琳!」
「あ、アリスさ――」
 霊夢が怯えている、早く安心させて上げなきゃ。
 でもどうすれば……。
 体術で永琳に勝てるとは思えないが、人形のいない私では弾幕勝負でも限界がある。
 とにかく抜け出そうと体を捩じらせてみるが逆に腕が痛むだけで抜けられそうもない。

 必死にもがいていると背中に足をに乗せられ腕が曲がる限界まで引っ張られた。
 ちょっとまって、それ以上は……!!
「ちょっと、やめ、痛いっ!!」
「ああっ!!」
 霊夢の悲鳴が聞こえる、何とかしなければいけないのにどうしようも出来ない。
 間接がはずされる、下手したら折れることを覚悟する。

 この後動けなくなった私は霊夢を助けるすべはない。
 永琳が何を考えているのかはわからないが私に手を出す以上霊夢にも何かしら危害を加えるはずだ。
「っぅ霊夢っ!!」
 無力な自分に申し訳なくなる。
 こんな時ですら霊夢に助けを求めることしか出来ないなんて。
「助けてっ……」
「アリスっ!!」
 霊夢の叫び声が聞こえる。
 腕が捻られ体の中から限界を超えた音が――

「うぐっ!?」

 轟音と共に背後の永琳の悲鳴があがった。
 遅れて地面に落とされたのか鈍い音が聞こえる。
 わけがわからずにいる私の目の前に転がる陰陽玉。
 これは……?
「アリス! 大丈夫!?」
「霊夢……?」

☆★☆

 眼前には星が7色に輝いており、満月がちょうど目の前に浮いる
 最高の景色を目の前に、背中が猛烈に冷たくなければ気持ちも晴れやかだったのだが。
 しかし、あんなに勢いよく吹き飛ばすことはないではないか。
 さすがに少し痛い。

「霊夢? あ、ちょっとどこ行くのよ!?」
 アリスの困惑した声が足元の方から聞こえる。
 と思ったら霊夢が彼女を抱きかかえ上空へと旅立っていく。
 困惑しているアリスがばたばたと暴れているようだがどうやら成功したようだ。

「よいしょっと」
 古風に呟き、起き上がると体中についた雪を払い落とす。
 あちこち濡れてしまったし、せっかく真白な一面が残っていたというのに思いっきり汚してしまったのがなんとももったいない。
 わざわざてゐ達が入らないようにと目を光らせていたというのにこれでは彼女達に怒られてしまうではないか。
「お師匠さま、大丈夫ですか!?」
「ええ、大丈夫よ」
 通路の影に隠れていたうどんげがあわてた様子で駆け寄ってくる。
 彼女のいる縁側に近づくとその柱に背を預けるようにして星空を見上げた。

「もう、大きな音がしたから何かと思いましたよ……」
「ごめんなさいね、驚いた?」
「そりゃもう思いっきり」
 どうやらアリスを投げ飛ばした音に気づいて駆けつけてきてくれたようだ。
 少し心配させてしまっただろうか?
「それよりなんであんなことしたんですか?」
「そうね、アリスと霊夢の絆にかけてみたのよ」

 アリスから昔の話を聞いたのはただの気まぐれなどではない。
 当然、霊夢が来た当初からアリスが霊夢と特別仲のよい関係だということには気づいていた。
 そこで、もし、それがアリスから霊夢にだけ向けられたもので無いとすれば……
「霊夢さんがピンチに陥ったアリスさんをみて助けに入る。ですか?」
「そうよ。わかった?」
「まぁ、なんとなくわかりましたけど……。もし霊夢さんが助けに入っていなかったら?」
「アリスの腕が大変なことに」
 ジェスチャーでを交えて見せるとうどんげの顔が見る見る真っ青に染まる。
 後先考えてないだけじゃないですかっ! と、まで叫ばれてしまった。

 記憶を取り戻すきっかけはダメージ。言い換えればショック。
 それは物理的でも精神的でもいい。
 そして後者は自分に直接的に降りかかるものじゃなくてもいい。
 たとえば、愛する人が危険な目にあえば助けなければならないという焦り、それに伴う恐怖が生まれそれは刺激になる。
 その思いが強ければ強いほど大きな刺激に。
 それに賭けてみた。

「あんまり無茶はしないでくださいね」
「私だって勝ち目のない賭けはしないわよ」
 あきれる弟子に思わず苦笑が漏れる。
 なぜなら貴女はもう少しこういったことが理解できるようにならなければいけないから。
 人と人との絆。
 愛だとか恋だとか、そういうことにうどんげは疎い。

「それにしても、なんだかロマンチックでうらやましいですね~」
「え? そうね」
 ……思ったよりはそうでもなかったようだ。
 なにやら両手を胸元で組んで嬉々とした表情でいる。
 今回の一軒でもしかしたらうどんげにも何かしらの変化があったのかもしれない。
 それはきっと彼女を一回り成長させたことだろう。 
 そしてそれは上空にデートに行った二人も同じ。
 きっと、これから起こり得る苦難など彼女達には些細なものとなっているのだろうから。
「私にもあそこまで信頼できるお相手が見つかるでしょうか」
「難しいわね」
「えぇー! そんなこと言わないでくださいよ師匠ー!!」

 そんなことを言いながら笑顔を浮かべる弟子と二人夜空を見上げる。
 月とそれを引き立てるようにあたりで輝く星々。
 その月の中心には、まるでそれを背景のように抱き合う二人が見えるのだった。
SS作品投稿第20弾

久々の更新になります。那津芽です。
次回でこのシリーズ? もラストとなります。

今回久々に長くなりましたね、最近は短い話ばかり書いていたのでぐだったように感じるのですが…
ううむ。
那津芽
http://twitter.com/#!/seihixyounatume
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
この永琳はぐう聖やね
ベタだがそれがいい
2.奇声を発する程度の能力削除
もうちょっと展開を引き伸ばして欲しかったなと思いました。
けれど、良かったです。
3.名前が無い程度の能力削除
その後の二人のデートを覗くのは流石に無粋ですよねー。
でもちょっとだけ見てみたいなー(チラッチラッ
4.こーろぎ削除
匙を投げずにアリスを投げたのですね
5.名前が無い程度の能力削除
もう少しアリスの心象描写を読みたかったかな?
でもスッキリ読めました

レイアリいいよいいよー