「妖夢。そこに座りなさい」
「えっと……もう座ってますが」
「座りなさい」
「……みょん」
その日、なぜか、私は幽々子様に呼び出されていました。
誰もいない、白玉楼の屋敷の中。その中でも、特に広くて普段なら使うことのない部屋に呼び出され、わざわざ中央に置かれた座布団の上に正座させられて、すでに三十分以上が経過しています。その間、幽々子様は、ずっと難しい表情で腕組みして私の前に座しているだけです。
……っていうか、これ、怒ってます? 怒ってますよね? 誰がどう見てもアングリーですよね?
ど、どうしましょう? 私、何かしたんでしょうか?
確かに、今日の朝ご飯は、幽々子様のお体のためを思って、普段の五人前からこっそり四.五人前くらいに減らしましたけど。でも、「最近ダイエットしてるの」と言ってたから怒られませんでした。幽霊なのにやせるんでしょうか。やせるんでしょうね、きっと。最近、永琳さんに『半霊の子にやつれが見えますね』って診断受けてましたから。
え? もちろん、私の本体ですよ。どっちも。ぐるぐる回ってどっちでしょうってやったら誰にもわからないくらいの本体です。
まぁ、それはいいとしましょう。
「あ、あの……幽々子様?」
「お黙りなさい」
「……はい」
あああああ、怒ってます、やっぱり怒ってますよこれ!
ど、どうしよう。私はどうしたらいい? 落ち着け、落ち着くんだ、魂魄妖夢。
そう、こんな時は素数を数えるのよ! 2,4,6,8……って、これ素数じゃねえ! 偶数だ! やばい、私も相当焦ってます!
何せ、我が主人は、怒らせると怖いんです。どれくらい怖いかというと、タイムアウトラスト十秒前の発狂具合にプラスで自機狙いワインダーが飛んでくるくらいに。
だけど、ここまで幽々子様が怒る事なんて珍しすぎます。過去、これだけ怒ったのは、紫さまに楽しみにしていたいちご大福のいちごを食べられた時くらいでしょうか。あの時は、白玉楼とマヨヒガの全面戦争が勃発して、たっぷり一年間争ったものです。最終的には、トリコロールカラーに自分を着飾ったお師匠様が出てきまして。すごかったですよ、何せ全身フランスですから。そして、『足はただの飾りじゃない! 装備することでパーフェクトになるのよ!』と吼える紫さまと相打ちになって、その後しばらくして何気なく紫さまがグラサンになって戻ってきたもんです。はい。
自分で言ってて何が何だかわかりません。だってしょうがないじゃないですか、あの時、私はどこぞの吸血鬼姉妹も真っ青なくらいの幼女だったんですから。あ、私のアルバム見ますか? かわいいって評判なんですよ。これが、はいはいしている時の写真、これがおねむの写真、で、こっちが幽々子様のお乳飲もうとしてびーびー泣いてる時の写真。懐かしいですねぇ。
「妖夢」
「は、はい!」
……と、いけないいけない。ある意味での甘美な思い出に浸りすぎて、現在状況を完璧にロストしていました。
これを現実逃避から来る逃避エネルギーというのですね。とても勉強になりました。
「妖夢。私は――」
「……は、はい」
重苦しい声で、口を開き、幽々子様は仰いました。
「私は――誰?」
「え?」
「私は誰と訊ねているのよ、妖夢」
これは……どういうことでしょうか?
私の名前を言ってみろ? そんな、鉄仮面かぶった出来損ないの三人目雑魚悪党じゃないんですから、そんなへたれなことを幽々子様が言い出すはずはありません。ということは、あれでしょうか。記憶喪失ごっこ?
