「おや、縁側でお昼寝ですか。気持ちよさそうですね」
「ちょっと待て」
「え、どうしたんですか? どうぞ私に構わず」
「構うわ! カメラ向けられて眠れるかっ!」
人が寝ようとしているというのにこれだ。
霊夢は溜息を吐きながら上体を起こし、当然のように文がその隣に座った。
「何しに来たのよ」
「暇潰しに安眠妨害を」
「さっさと帰れ」
「冗談よ。次に取材するつもりだった相手が見つからないから、少し休もうと思って」
「いつからうちは休憩所になったのよ」
文句は言うが追い払おうとはしない。文の笑顔に隠しきれない疲れの色が見て取れたからだ。
「もしかして寝不足?」
「あやややや、ばれちゃったか。どうしてわかったの?」
「隈ができてる」
「え、嘘」
「嘘吐いてどうすんのよ」
「あーあ、やっぱり一時間ちょっとじゃ寝足りないかー」
言いながら大きな欠伸をすると、文は柱にもたれかかった。
「あー無理、限界……」
「取材はいいの?」
「どうせ一時間やそこらじゃ帰って来ないわよ」
もう一度欠伸して、そのまま眠ってしまった。
「なんでわざわざここで寝るのよ……」
小さく息を吐き、ちらちらと文の様子を確認し、頭をかく。
「風邪ひいたらどうするつもりよ」
渋々といった風に立ち上がり、霊夢は屋内に引っ込んだ。
文が目を覚ますと、隣にいたはずの霊夢はいなかった。
伸びをしようとして毛布が掛けられていたことに気付き頬を緩める。
「……ん?」
視界の端に何かを捉えて柱の反対側を見る。
霊夢が毛布を肩に掛け、同じ柱に身をあずけていた。
「霊夢?」
声をかけるが返事はない。眠っているようだ。
「うーん……」
どうしたものか、と顎に手をやり思案する。
あれから二時間も経っていないようだし、もしかすると相手は戻っているかもしれない。しかし睡眠時間が足りず頭が働かない。それにこのまま霊夢の隣で昼寝しているというのも悪くない。
しばし唸った後、文は再び柱に寄りかかった。
春先の風が眠る二人の髪を揺らして通り過ぎた。
自然な会話で和んだ
いいね、あやれいむ
とても良い雰囲気でした。