いえ、これ、昔、幽々子様が退屈な日常に清涼剤を、ということで考え出した遊びでして、お部屋の床柱に頭をぶつけて記憶喪失になったふりをしてみようというものでして。いやぁ、あの時は焦りました。マジで記憶喪失になりましたから、幽々子様。
ついでに言うと、その時の幽々子様はかっこよかったものです。何をするにもびしっとしてきびきびしてて、大食いじゃなくて、これぞカリスマ、これぞアクシズの女という具合でした。白玉楼にやってくる不届きものを、『こうもぬけぬけと私の中に入ってこようとする! 恥を知れ、俗物!』と追い返したもんです。はい。
……って、それはどうでもいいですね。
あ、ちなみに、記憶の方は何か怪しい黒と赤の衣装を身にまとった胸部の装甲にチョバムアーマーをつけた人に直してもらいました。……今考えてみると、あれって永琳さん? いや、でも、『旅の医者ですよ。あらあら』って言ってましたから違いますね。それに、あの時はセーラー服でミニスカでツインテールでしたから。なおさら違いますよね。今の永琳さん、とっても優しい感じのする人ですから。はい。
「え、えっと……。
西行寺家当主、冥界の姫君であらせられる西行寺幽々子様……です」
「そう。その通りね。偉いわ、妖夢」
いや、自分が仕えている主人の名前忘れたりしたら切腹ものですよ。
……なんて当たり前のツッコミも出来ないくらいに、幽々子様、怒ってます。普段は浮かべない眉間のしわなんて浮かべたりして……。
「しかるに。
妖夢、私に対する世間一般の評価を知っているかしら?」
「へっ?」
世間一般の……ですか? はて? 何でしょう。
「その……何でしょうか」
素直にわからないので聞いてみます。よけい、火に油を注ぐ行為になるかもしれませんが、ここで素直に「わかりません」なんて言おうものならよけい何されるかわかりません。一度、幽々子様を怒らせた時のお仕置きはひどいものでした。ぱんつ脱がされて西行妖につるされました。「かわいいお尻が風邪を引きたくなかったら、ちゃんとごめんなさいって言いなさい」って。ごめんなさい言ってるのに全然許してくれなくて、その日の夜に、あまりの仕置きに見かねた紫さまが助けに来てくれるまで、私の大切なところ全部世間一般にさらすという羽目になりました。まぁ、あのおかげで羞恥心がだいぶなくなって、ちょっぴり別世界に目覚めそうにもなりましたけどそれはともあれ。
「カリスマがない」
「はい?」
「カリスマがない、と言われているのよ。この私が」
「あー……えっと……」
……えっと……幽々子様……それは……。
「天然だとか大食いだとかおっとりぽややんだとかふやふやだとかマリ姉系だとかよくわからない評価がそれについて回って最終的には販売停止のマークキャラだからカリスマがないのよとか因縁づけとしか思えない評価をいただいたわ」
その……えっとですね……。
……ぶっちゃけ、それってあなたのせいだと思うんですけど……幽々子様……。それ、なんて言うか知ってます……? 身から出たさびって言うんですよ……?
「そも、ね。妖夢」
「は、はい」
「Windows版東方シリーズ。そのタイトルを言えて?」
「はい?」
何でしょう、Windowsって。窓ですか?
「『東方紅魔郷』、『東方妖々夢』、『東方永夜抄』、『東方萃夢想』、『東方花映塚』、『東方文化帖』……以後も続く予定は万端よ」
「……」
まずい、何言ってるのかわからない。っていうか、幽々子様、それどこの電波ですか?
「そして、妖夢。この中で共通するものを言いなさい」
「へっ? き、共通ですか? と、東方……とか?」
「この……未熟者っ!」
「ひぃっ!?」
激高した幽々子様が、扇振り回して立ち上がりました。その威圧感に、もはや私は何も出来ません。蛇ににらまれた蛙です。ぶるぶる震えて頭を下げるのが精一杯です。
あああ、私はなんて事をしてしまったのでしょう。誰でもいいです助けて下さい。こういうピンチの時、すかさず現れてくれた紫さま、今、あなたはどこで何をしていらっしゃるのですか……。
「いずれの作品にも、ストーリーモードにおけるラスボスを匂わせる単語が入っているのよ!
『紅魔郷』なら『紅』とか『魔』! 『永夜抄』なら『永』と『夜』! 『萃夢想』なら『萃』! 『花映塚』なら『映』! 『文化帖』なら『文』と!
それなのに、『妖々夢』だけ、私を匂わせる単語が入ってないのよっ!」
「…………………はい?」
「っていうか、思いっきりあなたの名前入ってるじゃない! 『妖々夢』って。どう見てもあなたの名前じゃない、これ! 『妖夢』って言ってるじゃない! ちっちゃくてかわいかった昔は『幼妖夢』だったし!
何これ! ぶっちゃけあなたがラスボス!? いやらしい通常弾幕と厳しいスペルカードぶちまけて、散々プレイヤーを亡き者にしてきたあなたの後に控える、このラスボスたる私が、パターン化されればあっさりよけられる通常弾幕とスペカのおかげでむしろ点数稼ぎとか言われてるのよ!? 実質的ラスボスは妖夢とまで評価されてまでっ!」
「………え、えっと…………」
それはその……私、西行寺家を守る剣士ですから。
侵入者に対しては容赦なくなるのが当たり前と言いますか……いや、頑張りすぎた印象はありますよ? だけど、それについて文句言われると……えっと……ですね?
「こんなんだから、私にカリスマがないって言われるのよ! 幽々子のカリスマはBGMとでっかい扇で出来ている。私本体どうでもよし!?」
「あー……その……」
ごめんなさい、私も少しだけ、それ、思いました。
「本当は『幽々夢』とかってタイトルだったのよ、間違いないわ! それなのに、妖夢、あなたが私からカリスマを奪ったのよ!」
……いや、人のせいにされても……。っていうか、それ、私のせいじゃないと思うんですけど……。
「その後も、何か優遇されているとしか思えないキャラクター性能発揮して! 従者のくせに頑張りすぎなのよっ!」
「……その……すいません」
うわ、マジ泣きですよ。全力で涙が虹を作ってますよ。ああ、お召し物に汚れが……。
何かもう半分どうでもよくなってきました。あのですね、幽々子様。そう言うことに子供っぽくこだわったりするから、『カリスマがない』って言われるんですよ? そりゃ、確かに幽々子様より子供っぽい人たちいますけど、その中でも、幽々子様ってぶっちぎっちゃってるんです。ある意味。それが魅力になってきてるんです、はい。
だからですね、カリスマが欲しかったら、まずは大人になって下さい。お願いですから。
っていうか、何で私がお説教してますか心の中で。口に出しては言えません。だって怖いもん。
「こうなったら、あなたからもカリスマを奪うしかないわ! それで相対的に私のカリスマを上げるのよ!」
「あの……それって負け犬理論……」
「直訴よ、直訴してやるわ! さあ、行くわよ、妖夢!」
「……はいはい」
結局、私を連れて行くんですね。
……まぁ、いいですけど。こういう、変な子供っぽいわがままを言わなくなったら幽々子様じゃありませんし。こんな人だから、苦労はしてもついて行こうと思うんです。私って、とことん好き者なのかもしれませんね。
「目指すは神社よー!」
霊夢さんに叩き落とされて終わりになったりして。
でも、幽々子様にもカリスマありますよ。私、きちんとそれがわかってますから。だって、幽々子様、私のために怒ってくれる時なんて、ものすごく怖くてかっこいいですから。だから、他の誰にも認められなくてもいいです。私があなたを認めますから。
……あれ。これって独占欲ですか? うーん……やっぱり、子供なんですね。私。
ま、いいや。
子供なら子供のままで、幽々子様を、いつまでもお支え致します。頑張れ、私。ファイトだ、魂魄妖夢! ……なんて。
「えっと……もう座ってますが」
「座りなさい」
「……みょん」
その日、なぜか、私は幽々子様に呼び出されていました。
誰もいない、白玉楼の屋敷の中。その中でも、特に広くて普段なら使うことのない部屋に呼び出され、わざわざ中央に置かれた座布団の上に正座させられて、すでに三十分以上が経過しています。その間、幽々子様は、ずっと難しい表情で腕組みして私の前に座しているだけです。
……っていうか、これ、怒ってます? 怒ってますよね? 誰がどう見てもアングリーですよね?
ど、どうしましょう? 私、何かしたんでしょうか?
確かに、今日の朝ご飯は、幽々子様のお体のためを思って、普段の五人前からこっそり四.五人前くらいに減らしましたけど。でも、「最近ダイエットしてるの」と言ってたから怒られませんでした。幽霊なのにやせるんでしょうか。やせるんでしょうね、きっと。最近、永琳さんに『半霊の子にやつれが見えますね』って診断受けてましたから。
え? もちろん、私の本体ですよ。どっちも。ぐるぐる回ってどっちでしょうってやったら誰にもわからないくらいの本体です。
まぁ、それはいいとしましょう。
「あ、あの……幽々子様?」
「お黙りなさい」
「……はい」
あああああ、怒ってます、やっぱり怒ってますよこれ!
ど、どうしよう。私はどうしたらいい? 落ち着け、落ち着くんだ、魂魄妖夢。
そう、こんな時は素数を数えるのよ! 2,4,6,8……って、これ素数じゃねえ! 偶数だ! やばい、私も相当焦ってます!
何せ、我が主人は、怒らせると怖いんです。どれくらい怖いかというと、タイムアウトラスト十秒前の発狂具合にプラスで自機狙いワインダーが飛んでくるくらいに。
だけど、ここまで幽々子様が怒る事なんて珍しすぎます。過去、これだけ怒ったのは、紫さまに楽しみにしていたいちご大福のいちごを食べられた時くらいでしょうか。あの時は、白玉楼とマヨヒガの全面戦争が勃発して、たっぷり一年間争ったものです。最終的には、トリコロールカラーに自分を着飾ったお師匠様が出てきまして。すごかったですよ、何せ全身フランスですから。そして、『足はただの飾りじゃない! 装備することでパーフェクトになるのよ!』と吼える紫さまと相打ちになって、その後しばらくして何気なく紫さまがグラサンになって戻ってきたもんです。はい。
自分で言ってて何が何だかわかりません。だってしょうがないじゃないですか、あの時、私はどこぞの吸血鬼姉妹も真っ青なくらいの幼女だったんですから。あ、私のアルバム見ますか? かわいいって評判なんですよ。これが、はいはいしている時の写真、これがおねむの写真、で、こっちが幽々子様のお乳飲もうとしてびーびー泣いてる時の写真。懐かしいですねぇ。
「妖夢」
「は、はい!」
……と、いけないいけない。ある意味での甘美な思い出に浸りすぎて、現在状況を完璧にロストしていました。
これを現実逃避から来る逃避エネルギーというのですね。とても勉強になりました。
「妖夢。私は――」
「……は、はい」
重苦しい声で、口を開き、幽々子様は仰いました。
「私は――誰?」
「え?」
「私は誰と訊ねているのよ、妖夢」
これは……どういうことでしょうか?
私の名前を言ってみろ? そんな、鉄仮面かぶった出来損ないの三人目雑魚悪党じゃないんですから、そんなへたれなことを幽々子様が言い出すはずはありません。ということは、あれでしょうか。記憶喪失ごっこ?
いえ、これ、昔、幽々子様が退屈な日常に清涼剤を、ということで考え出した遊びでして、お部屋の床柱に頭をぶつけて記憶喪失になったふりをしてみようというものでして。いやぁ、あの時は焦りました。マジで記憶喪失になりましたから、幽々子様。
ついでに言うと、その時の幽々子様はかっこよかったものです。何をするにもびしっとしてきびきびしてて、大食いじゃなくて、これぞカリスマ、これぞアクシズの女という具合でした。白玉楼にやってくる不届きものを、『こうもぬけぬけと私の中に入ってこようとする! 恥を知れ、俗物!』と追い返したもんです。はい。
……って、それはどうでもいいですね。
あ、ちなみに、記憶の方は何か怪しい黒と赤の衣装を身にまとった胸部の装甲にチョバムアーマーをつけた人に直してもらいました。……今考えてみると、あれって永琳さん? いや、でも、『旅の医者ですよ。あらあら』って言ってましたから違いますね。それに、あの時はセーラー服でミニスカでツインテールでしたから。なおさら違いますよね。今の永琳さん、とっても優しい感じのする人ですから。はい。
「え、えっと……。
西行寺家当主、冥界の姫君であらせられる西行寺幽々子様……です」
「そう。その通りね。偉いわ、妖夢」
いや、自分が仕えている主人の名前忘れたりしたら切腹ものですよ。
……なんて当たり前のツッコミも出来ないくらいに、幽々子様、怒ってます。普段は浮かべない眉間のしわなんて浮かべたりして……。
「しかるに。
妖夢、私に対する世間一般の評価を知っているかしら?」
「へっ?」
世間一般の……ですか? はて? 何でしょう。
「その……何でしょうか」
素直にわからないので聞いてみます。よけい、火に油を注ぐ行為になるかもしれませんが、ここで素直に「わかりません」なんて言おうものならよけい何されるかわかりません。一度、幽々子様を怒らせた時のお仕置きはひどいものでした。ぱんつ脱がされて西行妖につるされました。「かわいいお尻が風邪を引きたくなかったら、ちゃんとごめんなさいって言いなさい」って。ごめんなさい言ってるのに全然許してくれなくて、その日の夜に、あまりの仕置きに見かねた紫さまが助けに来てくれるまで、私の大切なところ全部世間一般にさらすという羽目になりました。まぁ、あのおかげで羞恥心がだいぶなくなって、ちょっぴり別世界に目覚めそうにもなりましたけどそれはともあれ。
「カリスマがない」
「はい?」
「カリスマがない、と言われているのよ。この私が」
「あー……えっと……」
……えっと……幽々子様……それは……。
「天然だとか大食いだとかおっとりぽややんだとかふやふやだとかマリ姉系だとかよくわからない評価がそれについて回って最終的には販売停止のマークキャラだからカリスマがないのよとか因縁づけとしか思えない評価をいただいたわ」
その……えっとですね……。
……ぶっちゃけ、それってあなたのせいだと思うんですけど……幽々子様……。それ、なんて言うか知ってます……? 身から出たさびって言うんですよ……?
「そも、ね。妖夢」
「は、はい」
「Windows版東方シリーズ。そのタイトルを言えて?」
「はい?」
何でしょう、Windowsって。窓ですか?
「『東方紅魔郷』、『東方妖々夢』、『東方永夜抄』、『東方萃夢想』、『東方花映塚』、『東方文化帖』……以後も続く予定は万端よ」
「……」
まずい、何言ってるのかわからない。っていうか、幽々子様、それどこの電波ですか?
「そして、妖夢。この中で共通するものを言いなさい」
「へっ? き、共通ですか? と、東方……とか?」
「この……未熟者っ!」
「ひぃっ!?」
激高した幽々子様が、扇振り回して立ち上がりました。その威圧感に、もはや私は何も出来ません。蛇ににらまれた蛙です。ぶるぶる震えて頭を下げるのが精一杯です。
あああ、私はなんて事をしてしまったのでしょう。誰でもいいです助けて下さい。こういうピンチの時、すかさず現れてくれた紫さま、今、あなたはどこで何をしていらっしゃるのですか……。
「いずれの作品にも、ストーリーモードにおけるラスボスを匂わせる単語が入っているのよ!
『紅魔郷』なら『紅』とか『魔』! 『永夜抄』なら『永』と『夜』! 『萃夢想』なら『萃』! 『花映塚』なら『映』! 『文化帖』なら『文』と!
それなのに、『妖々夢』だけ、私を匂わせる単語が入ってないのよっ!」
「…………………はい?」
「っていうか、思いっきりあなたの名前入ってるじゃない! 『妖々夢』って。どう見てもあなたの名前じゃない、これ! 『妖夢』って言ってるじゃない! ちっちゃくてかわいかった昔は『幼妖夢』だったし!
何これ! ぶっちゃけあなたがラスボス!? いやらしい通常弾幕と厳しいスペルカードぶちまけて、散々プレイヤーを亡き者にしてきたあなたの後に控える、このラスボスたる私が、パターン化されればあっさりよけられる通常弾幕とスペカのおかげでむしろ点数稼ぎとか言われてるのよ!? 実質的ラスボスは妖夢とまで評価されてまでっ!」
「………え、えっと…………」
それはその……私、西行寺家を守る剣士ですから。
侵入者に対しては容赦なくなるのが当たり前と言いますか……いや、頑張りすぎた印象はありますよ? だけど、それについて文句言われると……えっと……ですね?
「こんなんだから、私にカリスマがないって言われるのよ! 幽々子のカリスマはBGMとでっかい扇で出来ている。私本体どうでもよし!?」
「あー……その……」
ごめんなさい、私も少しだけ、それ、思いました。
「本当は『幽々夢』とかってタイトルだったのよ、間違いないわ! それなのに、妖夢、あなたが私からカリスマを奪ったのよ!」
……いや、人のせいにされても……。っていうか、それ、私のせいじゃないと思うんですけど……。
「その後も、何か優遇されているとしか思えないキャラクター性能発揮して! 従者のくせに頑張りすぎなのよっ!」
「……その……すいません」
うわ、マジ泣きですよ。全力で涙が虹を作ってますよ。ああ、お召し物に汚れが……。
何かもう半分どうでもよくなってきました。あのですね、幽々子様。そう言うことに子供っぽくこだわったりするから、『カリスマがない』って言われるんですよ? そりゃ、確かに幽々子様より子供っぽい人たちいますけど、その中でも、幽々子様ってぶっちぎっちゃってるんです。ある意味。それが魅力になってきてるんです、はい。
だからですね、カリスマが欲しかったら、まずは大人になって下さい。お願いですから。
っていうか、何で私がお説教してますか心の中で。口に出しては言えません。だって怖いもん。
「こうなったら、あなたからもカリスマを奪うしかないわ! それで相対的に私のカリスマを上げるのよ!」
「あの……それって負け犬理論……」
「直訴よ、直訴してやるわ! さあ、行くわよ、妖夢!」
「……はいはい」
結局、私を連れて行くんですね。
……まぁ、いいですけど。こういう、変な子供っぽいわがままを言わなくなったら幽々子様じゃありませんし。こんな人だから、苦労はしてもついて行こうと思うんです。私って、とことん好き者なのかもしれませんね。
「目指すは神社よー!」
霊夢さんに叩き落とされて終わりになったりして。
でも、幽々子様にもカリスマありますよ。私、きちんとそれがわかってますから。だって、幽々子様、私のために怒ってくれる時なんて、ものすごく怖くてかっこいいですから。だから、他の誰にも認められなくてもいいです。私があなたを認めますから。
……あれ。これって独占欲ですか? うーん……やっぱり、子供なんですね。私。
ま、いいや。
子供なら子供のままで、幽々子様を、いつまでもお支え致します。頑張れ、私。ファイトだ、魂魄妖夢! ……なんて。
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それはさておき、みょんみょん夢のジャケットはやっぱり(西行寺無余涅槃